【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

音楽サブスクリプションサービスについて(『日経MJ』2015/08/28記事より)

2015年08月30日 | 音楽配信サービス
「LINEの強みは国内だけで5千万人以上というユーザー数。その強みを生かして音楽配信も広める作戦だった。だが、無料サービスを使い慣れたLINEユーザーに有料で音楽を聴く習慣を根づかせるのは難しい」

先週、8月28日の「日経MJ」の6面記事です。

当たり前じゃないっすか(笑)? 何を今さら。。

「今やデジタルコンテンツは無料で楽しむのが消費者の常識だ。定額制には楽曲を配信しないでネットでミュージックビデオを公開し、ライブやグッズ販売にファンを誘導するミュージシャン側の動きもこうした傾向に拍車をかけてきた」

どうも、2000年代の初め、(サブスクリプションではない)音楽配信が注目され、たとえばオリコンの小池恒社長とかが、「これからユーザーがバンバン配信で曲を購入するんで、バカスカ儲かるぞ!」と意気込んだものの当てが外れ、賢くも早々に撤退した歴史を繰り返しているように感じます。

やはり2000年代前半には、マーケティングの世界では超有名人の恩蔵先生が、「デジタル財は限りなく無料に近づいていく」という内容の論文を発表されています(一般的にはほぼ知られていないことですけど・・)。

サブスクリプションであれ「配信」は、音楽の「本質」ではなく、あくまでもメディア、流通形態の問題、つまり技術の問題であり、「文明」の問題です。「文化」は「後戻り」が可能といいますか、後戻りのように見えながらも「進化」「進化」する、つまり弁証法的な「進歩」が可能です。
しかし「文明」はリニアに進むことしかできません。
(それでも流通形態がイノベーションを起こしたこともありますけどね)

また、一口に音楽といっても音楽社会学(小泉)では大きく3つに分類しています。

1.スタンダードミュージック
2.コモンミュージック
3.パーソナルミューッジック

ビジネス戦略を考える際、この3分類は重要、ということを最近になって認識しました。

例えば、レコチョクさんには悪いですけど、ガラパゴス化という環境下、チープでロースペックな着メロ・着うたといったサービスは「2.コモンミュージック」ですね。規模的には「3.パーソナルミューッジック」を網羅した90年代後半までのフィジカル全盛期には及ばなかったわけです。
おそらくカラオケビジネスでは、若年層の「2.コモンミュージック」をボリュームとしながら、場のシチュエーションによっては「1.スタンダードミュージック」、最近の「お一人様カラオケ」では「3.パーソナルミューッジック」もカバー、ということじゃないかな? と思います。

また、「シェア」ということでは男女でその傾向が異なることも音楽社会学では常識です。
僕の手持ちのデータをチャチャっと解析するだけでも、その傾向は可視化できます(データは古いですが、普遍的傾向なので古いことはさほど問題ではありません)。

僕のビジネスプランでは、「1.スタンダードミュージック」がコアバリュー、ということになります。

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「平井ソニーの試金石 定額音楽配信でアップルに対抗-市場の見方」 Bloomberg.jpより

2012年04月28日 | 音楽配信サービス
「平井ソニーの試金石 定額音楽配信でアップルに対抗-市場の見方(1)」

「本業」のエレクトロニクスに回帰、よりもこちらのほうが興味深いです。

「ソニーは傘下にレコード会社ソニー・ミュージックエンタテインメントを持ち、マイケル・ジャクソンやホイットニー・ヒューストンといった大物アーティストの著作権を保有。本業のエレクトロニクスが赤字に悩む中、音楽事業は昨年10-12月期で首位の金融事業に次ぐ153億円の営業利益を稼いだ。」

「ゴールドマン・サックス証券の渡辺崇アナリストは「音楽コンテンツはソニー再生の切り札になり得る」と語る。さらに、携帯音楽プレーヤーの元祖であるウォークマンを大ヒットさせたソニーが、新たな配信手法でコンテンツ資産を有効活用することへの期待感を示す。」


今から2004年、AppleのiPod miniリリースの直前、音楽配信と携帯デジタルプレーヤーの消費者調査をしました。
当時、sonyのカニバリ(自社内競合)は酷いの一言でした。

おそらく縦割り組織の弊害が、sonyブランド失墜の大きな要因と考えてます。

「渡辺氏はしかし、ソニー内部では部門間の壁が依然高く、コンテンツ配信事業の展開も遅れているようだと述べている」

*タイトル写真は、自分がsony製品を初めて身近に感じるようになった「スカイセンサー」。

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iTunes Storeは日本でも独走か!?

2007年06月29日 | 音楽配信サービス
 こんにちわ! 自宅=仕事場の弊害(?)か、
 夜中の12時~朝4時、最もテンションが上がり頭が冴えてしまう井上秀二です(^_^;)。
 でも「朝型」転換を諦めたわけではございませんし夜も更けてきましたので(私の歳も、こっちは「老けて」か・・・)、今回は手短に。。。
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 先日、「CNET Japan」記事「iTunes、音楽販売でアマゾンを抜き業界3位-米調査」 を読みました。

 日本国内同様、音楽マーケットがシュリンクする米国で、
 (何と2007年前半の音楽販売は業界全体で20%のダウン!)
 「iTunes」のシェアは「amazon」を抜いてしまった!
 Wal-Martのようなパッケージ販売の小売業もダウンロード販売に参入し、
 これからも競争は激化していくことでしょう。

 しかし、NPDのシニアアナリストであるRuss Crupnick氏がコメントしているように、
 ユーザー・ベネフィットに忠実な「iTunes」は健闘するのではないかと私は考えます。

「もしAppleがより優れたシステムを提供しなかったら、デジタル音楽の新規ユーザーがこれほど増えることはなかっただろう」(Russ Crupnick氏)

 日本でもこの6月から、
 ワーナーミュージック・ジャパンさんの楽曲が「iTunes Store」で購入可能になりました。

 さらに、「Yahoo! ミュージック」でも「Music Download on iTunes」がスタート(「CNET Japan」より)。

 国内における「Yahoo! ミュージック」と「iTunes Store」のデータを眺めれば、
 「さもありなん!」 という感も否めないところです。
 「Yahoo!」さん、動画でしょ

 このデータ(↓)は、㈱ライブドアさんが3月に実施したネットリサーチ結果です。

  ◆【音楽配信】「使ってみたい音楽ダウンロードサイトは?」

   1.iTune Music Store 23.6%
   2.TSUTAYA Online 14.6%
   3.Yahoo! ミュージック 11.8%
     (以下、省略させていただきます)

 複数回答で利用意向を聞かれておりますが、
 「音楽をダウンロード購入しようとは思わない」も選択肢に入ってますね。
 この選択肢を除いた、実際のユーザーの利用動向は、
 ライブドアさんとのコラボレートで私が執筆させて頂いたこちらの資料に詳しく記しました。

  

 アクセス経験率の高い「Yahoo! ミュージック」での購入比率は?
 「iTMS」での購入比率は?
 ヘビーユーザーの購入動向は?
 そして携帯ユーザーの利用意向は?

 その辺りも詳細に分析しております。

 どうもこのブログの「音楽配信カテゴリ」、執筆レポートの宣伝が目立っているかもしれませんが、
 こういうデータの活用は大切ですからね。
 個人様向けの資料ならともかく、企業様向け資料でたかが6万5千円ですからね。

勢いで参入して撤退する損失
を考えれば安いもんです。


 (注)私も営業いたしますが、販売窓口は㈱ライブドアさん一本です。

 そして、、、
 多くの皆さんが一様に「日本では携帯! 携帯!」とおっしゃいますけどね。
 それは今現在の話でしょ?

 今後のマーケットの動向は?
 自社はマーケットでどのようなポジショニングが可能なのか?
 セグメントは? ターゲットは?(思い込みではなくね・・・)

 そういう戦略立案や戦略のメンテナンスのためにこういう資料が存在し、
 さらにはコンサルティング・サービスもあるのです。
 (個別案件は㈱ライブドアさんにご依頼頂ければ、私も稼動いたします)

 プロモーションについて考えてみて下さい。
 安価なプロモは大した効果を生みませんよね。
 「Web2.0時代」でもそれは変わりませんよ。
 「ロングテール」のヘッドの部分はね。勘違いしないで下さいね。
 そして、戦略立案でも同じことが言えるんです。

 このままでは、
 戦略立案のマーケティング・リサーチにお金をかけるごく一部の既存企業と
 新規参入企業のみが極少数の「勝ち組」となり、
 従来のプロモ偏重企業が凋落していくことは目に見えています。

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音楽配信動向で気にかかる「体質」

2007年05月22日 | 音楽配信サービス
 5月18日付の「C-NET Japan」の記事によると、Amazonは米国時間5月16日、
 レコードレーベルのEMI Groupが保有するDRMフリーのデジタル楽曲を販売する計画を
 発表したとのことです。

 ◆DRMフリーの楽曲販売--アップルとアマゾンが握る普及のカギ

   文:Greg Sandoval(CNET News.com)

 AmazonのDRMフリーの楽曲は同社がまもなく開設するダウンロードストアで販売され、
 Appleの「iPod」やMicrosoftの「Zune」をはじめ、さまざまなポータブルミュージックプレーヤーで再生できる。
 AppleはAmazonの発表に先立ち、EMIが保有するDRMフリーの楽曲発売を4月発表していた。

 「4月のEMIさん発表」についての私の見解は、既にこのブログにて書かせて頂きました。

 国内でのPC向け音楽配信ビジネスをユーザー視点から分析した結果も、
 リリースから2ヶ月以上が経過しました。
  

 今回のAmazonを中心としたDRMフリーの記事についても、
 多くの方が「C-NET Japan」にトラックバックを貼っていらっしゃいますし、
 ここでは細かいことを言うつもりはありません。

 そこで、些細なようですが、とても大きな問題について書かせて頂こうと思います。

 あるレコード会社の匿名希望の幹部は、
 「業界による何らかのコントロールを実現したのはDRMだけだ」と語っている。


 「C-NET Japan」から引用させて頂いたこのセンテンス、米国だけではなく日本でも
 本質的な問題を孕んでいるのです。

 何の問題???

 それは、従来型のビジネスモデルを時代の流れから必死に守ろうと、
 デジタル音楽配信の流れを何とかして食い止めるか、問題の解決を先伸ばしにしてきた
 「音楽業界」の本質的な姿を象徴した言葉なのです。

 (そもそも、市場規模を拡大に大きく寄与した「CD」だってデジタルの恩恵なんですからね-苦笑)

 そりゃ、音楽制作の現場の方々の誇りとプライドはわかります。
 いつの間にか通信業者をはじめとする「新しいプレーヤー」が音楽制作の果実を
 もぎ取っていくような「悔しさ」だってわかります。
 何とかして音楽本来のイニシアティブを示したいし守りたいでしょう。

 このブログを読まれて私の経歴をおわかりの方は、
 私が「音楽」に対してどのような想いを持っているのかご理解頂けると思います。

 しかし、米国のあるレコード会社幹部(匿名希望)の
 「業界による何らかのコントロールを実現したのはDRMだけだ」
 という発言に同情し、理解を示すことを私はできません。

 日本の「音楽業界」やその取り巻きの方々の中にも、こういった狭い業界内での
 馴れ合いに慣れきった方々を多く見ることができます。

 よく聞く「茹で蛙」のエピソードをご存知でしょうか?

   蛙を鍋に入れて火をつける。

   いきなり温めると蛙は鍋から飛び出すが、

   徐々に水温を上げていくと鍋から脱出することなく

   茹であがって死んでしまう。

 実を言いますと、「業界内」におけるこんなプロセスを私は見てきたのです。
 しかも当事者としてね。
 (結局、茹であがって死ぬ前に、皆、鍋から放り出されましたが)

 破壊的イノベーション
としてのデジタル音楽配信ビジネスと、iPodに代表される音楽ライフスタイル。

 イノベーションの流れに逆らうことなく、味方にする術を考えていくこと。
 それが肝要です。

 「音楽バカ」だけの人には無理な話でしょうけどね。
 「経済」「社会」「制度」「技術」、そして生活者のライフスタイルの変化を考えられない人には(^_^;)。

 ところで、話は変わりますが、

 わが国でも最もシェアの高いデジタル・ミュージック・ストアにおいて、
 わが国を代表する大手レコードメーカーさんの楽曲が販売されていないという事実について少々。

 このようなことは実にナンセンスな
 「囲い込みマーケティング」
 であるというのが私の見解です。

 すなわち、
 ユーザーのパイは広がらないという前提
 に立ったスタンスにあるということなのです。

 デジタル配信ビジネスに対する基本的な思想が、よ~く見てとれます。

 口の悪い表現ですと、「Web0.5的マーケティング」

 そりゃ、パッケージ商品のマーケットがシュリンクすれば弱気になりますわなw

 実は、音楽に対する生活者のニーズとウォンツは高まりこそすれ、衰えてはいないのですが。

 (衰えているのは、あなた方の旧来型ビジネスモデルなのです)

 またまた話は変わりますが、、、

 私が飯原経営研究所マーケティング・グループ時代に作成したマーケティング・レポートも、
 「ロングテール商品」として、今日に至るまでご注文を頂いております。
 (それも2004年リリースの旧作まで!!!)

 勿論、新作もステークホルダーの皆様とともに作成していきますが。

 で、旧レポートですが、私も飯原経営研究所と販売代理契約を結んでおりますし、
 私自身がご注文を頂いたほうが「実入り」はいいわけです。

 しかし、私はエンドユーザーの皆様を「囲い込んで」、チャネルを限定するようなことはしません。

 よって、現在でも営業力と集客力のあるステークホルダー企業の皆様に販売をお願いしています。

 今月もレポセン(株式会社ボーダーズ)さんに一部レポートの販売をお願いいたしました。

 まだまだ潜在顧客の皆様はいらっしゃると考えているからです。

 まぁ、「mora」と「iTMS」の関係と、私のレポート販売チャネルのアナロジーは飛躍しすぎですかな(自爆笑)。。。

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レコ協さんの2006年度「音楽メディアユーザー実態調査」ですが一点だけ?

2007年04月06日 | 音楽配信サービス
 こんにちわ!(実は「こんばんわ!」なんですが・・・)、井上秀二です。

 先程、「CNET Japan」「IT-media」を覗いたところ、社団法人日本レコード協会さんの、

 2006年度「音楽メディアユーザー実態調査」

の記事を目にしました。

 この調査は毎年実施されており、時系列の比較もできますので、音楽業界では重宝されています。

 公表版のPDFファイルも拝見させて頂きました。

 調査方法は、「質問紙による面接留置き自記入式」。
 うう~ん! マンダム、いや、ご予算あるんですね♪
 なんて話ではありません(^_^;)。
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 調査結果は、<公表版>とはいえ、とても興味深いですね。貴重です。

 生活者の音楽消費行動を、CD購入・レンタルから、携帯配信(「着メロ」「着うた」「着うたフル」)、PC向け配信まで網羅し調査されています。(但し、調査エリアは東京30㎞圏ですが・・・)

 先月、このブログで、珍しく宣伝させて頂きましたが、
 3月に私は、ライブドア様とのコラボによる
 『音楽配信サービス利用実態調査レポート2006』を作成いたしました。

 調査テーマは「PC向け音楽配信」。
 もちろん、携帯配信や一般的なCD購入・レンタル、音楽情報入手チャネルなどの結果を集計・分析・レポーティングいたしましたが、調査方法はインターネットリサーチです。

 母集団も異なりますし、日本レコード協会さんの調査結果と単純に比較することはできません。

 サンプル数 : レコ協さん=1,200名、私=2,191名
 調査エリア : レコ協さん=東京30㎞圏、私=全国
 調査方法  : レコ協さん=質問紙面接留置き自記入式、私=ネットリサーチ

 そもそも調査設計も違いますから、質問内容及びワーディング(聞き方)も異なり、自ずと異なった数値になるのです。
 (もし全く同じ質問文であっても、並び順によって回答結果が異なることもあるのです)

 しかし、それでもレコ協さんの調査で、一点だけ気にかかった結果がありました。

 公表版のPDFファイルの18ページ、有料音楽配信を利用しない理由です。

 購入したCDで音楽を聴くほうが良いからが27.8%で最多

 複数回答による調査結果によると、

   1.購入したCDで音楽を聴くほうが良いから(27.8%)
   2.どのサイトを利用してよいかわからないから(23.3%)
   3.支払の仕方が不安だから(22.2%)
   4.レンタルCDで音楽を聴くほうが良いから(18.7%)
   5.値段が高いから(16.3%)

という項目がトップ5となっています。(「その他」を含めて全15項目)

 第一位の「購入したCDで音楽を聴くほうが良いから」は、
 前年の41.6%から13.8%もポイントを下げているものの、トップですね。

 母数は、「インターネットによる有料音楽配信サービスを利用していない人」なので、
 当然、「インターネットのノンユーザ」も含まれている訳です。

 その人たちは、

   9.インターネットに接続する環境にないから(10.7%)

にチェックを入れている(回答している)ものと推察されます。複数回答なので、他の項目にもチェックを入れていると推察できますが。
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 散々、「単純比較は出来ません!」と言ったものの、
 私の調査データは、
 インターネットユーザのみを対象としており、
 それでもなおダウンロードをしたことがない理由を聞きました。

 販売レポートのため数値は記載できず恐縮ですが、複数回答による結果は、

   1.1曲あたりの値段が高い
   2.レンタルで間に合うから
   3.CDで買いたいから
   4.ダウンロードしたい曲がない
   5.コピー防止制限が厳しすぎる

の順でした。(「その他」を含めて全17項目)

 ちなみに数値は、「1曲あたりの値段が高い」がダントツ。

 レコ協さんの調査結果では第一位だった「購入したCDで音楽を聴くほうが良いから」と類似した、「CDで買いたいから」を、約30ポイントの差で引き離しています。

 もちろん、「購入したCDで音楽を聴くほうが良いから」と「CDで買いたいから」では、回答数値が異なるでしょう。
 それに私の質問項目には、「どのサイトを利用してよいかわからないから」はありません。
 (リテラシーの高いネットユーザを対象としているからです)
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どちらの結果がどうだこうだ

と言うつもりはありません。あくまでも別調査なのです。(理由は前述の通りです)

その意味では“唯一無二の真実”などなく、
「仮説」は何通りもあるのです。


 私が気に掛かったのは、レコ協さんの調査で、
 音楽配信サービスを利用しない理由の第一位が、
 「購入したCDで音楽を聴くほうが良いから」だ、という結果のみを、
 業界の皆さんが鵜呑みにされるのはどうかな? と思ったことなんです。

 一つの調査結果からだけでなく、多角的な視点からの分析も必要なときもあるんですね。
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「ORICON STYLE」PC向け音楽配信を終了

2006年11月02日 | 音楽配信サービス
 11月1日、オリコンさんがPC向け音楽配信事業からの撤退を発表されました。

 月間2,500万円の営業赤字を出しており、11月末で販売を終了、2006年9月中間期に特別損失3億1,000万円を計上する見通しとのことです。

■有料音楽配信市場、PC向けは「導入期→成長前期」

 (社)日本レコード協会さんの統計によると、2006年1~6月の有料音楽配信売上は、数量ベース179万回(対前年比162%)、金額ベース248億円(同174%)です。

 導入期から成長期に入った有料音楽配信市場ですが、日本の場合はモバイル先行でしたね。まだ構成比では数量で93.4%、金額で89.7%がモバイルです。

 但し、対前年比で見るとモバイルの数量154%、金額162%に対し、PC向け音楽配信(インターネットダウンロード)は、数量551%、金額457%

 つまり、PC向け音楽配信市場は、未だ導入期→成長前期にあるということです。
 導入期ということは、市場は今後伸びていくでしょう。
 昨年、私が前職で実施したユーザー調査でも、「PC中心の音楽配信利用意向が高いこと」がわかりました。

■プレーヤー企業の合従連衡・淘汰

 いくら「導入期→成長前期」にあって伸び率が高いといっても、PC向け音楽配信は数量で1,200万回、金額で25億円の極めて小さな市場です(2006年上半期)。

 まだ小さな市場のパイをめぐって数多くのプレーヤー企業がしのぎを削っているのが現状です。しかも「商品」となる楽曲での「差別化」は難しいですね。
 皆さんよくご存知の「iTunes Music Store」がマーケットリーダー。そして「mora」が続きます。他社の今後の動向については様々な憶測が飛びかっています(内容はここでは書けません)。

 各社とも、採算をとれるようになるまでの資金調達力、財務体力の強化に必死でしょう。そんな中で企業体力の強いオリコンさんが、1年8ヶ月という短い期間で撤退を表明したのは何故なのでしょうか?
 「月間2,500万円の営業赤字」に至った背景を数字でアナライシスすることはここでは出来ません。但し、ユーザー調査結果(2005年実施)から得られた私の知見により推測できることはあります。

■ブランド力とユーザー特性

 昨年8月、「iTunes Music Store」上陸直後に行ったユーザー調査によると、アクセス比率が最も高かったは「Yahoo! ミュージック」。次に高かったのが「ORICON STYLE」でした。
 但し、楽曲購入比率が最も高かったのが「mora」、上陸直後にもかかわらず「iTunes Music Store」が2位につけました。

 「Yahoo! ミュージック」と「ORICON STYLE」の特色を一言で言うと、

  ユーザーからのアクセス率は高いものの、楽曲購入率は低く、しかもその差は大きい

ということです。

 一般的に有料音楽配信サイトでの楽曲購入(ダウンロード)は、年齢層別では「10代」が最も低く、年齢層の上昇に従って増加する傾向にあります(2005年調査結果)。

 年齢層別に各サイトでの購入傾向を見ると、「ORICON STYLE」では「10代(特に男性)」の購入比率が高く、「30代」「40代」で著しく低くなっていました。対照的なのが「iTunes Music Store」でした。ちなみに「mora」は「10代」の購入比率が高かったものの、「30代以上」で比率が著しく下がることはありませんでした。

 ここから言えることは、「10代」からのアクセス・楽曲購入が高い傾向にある「ORICON STYLE」は、不利なポジションにあったということです。

 今年7月のネットレイティングスさん調査結果によると、「ORICON STYLE」への家庭用PCからのアクセス数が増加しているとのことでした。しかも、「総ページビュー数の35%を19歳以下の閲覧が占めている」とのこと。
 ネットレイティングスさんは「ORICON STYLE」を、「10代の熱心な利用状況の例があまりない中で、ポータルサイトとしてユニークな存在」と位置づけていました。

 ところが、これは有料音楽配信にとって必ずしも好ましいとは言えない傾向だったのです。

 そして最も大きなマイナス要因として考えられるのは、ヒットチャート情報発信企業(しかもビジネスモデルはB to B)としての圧倒的なブランド力と、「楽曲販売」という新規事業のミスマッチではないでしょうか。

 もちろん、最新のヒット曲を見に来たユーザーが、簡単なクリックで楽曲を購入できるという利便性はあります。しかし、ユーザーがサイトを訪れる目的(意識的・無意識的を問いません)を、「購入」というアクションに結びつけることは簡単なようで難しいんですね。その上、最新のヒットチャート情報に最も敏感なのは「10代」です。

 第一に、長い歴史に培われた大きなブランド力が柔軟性を欠いていた
 第二に、ユーザー特性を新規事業に活かすのに無理があった

 今回の残念な事態から私が導き出した知見は上記2点です。
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 現在、私は、前職でのユーザー調査とは一線を画した上で、2006年版ユーザー調査の準備を進めております。コラボレーション企業様のおかげでより充実した調査結果を得られることは間違いないものと確信しております。
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