DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに★森美術館

2012-03-31 | ドラマ・映画・演劇・アート

イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに

やっと、本格的にあたたかくなってきましたね。

この数週間、まともな休日がないまま、仕事していますが
時間をみつけて、あちこち出かける元気が出てきました。
(花粉はこわいですが;;)

今日も午後の仕事のあと、ひさびさの森美術館へ。
韓国のアーティスト、イ・ブルのはじめての大型展示会。

最近感じるのは、80年代以降の作品はどこかサブカル要素の強いものが、受け入れられやすいのかな、ということ。
先日の松井冬子展もそうだったけど、アニメやマンガ文化が断片的だったり、通奏低音的だったりしながら垣間感じられる。見る側の嗜好や経験値もあるのかも、ですが。

初期の作品は、草間さんの植物×増殖要素やハンス・ベルメールの肉塊要素、サイボーグシリーズは村上隆の別アプローチのようだなぁ、などとついつい知っている作品が浮かんでくる感じで見ていたのですが、彼女の製作室再現を経て、アナグラムシリーズの『アマリリス』くらいから、イ・ブル的ななにかが、じわじわ浸透してきて、次の部屋の『インフィニティ・ウォール』はアイデアと世界観にドはまり。
マジックミラーを使ったトリックアートだけど、そこにあるのに存在しない、虚構空間の妙なリアリティにやられて、ずぶずぶと沈み込んでしまいました。

このモチーフはそのまま、次の鏡の床の展示室につながって、自分が浮遊しているような視覚効果の面白さと、鏡を境として頭上から足元、その奥へと広がる作品の全体像を飽きずに観賞しました。
政治的なメッセージというのは、私にはいまいち理解できなかったけれど、空間を変質させる展示作品と方法はとても興味深かったです。

最後の最新作、『秘密の共有者』は、彼女の愛犬が嘔吐した時の風景を再現したもの、ということだけど、製作室にあったそのための多数の習作からして素晴らしくて、綿、テープ、木、金属、さまざまな素材にチャレンジした結果の最終作品が、きらきらと光り輝く鏡やアクリルでできているのが、彼女の「今」の気分と展示方法にかなっていて感動。

この作品の展示室は、ヒルズの52階からみえる風景をそのまま借景にしていて、犬が自分の中身(こちらも鏡、アクリル等)を嘔吐している。静かなインパクトのある作品。

最初に見た時はまだ外は明るかったのだけど、その後同フロアの別作家の作品を見てから、もう一度戻ったら、すっかり夜景。
窓ガラスがインフィニティ・ウォールと同じ効果をみせて、犬が六本木の夜景に浮かんでいるように見える。絶対これを狙ったんだろうなぁー。


森美術館は、展示方法・部屋の構成が秀逸!小谷元彦展でも作品を吊ったものがあったけど、それも彷彿としつつ。イ・ブルの場合はより鑑賞者との距離感を意識しているように感じました。

鏡の床は、スカートのお客様は防衛策が用意されてたようで、そういうのもなんだか楽しい。ちょうどミニスカートの女性と並んで見る機会があったのだけど、ちょっとどきっとしちゃいました;

鑑賞者自体が作品空間の一部になる展示空間は、現代アートでは必須要素ですね。その空間にいることの価値。

時間があったらもう一度、犬に会いに行きたいです♪



※美術館にいくと、長蛇の列!!なにかと思えば「ONE PIECE展」
行った時は家族連れ、19時過ぎに出た時には大学生やサラリーマンが大量に来場していました。
ちょっと行って見たいかもー



参考:展示風景(Flickr )
イ・ブル展の工夫 小崎哲哉
コメント (2)
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