独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

ドイツの風力発電危機からの警告

2012年10月20日 10時03分33秒 | 資源エネルギー
10年後の脱原発を掲げるドイツが日本のエネルギー政策のお手本になると考える馬鹿な政治家がいる。小沢一郎もその一人である。
小沢一郎はドイツの電力事情を視察中だそうだが、ドイツで何を学んでくるのだろうか。


ドイツの風力発電危機からの警告
Christopher Booker, The Telegraph |Sep. 23, 2012 (stopchina訳)
http://www.businessinsider.com/germanys-wind-power-chaos-2012-9

ドイツは再生可能エネルギーの開発で世界の先頭を走っているが、今や著しい危機に直面している。

9月14日の10時、イギリスでは3500基の風力タービンが空前の記録である4GWの電力を生み出した。
その3時間後、ドイツの23000基の風力タービンと数百万のソーラー・パネルが合わせて31GWもの記録的な電力を生み出した。
しかし、これらの記録に対する両国の反応は対照的だった。

イギリスでは、風力発電業界の首脳が勝利を宣言した。
「この記録的な発電量は、風力エネルギーが安定で安全な電力源であることを証明した。この豊富な無料の資源はエネルギーコストの低減に貢献するだろう。」

しかし、ドイツではこの記録達成のニュースは困惑をもって迎えられた。

ドイツは我が国(英)の政治家たちが望む道筋の一歩先を走っているが、その結果もたらされた諸問題こそがドイツにおける大ニュースだったのだ。
我が国(英)の政治家がいだいている再生可能エネルギーへの妄想と同じものによって、ドイツは今厳しい事態に直面しているのである。
「無料でクリーンで再生可能な電力」の信奉者や政治家は、風速や日照が絶えず変化することの重要な意味を見過ごしているのである。

政治家は、風力エネルギーの誇張された「巨大」な可能性について誤解しているのであって、実際の発電量は100%と0%の間で変動するものなのである。イギリスでは平均25%であり、ドイツではもっと低くて17%にすぎない。

国家が再生可能エネルギーへの依存度を高めるにつれて、ドイツが直面しているように、二つの重大な技術的問題点が浮かび上がってくる。
第一に、再生可能エネルギーによる発電量は時間と共に激しく変動するため、電力グリッドへの供給量を一定に維持するには従来型の火力発電により補うことが必要になるが、それが著しく困難になるのである。

第二の問題は、再生可能エネルギーの発電量変動に対応可能な状態に火力発電所を待機させるには、ほとんどの時間、非常に非効率な状態で運転せざるを得ないことである。その結果、発電コストが上昇するだけでなく、CO2がより多く排出されるため、風力による排出削減効果が帳消しになるのである。

ドイツは世界で最も積極的に再生可能エネルギーの開発に邁進してきたために、上記二つの問題の重大さが認識されるようになった。
数千億ユーロの補助金を風力発電およびソーラー発電に注入してきたため、発電コストはヨーロッパで最も高くなったものの、ドイツが机上に描く計画は、過激な環境保護主義者が望むものをすべてを与えるものだった。昨年の風力発電能力は29GWであり、それはドイツの平均電力需要の四分の一に相当するが、効率が我が国(英)よりも低いため、実際の発電量は平均でわずか5GWであった。残りは既存の発電所から供給されたのであり、風が弱まればいつでも29GWまで供給可能な体制を取りつつ、風が強まれば停止するのであった。

今年は、ドイツの電力グリッドの問題がさらに悪化した。メルケル政権による補助金の大盤振る舞いのせいで、再生可能エネルギーの発電能力はさらに高まった(たとえばソーラーの場合、43%)。このため電力グリッドのバランスを維持することが一層困難になり、絶えず停電の危険にさらされることになった。最近ハンブルグのアルミ工場で、ほんの一瞬だけ停電になった時、工場が停止し、大きな損害が発生した。エネルギー依存型の企業は、自家発電機を設置するか、ドイツを去るかの選択を迫られるのである。

今やドイツでは環境保護主義者と現実主義者の間で激しい論争が起きている。電力グリッドへの再生可能エネルギー優先供給権が法律により規定されているため、従来型発電所は利益を出すことができず、怒った企業はその多くを閉鎖すると息巻いている。驚いたことに、政府は、損失が出ても発電事業を継続しなければならないとする新しい法律で対処しようとしている。

一方で、RWE や E.onなどの企業は2020年までに16基の新規石炭火力と15基の新規天然ガス発電プラントの完成を目指している。両者を合わせてドイツの電力需要の38%をまかなうことができる。これらの発電所のどれにも二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)という技術的に未完成な設備を設置しない予定だ。これは、EUのCO2排出削減目標を順守するとのドイツの立場も、電力の35%を再生可能エネルギーでまかなうとのメルケル首相の空想的目標も、無意味にするものである。

要するに、ドイツの再生可能エネルギー推進は破滅的な結果をもたらしたのである。これは我々に強い危機感をもたらす。なぜなら、我が政府(英)は、2020年までに電力の32%を再生可能エネルギーでまかなうとのEUの目標を達成するために、30000基の風力タービンを建設する計画を立てており、ドイツと同じ無謀な道をたどることになるからである。しかし、我が国(英)の6大電力企業(RWE and E.onを含む)は40%の電力を供給してきた石炭火力発電所(その多くはEU規制により間もなく閉鎖される)の建て替えは、あの技術的に問題のあるCCSを設置しない場合には、認められないとの通告を受けている。同様の問題は、役立たずの風力発電の100%バックアップ用として必要な、天然ガス火力発電所の新規建設計画にも影を落とす。

ドイツにおいて荒れ狂う論争は、エネルギー政策の責任者Ed Daveyのような夢想家しかいない事を除けば、そのままこの英国にも当てはまる。対抗馬の現実主義者がいち早く現れない限り、我が国も大きな困難に直面するだろう。



<10月26日>
小沢一郎はやっぱりただの馬鹿だった。
ドイツまででかけて、自分の見たいものだけを見、聞きたいことだけを聞いてきたようだ。

産経10月26日より:

小沢氏、結党パーティーで「反増税」
(前略)2022年までの「原発ゼロ」を目指しているドイツを先週視察した成果を報告し、「日本は努力さえすれば『脱原発』は必ずできる」と力説した。(後略)


ニューズウイーク(日本語版)にもドイツの電力事情の厳しさを指摘した記事がある。

特集:脱原発のコスト
2012年10月31日号(10/24発売)
    ヨーロッパ 脱原発の優等生ドイツの憂鬱な現実
http://www.newsweekjapan.jp/magazine/85329.php






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