小説「新・人間革命」に学ぶ 第19巻 基礎資料編 2020年5月6日
- 連載〈世界広布の大道〉
今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第19巻の「基礎資料編」。各章のあらすじ等を紹介する。挿絵は内田健一郎。
1974年(昭和49年)2月、山本伸一は本土復帰後初めて沖縄を訪問し、3日、八重山諸島の石垣島へ。記念撮影会、図書贈呈式に続き、地元名士や市民も参加する「八重山祭」が行われ、伸一も、皆と一緒にハッピ姿で、踊りの輪に加わる。翌日、「ヤドピケの浜」で地元のメンバーと懇談。“八重山の未来を開く信念の灯台に”と期待を寄せる。
5日、初の八重山諸島の先祖代々追善法要を営み、宮古島へ。「宮古伝統文化祭」に出席し、宮古を「人間の平和と幸福の都」にと語る。翌日、シートーヤー(製糖小屋)の開所式に臨むなど、同志を激励し続けた。
那覇に戻った伸一は、沖縄3大学会の合同総会で、全国に先駆けて、高校会の結成を発表。8日の沖縄広布20周年記念総会では、「沖縄を幸福と平和建設の模範の島」とし、世界に平和の波動をと訴える。
9日には、名護で、「山原祭」を観賞したあと、高校・中学生らの出演者と懇談。戦争体験の証言集出版を提案する。戦争で苦しんだ沖縄こそ平和実現の使命がある。伸一は、心に虹をいだいて前進するよう、沖縄の友を励ます。
3月7日、山本伸一は北・南米訪問へ旅立った。だが、ブラジルへの入国ビザが下りず、渡伯の中止を決断。急遽、中米のパナマを訪問することになる。
18日夜、メンバーの大歓声に迎えられ、パナマ入りした伸一は、翌19日、国立パナマ大学を訪れ、パナマ会館の開所式に出席。この日、パナマは、支部から本部として新出発する。20日、大統領を表敬訪問し、夜にはメンバーの集いで、皆がパナマの“平和の主役”にと励ます。
22日、8年ぶりにペルーへ。8年前の訪問の折には、学会への誤解から警察関係者の警戒の目が向けられていたが、メンバーは社会に信頼を広げ、状況は一変していた。伸一は、ペルー会館の開所式や、炎天下での記念撮影会に臨み、全力で激励にあたる。首都リマ市は、彼に「特別名誉市民」称号を授与。「世界平和ペルー文化祭」にも市長ら多数の来賓が出席し、社会貢献の同志の「凱歌」が轟いた。
伸一は過労で体調を崩すが、病を押して南米最古のサンマルコス大学を訪問。教育の未来を語り合った総長と伸一は、深い友情を結んでいく。
ペルーを発った山本伸一は、メキシコを経由してロサンゼルスへ。3月29日には、マリブ研修所で、青年部の代表や若手通訳らと懇談する。
4月1日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を訪れ、「21世紀への提言」と題して記念講演を行う。仏法の生命観を通し、「21世紀を生命の世紀に」と訴えて大好評を博す。これは、海外の大学・学術機関での最初の講演となった。
2日には、サンタモニカのアメリカ本部で、海外初となる恩師・戸田城聖の十七回忌法要が行われ、伸一は、人間革命の指標として、健康、青春などの7項目を示す。
サンディエゴ市へ移動した伸一は、6日、「サンディエゴ・コンベンション」に出席する。翌7日に開かれた全米総会で彼は、「『社会正義』と『人間革命』の哲学を掲げて、確たる自身の建設と自由の国アメリカの平和を築いていってください」と訴える。
訪問中、伸一は自ら「陽光」となって、出会った人、陰の人を励まし続けた。帰国の途次には、病床から復帰した草創の友のために、予定を変更してハワイに立ち寄る。
帰国した山本伸一は、4月26日に長野の県総会へ。28日には、石川へ赴き、北陸広布20周年記念総会に。
その頃、青年部の反戦出版委員会では、戦争体験の証言集の編集作業が進められていた。これは、伸一が、恩師の「原水爆禁止宣言」の精神の継承を青年部に託したことに応え、取り組んできたものだった。
出版の先陣を切ったのは沖縄青年部であった。凄惨な体験ゆえに沈黙する人々にも、誠意を尽くして取材を重ねた。そして、1974年(昭和49年)6月、青年部反戦出版の第1号『打ち砕かれしうるま島』が発刊された。続いて広島・長崎の青年部も、被爆体験の取材に取り組み、『広島のこころ―二十九年』『ピース・フロム・ナガサキ』を出版した。
やがて85年(同60年)には、47都道府県を網羅した全80巻が完結する。平和と生命の尊厳を訴える反戦出版は、各界に大きな共感を広げた。
5月26日、伸一は視覚障がい者のグループ「自在会」の集いへ。幾多の労苦を越えてきた友を、全精魂を注いで激励。“皆が尊厳無比なる宝塔として自身を輝かせゆくのだ”と心から祈りつつ、共に唱題する。
創価学会青年部は、戦争の記録や証言をまとめた反戦出版「戦争を知らない世代へ」を刊行。1974年(昭和49年)の『打ち砕かれしうるま島』(沖縄編)に始まり、10年以上かけて全都道府県編を発刊した。同シリーズはパートⅠ、Ⅱからなり、全80巻に上る。登場する証言者は約3400人、編さんに携わったメンバーは4000人に及ぶ。