市街・野 それぞれ草

 802編よりタイトルを「収蔵庫編」から「それぞれ草」に変更。この社会とぼくという仮想の人物の料理した朝食です。

テント劇公演

2005-03-10 | Weblog
  さいたま市のテント劇団「どくんご」の上演を受け入れることになった。足掛け4年ぶりである。テントを建てる会場は、あのときとおなじ宮崎市の「東宮花の森団地」である。あのとき、ここは宅地ばかりがひろがり、西は霧島連峰、東は太平洋の海岸線がみえた。いまは、住宅でびっしり埋まっている。近くの自治集会所も家屋の向こうにみえなくなった。集会所では、外山由紀子のフルートコンサートや、東京からの劇団「黒テント」の公演も行った。まだそのころまでは、あたりは、のっぱらの感覚が残っていた。

 集会場の九島館長と、団地の販売センター浜武所長を2年ぶりに訪ねると、所長は、ぼくの名前も顔も覚えていてもらえた。あっさりと、あまりにもあっけなく6月18日から23日までテントを建てる承諾をもらえた。
「実は借用費ですが・・・」ときりだしたとたん「金はいりません」と所長さんはそくざに言うのだ。「あんときは、たしか挨拶に焼酎かなんかやなかったかな」と館長が口ぞえをされたので、「そうでした。それに菓子折りを持ってきました(笑い)・・・、すみません、かれらも今回もまた赤字でしょうから、こんなことで」 本当は、かれらの西日本巡演での赤字は、宮崎公演でいっきょに埋めることができてきたのだ。この地で借金がチャラになっていた。

 終わってみると30分足らずの相談であった。テントなどを建てて芝居をするという常識はずれのパーフォマンスは、融通無碍な判断、モノにとらわれぬ柔軟な判断力ができるひとでなければ、話のもっていきようがないのだ。市街には公園は、はいてすてるほどあるが、ここでテント芝居をやれば住民にとってよほど便利なのに、規則によって貸してもらえない。かびのはえたような滑り台と、ション便臭い砂場の公園なのに、なにをもったいぶって貸さないのかとおもうのだけど、融通の利かぬ管理意識のためである。

 田んぼの高級音楽ホールでクラシックを聞くだけで、ほんとに、何かが、残るのだろうか。自分の暮らす場所での演劇や音楽、これがいい。生活の場に藝術があること、キューバや、アイルランドや、アジアの諸国のように、この団地がそういう状況に近づいてきたのが楽しい。
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4 コメント

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テントを張る土地 (どいの)
2005-03-11 10:32:30
お世話になっている張本人「劇団どくんご」のどいのです。



テント芝居をするときに避けて通れないのが土地の確保です。

浦和でもいつもいつも公演するための土地の確保に一悶着も二悶着もしてきました。

宮崎市にはじめて乗り込んだとき,市にも県にも「有料の催しは公有地ではできない」と言われ一蹴されました。そういう条例があるのでしょう。その主旨はわからなくもないのですが,しかし私たちの公演-旅は完全な赤字でありそもそも利潤の追求をしているものではありません。わたしたちの劇団の全会計を公示すると言っても,耳を貸しません。

普通,植木市(金銭授受が発生する)は公園を使って行なわれます。しかし宮崎市の場合はそれらにも一切貸していない(宮崎神宮で行なわれる)との徹底ぶりでとりつくしまがありません。

ましてその条項をドグマとしてしまえばたとえば車の展示会には貸せることになってしまいます。(実際にそういう運用をしている自治体もあります。)だって…,多少とも大きな催しを無料でできるなんて,お金持ちにしかできないじゃありませんか

土地を気持ちよく提供していただける場所・人というのはとてもありがたいですね。

しかし本来,公共のための土地である公園こそがそうであるべきなんです。
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祝・公演! (『voices』宮崎スタッフ)
2005-03-11 17:12:07
「踊ろうぜ」を観たときの、言葉で言い表せない熱い想いを、今もはっきり覚えています。

6月に「どくんご」の公演が観れることを、今からとても楽しみにしています!

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一粒の角砂糖 (市街・野人)
2005-03-12 09:24:09
伊能さん、あのテント設営借用の話し合い、後でじわーっと効いてきましたよ。借用地がただとかなんとかより、みなでなにかをやろうという心意気、これがね、やっぱ世界はすてたもんじゃないです。

voices宮崎スタッフのみなさん、映画voicesの公開おめでとう。ここに起きる宮崎市の今また、このブログで報告します。

川添さん、あんたは、岩塩台地宮崎のなかの角砂糖ですよ。とけずにがんばってね。
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一粒の角砂糖 (市街・野人)
2005-03-12 09:24:09
伊能さん、あのテント設営借用の話し合い、後でじわーっと効いてきましたよ。借用地がただとかなんとかより、みなでなにかをやろうという心意気、これがね、やっぱ世界はすてたもんじゃないです。

voices宮崎スタッフのみなさん、映画voicesの公開おめでとう。ここに起きる宮崎市の今また、このブログで報告します。

川添さん、あんたは、岩塩台地宮崎のなかの角砂糖ですよ。とけずにがんばってね。
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