【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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『知性を磨く』(田坂広志著、2014年5月刊、光文社新書)

2014年09月29日 | 書評
著者も本書で記している通り、当然ながら書籍を読んだだけでは「知識」は身についても「知恵」は身に付かない。

「知識」とは「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
「知恵」とは、言葉で表せるないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。
(同書54ページより)

それでも「知識」という基礎がなければ「知恵」は身に付かんよね。
さらに「経験」も「体験」にまで昇華せんと何にもならんわけだ。
「体験」にまで昇華せんと、若い人達を育てることもできん。
短絡的な人達は、単純にベテランを若手育成に「利用」しようとする。
ベテランも若手に「利用」されるが、若手に「スキル」が身に付く、つまり「育つ」ということは難しい。
「スキル」の伝承というのはシステマティックにはいかんもんだからだ。
人様への批判だけでなく、自戒の意味を込めて言ってる。
ベテランと言っても(自分も含めて)「経験」を「体験」にまで高めてる人って、そう多くはない。
本当に若手を育てたいなら、自分はあまりしゃしゃり出ないこと。
若手の人に内発的に「学ぼう」という意識を持ってもらわないと、その場しのぎの「稼ぎ」になるだけだ。。
あと、極端な方法にはなるが、時と場合、相手にもよるけど、とても効果的なのは、まず若手に「失敗」させること(笑)。
これは本書に書かれてることではなく、自分の持論でしかないが、相当、相手に対する愛情とそれなりの関係性がある場合に限られるけど。
自分がこの本を読んでの感想だけど、「経験」だけのベテランは、若手から「凄いですね!」と言われても、自分の「経験」を語り出すとウザがられるだけ。
対して、「経験」を「体験」まで高めた人は、あれこれ言わなくても若手がついてくる。つまり「背中を見せられる」人ね。そんな感じじゃないかと思う。

閑話休題。
「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」。
それらが「垂直統合」されると「一つの知性」となる。

<個人的に切迫した課題について(メモ)>

(1)「言葉」が世界を分節化してしまう怖さ。そして、それが「心」を支配してしまう怖さ
⇒ 「自己限定の意識」からの解放へ

(2)「自分の心」の動きを理解しなければ、「他人の心の動き」「集団の心」の動きも理解できない
⇒ よく営業の心得とかでクライアントの心の動きを、なんて言われるが、その前に自分の心だね。自分のことが一番わからん。

(3) 「多重人格のマネジメント」が抑圧している「深層意識」の解放とマネジメント
⇒ よく定性調査とかで「深層意識」とか気軽に言うけど、まずは自分自身ということかな。

ヘーゲル、マルクス(弁証法)をはじめとした哲学を愛し内面化しつつ、ビジネスパーソン向けの書籍を数多く出版している。
こんな人はなかなかいない。

知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~ 光文社新書
田坂 広志
光文社


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『オルタナティブロックの社会学』(南田勝也著、花伝社 (2014年4月5日刊)

2014年09月25日 | 書評
ヤバい!
タイトルに「週一更新」とあるのに「月一更新」となってしまった。。
FACEBOOKは毎日記事を書いとるにのに。
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『ロックミュージックの社会学』(2001年、青弓社)の著者、南田勝也の力作。
すんごく単純化してまとめると、おおよそ90年を境とした「オルタナティブ」「グランジ」と、その前の「ロック」との違いはこういうことになる。
「黒いか黒くないか?」「波の音楽から渦の音楽へ」。

また、「セックス・ドラッグ・RR」の時代との違いとして、大きな潮流ではないものの、2000年代以降、Xスポーツなどとの親和性(「ストレートエッジ思想」など)も挙げられる(「ロックのスポーツ化」南田)
そこまでいかなくても、ノイジーなサウンドに対する鋭敏性が研ぎ澄まされ(どうりで30年前のうちのバンドのCDが2000年以降、再発されたわけだ。本書では、メジャーの規制からの解放を顕示する露悪的なアートへ沈溺していった80年代の「暗黒インディーズ」と表現されているが・・)、大音響に増幅されて聴衆の身体全体に働きかけている。
ロックは「個人表現という再帰的なイデオロギー」にいつまでも縛られているわけでなく、ダンス音楽と同様、身体の運動機能に直接振動を与える音楽となっている(同書137ページより)。

DJとレイヴの文化は「反復的なサウンド構造に酔いしれ、個人のアイデンティティを溶解させる」が、そこまでではなくとも、オルタナ以降のロックにはそんな要素も。

南田氏のことだから、本書にも当然、語られて久しいネットのメリット・デメリットもまとめられている(Push型とPull型など)。
そのあたりのこと、例えば「文化的な寛容・不寛容さ」とか「サイバーカスケード現象」とか興味のある人はご自身で読んでね。
欲を言えば、メリットの側面を、実態に即して深堀してほしかった。
1957年当時の米国で、(1)白人中産階級向けポピュラー、(2)白人労働者階級向けカントリー&ウエスタン、(3)アフリカ系アメリカ人向けのリズム&ブルーズという3つのジャンルがクロスオーバーしていったのは、ラジオの影響であったこと。
それがネット社会では? といったところか。
ま、自分で考えろってことだろうね。
尤も、どんな業種・業態でも言えることだけど(あんましマーケティングという言葉は使いたくないね。皆さんの定義はバラバラだし、限定的に理解されっからね・・)Push型とPull型はどっちが優れてるということではないからね。
そのあたりは、新し物好きで、金にならないとなるとすぐに忘れさせる(「消費」させ尽くしてしまう)マスコミ・ジャーナリズムに振り回されないようにしましょうね。

オルタナティブロックの社会学
南田 勝也
花伝社


ロックミュージックの社会学 (青弓社ライブラリー)
南田 勝也
青弓社

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