心理カウンセリングをしていると、しばしば受ける質問に、自尊心とプライドの違いは何ですか?というものがあります。
確かにこれらは紛らわしい概念であり、実際、私たちの日常生活では、これらのふたつがしばしば混同されて語られています。
今回の記事の目的は、こうした概念について念入りに考察することではなく、臨床心理学におけるこの2つの概念の違いを分かりやすく説明することであるため、意図して簡素化して書きます。
端的に言うと、プライドの高い人というのは、本質的なところで自信がなく、自尊心の低い人です。
自尊心の高い人は、自己評価は高いですし、自分の考えや価値観、感じ方、行動などに、本当の意味で、自信があります。
プライドの高い人は、傲慢で、自己顕示欲が強く、口うるさいくらいに自慢話をします。それは本質的なところで自分に自信がないためで、その根底にある自信のなさに対するディフェンスとして、自己アピールをします。承認欲求が強いです。こうした人たちのなかには、本当は自分に確信が持てないことなどに気づかないくらいに表層的な部分での自信に満ちている人も少なくありません。
一方で、健全な自尊心の持ち主の自信は静かなものです。より本質的な自信です。こうした人たちは、謙虚です。なぜなら、あえて他者から賞賛してもらわなくても、自分の言動に確信があるからです。
自尊心の高さは、心の健全さと関連が深く、プライドの高さは、精神衛生上の危険因子と見ることができます。