日々雑感

男の独り言

涙・なみだ(エッセイスト 飛島啓介氏 おじさん図鑑より)

2021年05月10日 11時26分30秒 | Weblog
新聞の健康コラムに、人の一生を80年として、涙の分泌量は18㍑、一升瓶で十本分と書いてあった。これはまばたきで目の表面を湿らせる分泌量で、泣いたり刺激を受けて出る涙の量とは別物だともある。何を隠そう、おじさんは心の耐性が弱く、涙の量が半端ではない。(自慢にはならぬが)。道端で子供が「お母さーん」と叫ぶのを聞くだけで、涙ぐんでしまう。カラオケでさだまさし「案山子」を歌い始めた途端、亡母のことや息子が巣立った昔を思い出し、涙声となって歌いきれずに泣いてしまう。思えば子供のころから涙にまみれていた。大人になってからも何かというと涙を流した。涙の原因はすべて忘却の彼方だが、涙ながらに生きてきたといってもいいと思います(なぜここで ”ます” なのか?)だから、通常の涙の分泌量18㍑×2ほどの涙を流してきたのではなかろうか。一升瓶で20本に相当するだけの涙だ。だからといってどうするものではない。涙の量が人生の蓄積の指標ともならない。ただ、この先も涙のタネは尽きることはないだろう。涙も死ぬまで枯れはしない。おじさんは泣き続け、涙の量も右肩上がりだ。