パレスチナ問題の専門家たちによる討論会。勉強になります
酒井啓子さん
パレスチナ人を追い出してユダヤ人を入植させる体制に戻ってしまったイスラエル。
一方イランはアメリカと事を構えたくない
ガザで殺されている人たちの多くは女性や子ども。このことからも、イスラエルが、「パレスチナを占領し、パレスチナ人を収奪する収奪型植民地主義」から「パレスチナ人を追い出してそこにユダヤ人を入植させる入植地植民地主義」に戻ってしまったことがわかる。
「ハマースの背後にイランがいる」などと言われることもあるが、イランや、イランと関係の深い組織(ヒズボッラーなど)は「対米攻撃は今後控える」と言い、「抑制的」でアメリカとの対立をエスカレートしたくない
一方、イエメンのフーシ派はニュース報道と違い、イランとの関係はそれほど深くない。イエメン内戦後の自分の地位を高めたい、という「ローカルな動機」でタンカーを襲ったりしている。
臼杵陽さん
オスロ合意は守られなかった
ハマースが襲撃した10月7日はシャバト(安息日)であるとともにユダヤ教の「律法感謝祭」(この日から聖書を読み始める日)の日。あえてこの日を選んだのかも知れない。
「2国家共存」のオスロ合意をPLOとイスラエルで締結したにもかかわらず、イスラエル側は「治安が確保できない」ことを理由に、将来のパレスチナ国家となるべきヨルダン川西岸・ガザの土地のほんの一部、それも点と線を結んだような領域しかパレスチナ側に返還しなかった。
ところが、「超タカ派」と思われていた軍人出身のシャロンが政権を獲得すると、世論の反対を押し切って2005年にガザからイスラエル軍を撤退させた。しかし2005年末、シャロンは脳卒中で死亡。以後、ガザはハマースが支配。
鵜飼哲さん
中東のことを何も知らないマクロン大統領の「トンデモ発言」とネタニヤフ首相のデマ発言
フランス大統領マクロンは、恐怖支配の「イスラーム国」と、ガザの選挙で大勝したハマースとの区別がつかず、「ハマース掃討を目的とした多国籍軍事行動」をネタニヤフ首相に提唱。数日後、この「トンデモ発言」を撤回。首相の軽率な発言に、フランス政界に衝撃が走り、外交官は激怒。フランス大統領がパレスチナ問題について何の勉強もしてこなかったことが世界にバレてしまった。
一方イスラエルのネタニヤフ首相も、「ユダヤ人絶滅をヒトラーに提案したのはエルサレムのイスラーム法学者アミーン・アル・フサイニー」というデマ発言を2015年の世界シオニスト大会で行う。(実際はホロコーストが始まったあと、第二次大戦中ドイツに亡命していたアミールが、ヒトラーに会ったことがある、というだけ)
イスラエルの占領政策はアパルトヘイト
南アフリカ政府が国際司法裁判所にイスラエルのジェノサイドを裁くよう提訴したが、イスラエルの占領政策はアパルトヘイト時代の南アフリカと同じ。
フランスでは政府が「パレスチナ連帯デモは反ユダヤ主義」とデモを禁止し、それを裁判所が「デモの自由の侵害」として、デモ禁止命令の無効を判断する、と言うことが繰り返されている。
アメリカのユダヤ人たちがバイデン大統領に「アメリカがイスラエルの戦争犯罪に手を貸すことに反対。世界の中で自分が安全であると感じられなくなってしまっている。」という書簡を送った。一言で言えばイスラエルこそが今や世界のユダヤ人にとって最大の危険になっている、ということ。
栗田禎子さん
今起きているのはハマースとイスラエルの対等なもの同士の戦争ではなく、占領者による被占領者の一方的な虐殺
1967年以来イスラエルがヨルダン川西岸とガザの占領を続け、国際社会の撤退要求にも耳をかさず、国際法違反の占領を延々と続けていることから今回の事態が起こっている。
イスラエルは植民地主義の歴史の中で成立した人工国家。イギリスが中東支配のためここに「入植者国家」を作っておいた方が便利と考え、「シオニズム」という政治運動を利用した。
国際法違反の戦争犯罪を先進諸国(特にアメリカ)が支え、イスラエルに武器を供与し続けている。
G7もイスラエルの「自衛権」を支持、と言っているが、国際法上「自衛権」は国家と国家の間でのこと。占領者が、占領下の民衆が抵抗したからと言ってそれを弾圧することを「自衛権」とは言わない。
エジプト革命など、先進諸国にとって都合の悪いことをつぶす役割をイスラエルが担ってきた。
「テロに対する戦争だ」と言って住民全体をせん滅。振り返って見るとこれはアメリカの戦争のやり口
アメリカがイラクやアフガニスタンを攻撃する時、「テロ国家」というレッテルを貼り、「相手はテロリストなので通常の国際法や国際人権法を守る必要はない」と言って無差別攻撃、捕虜の虐待でも何でもやった。
「対テロ戦争」を宣言して国際法違反、国連憲章無視の戦争をしかける。
同じロジックが今ガザで再現されている。
反戦運動をおさえこむためデモ隊に「反ユダヤ主義」というレッテルを貼ってカモフラージュする。
なぜこれほど先進国がイスラエルを支持するかと言うと、先進諸国がこれからもやろうとしている戦争のひな型がイスラエルであり、国際法無視の戦争のエンジンになっている。そういう国家だから全力で守ろうとする。
アジアなど旧植民地国も、先進諸国の若い世代も立ち上がっている。パレスチナ問題が焦点化したのはイスラエルの完全な誤算
アジア、南アフリカ、ラテンアメリカ諸国が早くから「即時停戦」を言ってきたのは、自分たちが植民地支配、占領、人種主義的抑圧を経験してきたから。
更に先進諸国でも「占領」だということに気がついて、停戦を求める声が広がっている。若い世代は新自由主義、格差が戦争を引き起こす、ということを痛感している。遠い所の問題ではなく、自分たちの問題だと感じている。
今回の悲劇の結果、占領の終結、全占領地からの撤退、パレスチナ国家建設の声が沸き起こっている。これはイスラエルにとって完全な誤算。
2国家解決案やオスロ合意など完全に忘れたふりをして、パレスチナ国家など完全に葬り去ろうとしていたのに、今回の事態で、国際世論の世界で復活してくる、と言う皮肉な状態になっている。
追い詰められ、少数派になった先進諸国は「ジェノサイド防止のためのすべての可能な手段を尽くせ」という国際司法裁判所の決定にショックを受け、急に
「UNRWAの中にハマースとつながっている人間がいる、ついてはUNRWAへの資金拠出を停止する」と先進諸国が次々に打ち出して日本までも迎合してしまう。
これは国際司法裁判所決定への反撃ですが、このこと自体「ジェノサイド防止のためのすべての可能な手段を尽くせ」という国際司法裁判所勧告への明確な違反。
今まさにジェノサイドの危機に瀕している人たちに食料品や医薬品を止めてしまう、ということは先進諸国がパレスチナの人々の生活状況を破壊し、ジェノサイドを手伝っていることになる。
これ自体国際司法裁判所で裁いた方が良い。
UNRWAを解体することによって、パレスチナ問題をなかったことにする
追い詰められた先進国が議論を拡散しようとして「イスラエルの占領に対する抵抗」ということから人々の関心をそらそうとしてイラン脅威論などを持ち出して、イラクやシリア、フーシ派に爆撃を行っている。
こうして戦線を拡大すると不利になるが、そうまでして、問題はイスラエルの占領だ、ということを隠そうとしている。そういうあせりが感じられる。
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