水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

自民党政調で水産改革法案を了承 臨時国会提出の拙速に疑問、反対の声 改正漁業法は「2年間かけ運用を調整」と水産庁説明

2018-10-31 11:22:34 | ニュース

 水産庁は各地での説明会を踏まえ、水産政策の改革を具体化するための法案を自民党に示し、30日の水産部会(伊東良孝会長)・水産総合調査会(浜田靖一会長)合同会議で了承した。同党総務会を経て11月6日閣議決定され、現在開会中の臨時国会に提出する。

 すでに水産部会・水産総合調査会の合同部会が24日開かれ、水産庁から漁業関係者への説明状況が示され「主な論点の法案に対する懸念は払拭された」との認識から、漁業者の理解が進みつつあり、与党の審議、了解を得て臨時国会に法案を提出したい」との意志を明確にした。これまでの漁業者・団体から提起された法制度の主な意見とそれへの対応、「漁業法の一部を改正する法律案の概要」が示された。25、26日の水産総合調査会には改正の骨子などを出され、最終的には30日の合同会議で条文案を示して了承を得た。

 それによると、改正の趣旨を「適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置ならびに漁業許可および免許制度の漁業生産に関する基本的制度を一体的に見直す」としており、漁業法にTAC法(海洋生物資源保存管理法)を統合した。そのため、条文は従来の漁業法と大幅に異なる。

 漁業法の改正のうち(1)新たな資源管理システムの構築では、科学的な資源評価に基づきTACによる資源管理を行い、個別割当(IQ)を基本に、漁獲実績を勘案し、船舶ごとの漁獲割当を設定する。(2)生産性の向上に資する漁業許可制度の見直しとして、船舶の規模に関する規制緩和して大型化を促し、随時の新規許可を行う。(3)養殖・沿岸漁業の発展に資する海面利用制度の見直しとして、海区漁場計画の策定プロセスを透明化し、知事が漁業権を付与する者を決定(優先順位の廃止)する。また、漁場の適切・有効な活用を促進し、沿岸漁場管理の仕組み(漁協の機能)を導入する。(4)漁村の活性化と多面的機能の発揮を促し、海区漁業調整委員会は漁業者委員の公選制を廃止し、知事が議会の同意を得て任命する。また、密漁対策としてナマコなどを特定水産動植物の採捕を禁止し、罰則を強化する。従来は3年以下の懲役または200万円以下の罰金だった罰則を、3年以下の懲役または3千万円以下の罰金とする。

 改正漁業法の施行は、公布後、2年以内となっており、政令・省令で具体的な運用を詰める。水協法の一部規定(漁業生産組合の設立要件の緩和・株式会社化)は31年4月1日に施行する。

 水協法を改正して水産改革に合わせた漁協制度の見直しを図る。販売のプロの役員への登用、公認会計監査の導入などが主な内容。水産庁の説明会で示されていた「事業利用強制の禁止」は全漁連、道漁連など漁協系統の激しい反発で事前に削除された。

 自民党の会議では、議員から「抜本的な見直しであり、熟議が必要。なぜ急ぐのか疑問」と臨時国会に提出する拙速への反対が出された。また、法案が成立したあとも現場の意見を聞いた政令・省令で調整するという水産庁の説明にも「具体的にイメージできない」といった疑問が多く出された。

 業界団体からは「概算要求予算3,000億円の満額獲得、補正予算の確保」を求める声のほか、大和堆に大挙押し寄せている北朝鮮漁船をはじめ、中国漁船やロシア漁船によるイカ、サバ、イワシ資源への漁獲圧力を抑制するよう強い要請が出た。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿