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iPhone受託生産の鴻海株、日中高値を更新-4月の売上高が急増 2024年5月6日 10:55 JST 更新日時 2024年5月6日 12:20 JST

2024-05-06 15:29:48 | 日記

iPhone受託生産の鴻海株、日中高値を更新-4月の売上高が急増
Jane Lanhee Lee
2024年5月6日 10:55 JST 更新日時 2024年5月6日 12:20 JST

4月の売上高は19%増の5109億台湾ドル、同月としての過去最高
4-6月期の売上高、前期比、前年同期比ともに増加する見込み

米アップルのスマートフォン「iPhone」を受託製造する台湾の鴻海精密工業の株価が6日急伸し、日中ベースの最高値を更新した。4月の売上高が月間で2023年初め以来の大幅増となり、iPhoneや人工知能(AI)サーバー販売への期待が高まる可能性が示された。

  フォックスコンとしても知られる鴻海の5日の発表資料によると、4月の売上高は5109億台湾ドル(約2兆4300億円)と、前年同月の4292億台湾ドルから19%増加。同月としての過去最高を記録した。

  株価は一時6.7%高と、約2週間ぶりの日中上昇率となった。

  世界のiPhoneの大半を製造する鴻海は、データセンターのサーバーラックや他のAIクラスター用機器の製造にさらに注力するため多角化を進めている。

  鴻海は発表資料で、4-6月(第2四半期)は通常閑散期であり、主要製品が新旧モデルの移行期に入りつつあると指摘。4-6月期の売上高見通しは現在の市場予想とほぼ一致しており、前期比、前年同期比ともに増加する見込みだと説明した。

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原題:IPhone Maker Hon Hai Hits a Record High Buoyed by AI, Apple(抜粋)
(株価を追加して更新します)

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米国債相場、総額1250億ドルの入札が試練に-雇用統計など受け上昇後 2024年5月6日 11:46 JST

2024-05-06 15:25:56 | 日記

米国債相場、総額1250億ドルの入札が試練に-雇用統計など受け上昇後
Michael Mackenzie、Liz Capo McCormick
2024年5月6日 11:46 JST

先週後半に相場上昇-パウエル議長発言や予想を下回る雇用統計で
期間が短めの国債を選好する動き顕著-10年債と30年債の入札控え

米労働市場の需給緩和を示す最初の明確な兆候が見られ、債券トレーダーは歓迎した。だが、それはトレーダーがずっと望んできた真の意味での全般的な相場上昇を促すのに必要なもののほんの一部に過ぎない。

  4月の米雇用統計で非農業部門雇用者数や平均時給の伸びが予想を下回り、成長鈍化の新たな兆しが示されたことで、3日の米国債相場は上昇した。1日にはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げの必要性に否定的な見解を示唆したことなどで相場は既に上向き始めていた。


パウエル議長、年内利下げの期待残す-インフレ圧力緩和の確度は低下

  投資家は現在、年内金融緩和の賭けを慎重に積み上げており、米金融当局の政策に敏感な米2年債利回りの低下が市場を主導する形となっている。このように米経済の一部に減速の兆候があるものの、インフレは引き続き根強い。

  こうした現実によって、米金融当局の行動の余地は制約される可能性があり、債券利回りは最近のレンジ内にとどまることが考えられる。

  さらに、今週は四半期定例入札の一環として米10年債と30年債の計670億ドル(約10兆2900億円)に上る入札が予定され、一部投資家の間で人気が低下した期間が長めの米国債に対する需要を試すことになる。このほか3年債580億ドルの入札も行われる。

US Two-Year Slides From 2024 Peak | Dovish Powell and soft jobs data sparks big drop



  ウェスタン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、マーク・リンドブルーム氏はパウエル議長の発言と雇用統計について、「市場に安堵(あんど)感をもたらした」としつつも、債券利回りの50-100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下につながると考えられるものではないと指摘した。

  リンドブルーム氏は期間が長めの米国債に比べ、2年債や5年債など期間短めの国債の方がアウトパフォームするとみている。

  1日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に記者会見したパウエル議長は現行の政策に関し、最終的なインフレ抑制のために十分抑制的だと述べるとともに、雇用創出や賃金の面で弱い兆候が見られれば、金融当局として反応する方針を投資家にあらためて示した。

  こうしたハト派傾斜は3日発表の雇用統計でも裏付けられ、2年債利回りは一時4.7%と、4月30日に付けた年初来高水準の5.04%を30bp近く下回った。

  底堅い成長や根強いインフレを示すデータを背景に、トレーダーは先週までの1カ月間に年内に見込む利下げ回数を減らしてきた。市場が現在織り込む利下げ回数はほぼ2回となっている。先週の早い時点は1回だけだった。

  利下げがあれば、2年債利回りは先週付けたピークを下回って推移すると想定される一方、インフレ率が当局目標を上回り続けたり、期間が長めの国債の入札規模拡大があったりした場合、10年債や30年債の見通しは投資家にとって魅力を欠くことになる。

  DWSインベストメント・マネジメント・アメリカズの債券責任者、ジョージ・カトランボーン氏は、米利上げの可能性は引き続き低い一方、イールドカーブ(利回り曲線)の長めの部分には懐疑的であるため、同社として2年債保有を選好すると話した。

Curve Steepening Trend Seen Gaining Traction



  また、ジェニソン・アソシエーツのマネジングディレクター、ジェニファーカーピンスキー氏は、期間が短めの国債利回りに比べ、期間長めの利回りは上昇のリプライスに見舞われやすいとし、2年債や3年債、5年債をオーバーウエートとする一方で、10年債はアンダーウエートとする「スティープニング・トレード戦略」が好ましいと語る。

  その上で、「長期債がいつ魅力的になるか、予想するのは難しい」とコメントした。

原題:Treasury Rally Risks Running Into a $125 Billion Brick Wall(抜粋)

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イスラエル軍、ガザ南部ラファからの民間人退避を開始 2024年5月6日 14:21 JST

2024-05-06 15:24:31 | 日記

イスラエル軍、ガザ南部ラファからの民間人退避を開始
Galit Altstein
2024年5月6日 14:21 JST

イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザ南部ラファからの民間人の退避を始めた。公共放送KANニュースが6日午前に伝えたもので、かねて予想されていた攻撃の前触れの可能性がある。

  KANニュースは、イスラエル軍が「民間人を避難させている」と報じるとともに、兵士はラファ東部で活動していると伝えた。

原題:Israeli Army Starts Moving People Out of Rafah, Israeli TV Says(抜粋)

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コニカミノルタ・オムロン・資生堂…にわかに広がる大型リストラのなぜ 2024/04/09 06:30M&A Online

2024-05-06 15:17:59 | 日記
コニカミノルタ・オムロン・資生堂…にわかに広がる大型リストラのなぜ
2024/04/09 06:30M&A Online


上場企業の間で、早期(希望)退職の募集などを通じた大規模な人員削減の動きがにわかに広がっている。今年に入り、コニカミノルタの約2400人を筆頭に、オムロン、資生堂が1000人を超える削減計画を発表した。昨年は大正製薬ホールディングス(HD、4月9日に上場廃止)の645人が最多だったが、ここへて状況が一変した形だ。
コニカミノルタ、グローバルで人員最適化

コニカミノルタは4月4日、2025年3月末までに国内外のグループ全体で2400人規模(正規・非正規従業員)の人員を削減すると発表した。グループ従業員の約6%にあたる。複合機などオフィス向け事務機器市場がペーパレス化やデジタル化の進展で縮小に向かう中、海外を含めた人員の最適化を目指す。

同社は2023年3月期に過去最大の1031億円に上る最終赤字に陥った。2017年に約900億円で買収した米国の遺伝子診断薬企業アンブリー・ジェネティクスなどの業績が振るわず、合計1100億円を超える減損損失の計上に迫られた。

一連のリストラ効果などで足元の2024年3月期の最終利益は40億円と5期ぶりに黒字転換を見込む。今回の大がかりな人員削減で2026年3月期は約200億円の利益の押し上げ効果があるという。

国内にとどまらず、海外を含めたグローバルで人員配置の見直しを打ち出したのはコニカミノルタだけではない。
オムロンも国内外で2000人

オムロンは国内外で合計約2000人を削減する。中国経済の成長鈍化やサプライチェーン(供給網)の混乱などで、FA(ファクトリーオートメーション)関連の制御機器事業を取り巻く環境が想定以上に悪化したとして抜本的な収益基盤の再構築に取り組む。

国内では希望退職者を募り、1000人程度を減らす。グループの勤続3年以上で40歳以上の正社員・シニア社員が対象で、募集期間は4月10日〜5月31日。オムロンが希望退職を実施するのは約1400人を募った2002年以来22年ぶり。

同社は2024年3月期業績について売上高7.5%減の8100億円、営業利益76%減の240億円、最終利益98%減の15億円と、大幅な減収減益を見込む。

ソニーグループは2月末、ゲーム事業子会社のソニー・インタラクティブエンターテインメント(SIE)で総人員のおよそ8%にあたる約900人を削減する計画を発表した。SIEは米国サンフランシスコにグローバル本社とし、東京、ロンドンに機軸拠点を置く。家庭用ゲーム機「プレイステーション」で知られるゲーム事業は今やソニーグループの屋台骨を担うが、世界的な競争激化などで採算性が低下している。

住友ファーマは3月中に、医薬品製造の米国子会社「スミトモ・ファーマ・アメリカ」(SMPA、マサチューセッツ州)で約400人の人員合理化を実施した。SMPAは2009年に約2500億円で買収したセプラコープが前身。

住友ファーマは主力の抗精神症薬「ラツーダ」の米国での特許切れなどに伴い、2024年3月期の最終赤字が1410億円(前期は745億円の赤字)に膨らむ見通しで、北米事業の立て直しが急務になっている。

セガサミーホールディングスは3月末、ゲームソフト開発を手がける欧州の複数拠点で約240人の削減を発表した。コロナ禍の巣ごもり需要からの反動減などによる収益悪化を受け、開発体制を見直す。欧州では昨年来、開発中タイトルの一部中止に伴い、すでに約250人を削減している。
資生堂、日本事業で1500人を削減

一方、国内だけで約1500人の早期退職に踏み切るのは資生堂だ。コロナ禍で落ち込んだ化粧品事業の再構築の一環。日本事業を統括する子会社の資生堂ジャパンに所属する45歳以上で勤続20年以上の社員を対象に、4月17日から5月8日まで募集する。該当する従業員は約1万3300人(契約社員などを含む、2023年12月末)で、募集人数は1割強に上る。

主力の女性用下着の国内販売が低迷しているワコールホールディングスは中核子会社のワコールで2年連続で希望退職者の募集に踏み切った。今年2月に150人程度募ったところ、想定を4割以上上回る215人の応募があった。実は、約250人を募った前回(昨年1月)は155人の応募にとどまっていたが、様変わりの結果となった。

ワコールHDは2023年3月期に会社設立以来初の最終赤字(17億7600万円)に転落。24年3月期は100億円超まで最終赤字幅が広がる見通しだ。
「100人超」が7社の前年と様変わり

2023年はワコールHDを含めて、100人以上の人員削減を発表した上場企業は7社あった。大正製薬HDの645人を最多とし、中外製薬374人、塩野義製薬301人、パンチ工業205人などが続いた。これに対し、今年は第一コーナーを終えたばかりの序盤戦ながら、削減規模の大型化が際立つ。

多くの日本企業がコロナ前を上回る業績の回復ぶりを示し、株価も34年ぶりに史上最高値を更新するなど、足元の日本経済は総じて明るいムードに包まれる中、“出遅れ組”の巻き返しが注目される。

◎2024年1月以降に人員削減を発表した主な上場企業(HDはホールディングスの略)
発表 社名 募集人数など
4月 コニカミノルタ 国内外で約2400人
3月 住友ファーマ 米国子会社で約400人
〃 セガサミーHD 欧州拠点で約240人
〃 フェイス 約40人(4月中旬〜6月に募集)
〃 スカラ 約50人(6月末に退職)
2月 オムロン 国内外で約2000人
〃 資生堂 日本事業で約1500人
〃 ソニーグループ ゲーム事業子会社で約900人
〃 ワコールHD 約150人(2月に募集)→215人応募
〃 ダイドーリミテッド 中国子会社で約120人
〃 ACSL 約40人(2月に募集)→24人応募
1月 東北新社 20〜30人(1月に募集)→11人応募

文:M&A Online

「中国市場に頼りすぎていた」資生堂1500人早期退職募集で見えた"名門ブランド企業"3つの低迷理由 2024/05/06 08:15プレジデントオンライン

2024-05-06 15:12:01 | 日記
「中国市場に頼りすぎていた」資生堂1500人早期退職募集で見えた"名門ブランド企業"3つの低迷理由
2024/05/06 08:15プレジデントオンライン

「中国市場に頼りすぎていた」資生堂1500人早期退職募集で見えた"名門ブランド企業"3つの低迷理由

化粧品大手メーカーの資生堂のロゴマーク看板=2017年4月20日、東京・六本木 - 写真=時事通信フォト

(プレジデントオンライン)

PRESIDENT Online 掲載
■ついに国内1500人の早期退職募集

日本を代表する名門ブランド「資生堂」が、2024年2月、国内事業に関わる従業員約1500人の早期退職を募集すると発表した。

国内事業を手がける子会社「資生堂ジャパン」のうち、45歳以上で勤続年数20年以上の社員が対象だ。

募集期間は同年4月17日から5月8日までで、①退職時年齢に応じた特別加算金を通常の退職金に加算し、②希望者には再就職支援サービスを提供する。

日本地域本社である資生堂ジャパンの従業員数は、1万人を超えており、今回、募集する早期退職はそのうちの1割を超える大規模なものになる。

大規模なリストラの背景には業績不振がある。資生堂の業績(2023年12月)は、売上高が前年比8.8%減の9730億円、コア営業利益が同22.4%減の398億円、営業利益が同39.6%減の281億円、純利益が36.4%減の217億円となり、2年連続の減収減益だ。コロナ禍が終わり化粧の機会も増え、インバウンドも復活しているにもかかわらず、なぜ業績が低迷しているのだろうか。

筆者は、名門ブランド「資生堂」の低迷は、①中国傾斜②EC遅れ③ブランド乱立の3つの根本的な問題によるものだとみている。こうした問題は、優良ブランドを抱えながら、生かし切れていない他の日本企業に共通する点も多そうだ。
■売上高の25.5%を占める中国事業
① 地政学リスク高まる中国への傾斜

グローバル企業でもある資生堂において、日本事業の26.7%に次ぐ売上高25.5%を占めるのが中国事業だ。東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に伴う日本製品の買い控えもあり、中国事業の売上高は同4.0%減の2479億円、コア営業利益70億円の黒字(前期39億円の赤字)だった。

中国における地政学的リスクや反日的な対応は随分前から存在しており、何もプロ経営者でなくても、いまや一般の日本人であっても十分に認識できるような話だ。

経営判断、ビジネス判断として、この先も中国市場を大票田とする施策に問題はないのだろうか。自然災害など避けることが困難なリスクではなく、ある程度予測可能なリスクであるはずだ。事実、多くの日本企業が中国ビジネスからの撤退や縮小、他の市場への転換を検討したり、実行に移すなかで、足元の市場の大きさや成長性に目を奪われ、傾斜しすぎている面はないだろうか。

処理水放出に伴う不買運動だけでなく、同じような問題がこの先も繰り返される可能性は十分にあろう。万が一、日中間の対立がさらにエスカレートした場合のプランBを資生堂は持ち合わせているのだろうか。

化粧品の成分開示義務を強化するなど、中国政府の規制強化による技術流出懸念もあり、中国リスクはこの先も尽きることはない。因果関係は不明だが、他の業界でも起きたように、低価格ながら品質も向上してきた中国現地化粧品メーカーによるシェア拡大も進んでいる。


■米国事業では買収と撤退を繰り返している
 
資生堂では、安定した成長が見込める米国事業も拡大するとしている。
 
確かに、米国は世界最大級の化粧品市場であり、安定性に加え成長性も見込める市場であるものの、エスティ ローダーやP&G、ユニリーバに加え、LVMHなど欧米の高級ファッションブランド系の化粧品などとの競争は熾烈であり、資生堂の米州事業の売上高は前年比20%減の1103億円にすぎない(2023年12月)。
 
このため、抜本的な規模拡大を目指し、2024年2月には、米国で高価格スキンケア化粧品事業を展開するDDGスキンケアホールディングスを4億5000万ドル(約640億円)で買収している。
 
しかしながら、米国での企業買収がうまくいくかどうかは不透明だ。資生堂は、過去何度も米国買収において高い授業料を払ってきたからだ。
 
2010年に19億ドル(約1800億円)で買収した米国「ベアミネラル」は、業績不振から、2012年度と2017年度に累計900億円超の減損損失を計上した。最終的には、2016年に買収したものの同じく赤字続きの米国「ローラ メルシエ」などとともに、2021年に二束三文の7億ドル(約770億円)で米国の投資ファンドに売却している。2019年に8億4500万ドル(約895億円)で買収した米国「ドランク エレファント」もぱっとしないままだ。
 
■対面販売は「文化」だが、時代はECに
 
② ECサイトの混在
 
名門ブランド「資生堂」低迷の根本的な問題の2つ目は、電子商取引(EC)の遅れだ。
 
高級ブランドを中心に、百貨店や化粧品専門店での美容部員によるカウンセリングを伴う対面での販売スタイルは、資生堂が長年顧客とともに培ってきた「文化」でもある。
 
一方で、既存の有人店舗での営業員による販売手法は、化粧品に限らず、あらゆる業種で、コストやスピードの面から従来の規模を維持することが困難となっている。いまや、ネット取引やSNSでの情報発信など、若い世代向けだけでなく、シニアや富裕層を含め全ての年代層に浸透している。また、ポイント獲得や優良顧客の会員化といった囲い込みも広がっている。
 
こうしたなか、資生堂では、化粧品専門店など得意先と連動しオンラインでのカウンセリングやチャットも可能なECサイト「Omise+(オミセプラス)」や、資生堂の公式ECサイト「watashi+(ワタシプラス)」、百貨店やイオンなど専門店のECサイトなどの強化・拡充により、国内Eコマース売上比率を現状の10%台前半から2025年には30%へ拡大するとしている。
 



■「ネット上でどこでも買える」を解禁するか

実際、自社による公式ECサイト「watashi+(ワタシプラス)」では全品送料無料やポイントサービスもあり、アクセスしてみるとかなり充実した構成ではあるが、「知らなかった」「使ったことはない」という声も多く認知度は低い。

また、資生堂が誇る最高級ブランドの「クレ・ド・ポー ボーテ」は、EC販売チャネルを限定しているとはいえ、化粧品専門店や百貨店のECサイト、イオンスタイルなど複数のサイトからネット購入が可能だ。

既に資生堂が認定するオンラインショップは186(2024年4月30日時点)に上るが、この先、さらに拡大して「ネット上でどこでも買える」ようにするのか、逆に、限られた公式ECでしか購入できない形とするのか、取り扱いブランドごとに対応は変えるのか、など課題は山積だ。

いずれにせよ、公式サイトがいくつか乱立する現在のECサイトは認知度も低く分かりにくい。長年二人三脚でやってきた化粧品専門店などからは、資生堂によるECサイトにより顧客を奪われるとの不満が燻っている。「ネット上でどこでも買える」資生堂となることで、顧客の利便性は高まるものの、ブランド価値の毀損につながる危険性もはらむ。
■顧客の奪い合いを招きかねないブランドの多さ
③ 32もあるブランド群

名門ブランド「資生堂」低迷の根本的な問題の3つ目は、ブランドの乱立だ。

資生堂では、大きく「プレステージ」と「プレミアム」という2つのブランド群に分けられており、①「プレステージ」とされる高級ブランドには、SHISEIDO(シセイドウ)、Clé de Peau Beauté(クレ・ド・ポー ボーテ)、NARS(ナーズ)、IPSA(イプサ)、Drunk Elephant(ドランク エレファント)など16ブランドが名を連ねる。例えば、「Clé de Peau Beauté(クレ・ド・ポー ボーテ)」の美容液「セラムエクラS」が40ミリリットルで税込3万6300円、美容クリーム「ラ・クレーム」が30グラムで同6万8200円といった高額商品がそろう。

②「プレミアム」とされる中高価格帯ブランドには、ANESSA(アネッサ)、ELIXIR(エリクシール)、HAKU(ハク)、MAQuillAGE(マキアージュ)など13ブランドがある。

その他3ブランドとあわせ、実に合計32もの自社ブランドを抱えており、おのおのが美容液や美容クリームをはじめ多種多様な化粧品や関連商品を取りそろえている。

いまや、社員であってもブランド商品群の全てや相関関係を的確に把握できる者はほとんどいないのではないだろうか。新製品・新ブランドの乱発による開発費や販売費用の負担、商品ターゲット重複による顧客の奪い合いなどを招くことになる。



■ブランド群の整理、統廃合が必要ではないか

こうした状況を踏まえ、資生堂では、自社ブランド群の選択と集中の一環として、2021年7月に「TSUBAKI(ツバキ)」や「uno(ウーノ)」などを扱うパーソナルケア事業を投資ファンドに売却している。さらに、国内での商品数を2022年末から2割の削減を目指す一方、主力ブランドである「Clé de Peau Beauté(クレ・ド・ポー ボーテ)」や「SHISEIDO(シセイドウ)」「ELIXIR(エリクシール)」に注力するなど、トランスフォーメーションを進めてはいる。

素朴な疑問ではあるが、資生堂の一番のブランドは「資生堂」ではないだろうか。「資生堂」はブランド自体確立されている一方、「銀座」「高価格」「伝統的」といった固定イメージもあり、こうした既存イメージを打破するため、あえて資生堂を冠しないさまざまなブランドを多角的に展開することで、若年層を含むあらゆる世代の取り込みを図ってきた側面はあろう。

いずれにせよ、エスティ ローダーやP&G、ユニリーバに加え、LVMHなど欧米の高級ファッションブランド系の化粧品と対抗するためにも、拡大し過ぎたブランド群の整理統廃合を急ピッチで進める段階にある。

もっともブランドの乱立は、日本企業の共通の課題かもしれない。化粧品に限らず、自動車や時計に装飾品にホテルなど、高品質・高評価にもかかわらず、なかなか、日本発の世界的なラグジュアリーブランドが誕生しない大きな原因の一つといえよう。
■国内化粧品市場は拡大しているものの…

日本国内における、韓国ブランドなど低価格商品の広がりも、高価格帯をメインとする資生堂にとっては逆風だ。コロナ禍において、マスク着用が増え外出機会が減ったことで、化粧品にかける優先順位が下がり、低価格志向が定着。若年層においてSNSを介して、コンビニやドラッグストアに加え、ECサイトにて、韓国ブランドなど低価格商品が支持を得る状況が続いている。今や、日本においても、SNSでのインフルエンサーや口コミにより化粧品購入に至るケースは非常に多いとみられる。

なお、矢野経済研究所によると、2022年度の国内化粧品市場は前年比3.5%増加の2兆3700億円であり、2023年度は同3.4%増加の2兆4500億円を見込む。

製品カテゴリー別では、スキンケア市場が47.3%と全体の半分近くを占め、以下、ヘアケア市場20.3%、メイクアップ市場17.6%、男性用化粧品5.4%などとなっている。

このように、実は、日本市場自体は、拡大傾向にあるものの、市場拡大のパイを韓国ブランドにごっそり持って行かれてしまっているのだ。

資生堂もさまざまな手を打っているが、若年層のトレンドを捉え、振り向かせることに妙手はなく簡単ではない。




■新たなる市場の開拓も簡単ではない

新たなる市場として、男性化粧品市場は拡大傾向にあるが、アラミス、クリニークなど欧米高級ブランドが先行する市場でもあり、キャッチアップできていない。

2024年4月には、資生堂は、美容や健康の改善をサプリや食品などで得る「インナーケア」事業の新ブランド、「SHISEIDO BEAUTY WELLNESS」を立ち上げた。カゴメと協働した飲料「ROOTINA(ルーティナ)」、ツムラと協働したサプリ「TUNE BEAUTE(チューンボーテ)」を販売するものの、こちらも国内においては、ファンケルやDHCなど既にプレゼンスを確保している競合先もあり簡単ではない市場だ。
■働きやすい職場に「安住」していなかったか

最後にもう一つ気になる点がある。資生堂といえば、女性活用や働きやすい職場としても常に先端を行く企業だ。もっとも、社員に優しく居心地のいい環境が、大胆な変革や改革を停滞させ、仕事の既得権益化や細分化を生んだことが、①中国傾斜②EC遅れ③ブランド乱立を招いた側面はないだろうか。もしも、働きやすい職場に「安住」したことが、結果的に、減収減益や、早期退職募集の遠因となっているとしたら、由々しき事態だ。

当たり前だが、資生堂に限らず、ダイバーシティや働き方が尊重される令和の時代、女性にも男性にも優しく、人事制度や福利厚生が充実した働きやすい職場環境の向上に努めるのは、企業の責務である。一方で、営利企業として、社会や顧客の変化を捉えながらの社内競争や実力主義、コスト意識や採算性の確保といった点が、働く環境の前提にないと、ただおしゃれで居心地がいい職場になってしなうのではないだろうか。

高い技術力と豊富な人材を誇る名門ブランド企業の資生堂。①中国傾斜②EC遅れ③ブランド乱立、という3つの難題をいかに迅速かつ大胆に解決するのか。

これら問題の対応に、資生堂が先陣を切って成功すれば、同じように優良ブランドを抱えるものの、今一つ生かし切れていない他の日本企業にとっても好事例となり得よう。長期政権やガバナンスへの批判も社内外で燻り始めるなか、資生堂経営陣のさらなる大胆な決断が必要とされている。

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高橋 克英(たかはし・かつひで)
株式会社マリブジャパン 代表取締役
金融アナリスト、事業構想大学院大学 客員教授。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンク等にて銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザー等で活躍。2013年に金融コンサルティング会社マリブジャパンを設立。世界60カ国以上を訪問。バハマ、モルディブ、パラオ、マリブ、ロスカボス、ドバイ、ハワイ、ニセコ、京都、沖縄など国内外リゾート地にも詳しい。映画「スター・ウォーズ」の著名コレクターでもある。1993年慶應義塾大学経済学部卒。2000年青山学院大学大学院 国際政治経済学研究科経済学修士。日本金融学会員。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新聞出版)、『いまさら始める?個人不動産投資』(きんざい)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社)、『地銀消滅』(平凡社)など多数。
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(株式会社マリブジャパン 代表取締役 高橋 克英)