【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

大の音楽ファンの中高年がCD屋さんに行かない4つの理由

2012年05月30日 | マーケティング話
『日経流通新聞(MJ)』(紙ですよ)の「実践 実戦 CS向上指南」(2012.5.28)より。
この連載を執筆しておられるのは、日本ホームセンター研究所所長 高橋直樹氏。

「CD店 足遠のく理由」として高橋氏は、「音楽ソフト販売店のがさつさ」として4つの理由を挙げているが、これが実に的を得ている。
高橋氏は「中高年」にあたると思われる。つまり、現在のリアル店舗は中高年層にとって「自分はこの店舗が期待しているメイン客層ではない」と、しつこいほど“アピール”しているわけで。
ちなみに、CDも書籍もほぼ100%ネット通販で購入しつつも高橋氏は、「大の音楽ファン」と自認されている。
以下、高橋氏の指摘する4つの問題点を列挙してみよう。

(1)(店内の)音量が大きすぎる=騒音

(2)多くの店舗の入り口や前面でガンガン流されてるのはJポップ一色

(3)売場の中で複数の音楽が耳に飛び込んでくる状況に耐えられない

(4)CDの裏面のバーコード(注:防犯タグ)が演奏曲や演奏者の記載を隠してしまっている


高橋氏が挙げたリアル店舗への最大の不満は、(3)の複数の音が耳に飛び込んでくること。
店内スピーカー、陳列棚のDVD、隣接する売場で流される“トリプル騒音”など拷問に近い状況でとてもCDなど選んではいられないと・・・。
このあたりは、私のように年齢を重ねていても、元々ロックの愛好者のような人間には気づきにくいことだと思う。
音楽に貪欲な10代後半から20代前半の人間にも気づきにくいだろう。
が、そんな環境は中高年層の足を店舗から遠ざけるのには、十分な理由となろう。

(4)の防犯タグがジャケに印刷された情報を隠してしまうのは、8年前に私が実施した調査結果でもよく目にしたし、調査以前の問題として、顧客としての自分が憤ったことは数知れない。
酷い場合は、価格表示の上にタグが貼ってあったり。。。
実際、当時、私が関わっていたショップの本部でもこの問題が取り上げられたものの、「販売側のオペレーション」が優先されてしまうのが実情だった。現場が悪いわけじゃないけどね。

実際問題として、万引きの被害は深刻だ。
たとえば、1枚万引きされたら5枚売らなければならず、実際、万引きで倒産に追い込まれた店舗も少なくなかった。
昔、私が住んでいた中野区の近所にあったパパ・ママショップでは、店主がノイローゼのようになって、一見の客が店に入ると皆、万引き犯とみなし、入口に立ちはだかって客を睨みつけていた。こうなるともう「病気」だ。その店舗はほどなく閉店したが・・・。

倒産に追い込みかねない万引き被害増加と、顧客サービス悪化の負のスパイラル。
人件費が削られる中、販売現場のスタッフのオペレーションの軽減と、顧客への不便というジレンマ。

それでも言わなければならないことは、顧客が不満に感じる、つまり意識上に上がってくるような不満を放置しておいては、ますますリアル店舗は衰退していくことだろう。
ヒット物のパッケージは、ほとんどの店頭で「ダミー」だ。
こんな売場に魅力なんてない。

ではそうすればいいのか?
解決策についてはここでは述べない。

お知りになりたければ、今、懸命に準備を進めている「ミュージックソムリエ養成講座」を受けて下さい(笑)。
ただ、答えは「テクノロジーの進歩」の中だけにはないんじゃないの? とだけは言っておきます。

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その10>

2012年05月29日 | マーケティング話
<その9>より続く。

■「豊か」ってことは?

別荘地は、明らかにオバサンのもんだね。男は相変わらず、「特別なことをなにかしなきゃ」と、しゃかりきになっている。
「別荘地まで仕事を持って来ちゃいけないんだろう・・・・・・」とどこかで思ってんだろうけど、別荘地っていうのは、自分の生活をそのまんま平気で移せるだけの余裕のある人間の“もう一つの生活の場”なんだから、仕事持って来たって全然いいんだよな。「ここじゃ仕事になんないから、別荘行ってやるわ。あそこならのんびり出来るから」っていうのが金持ちのセリフでしょ。

“豊か”ってことは、「努力することが楽な状態」なんだけど、みんなそんな風に思ってないね。いくらでも浪費出来る状態が“豊か”だと思ってるからさ、宝クジで一発当てた成金状態しか頭にないんだな。いいけどさ。
それで、「豊かとは使い捨てなり」で、今の日本は破滅への道を辿っているわけだから。

(「男はどうしようもなくつまんない <表> 324頁より)

*引用者注:この文章が雑誌『CREA』に連載されたのは、バブル期の1990年。

<最終回>に続く。

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

「濃縮還元フレーズ」と仲畑貴志

2012年05月28日 | マーケティング話
「Marke Zine」のこの記事「女性誌に学べ! 強力な伝播力と拡散力を持つ【濃縮還元フレーズ】製造法より。

仲畑貴志のこの発想はいい。(黒字は引用部分)

「いつもそうした発想が求められるコピーライターはどうするか。近道はないが、考えるコツとして挙げられるのが「早い話が…」「要するに…」で考えるやり方だ。

ウォシュレットの広告コピー「おしりだって洗ってほしい。」など名作コピーやヒットCMで知られるコピーライター 仲畑貴志さんは、まず原稿用紙の1行目に「早い話が」と書く。それに続けて「早い話がなんとかかんとか」とコピーを書き、最後に「早い話が」と書かれた部分をハサミで切り捨てる。そして残った部分を吟味していくという。」


そういえば、仲畑貴志はコピーライターとして有名だけど、作詞もしているんだよね。
鈴木茂(元「はっぴいえんど」のギタリスト)のソロアルバム『コズモス51』(1979年)で2曲、詞を書いている。
「君はだまっていても嘘をつく」と「あと5歩で君のくちびる」。
まあ、他の曲は松本隆作詞で、松本隆に比べれば、レベルは雲泥の差ですけどね・・・。

鈴木茂 / 「あと5歩で君のくちびる」


***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

『動員の革命』を、マーケティング的にわかりやすく理解できるのが『第四の消費』

2012年05月26日 | マーケティング話
ということになる。私の理解のしかただが、『第四の消費』を読んでストンと腑に落ちた。
津田さんの言うところのSNSによる「動員」は、「拡大」の概念。
一方、三浦展が普及するSNSにみたものは、「分散」の概念。
広範囲から人を集められるという「現象」としては同じだが、視点は違う。



「たとえば、ツイッターやフェイスブックなどで、明日の三時から浅草のどこかの会場でイベントを開くよと書き込めば、三〇人くらいの人をそこそこ集められる。そういうイベントが、東京中の、高円寺や阿佐ヶ谷や三軒茶屋や北千住や金町や小岩などなどの場所で一〇〇件あれば。三〇〇〇人の人がバラバラの場所に集まる。もしツイッターやフェイスブックがなければ、その三〇〇〇人は渋谷の街をうろうろしていたかもしれないのに、ツイッターやフェイスブックのおかげで、バラバラな場所に三〇人ずつ集まってしまうのだ。(中略) 消費者は、ツイッターやフェイスブックによって、一カ所に集中するのではなく、無数の場所に分散するようになるのだ。」
(『第四の消費』151~152頁より)

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。


橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その9>

2012年05月25日 | マーケティング話
<その8>より続く。

■男の肉体感覚(続)

これから「男の生理」がどこに行くかって問題になると、フロイトが出てくるんじゃないの?
リビドーは「生活のエネルギー」でもあって、こういうものは仕事で発散するしかない。女の「生理」は波のようなもの、周期の者だけど、男の生理は「意志的なもの」でしょ。だとしたらこれは、社会生活の中で - つまり、労働の中で発散するしかない。

でも、たぶん、「女の子との関係」が、今の男の子にとって、一番しんどい部分だろうね。
女の子は、十代の終わりとか二十代のはじめはグッチャグチャでも、男とくっつくと順調に生理的なパターンで動き始めることが出来る。だけど、男の方は、そこまで安定しない。「なんか、かまってほしいな」と男が思って、女の子の方は、「だってかまいようがないもん」と言う。その結果二人は、「ずーっと距離を置いたままカップルをやっている」みたいな、ヘンな関係になったりする。でもそういうのって、男が自分で考えなきゃいけない問題なんだけどね。

女の人の中でも、なかなか「生理」というものを自分の中で安定させることが出来なくて、ヘンな行為に深入りしすぎてアブナイ方向に行っちゃうのがたまにいるけど、それでも、ある時期が過ぎると、ハシカが終わったみたいにスポーンと抜けちゃって、平気になったりするでしょう。男って、「あっ、これで大丈夫だ」っていう、身体信号を出すものが、自分の中にないんだ。まァ、可哀想なんだけどさ、「若い男とはツライものだ」っていう前提に、まず立たなきゃダメなんだよね。

(「パンツのウラオモテ <裏>」314~315頁)

しつこく、<その10>に続く。

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

花は咲くプロジェクト/「花は咲く」ミュージックビデオダイジェスト

2012年05月24日 | 徒然
花は咲くプロジェクト/「花は咲く」ミュージックビデオダイジェスト


4月26日、Victor Music ChannelによってYouTubeで公開された「花は咲く」。
NHKをよくつけている私(自分の中のシェアでは9割以上)、すでに十分馴染んでいる。

心に染みる曲だが、まず、作家をはじめ多彩な著名人の方々が参加しているのは驚きだ。

以下(黒字部分)は、Victorの「Flying Dog」レーベルのサイトから引用。
***************************************
「花は咲く」はNHKが東北地方太平洋沖地震の被災地の支援を行う〈NHK東日本大震災プロジェクト〉の一環として、復興を応援するテーマ・ソング。
この楽曲は、共に宮城県出身である岩井俊二が作詞、菅野よう子が作曲を担当。歌唱は大友康平、千昌夫、新沼謙治、かの香織、遊佐未森、畠山美由紀、AKB48の仲谷明香と岩田華怜といった歌手や、タレント、スポーツ選手など、被災地域の出身もしくはゆかりの深い有名人が務める。
さらに、歌唱者の映像を収録したミュージックビデオの制作、その監督は作詞と同じく岩井俊二が手がける。

この商品の著作権料、また売り上げの一部は、作詞・作曲者及び“花は咲くプロジェクト”参加の皆様の厚意により、義援金としてNHK厚生文化事業団を通じて被災地に届けられる。

「花は咲く」は、NHK総合で3月10日から11日にかけてオンエアされた震災関連番組や、10日にNHKのBSプレミアムにて生放送された特別番組「震災から1年“明日へ”コンサート」にて公開され、それ以降も震災関連の特集番組などでテーマ・ソングとして使用される。

<花は咲くプロジェクト>五十音順・敬称略
秋吉久美子、荒川静香、生島ヒロシ、イケメン'ズ、岩井俊二、岩田華怜(AKB48)、梅沢富美男、大友康平、加藤茶、門倉有希、狩野英孝、かの香織、菅野よう子、熊谷育美、佐藤B作、さとう宗幸、沢田知可子、サンドウィッチマン、涼風真世、鈴木京香、千昌夫、中村雅俊、仲谷明香(AKB48)、新沼謙治、西田敏行、野村克也、畠山美由紀、原田直之、本田武史、マギー審司、村上弘明、森公美子、杜けあき、山川恵里佳、遊佐未森、由規

***************************************
そして、このプロジェクトでは「全日本CDショップ店員組合 東北支部」の方々が大きな役割を担っている。
以下(黒字部分)は、CDショップ店員組合 CDショップ大賞実行委員会 事務局の吉川さやかさんのコメントである(Facebookに書かれた文章を許可を頂き、部分的に転載)。
ブックセンター湘南の千葉さんのコメントも含まれている。

私がなんやかんや言うより、直接、引用させて頂いたほうがずっとリアリティと説得力がある。
とにかく、被災地で生活し仕事をされている方々が、ここまで動かれたことに、驚きと感動を禁じえない。
日常の業務が多忙の中、ここまで動かれたのは、いい意味での“常識外”で驚異的なことだ。
やっぱ、人を動かすのって“人”なんだよな、って。
***************************************
(前略)
第4回CDショップ大賞入賞及び東北ブロック賞を受賞した”熊谷育美”さんも参加されています。
この「花は咲く」プロジェクトに賛同して”今こそCDショップが果たす役割があるのではないか”と立ち上がったのが全日本CDショップ店員組合 東北支部 副支部長のブックセンター湘南、千葉さん。
レーベルに交渉し、レーベル直営ではない所への販促物の提供の依頼から、災害FM、地元FMにはオンエアの依頼、地元新聞社には掲載の依頼、NHK支局、NHKには自社ではなく駅前のTさんやHさんやSさんの取材の依頼を、NHK出版、全て電話し、協力依頼をしてまわっています。
昨日、ビクターさんから得た情報ではバックオーダーが殺到し、通常盤が倉庫に切れてしまい、大至急追加生産しているところだとか。

<ブックセンター湘南 千葉さんのコメント>
「昨年3.11以降、私どもショップの人間は、被災地および被災された方々にいったい何ができるのか、ずっと考え続けてきました。CDショップも店舗の消失や損壊、商品の流失など大きな被害を受け、閉店や一時休業が相次ぎました。ようやく営業が再開された時には多くのお客様から、開店を待ち望んでいた声を聴き、CDショップが音楽を通して、人と人との触れ合いの場としてお客様に求められている事を改めて知ることとなり、ありがたく思いました。しかしながら、具体的にこれといったアクションも起こせぬまま1年余りを過ごしてしまったような、そんな自責の念にかられる思いもあります。
 そのような中で今回CDリリースが決まった本作品は、その制作にあたり、被災地にゆかりのある多くの著名人・アーティストが垣根をこえて参加し(第4回CDショップ大賞入賞及び東北ブロック賞受賞 熊谷育美さんも参加しています)、しかもNHKという公共性の高いメディアを通じて、すでに幅広い世代の視聴者へ向けて繰り返し訴求が行われております。
 そして、今回のCDリリースにあたり、ユーザーに最も近い立場ともいえるショップが、いよいよその役割を果たすべき時機が来ているのではないか。そう感じられてならないのです。
東北各コミュニティFM、新聞社に働きかけたところ、皆さんこの運動に賛同してくださり、全日本CDショップ店員組合東北支部の取組みとする事となりました。」

全日本CDショップ店員組合では、CDショップ大賞で賞を選んだら終わり、じゃないんですよね。年間通して、目立つ事こそあまりないものの東北ブロックはじめ各地区各店舗色々な取組みをしています。賞を選ぶだけでなく、そこからお客様に何をどう伝え続けていくのか。そこは"モノ”ではなく、”人”なのだと、今更ながら改めて思うのです。

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その8>

2012年05月23日 | マーケティング話
<その7>から続く。

■男の肉体感覚

そもそも日本の文化は、「肉体をなくして行く方が上等だ」ってことになっている、という部分もあるんだけどね。だって、江戸時代の男って、ヒゲを生やしちゃいけなかったんだもの。それはなぜかって、「ヒゲという自己主張をするのは、お上に対して無礼だ」っていうこと。管理主義の男がもう出来あがっていたのが、江戸時代だったから。

平安時代なんて、光源氏でさえヒゲを生やしてた。男は大きくなると、みんなヒゲを生やすものだったのね。言いかえると、ヒゲによって識別するくらいしか、男女差がなかったのかもしれないけど。

江戸の男はみんなヒゲを剃って、江戸三百年にわたってヒゲのない文化が続いた結果、明治になって、今度は反動で、ボーンととんでもないヒゲを生やしちゃった。でも、基本的に、江戸時代の管理主義が残ってるから、「タクシーの運転手がヒゲを生やすのはお客様に対して失礼だ」とかってことになるわけ。
「ヒゲも自分の身体要素の一部なんだから、どう処理しようと自分の勝手じゃないか」っていう、そういう論理が成り立たないの。

(「パンツのウラオモテ <裏>」312~313頁)

そういえば、宮崎勤って、オタクした途端に太ったよね。あれって、自分の肉体を把握しなくなった兆候だと思う。つまり、女が自分の肉体を把握出来なくなった場合には、精神が異常になるじゃない。女の精神がアブナくなっている時って、自分の身体感覚がない。でも、男って、身体感覚がないのが当たり前なの。で、たたでさえ当たり前なのに過剰になくなりはじめると、ブクーッと太って、「これを把握しろ」って、肉体の方が言ってくる。つまり、肉体が反逆してるわけさ。

(同 314頁)

***************************************
▼私へのお問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数6,000突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

東京スカイツリー開業が象徴する時代のトレンドは?

2012年05月22日 | マーケティング話
今日、東京スカイツリーが開業した。

21日の記事に書いたが、黒川伊保子先生の「ブレイン・サイクル」によると、2012年は「女性脳の時代=アナログ期」のピークにあたる(正確には2013年だが)。
過去に書いた記事を引用し、「ブレイン・サイクル」(黒川伊保子先生)について復習をしておこう。

・個体の脳の意識サイクル=「ブレイン・サイクル」
 ⇒ブレイン・サイクルによって生み出される大衆の意識傾向=「感性トレンド」
 ⇒感性トレンドによって生み出される社会現象=「流行」

「短軸索活性系」=「男性脳」:デジタル系
「長軸索活性系」=「女性脳」:アナログ系

▼アナログ期に好感度が上がるもの
(1)ドラマティック
  多様、例外・特別、紆余曲折、意外性
(2)共感、情報交換
  口コミ
(3)複雑系
  アナログ、自然、人間性
(4)デコラティブ
  グラマラスライン、模様、多色使い、異素材ミックス、
  リボン、フリル、エッジ、包む・重ねる

▼デジタル期に好感度が上がるもの
(1)論理的
  答えがひとつ、だれもが納得する、最小コスト、最短パス、必然性
(2)競争
  サバイバル気分、情報収集
(3)合理性
  デジタル、人工、論理性
(4)シンプル
  直線的なシェイプライン、モノトーン、統一感

「女性脳の時代=アナログ期」は、「ブレイク期」から「展開期」に入る。
つまり、S/Hビューでは、「ハード期」に入るわけだ。

では、ちょうどサイクルが1周り前の、今から56年前前後には何があったのか?
2012年(平成24年)の56年前は1956年(昭和31年)。
東京タワーが一般公開されたのは1958年(昭和33年)だ。

国際情勢と、朝鮮戦争特需により戦後復興が軌道に乗り始め、高度経済成長に向かった当時と、現在の環境は著しく異なる。
が、東京タワーの開業と、約56年後の東京スカイツリーの開業は象徴的だ。

「感性トレンド」とは、「同じものが流行る」ことの予測ではなく、「同じ気分によって、同様の傾向を呈する」ことを予測する手法である(『なぜ、ひとは7年で飽きるのか』103ページより)。
***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,900突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼お問い合わせは下記メールにてお願いいたします。
sinoue0212@goo.jp
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その7>

2012年05月21日 | マーケティング話
<その6>より続く。

■男の体臭

もう一つは、今の男の子って、ムダ毛の処理をしなくちゃいけないでしょ。肉体条件をどんどん女に近づけていかなくちゃいけないのに、最後に「パンツ」って領域で、男が残っちゃう。それが、「汚くていや」っていうのが、女の子の側にあると思う。「ブリーフはいやだ。トランクスにして」って言うのも、それでしょ。「モッコリ」の誇示がいやなんだ。それって、ほら、洗剤の宣伝で、男の子がラグビーかなんかやってて、その洗濯物を前にして、オバサンが「わァ、臭い」って言う、ああいうことを当たり前にやってる中から出てきたんだと思うね。

女って、基本的に、自分が生理的なものであるっていうことを前提にして生きてる。だから、自分の体臭はしょうがないけど、異質な男の体臭ってことになると、突然「わあ、臭い」が出ちゃうのね。女がそういう構造を持ってるもんだってことを、あの潜在のCMを作る側の人は、考えてないんじゃないかなァ。

(「パンツのウラオモテ<裏>」307ページ)

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,900突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 「GMOグローバル・ソーシャル・リサーチ」
http://www.gmo-research.jp/service/gsr.html#tabContents01

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

「クチコミ」について雑感 (第108回 安原マーケティングワークショップに参加して)

2012年05月21日 | マーケティング話
5月19日土曜日は、安原マーケティングワークショップの土曜セッション。
「通算108回目という煩悩完結に相応しく、最先端の煩悩の研究」ということで、テーマは『クチコミ品質』」(安原さん)。

■「偶然性×恣意性」という態度における軸

今回は参加者7名で1グループ。
まだ同テーマの「平日セッション」(平日参加者には詳細をお知らせしないほうがいい)があるので、ここでは詳細は記さないが、参加者から出た意見と安原さんのまとめから自分が得たもの、そして自分が考えたことを記しておこう。
(と言いつつ、写真までアップしたが・・・)



まず、基本的なことであるが、この10年以上、マーケティングの世界をはじめ、ジャーナリズムでも、重要なキーワードとして、やたらと語られてきた「クチコミ」は、たぶん、有史以来、人が生きる上で常に存在していたわけだ。ネットなどなくても。
ワークショップでは、ネット「クチコミ」に多く見られる「恣意性」に対し、自ら能動的に情報を求めるわけではない(例外はあるものの)「クチコミ」を「偶然性」と特徴づけた(「態度」の軸)。

では、ネット上の「クチコミ」の本質とは何か?
「目的」は、時間と空間に係る手間の軽減、圧縮。
「態度」は、上述の通り「能動的」であること(最近では、SNSでたまたま眼にするような「偶然性」もあるが)。
「手段」は、「編集」ということになるだろう。
それは「コミュニケーションの進化」には違いない。

しかし、昨今、比較サイトやamazonのようなECサイトの評価・レコメンドが、「クチコミ」のメインのように言われているが、あくまでもリアルな人と人のプリミティブな「クチコミ」こそ基本であることは、忘れないでおいたほうがいいだろう。


■セルフディスクロージャーの効用

まず、「クチコミ品質」について考察する場合、自らが「クチコミ」の発信者となるケースを考えれば、思考の幅が拡がっていくように思う。
ワークショップでは、自分が「クチコミ」の影響で購買行動をした結果が題材だった。
軸を絞り込むには、時間のないセッションで「発信」を入れると収束できなくなる可能性があるので、それはそれでいい。

考えてみると我々は、「いいクチコミより、悪いクチコミのほうほうが拡散しやすい」耳にタコができるほど見聞してきた。
最近では、リアル・オンラインを問わず、自らについて語ること、つまり「セルフディスクロージャー」が人間にとって快感であるという貴重な脳科学の研究結果もある。
人間って程度の差はあれ、自分のことを語りたいものなのだ、ということは銘記しておいたほうがいいだろう。
定性調査での「グループダイナミクス」が生まれるのもこういった人の心性によるものだろう。

「一般的に、セルフディスクロージャーを行うと中脳辺縁系ドーパミン経路に関わる脳の領域の活動が高くなる。ここは食べ物やお金、セックスなどで得られる満足感や快感と関係している部分だ」

■ブレイン・サイクルと「クチコミ」

あと、マーケティング・アドバイザーの私には、「トレンド研究」という重要なドメインもある。
時間の幅は、戦後、ジャンルは社会・政治・経済・文化・メディア・サブカルなどの総合。
まだ明らかにはできないが、「ミュージックソムリエ協会」でも、この“武器”は大いに活用させて頂くつもりだ。
(冗談だが、日本史の試験とか受ければ、近代ならほぼ満点はとれると思う。大学受験の選択は世界史と政治・経済だったけどね・・・。そちらは完璧でした-笑)

で、一口にトレンド研究といっても、歴史的事実を元に、著名人の方々の貴重な知見を参考にさせて頂いている。
そのうちの一人は、拙著でも引用させて頂き、過去、このブログの記事でも援用させて頂いた、黒川伊保子先生である。
黒川先生の「ブレイン・サイクル」は、特に重用している。

 
(*2010年に書いたシリーズ記事で使用。黒川先生の著作をもとに私が作成したもの)

詳細はここには書かないが、2012年は「女性脳の時代=アナログ期」のピークにあたる。
(正確には2013年。2012年は「アナログ ブレイク期」の最後)
「女性脳の時代=アナログ期」に移行したのは1999年だが、「男性脳の時代=デジタル期」のピークであった1985年から2012年の現在に至るまで28年間は、人々の脳のサイクルと感性トレンドが「男性=短軸索系」から、「女性=長軸索系」へと変化し続けたわけである。
このあたりのことは後日、書くとして、マーケティングの世界のみならず「クチコミ」の重要性が語られるようになったのは、1999年以降であることは驚くにはあたらないことだ。
「多様化」「適量少量生産」も「女性脳の時代=アナログ期」の大きな特徴だ。
こちらは、1999年以前から言われてきたことだが、「デジタル期」から「アナログ期」に向かう「ソフト期」ならではのことだ。
経済の側面だけみると、戦後復興から高度経済成長が「バブル」で終焉したことが、時代の転機というのが主論調であるし、間違ってなどいないものの、「ブレイン・サイクル」の観点からみれば、一層、ものごとが見えてくるのだ。
97年にピークに達した「CDバブル」だって、「女性脳の時代=アナログ期」に向かう「ソフト期」だからこそと私は考える。もちろん、人口動態的要因もあるが、「マス・マーケティング」がパワーダウンし、「多様化」が進む中であったのにも関わらず、今では想像できないような売上枚数をはじき出したことは、「ブレイン・サイクル」抜きにしては説明できないだろう。

マーケティング・リサーチの世界でも、「男性脳の時代=デジタル期」からコンシューマ・インサイトが重要であったことに変わりはないが、「シーズよりもニーズ」という“スローガン”が幅を利かせるようになったのは、「女性脳の時代=アナログ期」である。
私の師でもある故 油谷遵先生をはじめ、日本の定性調査で抜きんでたマーケターのご活躍が目立ったのは、「デジタル期」から「アナログ期」に向かう時代(「ソフト期」)の最先端を走っていたからではないか? とさえ考えられる。
で、今現在は、どの調査会社でもマーケティングサービス企業でも広告代理店でも、「定性調査」の“新しい手法”でヒートアップしている。

「で、これからはどうなるのでしょう?」かって?

2013年の「女性脳の時代=アナログ期」のピークから、「男性脳=デジタル期」に向かっていく「ハード期」が始まるわけだ。
「理屈抜きでカッコイイものに憧れる」時代に向かっていく。
人間の最大の特技の一つは「飽きること」。飽きなければ文明の進化はない。
大衆の気分が変化する中で、相変わらず「クチコミ」は存在するし、有用であることは変わらない。
ただし、マーケティングの世界でもマスコミの論調でも、「クチコミ」が今までのように騒がれることは確実に減っていくだろう。
マーケティングの世界でも、ユーザーニーズとウォンツ探求の重要性は変わらずとも、各メディア・媒体で騒がれることは減っていくであろう。

黒川先生はこう仰せだ(黒字部分)。

とはいえ、ソフトからハードへの転換点まで、あとわずかである。(引用者注『なぜ、人は7年で飽きるのか』の刊行は2007年)
メーカーは20年以上続いた市場ニーズ優先の体質に染まりきってはいるが、大衆は、徐々に「用途度外視でカッコイイもの」を潜在的に求めるようになってくる。現場の企画に、「コンセプトがあいまい」「使い方がはっきりしない」「市場ニーズの調査は? 市場の評価は?」など、だらだらダメ出しをしていると、時代の波に置いていかれるかもしれない。
(『なぜ、人は7年で飽きるのか』黒川伊保子著、中経出版、2007年、93ページより)

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,900突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 GSRサービス
http://www.gmo-research.jp/topics/2011/04/-gmo.html

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

コミュニケーションの本質 <ラカン派精神分析>

2012年05月18日 | カルチュラル・キーワード備忘録
『ラカン派精神分析入門 理論と技法』(ブルース・フィンク著、中西之信他翻訳、誠信書房、2008年刊)より(黒字部分が引用)。

意味は聞き手によって、すなわちラカンが言ったように、<他者>の場所において決定されるのである。何かをかなり限定して伝えようとするあなたの意識的な意図に関係なく、その言葉の意味は常に他の人びとによって、すなわち≪他者≫によって決定される。

政治家の言葉を「捻じ曲げて取る」ことで、当人が言わんとしていたこととは別のことを言ったことにしてしまう報道関係者や対立政党の手法は、政治家にとっては悪夢のようなものである。しかし、これが「コミュニケーション」というものの本質である。私たちは人びとに何かを表現するために話す。しかし、私たちが言わんとしたことの意味が何であるかを決定するのは彼らであり、そのため私たちはしばしば狼狽させられる。時には、私たちが言ったことが彼らの立場から解釈され、それにもとづいて重大な決定がなされることもある。このように、聞き手の力というものは相当なものである。

(「第四章 解釈-欲望の場所を開くこと」62~63頁より)


実際に、このような意図的であれ意図でなくても、「曲解」「誤解」で悔しい思いをしたことは誰でもあると思う。
「ひど~い!」とか「信じらんない・・・」とか「何でわかってくんないの?」とか。
が、しかし、ここでのポイントは、「聞き手の力というものは相当なもの」ということだろう。

石井淳蔵も『ビジネス・インサイト 創造の知とは何か』(岩波新書、2009年)で、コミュニケーションについてこう論じている。



「互いに誤解したコミュニケーションが、それとはわからないままに続くのが普通の姿だ」
「発話の意味を決めるのは、発話者の意図ではなく応答者の応答であること」
「コミュニケーションとは、個人の心理や内面には還元されない社会的プロセスである」

(同書、219~220頁より)

で、「マーケティング」とは、誤解のプロセスであるコミュニケーションに擬することができて、偶有性というのは、こういうプロセスの帰結であるんじゃないか? となるのだけどね。

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,800突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
▼パートナー企業様
*詳細につきましては担当者とご説明に参ります。

【ソーシャルリスニング】につきましては、
GMOリサーチ株式会社 GSRサービス
http://www.gmo-research.jp/topics/2011/04/-gmo.html

【激変するメディアライフ! 感性と消費の新常識】
アスキー総合研究所「MCS2012」
http://research.ascii.jp/consumer/contentsconsumer/
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

ギャルファッションは雑貨的自己表現? 「きゃりーぱみゅぱみゅは原宿系なのか?」

2012年05月17日 | マーケティング話
相変わらず、女性誌の考察って面白い。
流行のサイクルが速くて、あわただしいけど。

■きゃりーぱみゅぱみゅが登場するまでのトレンドの流れ

・2007年 エビちゃんブーム(モテ)の終焉と小悪魔agehaの台頭

・2008年 ageha全盛期を経て話題の中心が宝島社に(sweet人気)

・2009年 mixiから発生した森ガール

・2010年 渋谷と原宿のカワイイ合体!GO!渋原系!

・2011年 ガーリーとオタクの禁断合体!GO!オタクガーリー!

「以上。キーワードをまとめますと、同性ウケ、カジュアルベース、ミックススタイル、 アキバ的要素、ブロガー(読モ)出身。これがこの5年間の女性誌の流れであり、 その文脈を全て踏んでいるのがきゃりーぱみゅぱみゅなのです。 まさに今を体現しているファッションアイコンと言えるでしょう」


これって、三浦展が『第四の消費』で語っているところの、「雑貨」文化的要素じゃないかな? と。



まず、ファッションで自己主張するのって、実は大変なこと。
(バブリー時代のイケイケだった皆さんも疲れたことでしょう・・・。)
三浦が言うところの「不安な消費者に見られる傾向」の一つとしての「永遠志向」。
たとえば海外の高級ブランドってのは、消費者の「自分らしさ」に近づくわけじゃなくて、消費者が「ブランド」のほうに近づくべきだという態度をとっている。
つまり、高級ブランドなどは、「自分らしさ」のような「ぬるい」次元を超えた絶対的なものということ。

もちろん、ギャルのファッションってのは、高級ブランドとは違いますな。

「しかし、そうであるがゆえに、ファッションは自己表現として重すぎると言える。自己を表現しすぎる、自分をひとつのスタイルを持った人間として表現しすぎるのである。そこには遊びが足りない」(『第四の消費』三浦展著、朝日新書、2012年4月、119~120頁)

「そこで、ある特定のスタイルに、意図的に別のスタイルを加え、全体として少し「ズレた」印象を与える必要がある。そのとき、雑貨というものが有効であった」(同、120頁)


この「雑貨」って、ギャルファッションとコンセプトが通じるんじゃないかな? と私は考えるわけです。
特に、「ミックススタイル」の要素ね。

■きゃりーぱみゅぱみゅは原宿系なのか?



「渋原系にアキバが加わり、トレンドが次のステップに進むのか(新しい〇〇系の誕生)。 それとも渋原×アキバは原宿系の一部として吸収されていくのか。見物ですね」

確かに見物というか、興味はありますね。
そういえば、もちろんこのマップにはありませんが、「高円寺ルック商店街」あたりの「ギャル」はどうなんでしょうかね?
「裏原」と並ぶが、ちょいとマイナーだから面白いエリアなんですが。

「オリーブ系」なんて、まだ生息してたんですね、絶滅危惧種ながら。。。
90年代で終わってたかと思ってたんですけど。

「ギャル」の生態、特に「パギャル」については、電通ギャルラボさんが調査結果を統計解析した書籍(↓)はありますが、それはそれとして、統計解析結果ではないこういうマッピングのほうが実用向きだし、わかりやすいんですよね、実際の話。



***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,800突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その6>

2012年05月16日 | マーケティング話
<その5>より続く。

■男の肉体生理

前に別のところで言ったんだけど、男ってある時期を過ぎると、「自分で自分の肉体を把握する」ってことをやめちゃうんだよね。男からオジサンへの退化っていうのはここにあるんじゃないかとは思うんだけど、結局、男の肉体生理って大学じゃ教えてくんないからね。高校でも中学でも。
「生理」ってことになったら女の問題で、男にも肉体生理があるってことは、公に扱われていない。これはみんな結局、個人的で私的な問題で“俗なこと”だから、真面目に考えられないんだよな。

(「パンツが臭くておかしいか?<表>」296ページ。太線は引用者)

■女の固有名詞と男の普通名詞

男は下着泥棒をして女は下着泥棒をしないっていうのは、でも、ホントかどうかは分かんない。女だってするかもしんない。女が、好きな男のパンツ握りしめて眠らないなんていう話はどこにもないんだし。阿部定っていう女だっていたんだし。
昔にも「団十郎様お痰」とか「芝翫(しかん)様お痰」っていうのだってあったんだから。美貌の歌舞伎役者が懐紙に「カーッ、ペッ!」って吐いた痰をひそかに手に入れて、「団十郎様お痰」て書いてタンスの隅にしまっとく-往古の“アイドルグッズ”ですが。楽屋で風呂に入ったその時のお湯とかね。昔の役者についてた番頭は、そういうものを横流しして小遣いを稼いでたっていうから。
そういうのを、昔のお嬢さまとかは、ひそかに買ってたんだから。その胸に抱き締めたりしてさ。痰のついたティッシュとシミのついたパンティーは、いい勝負じゃないでしょうかね。

ただやっぱし、ここにも男と女の差はあると思うね。つうのは、女は好きな相手のもんしか抱き締めないじゃん。どんなものであっても、“自分の好きな相手”がそこにいるとなったら、平気でそこに“好きな相手”を発見しちゃうじゃない? 痰のついたティッシュペーパーだって、別に痰を見てるわけじゃない。痰の向こうに「相手」を見てるだけだから、「汚い」とかなんとかいうのは問題ない。「好きな相手のなら、平気で汚れたパンツ洗えるわよ」というものの感性は、これでしょうね。

でも男はそんなもの見ないね。“その相手に恋をした”っていう男は別だけど。どんな好きな相手のものであっても、男は“その相手”を通して“一般性”を発見しちゃうね。男の方が、つまんないことを「ああだ、こうだ」と詮索しちゃう、“こだわり”とか“ウンチク”が好きだっていうのは、このせいだと思う。

(中略)

女は汚いパンツの向こうに“憧れの人”っていう固有名詞を発見するけど、男って、普通名詞しか発見しないよ。“みゆきちゃん”なる美少女のパンティーを手に入れたって、男はそのパンティーの中に“みゆきちゃんもその一人として所属する美少女”というものしか発見しないんだから、それを発見したいからこそ、男は下着泥棒に走ったりするわけでしょうね。

男は結局、具体性から抽出された一般性というのがほしいのね。ある現実の事物から自分に必要なだけの一般性を抽出して、自分をその一般性にきちんとはめこみたいんだよね。男が設定する“チャンとした自分”というのは、その一般性の中に自分がキチンとおさまっているその状態を指すんだから。

(中略)

女の“夢”とか“憧れ”ってもんは、所詮肥大化した具体性でしかないんだから、少しはパンツの向こうに“自分に必要な一般性”でも発見したらってこと。

(「パンツが臭くておかしいか?<表>」301~304ページ。太線は引用者)

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,800突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

橋本治 金言集 『絶滅女類図鑑』 読書メモ (コメントなし) <その5>

2012年05月15日 | マーケティング話
<その4>より続く。

■男女差別

江戸時代まで続いてきた古代社会の中では、「女も代表権を持てた」なのだが、江戸時代にはこれがなくなった。明治になって始まった近代社会では、この江戸時代の男権主義を受け継いで、「男にしか代表権がない」。
実のところ、近代になって新しく定着した男女差別というものも、あるのである。
(「ファースト・レディ、あんたが勘違い<裏>」266ページ)

■ファースト・レディ

「夫」という男は一人前の人格であるくせに、平気で「妻」というもののサポートを必要とする。「夫のサポートを求める妻」は、「だらしない」って言われるくせにな。
男は、「妻と家族がいること」を安定した社会的人格であることの証明のように求められて、女は「一人でなんでもやれる」ことを同じことの証明として求められる。「ファースト・レディ」という制度の歪みは、結局のところ、男の甘えのあらわれでしかないんだなーと、と私は思っているのだった。
(「ファースト・レディ、あんたが勘違い<裏>」274~275ページ)

■キャリア志向

そうして女には「キャリア志向」というわけのわかんないものはあっても、「出世」という、日本のサラリーマン社会の存在を前提にした発想がないのか、ということである。つまり、女には“自分”しかない。
(「女スチャラカ社員の明日はどっちだ<表>」282ページ)

■OLと男のサラリーマン社会

法則1:OLは、日本の男の社会には“自分”という思想が存在しないことを理解していない。

会社という個人の禁欲状況の中で、男はだらしないワイ談に走って、それをバカにする女が「ワガママだ」と言われるのは、要するに、日本の会社社会とは、「社員がまず第一に自分を消して入っていくところ」で、「仕事を通して自分をはっきりさせる」という女の世界観とは、初めっから相容れないところだからなのである。
つまり、日本の会社には“自分を確立させる仕事”というものは存在しないんだから、そんなもんは与えられっこないということがあるのである。
それを理解しないOLは「ウチの会社ダサイからヤ!」で転職しちゃうが、そんなもんは、自分から外に働きかけて、自分で作り出すしかないのである。

法則2:OLは、日本の会社が本来的に足長おじさんと思って、じっと日蔭の身分に耐えている。

法則3:OLは、女にとって一番重要なものは、愛ではなく自分の存在が許される場である。

<その6>に続く。

***************************************
竹内まりやのアルバム「Miss M」
このジャケ写は、「M」の刺繍の入ったセーターで、橋本治が編んだもの。





アナログのときのA面は「L.A. Side」でロス録音、B面は「Tokyo Side」で東京録音。
「Sweetest Music」(作詞:David Lasley/作曲:Peter Allen/編曲:Jay Graydon, David Foster)は、ロスの超一流ミュージシャン達の演奏。
彼女の数多いヒット曲の中でも、自分の中ではベスト3に入る曲です。
「Jポップの時代」、つまり90年代以降のファンは、ほとんど知らない曲ですけどね。

Mariya Takeuchi - Sweetest Music

(こういうエンディングです)

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,800突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。

欲望とは何かシリーズ <その1> SBJ 碩学舎ビジネス 田中洋先生

2012年05月13日 | マーケティング話
SBJ(碩学舎ビジネスジャーナル)Vol5.で、田中洋先生(中央大学大学院 戦略研究科 教授)の語るブランド論よりメモ。

■欲望の整理(基本的なカテゴライズ)

(1) 欠如としての欲望・・・もっとも基本的でわかりやすい
(2) 媒介としての欲望・・・「ジラールの欲望の三角形」とか(拙著 第2章 78ページ参照)
(3) 根源としての欲望・・・ジル・ドゥルーズの「欲望機械」。「何が」→「欲しい」でなく、「欲しい」→「何が」とか

■ポスト・カルテジアン消費

2007年、私が田中先生と初めてお会いした直後の記事参照。
*今回の記事は、このときの復習にもなる。
「身体と精神は別」としたデカルトに対する、メルロ=ポンティの「主客二元論批判」
  ⇒ ギースラー(Marks Giesler:カナダの消費者行動研究家)

■時間的な欲望

「空間的な欲望」に対する概念
 (例) 「お金を稼ぎたい」・・・自分の潜在的な可能性(自分のPowerを残しておく)

【タイプ1】の欲望・・・自分でよくわかっている
【タイプ2】の欲望・・・自分でわかっておらず、気づかせてもらってわかる(発見する)=「コンシューマインサイト」
【タイプ3】の欲望・・・将来的な希望 ⇒ 将来にわたって何かあり得ることのできるイメージがあって、それを実現できるかもしれないと希望する

■シェアリング(ベルグ)

「自己拡張の欲望」は、他人とぶつかる=人から嫌われる ⇒ (だから)隠す
相手のものを無理やり奪うよりは、シェアした方がお互いの得になることもある
 ⇒ 人間の社会発展の過程でビルトインされたものでは?

マーケティングがやってきた、計画的陳腐化でトレンドを作ろうという話とは逆
 ⇒ これも人間の本性の一部ではないか?

■欲望とは?(田中洋)

欲望とは、他者や社会とを共同領域化するための、時間的・空間的ま自己保存と拡張の融合への運動。
つまり欲望は空間的な次元と時間的な次元を持ち、自己保存と自己拡張でもあり、また自己と他者の融合(シェアリング)という両面を持っているのではないか?

***************************************
▼『コンテンツを求める私たちの「欲望」』
電子書籍(無料)、閲覧数5,800突破しました!

http://p.booklog.jp/book/43959
***************************************
お読み頂き有難うございます。
(↓)クリックの程、宜しくお願い申し上げます。