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〈随筆「人間革命」光あれ〉池田大作 生命凱歌の言論城 2020年4月20日

2020年04月20日 | 妙法

〈随筆「人間革命」光あれ〉池田大作 生命凱歌の言論城 2020年4月20日

 はじめに、新型コロナウイルスの感染症により亡くなられた世界の全ての犠牲者を追悼し、心から追善回向の題目を送らせていただきます。
 とともに、昼夜を分かたず、命を守る最前線で奮闘されている医療関係の方々をはじめ、社会のありとあらゆる分野で尊き使命を遂行されている皆様方に満腔の感謝を捧げ、健康と無事安穏を強盛に祈ります。
 


 

試練の春にも、満開の桜は生き抜く力を歌い上げる(池田先生撮影。今月4日、都内で)
試練の春にも、満開の桜は生き抜く力を歌い上げる(池田先生撮影。今月4日、都内で)
試練の春にも、満開の桜は生き抜く力を歌い上げる(池田先生撮影。今月4日、都内で)

 師・戸田城聖先生の事業が最も厳しい苦境の渦中、師弟二人で聖教新聞の発刊へ構想を温めていた時のことである。
 「なぜ、日蓮大聖人の一門は、あれほどの大難の連続も勝ち越えることができたのか。
 大作はどう思うか?」
 戸田先生は、そう尋ねられながら、私に御書を開いて示された。
 自然災害、食糧難、さらに疫病の流行などが打ち続くなか、遠く離れた佐渡の千日尼へ送られた御返事である。
 「心は此の国(=甲斐の国)に来れり、仏に成る道も此くの如し、我等は穢土に候へども心は霊山に住べし、御面を見てはなにかせん心こそ大切に候へ」(御書一三一六ページ)
 大聖人は会えない門下にも、文字の力で、まさに顔を合わせた対話と同じように激励され、心を通わせておられたのだ。
 戸田先生は力を込めて言われた。
 「大聖人は、お手紙を書いて書いて書き抜かれて、一人ひとりを励まし続けられた。だから、どんな人生と社会の試練にも、皆、負けなかった。
 この大聖人のお心を体した新聞を、大作、大きく作ろうではないか!」
 
 あれから七十星霜――聖教新聞は、毎日毎朝、「太陽の仏法」の光を、赫々と、あの地にもこの家にも届けている。
 緊急事態宣言のもと、たとえ会えなくても、集えなくても、聖教新聞を通し、創価家族の心と心は結ばれているのだ。
 共に試練に立ち向かう全世界の宝友の「異体同心」の絆も、紙面で写真で一段と強まっている。
 これも、なかんずく、雨の日も風の日も大切に配達してくださる、尊き“無冠の友”の皆様方のおかげである。
 世界聖教会館が完成してから最初に迎える創刊記念日に際し、私は最大に御礼を申し上げたい。 本当にありがとう!
 

 
 

立正安国の挑戦
 

 学会の前進は、仏意仏勅なるゆえに、不思議なリズムに則っている。
 思えば、初代・牧口常三郎先生が新潟県に誕生された一八七一年(明治四年)は、日蓮大聖人の佐渡流罪(文永八年)から六百年であった。
 二代・戸田城聖先生が発願され、大聖人の御書が発刊された一九五二年(昭和二十七年)は、立宗宣言(建長五年)から七百年の慶祝の年である。
 後継の私が青年を代表し、第三代として前進の指揮を執り始めた一九六〇年(昭和三十五年)は「立正安国論」による諌暁(文応元年)から七百年であった。
 大聖人は「天変地夭・飢饉疫癘」に憤悱され、「立正」すなわち生命尊厳の大哲理を打ち立て、「安国」すなわち全民衆の幸福と世界平和の宝土の建設を願われた。
 その人類の宿命転換へ、いよいよの挑戦を開始したのだ。それは、何よりも正義と真実を師子吼する「言論戦」であり「思想戦」であった。
 ゆえに、第三代会長就任と時を合わせ、私は聖教新聞の躍進に全力を尽くすとともに、小説『人間革命』の執筆を深く心に期した。
 「立正安国論」では、「汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を禱らん者か」(御書三一ページ)と示されている。
 “自分だけの幸福や安全もなければ、他人だけの不幸や危険もない”。この生命観に立って、社会と世界全体の安穏を祈り、尽くしていく人間主義の究極の哲学を、我らは聖教新聞に掲げ、平和・文化・教育の対話と連帯を広げてきたのだ。
 

 
 

聖教は友を励まし 不屈の心をつなぐ
 
民衆厳護の言論城・聖教新聞を支え見守り続けて。右奥の白い建物は、先生の会長就任の翌年に完成した旧社屋(1988年4月)
民衆厳護の言論城・聖教新聞を支え見守り続けて。右奥の白い建物は、先生の会長就任の翌年に完成した旧社屋(1988年4月)
民衆厳護の言論城・聖教新聞を支え見守り続けて。右奥の白い建物は、先生の会長就任の翌年に完成した旧社屋(1988年4月)
苦難に負けない
苦難に負けない

 創刊七十周年を明年に控えた今、聖教は自他共の幸福の大道を示し、読者に勇気と希望を贈る「生命凱歌」の言論城と聳え立っている。
 一昨年、小説『新・人間革命』全三十巻を完結した折、私は全宝友に、広宣流布という民衆勝利の大叙事詩を、未来永遠に共々に綴りゆこうと、呼び掛けた。
 聖教に躍動する日本と世界の同志の晴れ姿こそ、「人間革命」の黄金の日記文書なりと、私は妻と合掌する思いで拝見する日々である。
 とりわけ、人類が未曽有の脅威に直面している今日、わが聖教には、「変毒為薬」と「価値創造」の英知を発信する大いなる使命がある。
 人間への「励まし(エンカレッジ)」と「内発的な力の開花(エンパワーメント)」を促す言葉を紡ぎ、苦難に負けない民衆の心と心をつなぐ柱とならねばならない。
 今、毎日の紙面でも、日本国内はもとより世界の同志たちの奮闘や社会貢献の様子が伝えられ、懸命に艱難と戦う友に勇気の灯をともしている。
 どうすれば友を元気づけ、笑顔にできるか――不撓不屈の世界市民の一念が、聖教新聞には結集しているのだ。
 それは、仏が常に人びとを賢く、幸せに、平和にしたいと願う「毎自作是念の悲願」(同四六六ページ)にも通ずる。
 御聖訓には「真実一切衆生・色心の留難を止むる秘術は唯南無妙法蓮華経なり」(同一一七〇ページ)と仰せである。
 我らは、この妙法の大功力で、地球上のいずこであれ、自他共の生命から、限りなく仏の智慧と力を呼び出しながら、何としても眼前の色心の留難を止めていきたい。
 

 

波濤を越えて! 希望の大航海
油彩画「帆船」(複製)。66×46センチ。原画はフーゴ・シュナース=アルクイスト(1855~1939年)作
油彩画「帆船」(複製)。66×46センチ。原画はフーゴ・シュナース=アルクイスト(1855~1939年)作
油彩画「帆船」(複製)。66×46センチ。原画はフーゴ・シュナース=アルクイスト(1855~1939年)作
嵐と戦う「帆船」
あらしと戦う「はんせん

 六十年前(一九六〇年)の五月三日、第三代会長就任式で、私は、高く掲げられた戸田先生の遺影を仰いだ。
 “断じて指揮を執れ”――恩師の声を胸に響かせ、世界広宣流布の一歩前進へ、「ちかいし願やぶるべからず」(同二三二ページ)と覚悟を定めた。
 このわが出陣の「五月三日」を記念し、旧・学会本部のあった西神田の近くで、一枚の絵を購入した。
 紺青の大海原で、逆巻く怒濤と戦う「帆船」を描いたものである。
 フーゴ・シュナース=アルクイストという海洋画を得意とするドイツ人画家の油彩画であった。
 波風は吹き荒れ、三本のマストの帆はほとんど巻かれている。船体は激しく荒海に揺れ、甲板を白い波しぶきが打つ。今にも波にのまれるのか、逆風に挑み、危難を乗り切るのか、生死を懸けた激闘だ。
 進め、波瀾万丈の海を越えて! 師と共に、同志と共に、民衆の勝利の朝を迎えるために!――これが、広布の大航海に三十二歳で船出した当時の心境であった。
 嬉しいことに、日大講堂に集った友はもちろんのこと、わが同志たちは「地涌」の誓いを分かち持ち、日本中で、さらに世界中で、創価の使命に奮い立ってくれた。
 人生の宿命の激浪にも耐えた。「悪口罵詈」「猶多怨嫉」の経文通りの烈風も受けた。だが、五月三日の誓いを思い出しては立ち上がり、私と共に「負けじ魂」で祈り抜き、戦い抜き、断固として勝ち抜いてきた。
 この地涌の師弟にみなぎる闘魂を、時代の荒波に敢然と立ち向かう頼もしき後継の青年たちに、私は託したいのだ。
 

 

使命を果たさん 世界一の団結で! 
 
白雪輝くヒマラヤの峰々が雲上に連なりそびえる。中央に世界最高峰のエベレストが王者の姿で堂々と(池田先生撮影。1995年11月、ネパールからシンガポールへの機中から)
白雪輝くヒマラヤの峰々が雲上に連なりそびえる。中央に世界最高峰のエベレストが王者の姿で堂々と(池田先生撮影。1995年11月、ネパールからシンガポールへの機中から)
白雪輝くヒマラヤの峰々が雲上に連なりそびえる。中央に世界最高峰のエベレストが王者の姿で堂々と(池田先生撮影。1995年11月、ネパールからシンガポールへの機中から)
最高峰を目指し
さいこうほうを目指し

 世界一
  最高峰の
   ヒマラヤを
  鶴は飛び越え
   使命を果たせり
    
 晴れわたる就任の五月三日の朝に詠んだ和歌である。
 懐かしき「戸田大学」の講義で、恩師は「須弥山に近づく鳥は金色となるなり」(同一五三六ページ)との御文を通し言われた。“須弥山はいわばヒマラヤのことだよ、最高峰を目指し、苦難の山を越える戦いが自身を最高に輝かせるのだ”と。
 あの白雪の高嶺に近づく鳥たちはどんなに輝くだろう――私には、大きく翼を広げて舞いゆくツルの隊列の姿が思い描かれてならなかった。
 広布の前途に、いかなる試練の山が立ちはだかろうとも、創価の師弟は慈悲と哲理の翼を広げ、勇敢に飛翔しゆくのだ。
 そして世界一の麗しき団結で、一切を勝ち越えて、生命の凱歌を響かせ、金色燦たる希望の大光を人類の未来へ贈りゆこうではないか!

(随時、掲載いたします)


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