ヘッジファンドのブルーベイ、米国・日本・イタリアの国債をショート
Greg Ritchie
2023年1月31日 15:26 JST ブルームバーグ
債券市場は金利についてまたも間違っているとダウディング氏
「市場が米連邦準備制度のハト派姿勢を織り込む勢いは速過ぎ」
世界の主要市場での債券値下がりを見越した取引が2022年に奏功したブルーベイ・アセット・マネジメントのファンドは今年も、次の債券売りに賭けている。
ロンドンを本拠とするヘッジファンドのブルーベイが運用する4億1600万ドル(約540億円)規模のマクロファンド「グローバル・ソブリン・オポチュニティーズ・ファンド」は米国と日本、イタリア国債をショート(売り持ち)としている。マーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)が明らかにした。
ダウディング氏は米連邦準備制度や欧州中央銀行(ECB)の政策決定を週内に控え、中銀が利上げを続ける意志について市場は慢心していると考えている。
同氏はインタビューで「市場が米連邦準備制度のハト派姿勢を織り込む勢いは速過ぎだったと思う。今週の米欧での政策決定会合からはタカ派的なサプライズが出る可能性がある」と語った。
グローバル・ソブリンはダウディング氏がラッセル・マシューズ氏と共に運用。同ファンドの22年リターンはプラス19%強と、モーニングスター・ダイレクトがデータを集める欧州籍のファンドとしては最良だった。
ダウディング氏によると、このリターンは英国債相場の記録的な暴落と日本銀行のイールドカーブコントロール(YCC)政策修正によってもたらされた。
Treasuries Are Rallying This Year on Fed Cut Bets | That's a turnaround from yields hitting multi-year highs in 2022
最新の戦略は逆張りのスタンスだが、物価圧力が持続すれば利益につながり得る。スペインが30日に発表した1月の消費者物価統計はインフレが予想外に加速したことを示し、こうしたリスクを浮き彫りにした。同国のインフレ率は5カ月連続で低下していた。トレーダーはECBのピーク金利予想を引き上げた。
ブラックロックやフィデリティ・インベストメンツなど他の資産運用会社も、米国のインフレとピーク金利を投資家が過小評価していると警鐘を鳴らしている。ウォール街は1年前にも、そろってインフレ軌道を低く想定し過ぎていた。
市場はまたもインフレを過小評価-米欧の大手運用会社が警鐘
23年はこれまでのところ、大勢に従った投資が利益を出している。投資適格債を対象とするブルームバーグ世界総合指数は1月に3%上昇と、同月として過去最良のパフォーマンスとなっており、22年の16%下落を幾らか取り戻した。
ブルーベイのファンドはこのほか、英ポンドをショートしている。「英経済は構造的にアンダーパフォームすると思う」とダウディング氏は述べた。
新興国市場ではブラジルと南アフリカ共和国について「政治的不安定にもかかわらず利回りが低下する余地がある」との見方を示した。
原題:Top-Performing Bond Fund Bets Markets Are Wrong on Rates, Again(抜粋)
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