「夏至」にまつわる妖精話と海外のミステリアスな習慣...とは?

6月21日は二十四節気の第十、夏至。
1年中で1番昼が長い日この日、言い換えれば1番夜が短いこの日の前夜を英語で"ミッドサマー・ナイト(Midsummer Night)"と申します。日本人には馴染みがうすい夏至前夜ですが、ここに"夢"を足すと「A Midsummer Night's Dream―夏の夜の夢」となります。そう、かのシェイクスピアの喜劇のタイトルでございます。
ケルト民族は、11月1日のサウィン祭から5月1日のベルティン祭までの半年を冬、残りの半年を夏としていました。妖精たちは季節の変わり目に集うため、5月1日のメイ・デイ(ベルティン)、夏至前夜、10月31日ハロウィーン(サウィン)には妖精界の扉が開いて人間界と交流する日と伝えられております。
夏の始まりである5月1日のベルティン祭で盛り上がり始めた妖精たちは、夏至前夜、これから訪れる本格的な夏を想い、とても陽気になります。逆に冬の始まりの日11月のサウィン祭を迎えると妖精たちは塞ぎこんでしまうそう。
シェイクスピアの「夏の夜の夢」では、森での劇中劇の中で、魔法のかかった恋煩い花の汁を瞼に塗られて恋に狂う男二人、妖精にロバ男に変身させられた職人を同じ花の汁の魔力で恋してしまう妖精の女王など、妖精たちの住む森に迷い込んだ人々が、いつにも増してテンションの高い妖精たちの悪戯に翻弄される様子が生き生きと描かれており、夏を待つ高揚感にあふれています。
実はこの「夏の夜の夢」の時節がいつごろかについては、メイ・デイ説と夏至説がございます。
ヨーロッパのほとんどの地域では5月は花の季節。春の訪れと夏の豊穣を祈念する5月祭に花々を飾り、祝うことができます。しかし、北欧の春の訪れは遅く、夏至の頃にようやく花の季節となり、夏至祭りが行われます。その日、娘達は花輪で身を飾り、川や湖に出かけてその花輪を水に浮かべ、恋愛や結婚の運勢を占いました。やがて日が傾き始めると未婚の男女たちが篝火の周りに集まり、踊り明かしたそうでございます。
夏を想うお気持ちはおそらく、夏の短い北欧の方々の方がより強いことでしょう。その点を慮りますと、私は「夏至説」を支持いたします。
生まれつき妖精たちを見ることができる力を授かっている方は例外ですが、妖精界の扉が開いて人間界と交流する日でも、普通の方が妖精たちに会うのはなかなか大変。夜中に「妖精の軟膏」や「プリムローズ」「四葉のクローバー」などを、呪文やら誓いの言葉とともに使わなければならないそうです。興味がある方は調べてみては。
日本では夏至の頃は梅雨真っ盛り。不安定な気候と気温に体調を崩しやすい時季でございます。夏至の前夜は夢の中で妖精たちと遊べるよう、早めにお休みになり、くれぐれもご自愛いただければと存じます。
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