イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

休戦記念日の、戦後最大規模のプロテストマーチと内務大臣の恥さらし

2023年11月12日 06時04分42秒 | 英国の、生活のひとコマ

昨日、11月11日は第一次世界大戦の「休戦」条約が締結された1918年、11月11日の11時を記憶する「休戦記念日 Armistice Day 」でした。

写真は昨日、ストックポートで撮った、戦没者追悼のシンボルの赤いポピーのある光景(とその他、ストックポートの週末風景)です。

 

国家に命を捧げた全ての戦没兵士に追悼を捧げる、英国にとって非常に重要で厳粛な日です。

そしてまた昨日、ロンドンで予定通りイスラエル・ハマス戦争の停戦を訴えるプロテスト・マーチ(=デモ)が開催されました。

イスラエルのガザ地区攻撃中止を訴える30万人もの人々が英国全土から首都に集結した、戦後最大規模のプロテスト・イベントです。

トランスジェンダー差別主義者のリシ・スナク首相とスナク・ウンコ内閣の一味である内務大臣 secretary of state 、スエラ・ブラバマン Suella Braverman、その他保守党右派の議員は親パレスチナの立場をとる抗議活動を制限しようとし続けています。

親イスラエル派であるべき英国の国民が反イスラエル的な行動をするのが外聞が悪いからでしょう。

「厳粛であるべき休戦記念日のプロテストは不敬である disrespectoful」というもっともらしい理由をつけて禁止する動きにまで出たのです。

言論の自由と集会の自由は民主主義国家における基本的人権のはずなのに!

あろうことか、ブラバマンはイスラエル・ハマス戦争の停戦を訴えるプロテスト・イベント全てを「反ユダヤのヘイト行為」と決めつけました。

それだけではなく、右派系新聞に「親パレスチナの暴徒を取り締まらない警察の対応は偏っている(右翼や国家主義者への対応は厳しいのに、えこひいきである)」という論文を投稿し、大ヒンシュクを買いました。

内務大臣による警察の方針への公的な批判は「警察の独立と公共性を脅かす職務逸脱行為」であるのみならず、法律関係者によれば違法だそうです。....警察が政府にコントロールされ政府の意にそわない人を法律外に取り締まり出したらもう民主国家ではなくなるんですよね?ブラバマン、バカなの?(バカです)

野党労働党のみならず、身内である保守党内からもブラバマンをクビにしろという要求が出ていますが、スナク首相はバカ内務大臣をかばい続けていますし、バカ内務大臣は謝りも撤回もしていません。

追悼礼拝と2分間の黙とう儀式が行われるセニタフ The Cenetaph (戦没者追悼記念碑)があるロンドン、ホワイトホール周辺には立ち入らないこと、時間をずらすことなどを条件にプロテスト・マーチは「許可」されることになりました。...と言うか、「禁止」されるいわれすらないのです、民主主義国家では!

バカ内部大臣は「親パレスチナ暴徒によって追悼儀式のみならず、首都の安全まで脅かされる」と言っていました(バカ...!)

当日は、第二次世界大戦に従軍した高齢の退役軍人や関係者が参列して追悼行事は滞りなく終わりました。あっけないほど例年通りです。

テレビで生中継されました。

そもそも、退役軍人や、戦没兵士の遺族を支える会など関係者は「この儀式のために人々の民主的な権利が損なわれてはならない(追悼式が妨げられないかぎりプロテスト歓迎)」と明言しているんですけどね。

11時ピッタリに始まった2分間の黙とうの間、次々と映る英国各地の戦没者慰霊施設のひとつとして、ストックポートの戦没者慰霊堂/市民美術館の階段に設置された巨大な十字架の前で黙とうする地元の関係者も映りました。

 

午後、通りかかった時の黙とう終了後の十字架です。ミズゴケにさしてあるはずの生花が見当たりません☟

 

慰霊堂内部です☟

 

追悼式終了後、ニュース番組のテレビカメラはプロテスト・マーチに参加する予定の人が集まったロンドンの中心にある緑豊かなハイド・パークに切り替わりました。

晴天の週末、参加者はみんな楽しそうでした。

多くの人がダウンロードしてプリントアウトしたのか、「パレスチナを開放せよ」と書かれたお揃いのプラカードを手にしていました。突然思いついて出てきたのか、「子供を殺すのをやめろ!」と油性ペンで殴り書きされた段ボール箱の蓋(?)を手にした人も映りました。

多くの子供を含む、パレスチナ人の犠牲をこれ以上出してはいけないと声を上げる市民のプロテストです。

あくまで「停戦」と「パレスチナ解放」を訴えるのが趣旨で、暴力集団ハマスを支持するプロテストではありません。イスラエルによるパレスチナ占領に抗議する反イスラエル派の人も含まれていたはずですが、反ユダヤ(民族)主義のイベントでは決してありません。

天気が良いので公園に遊びに来た手ぶらのロンドン市民の飛び入り参加もあったはずです。

おおぜいの人がセルフィーを撮っていましたし、レポーターを背景に記念写真を撮るうかれた人も映りました。

 

プロテスト・マーチに気軽に参加して声を上げることができる民主主義のすばらしさがテレビ画面を通じて実感できます!

 

追悼式の終了と、追悼式参加者の解散を待って開始されたプロテスト・マーチはロンドンの中心地を2時間かけてゆっくりと横切り、テムズ川を渡ってアメリカ大使館前で無事、終了。

警察が一番手を焼いたのは、プロテスト・マーチと悶着を起こす目的でやはり全国から終結した「反プロテスター Counter -protesters」です。

彼らはプロテスト・マーチを妨害しようとして警察ともめ、たくさんの警察官にケガをさせました!逮捕者も多数!

100人以上の逮捕者はひとり残らず「反プロテスト」!!ほぼ全員、ナイフやナックル・ダスター(鋲が突き出た拳に巻き付けるバンド)や鉄棒など子供っぽい武器を所持していたそうです。

反プロテスト派とは、「ネオナチ」や白人至上主義者を含む「極右 far-rightです。

....え?「ネオナチ」や白人至上主義者は、ユダヤ人排斥論者では?ユダヤ人が建国したイスラエルを支援するためにわざわざ親パレスチナのプロテスト粉砕に乗り出してきたの?...と思ったのですが...

とにかく、民主主義的なことがむかつくので騒いで叩き潰したいだけの連中なようです。もしかしたら所持しているナックルダスターや鉄棒を使ってみたかったのかもしれませんね。

プロテスト・マーチは成功、親パレスチナ側からは「暴徒」も「反ユダヤ主義のヘイト行為」も指摘されませんでした。

第一次大戦の休戦を記念する日にパレスチナでの休戦を請願する、効果的で戦没者へのリスペクト(敬意)が表明されるいいイベントだったと参加者も参加しなかった大勢のプロテスト支持者も声をそろえて賞賛していました。

「プロテスト・マーチは、自由と民主主義を守るために命を捧げた戦没兵士に対する何よりのリスペクトだった」という声もありました

多くのプロテスターは戦没者への感謝と敬意のシンボル、赤いポピーを胸につけていました。

 

ざまあみろ、バカ内務大臣ブラバマン!暴徒はプロテスト・マーチをやめさせようとしたブラバマン側の一味だ!

この人は、「ホームレスは好きで(路上生活を)やっている life style choice 」とSNSで発言しました。

「ホームレスは不法移民で、強引な物乞い、ドロボウで薬物中毒者」とも。ホームレスにテントを提供するチャリティ団体を解散させ、テントの提供を処罰対象にするつもりだとも言っています。

好きでやっているわけないでだろう!?バカ!

私が以前、ストックポート日報 で記事にした頃よりずっと、さまざまな要因でホームレス問題が深刻化しています。

他人ごとではない?犬を連れて路上に座るホームレスの事情はいろいろ

一定の手続きを踏めば受けられることになっていた福祉の受給が難しくなっていますし、けっこう簡単に入所できた一時宿泊施設(ホステル)も今では圧倒的に足りません。リンクを貼った上の記事の頃とは事情が違ってきています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
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1 コメント

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犬と暮らせば (浅井洋)
2023-11-12 12:16:54
英国の 皆さんは
 政治が 身近なのでしょうね

日本も デモも 行進もありますが
 お巡りさんの方が
  多いかな? という 感じです
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