イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

マンチェスターの年の瀬、イベント後の寂莫感と大量消費社会の矛盾

2023年12月31日 06時53分48秒 | 英国の、生活のひとコマ

どんより曇った年の瀬の金曜日、マンチェスターに行きました。

クリスマス後、初めての外出です!久しぶりに会う友人と昼食をいっしょに食べました。

待ち合わせは、ピカディリー・ガーデンズ Piccadilly Gardens にあるカフェ。

…クリスマス前には「ウィンター・ガーデン Winter Garden 」なんてしゃれた呼び名をつけられてマンチェスターの冬の名物、マンチェスター・クリスマス・マーケット Mancester's Christmas Market のメイン会場としてにぎわっていたピカディリー・ガーデンズですが...

 

イベント終了後、「宴の後」と言った寂莫感がすごかったです。

クリスマス翌日にはじまる恒例の「ボクシングデイ・セール」で大勢の買い物客が繰り出すマンチェスターのショッピングエリアの表玄関であるピカディリー・ガーデンズ...もうちょっと見栄えに気を使えばいいのに!

 

 

寒い日でしたので、ピカディリー・ガーデンズそのものには人はそれほどいませんでしたが、待ち合わせのカフェは混んでいました。

 

コーヒーを買う人の列は比較的スイスイとすすむのですが、なにせ横に長くて奥行きが浅いこのカフェ、中で座れるテーブル席数が圧倒的に足りません。

市民の憩いの場、都会のオアシス、ピカディリー・ガーデンズに面した公園カフェですので、外に椅子を並べられる夏には大人気なのでしょうが、「少し遅れる」という連絡をくれた友人との待ち合わせにはちょっと不向きでした。

友人と連絡を取り合ってメインのショッピングセンター、アーンデール・センター内に待ち合わせ場所を変更。

 

さて、年が明けた2024年には創刊10周年を迎えるストックポート日報 です。

創刊当初から読んでくださっている皆様、ご記憶でしょうか、現代日本を代表する建築家の一人、安藤忠雄が設計を手掛けたこのピカディリー・ガーデンズに威圧感をもってそびえ続けた(通称)「マンチェスターの壁 Wmanchester Wall」を?

パンデミック明けにお伝えしたように、一部を残して取り壊されました。

ごらんのように、私たちが待ち合わせをしたカフェが入った店舗として機能している大きな部分の「壁」をこのまま残すようです。

上の写真の、トラムのプラットフォームから見える部分はやはりかなりの威圧感です。

安藤によるデザイン・コンセプトだという「都市の喧騒から緑のオアシスを遮蔽する」という目的はかなり達成されている感がありますが、いま改めて残されたこの部分見ると...「ジャマ、とにかくジャマ!」感がぬぐい切れません。(遮蔽しなくてもいいです)

 

かつてストックポート日報で、しつこく何回も記述したように、英国人は打ちっぱなしのコンクリート壁を嫌悪しています。

一般の英国人は「打ちっぱなし壁」に工事が取りやめになってそのままほったらかしの印象を持つようですし、ヨーロッパの暗い歴史の記憶である東西冷戦の象徴、「ベルリンの壁」を思い出させるとも言われています。

私は、どっしりした安定感や無機質な質感は、「マンチェスター市民の憎悪のまとになるほど悪くはない」と思っていたのですが...

大部分が取り払われた後、景観の向上、開放感の楽しさをあらためて感じました!

上の写真の、地面の敷石が不規則に並ぶ位置に、かつてフリー・スタンディングの打ちっぱなし壁が3枚並んで立っていました。

残すことにしたらしい部分の外側から見える、憎悪の的のコンクリート打ちっぱなし処理をどうするか...が今後の課題でしょうね。

取り壊し決定前には、樹木で隠す、コケで覆う、スロープ(丘陵)に埋め込んで芝生を植えるなどの案が出ていたようですが、この大きな壁面がそのまま残っているのは驚きです。

 

さて、カフェ内で座って待つことが難しいことがわかり(寒い日でしたから)、待ち合わせ場所を屋内に変更。

セール目当ての人でいっぱいの アーンデイル・ショッピングセンター(上の写真の右側)に向かいました。

 

予想通りのうんざりな混雑です。これも予想通り、ショッピングセンター内は暖房が効きすぎでした!

平日の午後ですが、クリスマスと新年(祝日は1月1日だけ)の間の年末の1週間、多くの人が有給休暇をとったはずです。出勤した人も、通常のオフィスはがらがらで、取引先の担当者が引継ぎもしないで休暇をとったりで仕事にならなかったんじゃないかと思います。

いっしょに食事をした友人も在宅勤務の日だったにもかかわらず、午後サボって(勝手に御用納めにして)でてきてくれました!

…それにしても、インフレだとか不況だとかクリスマスにプレゼントをもらえない恵まれない家庭の子供がいるとか、はたまた例年通りの「クリスマス借金」で年明けから生活が苦しくなる人の存在だとか、ニュースでさんざん景気の悪い話を聞くこの時期に、バーゲン目当てとは言え、この買い物客の数はどうしたことでしょうか。

収納スペースにも使えるお金にも限りがあるはずのたいていの人たちが、クリスマスを理由にたくさんのモノを買い、またクリスマス後にも買いたいものがある...正しいことだとは思えません。ひどくよけいなお世話ですが!

もともとほしい目当てのモノがあったならともかく、「バーゲンだから買った」商品が本当に必要だったためしはめったにありません。必要ではなかったものは腐りもせずに住居スペースのいくばくかを占領して居座り続けます...人生60年にしてやっと気が付き始めた真理です。

改めて大量消費社会の矛盾を感じた、にぎやかな年の瀬のショッピング街でした。

 

友人とは、バーガー・バーでアメリカ風のバーガーを食べました。

 

セールの喧騒とは少し距離を置いた、ヒップホップでおしゃれなエリア、ノーザン・クオーター Northen Quarter の静かな通りの外からもよく見えたバーガー・バーのカウンターの上の攻撃的な(とくに後半の)スローガンを…

…私は「いいから黙って人生をたのしめ」と訳しました。

よいお年をお迎えください。

 

ストックポート日報の執念深さに自分で呆れました。安藤忠雄デザインの「壁」にまつわる記事の、ほんの一部です。本当はもっともっとありますし、すべて読み返してはいないのですが、以前のピカディリー・ガーデンズの写真を興味深く見返しました。良かったら、時系列順にあけて読んでみてください。

マンチェスターのピカディリー・ガーデンズに異変(その後)

早朝のマンチェスター、朝の7時前

新国立競技場の建築家、安藤忠雄作「マンチェスターの壁」取り壊しの危機! 

明るい冬の朝日を浴びた評判の悪い「マンチェスターの壁」、見方によっては悪くない

夏のマンチェスター、分断の壁を背景にEU離脱抗議デモ

ピカディリー・ガーデンズ、噴水修理工事の開始、鎮魂の樹に集うハト、壁に関して動きなし

大人気!待ちに待ったピカディリー・ガーデンズの噴水の再開!評判の悪い安藤忠雄の壁はハトの憩いの場

壁 二題;バスルームのペンキ塗りとピカディリー・ガーデンズの打ちっぱなし壁

1年と4カ月ぶりのマンチェスター!!感無量!行けずにいたパンデミックのさなかに人知れず取りこわされていた「壁」

 

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
犬と暮らせば (浅井洋)
2023-12-31 10:03:55
バーガー・バーでアメリカ風のバーガーを食べました。
  旨そうですね 広島のマック(マクドナルド)はcoffeeと ポテトは 良いのですが パンが だらしなくって シトッとしてて 紙に包んで 出て来るので 貧そで 小さくて ガッカリします
 こんな パリットした パンだと
美味しさも 違うでしょうね
 中の具の ビーフは 美味しいですけど
返信する
犬と暮らせば (浅井洋)
2024-01-06 19:37:56
英国の 洪水の newsが 流れてます
 場所が 違うので 大丈夫と 思いますが
投稿が無いと 心配して しまいます
返信する
浅井さんへ (江里)
2024-01-07 06:56:44
浅井さん、あけましておめでとうございます。
英国の洪水のニュースが日本で報道されているのですか、日本は今それどころではないでしょうに。
廃無事です。ご心配をおかけしました。
ストックポート日報を今年も続けるかどうかちょっと迷っていましたが、浅井さん他、身近にも読んでくださる人がいるので、もう少し続けることにしました。ことしもよろしくお願いします。
…マクドナルドのバーガーパティって味がいいのですが(というか、ソースがクセになる味付けです)、食べてもすぐにお腹が減りませんか。そう言っている人は多いですよね。どこか、あやし気です。
このバーガーバーで食べたバーガーはこってりしていて、後々まで満腹感が残る肉肉しい食べ応えでした。
返信する
犬と暮らせば (浅井洋)
2024-01-07 08:12:27
栄枯盛衰は 世の習いです
 無理を なさらない 程度で よろしいかと

でも 楽しいですよ 話題も文章も
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