水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

2015年7月17日発行/北海道漁協系統通信6096号

2015-07-16 17:30:45 | 系統通信
道議会水産林務委員会で28年度国費予算要望
ロシア水域サケ・マス流し網の支援などを重点に

道議会予算特別委員会でホタテ被害、サケ・マス問題を質疑
ホタテ水産加工の経営・雇用、流し網禁止後の地域振興策を

道マリンビジョン21促進期成会総会
厚岸に道開発局長賞、利尻に期成会会長賞
新会長に森利男苫前町長、新副会長に酒井芳秀新ひだか町長

18、19日道内初!「養殖岩牡蠣」を奥尻室津祭りで販売

釧路棹前コンブ値決会
1等前年比98.7%で妥結 裾物の値下がり顕著に

24日全道漁協職員大会 25日スポーツ競技大会

エゾバフンウニ漁解禁・盛漁期直前の礼文島(7月号表紙)

2015-07-16 12:55:17 | 月刊水産北海道



 礼文島のエゾバフンウニ漁は、香深が6月8日、船泊が同11日にそれぞれ初水揚げを記録。初日は剥き身換算で香深687㎏、船泊が約1,100㎏と上々のスタートとなった。船泊漁協では各漁家が選別機を導入し、ホッケやメバルなどを大きさごとに分けたうえで出荷。できるだけ人の手をかけずに早期出荷することで鮮度保持効果を高めている。同漁協直営食堂「あとい」の三色丼は絶品。



月刊『水産北海道』7月号が出ました。波乱の2015年が一挙に吹き出しました。

2015-07-16 12:52:34 | 月刊水産北海道

 5月~7月は道東地域の主力漁業である北洋サケ・マス漁が日本200海里、ロシア200海里の双方で始まり、盛漁期となる時期ですが、今年は日本200海里が極端な不漁、ロシア200海里は政府間交渉が難航し、1ヶ月遅れで小型船のみの出漁となりました。それよりも何よりもロシア議会で提案されていた流し網禁止法案が上院下院で可決し、6月29日ついにプーチン大統領が署名し、来年1月から発効することになり、北洋サケ・マス漁の歴史的終焉を迎えるといったショッキングな事態に直面しています。
 春に北洋で獲れるサケ・マスは「春鮭鱒」とも言われ、ベニザケ、トキサケ、カラフトマスが御三家。特に塩蔵された塩ベニザケは「本チャンベニ」と呼ばれ、色、脂とも絶品で、国内サケ・マス市場で最上位にランクされていました。今回の北洋サケ・マス漁の終焉というのは、具体的にはベニザケが「もう獲れない」「食べられない」という意味です。
 世界が200海里規制に突入して以来、サケ・マスは「母川国主義」と言って、魚群がそ上し、産卵する河川を持つ国が資源管理の一義的な責任と権利を負うことが定着しており、日本はいわゆるロシア系サケ・マスを沖獲りする代わりに協力費として自国200海里操業、ロシア200海里操業の双方で多額のお金を支払っています。北洋サケ・マス流し網漁は、歴史ある伝統漁業でもあり、それが今回、ロシアは最終的に「お金」の方を選ぶだろうという雰囲気をつくってしまい「後手」に回ったのもしれません。
 ロシア国内では流し網を操業するサハリン州の漁業者と定置網を操業するカムチャッカ州の漁業者による利害対立が表面化し、多数を占めるカムチャッカ側の「流し網は魚にとって死の壁」「資源を枯渇させる野蛮漁業」といったキャンペーンが浸透したようです。プーチン大統領の側近で今回の禁止法案を可決させた上院議長は「外国漁船に対する排除を目的としたものではない」と語っていますが、結局は日本漁船の流し網も全面禁止となる模様です。
 流し網禁止は、根室市を中心とした道東の地域経済に大きな影響を及ぼし、漁業者をはじめ水産加工業など多くの関連産業にダメージとなります。道は14年ぶりに「北洋漁業対策本部」を開き、影響額と対応策を8月中にまとめる方針です。政府も事態を重く見て農林水産大臣政務官と水産庁長官を現地に派遣し、関係者と意見交換するなど、対策に本腰を入れる姿勢を強く示しています。
 2015年の北海道漁業は、この問題以外にもオホーツクのホタテ低気圧被害やTPP交渉の大筋合意など内外に不安定要素を抱え、試練の年となりそうです。一方、秋サケが4年ぶりに4,000万尾を超えた一昨年並みの来遊が予想され、コンブも1万8,000トン近くと昨年並みが期待されます。ホタテ自体は、上海市場の株乱高下前の6月までは中国向け輸出が絶好調で、国内減産により価格はさらに上昇を続けています。
 7月号は節目でもあり、漁業の方向性を定める全道漁協組合長会議をはじめ漁協系統・水産団体の総会、新しい政策・予算の実現を求めた道・道議会、中央省庁・議員への要請活動なども掲載しています。
 表紙は礼文島の「エゾバフンウニ漁」の模様です。夏は観光シーズンであり、沿岸漁業の稼ぎ時。活発な漁を期待したいものです。