イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

半年ぶりにカフェで飲んだ一杯のコーヒーとコロナウィルスパンデミックの感染第二波を迎えたイギリスの対策状況

2020年10月07日 09時00分00秒 | 気になる出来事、社会情勢
日曜日にスーパーマーケット、セインズベリーで買い物ついでに併設のカフェに入りました。


じつはコロナウィルスのパンデミック発生以来、カフェに入って座ったのは初めてです。
レストランにもパブにも、ファーストフードレストランにすらも8か月間、足を踏み入れていません。

真夏にカフェに入ったことはあります。
その時は2mの距離をおいて並んで買ったドリンクを、外で飲みました。


パンデミック以来、人出の多い週末に買い物に出たのもそういえば初めてです。
子ネコ用のキャットフードが足りなくなったものですから。
(アダプションセンターからネコ母子といっしょに届けられたのは見本程度の量で、母ネコにまで食べられてしまえば2日と持ちませんでした)

駐車場で車の数の多さに少し躊躇しました。
人数制限のため、入り口付近でちょっとした行列ができていました。

人数制限が功を奏して店内は思ったより人が少なく、人との間隔がじゅうぶん保てました。




ロックダウン以来、半年以上閉まり続けていたこのセインズベリー併設カフェ、ほんの一週間ほど前に再開したようです。
(感染者数がいったん激減した夏ごろ、町のカフェやパブ、レストランが再開した時にも閉まったままだったのですが、感染第二波を迎えた今、なぜ?)



買い物客が比較的多いにもかかわらず、思いっきりガラガラなのは外の駐車場から確認済み、好奇心にまけて入ってみました。

中で飲食するには連絡先等、個人情報を書かされます。


「この情報は必要とあればNHS(国家保健省)の感染者追跡調査に使用される以外、他の機関に流出するおそれは一切ない。21日間保管されたのち廃棄される」とかかれています。

物々しい書類であるにもかかわらず用紙の形があまりにもいびつだったのが面白くて写真を撮りました。
コピーされたA5サイズの書き込み用紙4枚をA4サイズのコピー機にいいかげんに並べてコピーして出てきたものを適当に切ったに違いありません。
(イギリスではめずらしいことでは全くありません)

この何とかいう認証システムは使えません。


私のスマートフォンには「技術上の不備のため認識不能.」と表示されました。
そう店員に言ったら、「あ、それはいいから。この書類だけ記入してください」と言われました。

使えないのを承知でそのまま出してあるところが何とものんきです。

あたたかい食事はなく、イタリアンコーヒーとペイストリー(菓子パン)、ケーキ、サンドウィッチ、しか出していません。

使用できるのは座席スペースの3割ぐらい。



万が一、感染者と同時刻にこのカフェにいたとしてもここで感染する可能性は低そうです。
それでも感染者がこのカフェで飲食したことが後日分かれば私にも連絡がきて家族ぐるみで強制隔離なんてことになるのでしょう。

窓際に座った家族が立ち去ったあと、スタッフがピンクの消毒液を大量に噴きかけてていねいにテーブルをすみからすみまで拭いていました。
でも、ビニールクロスの向かい合ったふたつのソファは手つかずです。

テーブルよりも家族が座っていたソファのほうに手が触れた回数が絶対に多いし飛沫も飛んでいるように思うのですが.....そんなことを言っているとキリがありませんね。


イタリアやフランスのレストランやカフェでは飲食の時以外、テーブルについている時もマスクをしていなければならないそうですが、ここイギリスではいったん着席したらマスクははずしていいのです。

窓際席の家族の女の子は両親がおしゃべりをしている間ふたつのソファを行き来したり、ガラス窓に顔を押し付けて外を見たりしていました。
親から言いつけられていたようで二つのソファのスペースからは出てきませんでしたが。

学校に行っている子供たちが感染拡大源になっている、(ことがある)らしいのは周知の事実です。
症状が出にくい子供たちが家庭や地域に知らないうちにウィルスをまき散らしているという現象です。

うるさく騒いでいるわけではない子供たちがのびのびとふるまっているのを見るのは心楽しいものなのですが、感染拡大、どうするの!?と思わず考えてしまい、そんなことを考える神経質で寛容性のない自分にも自己嫌悪です。

とにかく、「感染がそれほど怖いならコーヒーなど飲みにカフェに来るんじゃない、この私!」ということなのです。

飲み終わったコーヒーカップをそのままテーブルに残し、持参した携帯用のハンドサニタイザー(消毒ジェル)を手に軽くもみこみ、ヒマそうにしているカウンター内のスタッフに「ごちそうさま Thank you 」と声をかけて立ち去りました。

日本ではセルフサービスのカフェテリアでは食べ終わったあと、かたづけて帰るのがエチケットですよね。
イギリスでは違います。

テーブルにおいておくと係の人がかたづけて、テーブルも拭いてくれます。
このご時世、客が立ち去った後テーブルを消毒しに来ないとは考えられないのですが、かたづけるものを残しておけば、確実にテーブルも拭かれるでしょう。

食器を戻す棚が置いてあるところなどでは混雑時など、客の協力を期待していることも多いようですが、かたづけなくても決して「だらしない」とは思われません。

すいている時間帯には知的障碍者などにその仕事を任せているところも多く、そういう人たちの雇用の機会を奪わないためにも人に分担されている仕事には手を出さずに残しておくのは大事なことだと思うのです。

混んでいる時間帯にはマクドナルドなどでは店長格の偉い人がその仕事をしています。
客の入り具合や消費の傾向を見てキッチンに作り置きするものやしないものの指示を出したりするためです。

.....とにかく、テーブルをかたづけるのは衛生面を含めていろいろな意味で重要な「プロの仕事」であるらしい.... のがイギリスのホスピタリティ(飲食)業界です。


2月の半ばに日本を訪ねた時、焼きたてパンやドーナツを自分でトレイにとってテーブルにもっていって食べる(日本独自の!)セルフサービス式のカフェテリアをよく利用しました。
ちょうどコロナウィルスが日本に広まり始めた頃です。

客の回転がけっこう速かったにもかかわらずスタッフがテーブルを拭くところは一度も見られませんでした。

日本では自分でとったものをそのままトレイの上にのせたままテーブルにおいて食べるのが普通なのでした。
だから「テーブルの上は汚れない」ことになっているんですね。

トレイはテーブルを食べこぼしから守っていますが、飛沫や手で触ることによって媒介されたウィルスの付着はほとんど防いでいないはずです。

イギリスでは、食べ物の持ち運びに使ったトレイから食べることは普通ありません。
もってきたものをテーブルの上におきなおして食べます。
(トレイはテーブルの端やあいた席などにおいておくと、やはり係の人が持って行ってくれます)

だから、コロナ騒動以前から客が立ち去ったあと、消毒液をかけて一日限りで使い捨てる布巾でテーブルを拭く習慣はどこでもかなり根強く実行されているのです。

マクドナルドなどではそのままトレイの上から食べている若い人がけっこういますが、あれは「不精」です。

うちの夫は日本のベーカリ―のカフェテリアや「Mrドーナツ」でも必ずトレイをどけて食べていました。
「郷に入れば郷に従え~!」と言いたいところですが、運ぶのに使うトレイの上から食べるのはたしかに味気なく雑な気がします。
イギリス流になれた私にもその感覚はよくわかります。
さすがに私は日本ではまわりに合わせてトレイに載せたまま食べましたが(テーブルの上を散らかさない心遣い)。

コロナウィルスで大さわぎの今は、日本でも(トレイに載せたまま食べるにもかかわらず)カフェテリアのテーブルを客が入れ替わるたびに拭いているのでしょうか。

ひさしぶりのコーヒーは、アメリカーノを注文しました。


イギリスでは必ず牛乳はいるか聞かれ、「いる」というと店で勝手にかなりな量を入れてくれます。
ヨーロッパ中でこんな「非文化的」なことをするのはイギリスだけだと聞きました。(本当かどうかは知りません)

別にしてほしいと希望した私のために、牛乳少量を別の紙コップに入れて出してくれました。

ひさしぶりのエスプレッソマシンで淹れたコーヒー、美味しかったです。

昨日、連合王国(イギリス)でコロナウィルスに感染した人数は12,594人。
日曜日は22、961人でした。(この数は政府のコンピューターウェア、エクセルの不備で1週間分の新規感染者数15、841人もの加算漏れが発覚したため慌てて漏れ分の日割り人数を足して算出されたそうです!)

今や、ここストックポートを含む、グレーター・マンチェスターはイギリス全体で一番感染者数が多い感染爆発地域です。

今、特にマンチェスター、リバプールなど北西部の大都市の大学生がクリスマスを実家で家族と過ごせるか否かが問題になっています。

このままでは大都市から地方、あるいは別の大都市への大規模な感染拡張を防ぐために学生たちの帰省を禁止するのもやむなし、の状況になりそうなのです。

クリスマスまで3カ月もありますが......






「クリスマス商戦」(日本的表現!)の準備に余念のないスーパーマーケット、セインズベリーです。
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5 コメント

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夫婦喧嘩は存在しない (浅井洋)
2020-10-07 12:42:37
江里様
 
 退職して 暇なもので 書きすぎたら ご免なさい

let's help stop と言うのがlets stopじゃなくて 英語を長く使うと丁寧に成るのかな? と 感じました

table not in useの下に thank you for bearing with us.  この最後のus我々と言うのは 誰かな?病気と戦う仲間と言う意味かな:勝手に制限を設けている職場の上司かな? と 

今後とも 和製英語だらけで 困惑している 僕たちに 教科書にない 英語 送って下さい 楽しみです 
浅井さんへ (江里)
2020-10-08 05:04:41
いえいえ、コメント大歓迎です。
読んでくださった方の反応はとてもうれしいです。
深く考えませんでした、なるほど。
LET'S HELP STOP の help は、感染拡大に全力を尽くしているNHS を手助けしよう!という意味だと思います。協力を求めているのがNHSなのに、「われわれ、NHSを手助けしてください」ではなく「~しましょう!」ってところが日本人の私たちからすれば疑問ですよね。レストラン、カフェがそれぞれ呼びかけてる、って形をとっているのでしょう。はい、たぶん協力を求める意味のhelpで間違いないでしょう。
Thank you for bearing with us は会社やお店などが利用者や顧客などに迷惑をかけているのをお詫びする時によく使われる決まりきった言い回しです。
あまり深刻でないことが多いでしょうか。臨時休業とか工事中でうるさいとか.....
「Thank you for being patient 寛容でいてくれてありがとうございます(意訳)」と同じ意味です。

ついでに、壁に大書してあるEat Well Feel Good はセインズベリーの企業スローガンというかキャッチコピーです。
ロックダウンの休業中にちょっと内装替えして、新規再開のために書かれたはずです。
健康志向のキャッチコピーがパンデミック下の意識を高揚させて、健康によさそうな食材の売り上げアップ!もねらえそうな効果的なスローガンです。

夫婦喧嘩は存在しない (浅井洋)
2020-10-08 19:36:02
江里さま

 ご説明 ありがとう ございます

日本は 冠詞の概念が 無いので

少しふざけて 入れ変えて 次とすると

潰れかけた病院が 患者さん募集みたい

Thanks for your being a patient .

だと 心配します
浅井さんへ (江里)
2020-10-09 04:09:50
patient のジョークは面白いですね。
ところで追記です。
Thank you for bearing with us の決まり文句は「感謝」であって、「お詫び」ではないことに注目してください。日本では「XXのためお客様にはご迷惑をおかけしております。まことに申し訳ございません。ご理解いただけますようお願い申し上げます(今しばらくご容赦ください)」というふうにお詫びがメインになるはずです。というか、理解してもらう内容とお詫びがセットになっていないなんて考えられませんよね。イギリスでは客が「席がないじゃないか」「うるさいんだけど」など苦情を言ってくる事態に備えて前もって謝っておく、という発想はおそらくありません。

日本は謝りすぎだと思います。
夫婦喧嘩は存在しない (浅井洋)
2020-10-09 12:03:57
江里様

 感謝と お詫びを ごっちゃにしない そうですね それが 正しいですね

日本は お詫びと 責任は 繋がりませんからね
すぐ お詫びするけど 何もしないのですよ

東大出て 官僚を 渡り歩いて 87才になって 2人ひき殺して お詫びをしたが

無罪だと 言い張る 凄まじい 日本人も 出てきましたからね (東池袋 自動車 暴走 死傷者 事故)

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