独断偏見妄言録 China's Threat

中国は人類の命運を左右する21世紀最大の不安定要因

馬鹿丸出しの安倍晋三:中国の一帯一路に協力だと

2017年06月06日 10時04分10秒 | 中国
一帯一路 One Belt, One Road は2014年に習近平が提唱した経済圏構想だ。
中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」(「一帯」の意味)と、中国沿岸部から東南アジア、スリランカ、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(「一路」の意味)の二つの地域で、インフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画だそうだ(ウイキペディア)。

日本では多くの場合、肯定的なニュアンスで報道される。しかし、私は、一帯一路は中国の世界制覇への野望を実現するための構想だと見ている。東に向かって、南シナ海と東シナ海を手に入れ、太平洋に出て、やがて米国を倒す。西に向かっては、一帯一路により、ヨーロッパとアフリカを征服する。
テレビに登場する中国専門家の多くは、南シナ海問題などとの関連で、中国は東アジアでの覇権を狙っていると解説するが、そんな小さな話ではないと思う。東アジア覇権ではなく世界覇権を狙っているとみなさなければ中国の政治・軍事・経済における挙動を説明できない。

その一帯一路は現在どんな状況だろうか。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)6月6日(火曜日)
       通算第5316号   <前日発行>
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習近平のシルクロードの夢と現実
現場は閑古鳥が鳴いて、免税特典を狙うだけの企業が登録

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 カザフスタンと中国との国境のひとつ、ホゴス国際辺疆自由貿易地区は、鳴り物入りで造成され、習近平が吠える「シルクロード」の目玉のプロジェクトと云われた。
 中国のメディアは連日のように「大成功」と報道した。たしかに中国側のほうは高速道路が延びて、近代的な都市を象徴する高層ビルもすこしは建っている。

 五年間の免税、つぎの五年間も税金は半額になる、と聞いて色めき立ったIT産業などは、ホゴス自由貿易ゾーンに法人登録をなした。
「その数が2411社に膨らんだが、現場で実際に企業活動をしている会社は殆どない」(アジアタイムズ、6月5日)

 一方、カザフ側のほうは宏大な貿易自由区の土地が確保されたが、過去五年間ほとんど空っぽ、砂漠のテント村にある安物のショッピングモールのほかはマトン料理の野外レストランくらいしか目立たない。
 
 鉄道輸送だけは活発で、貨物通過量は五倍に伸びたという。理由は中国沿岸部からヨーロッパへの輸送時間が短縮されたからで、この輸送中継と税関チェックの補助作業などで、冒頭の自由貿易地区に連絡事務所をひらいただけのIT産業が多く、ほかにこれという大規模な進出も、活発な経済活動も見られない。

 シルクロードプロジェクトの派手な打ち上げと、現場での隠蔽された現実の貧困。そのあまりの乖離を目撃したロイター記者が、実情を伝えた。
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アメリカのメディアも否定的に現状を伝える。

China’s Continent-Spanning Trains Are Running Half-Empty
中国の大陸横断列車は半分が空だ

Beijing's funding dozens of new rail routes as part of its global ambitions — and losing money on every one. So what's the long game?
北京は世界制覇への野望のもとで多数の新規鉄道に投資ーどれも損失を出している。長期的見通しはどうか?

June 5, 2017 Andreea Brinza
http://foreignpolicy.com/2017/06/05/chinas-continent-spanning-trains-are-running-half-empty-one-belt-one-road-bri/
(要旨)
メディアは中国とヨーロッパのブタペストやロンドンなどの都市を結ぶ鉄道を賞賛するが、ユーラシア大陸にまたがる新しい大陸横断鉄道は経済的には無意味である。利益をだすことはありえない。市場ニーズではなく、政治的な必要性により建設されたものだ。中国とヨーロッパの都市を結ぶ40以上もの路線のうちで、唯一、中国とドイツのデュースブルクを結ぶ路線のみが市場ニーズにより建設されたものである。その他の路線は北京がポーランド、ハンガリー、イギリスなどとの関係を強化するための政治的な仕掛けなのだ。
中国ーデュースブルク路線は、2011年にヒューレット・パッカード HP のパソコンを中国からヨーロッパに届けるのに、海路の半分の時間ですむことで開設されたもので、習近平の構想より前のものだ。それ以外の新路線は中国のローテク製品を積んでヨーロッパにやって来るが、鉄道で輸送する価値はなく、コンテナーはほとんど空なのだ。
おもちゃなどのローテク製品を輸出する中国企業にとって、時間はかかるが、運賃が半分なので、海路のほうがはるかに有利だ。

中国ーヨーロッパ路線は輸送コストの問題だけでなく、コンテナーが大きな温度変化に耐えなければならないこと、およびロシアがその領土を通ってヨーロッパの食品が輸送されることを禁じていることにより、非生産的なのである。食品はヨーロッパー中国間の鉄道輸送で利益を出しうる商品カテゴリーなのだが、それなしでは、ヨーロッパから中国に向けたコンテナーを満杯にするのは容易なことではない。例えば、ブレグジット後の貿易に必死なイギリス政府と一帯一路を推進する中国の思惑にもかかわらず、ロンドンに到着した列車が商品を満載して中国へ引き返すまでに3ヶ月を要する。

ほとんどの一帯一路鉄道は中国政府の補助金のおかげで機能している。20フィート・コンテナ1台当たりの補助金の金額は、1旅程につき $3,500 から $4,000である。補助金がなければ$9,000かかるところが、$5,000ですむわけだ。こうして、中国政府は損失をだしているにもかかわらず、年間貨物輸送回数を、2016年の 1,900 から2020年には 5,000 列車に増やす予定だ。

北京はなぜそのように多数の非生産的な鉄路を開設したのか?その理由は、一帯一路が経済的な構想というより、中国が「グローバリゼーション2.0」と呼ぶもののリーダーとして自らを押し出すための政治的な思惑によるものだからである。
できるだけ多くの国をこのプロジェクトに引き寄せることにより、自由貿易とグローバル化の新たなチャンピオンとしての北京の地位を正当化し、自身をグローバル・パワーとして位置づけることができるのである。したがって、経済的利益を産まなくても、鉄道は中国への善意、尊敬、影響を生み出すと期待できるのだ。
(中略)
中国の国有「ゾンビ」企業が損失を出しながらも政府の補助により生き延びているように、一帯一路鉄道も習近平の支援により生き残るかもしれない。しかしこのような「ゾンビ」鉄道が永遠に栄えることはあり得ない。もし中国が貿易に専念しようとするなら、2,3の主要ルートに限定すべきだろう。そうすることで、一帯一路はしっかりした経済的基盤を確立することができるだろう。


あちこちで損失を出し、一方で製品への信頼を失いつつある中国経済は、何年も前から崩壊が予想されながら、いまだにしぶとく生き延びてはいるが、遠からず、本当に崩壊するかもしれない。そうなれば、一帯一路も露と消えるだろう。

さて、こういう客観情勢の中で、わが国の売国奴にして間抜けな安倍晋三総理大臣サマは、一帯一路に協力姿勢を示したのである。

首相、一帯一路に協力姿勢 公正さ条件
日本企業の参画、妨げず

2017/6/5 22:13 日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS05H5I_V00C17A6000000/
 安倍晋三首相は5日、第23回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)の晩さん会で演説した。中国の広域経済圏構想「一帯一路」について「協力をしていきたいと考える」との姿勢を示した。同時に同構想下でのインフラ整備への協力には「透明で公正な調達」などの注文をつけた。

 首相は「一帯一路」構想について「洋の東西、その間の多様な地域を結びつけるポテンシャルを持った構想だ」と評価した。一方で(1)インフラ整備は万人が利用できるよう開かれ、透明で公正な調達がされる(2)プロジェクトに経済性がある(3)借り入れ国が債務を返済可能で財政の健全化が損なわれない――ことが不可欠と指摘した。

 中国に対し「国際社会で共通の考え方を十分取り入れる」ことを要請。そうすることで「一帯一路」構想が「環太平洋の自由で公正な経済圏に、良質な形で融合していく」と呼びかけた。

 首相はこれまで「一帯一路」構想に慎重だった。今回の発言も、日本政府として主体的かつ積極的に協力することは意味しない。インフラ整備に魅力を感じる日本企業が同構想に関わることを、日本政府が妨げない考えを示したものだ。

 日本企業が同構想の具体的なプロジェクトに関わることで、中国側に国際社会の共通ルールにより近い形でインフラ整備を進めるよう誘導する狙いがありそうだ。政府高官は「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本が参加することを意味するものではない」と語った。
(後略)


閑古鳥が鳴き、経済性がないとされるプロジェクトに、なんで今頃協力姿勢を示すのか。間抜けなことこの上ない。
しかし、中国は早速歓迎の意を表明。リップサービスにはリップサービスで応じたということか?

中国、首相発言を歓迎 「一帯一路は中日協力の土台に」
2017/6/6 17:25
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17365270W7A600C1I00000/?dg=1
 【北京=高橋哲史】中国外務省の華春瑩副報道局長は6日の記者会見で、安倍晋三首相が5日に中国の広域経済圏構想「一帯一路」に協力する姿勢を示したことについて「一帯一路は中日両国の協力を実現し、共に発展するための新たな土台になりうる」として歓迎の意向を表明した。

 日本側が2018年に安倍首相と習近平国家主席の相互訪問を提案していることに関しては「中国側が中日関係の発展を重視し、望む立場は一貫している」と指摘。そのうえで「日本側に関連する問題を解決し、中国側といっしょに中日関係を健全で安定した発展軌道に推し進めるよう希望する」と語った。



<2017年6月8日>

日中関係改善へメッセージ 首相、アジア投資銀は慎重
2017/6/6 0:23
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE05H0D_V00C17A6EA1000/?dg=1


習近平の「一帯一路」に吹く逆風
2017年6月8日
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9777



<2017年6月9日>

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)6月9日(金曜日)
        通算第5321号 
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IS系、パキスタンで誘拐の中国人教師ふたりを殺害
パキスタンの「一帯一路」プロジェクトの先行きに暗雲

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 香港メディアが未確認情報として報じている(サウスチャイナ・モーニングポスト、6月9日)。
北京で開催された「一帯一路」フォーラムにはプーチン大統領ら29ヶ国の元首クラスが勢揃いし、壮大な世界的規模のプロジェクトを打ち上げたが、その日の朝、北朝鮮がミサイルを発射して習近平の顔に泥を塗った。
それから二週間後(5月24日)、パキスタンの「一帯一路」工事の拠点クエッタで、中国人教師二人が誘拐された。

パキスタンはイスラマバード政権が親中派。軍情報部はタリバン支援。ISに共感するイスラム原理主義者が多く、中央集権は行きとどいていない。

くわえてパロチスタン地区はアフガニスタンとイランとの国境に位置し中心都市はクエッタ。すぐ北はアフガニスタンである。

中国は、この地区の南端にあるガイダール港を本格的に工事中で、商業施設に平行させて潜水艦、空母の寄港地とするばかりか、パキスタンを南西から北東へつなぐ全長770キロのハイウェイ、鉄道、パイプライン、光ファイバー網の工事をしている。治安が悪いため、中国人を警備しているのがパキスタンの軍隊である。

この町の中国語学校に教師として赴任していたファン・ジンフイ(音訳不明)ら語学教師ふたりが武装集団に誘拐され、中国のメディアは大きく報道していた。
中国外交部は「パキスタン政府と共同し、あらゆる手段で問題解決に当たっている。身代金要求はない」と発表してきた。

犯人はIS系と見られるが、親中路線に不満を抱く過激派で、パキスタンの警察が隠れ家を発見し急襲した。
銃撃戦となり、人質だった中国人ふたりも殺害された。

日本では報道がないようだが、中国は大きな衝撃をうけた。
中国人がテロの犠牲になったという衝撃ではない。「一帯一路」という「世紀のプロジェクト」は共産党の宣伝とは裏腹に、現地では反感を買っているという事実に。



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