【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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音楽配信動向で気にかかる「体質」

2007年05月22日 | 音楽配信サービス
 5月18日付の「C-NET Japan」の記事によると、Amazonは米国時間5月16日、
 レコードレーベルのEMI Groupが保有するDRMフリーのデジタル楽曲を販売する計画を
 発表したとのことです。

 ◆DRMフリーの楽曲販売--アップルとアマゾンが握る普及のカギ

   文:Greg Sandoval(CNET News.com)

 AmazonのDRMフリーの楽曲は同社がまもなく開設するダウンロードストアで販売され、
 Appleの「iPod」やMicrosoftの「Zune」をはじめ、さまざまなポータブルミュージックプレーヤーで再生できる。
 AppleはAmazonの発表に先立ち、EMIが保有するDRMフリーの楽曲発売を4月発表していた。

 「4月のEMIさん発表」についての私の見解は、既にこのブログにて書かせて頂きました。

 国内でのPC向け音楽配信ビジネスをユーザー視点から分析した結果も、
 リリースから2ヶ月以上が経過しました。
  

 今回のAmazonを中心としたDRMフリーの記事についても、
 多くの方が「C-NET Japan」にトラックバックを貼っていらっしゃいますし、
 ここでは細かいことを言うつもりはありません。

 そこで、些細なようですが、とても大きな問題について書かせて頂こうと思います。

 あるレコード会社の匿名希望の幹部は、
 「業界による何らかのコントロールを実現したのはDRMだけだ」と語っている。


 「C-NET Japan」から引用させて頂いたこのセンテンス、米国だけではなく日本でも
 本質的な問題を孕んでいるのです。

 何の問題???

 それは、従来型のビジネスモデルを時代の流れから必死に守ろうと、
 デジタル音楽配信の流れを何とかして食い止めるか、問題の解決を先伸ばしにしてきた
 「音楽業界」の本質的な姿を象徴した言葉なのです。

 (そもそも、市場規模を拡大に大きく寄与した「CD」だってデジタルの恩恵なんですからね-苦笑)

 そりゃ、音楽制作の現場の方々の誇りとプライドはわかります。
 いつの間にか通信業者をはじめとする「新しいプレーヤー」が音楽制作の果実を
 もぎ取っていくような「悔しさ」だってわかります。
 何とかして音楽本来のイニシアティブを示したいし守りたいでしょう。

 このブログを読まれて私の経歴をおわかりの方は、
 私が「音楽」に対してどのような想いを持っているのかご理解頂けると思います。

 しかし、米国のあるレコード会社幹部(匿名希望)の
 「業界による何らかのコントロールを実現したのはDRMだけだ」
 という発言に同情し、理解を示すことを私はできません。

 日本の「音楽業界」やその取り巻きの方々の中にも、こういった狭い業界内での
 馴れ合いに慣れきった方々を多く見ることができます。

 よく聞く「茹で蛙」のエピソードをご存知でしょうか?

   蛙を鍋に入れて火をつける。

   いきなり温めると蛙は鍋から飛び出すが、

   徐々に水温を上げていくと鍋から脱出することなく

   茹であがって死んでしまう。

 実を言いますと、「業界内」におけるこんなプロセスを私は見てきたのです。
 しかも当事者としてね。
 (結局、茹であがって死ぬ前に、皆、鍋から放り出されましたが)

 破壊的イノベーション
としてのデジタル音楽配信ビジネスと、iPodに代表される音楽ライフスタイル。

 イノベーションの流れに逆らうことなく、味方にする術を考えていくこと。
 それが肝要です。

 「音楽バカ」だけの人には無理な話でしょうけどね。
 「経済」「社会」「制度」「技術」、そして生活者のライフスタイルの変化を考えられない人には(^_^;)。

 ところで、話は変わりますが、

 わが国でも最もシェアの高いデジタル・ミュージック・ストアにおいて、
 わが国を代表する大手レコードメーカーさんの楽曲が販売されていないという事実について少々。

 このようなことは実にナンセンスな
 「囲い込みマーケティング」
 であるというのが私の見解です。

 すなわち、
 ユーザーのパイは広がらないという前提
 に立ったスタンスにあるということなのです。

 デジタル配信ビジネスに対する基本的な思想が、よ~く見てとれます。

 口の悪い表現ですと、「Web0.5的マーケティング」

 そりゃ、パッケージ商品のマーケットがシュリンクすれば弱気になりますわなw

 実は、音楽に対する生活者のニーズとウォンツは高まりこそすれ、衰えてはいないのですが。

 (衰えているのは、あなた方の旧来型ビジネスモデルなのです)

 またまた話は変わりますが、、、

 私が飯原経営研究所マーケティング・グループ時代に作成したマーケティング・レポートも、
 「ロングテール商品」として、今日に至るまでご注文を頂いております。
 (それも2004年リリースの旧作まで!!!)

 勿論、新作もステークホルダーの皆様とともに作成していきますが。

 で、旧レポートですが、私も飯原経営研究所と販売代理契約を結んでおりますし、
 私自身がご注文を頂いたほうが「実入り」はいいわけです。

 しかし、私はエンドユーザーの皆様を「囲い込んで」、チャネルを限定するようなことはしません。

 よって、現在でも営業力と集客力のあるステークホルダー企業の皆様に販売をお願いしています。

 今月もレポセン(株式会社ボーダーズ)さんに一部レポートの販売をお願いいたしました。

 まだまだ潜在顧客の皆様はいらっしゃると考えているからです。

 まぁ、「mora」と「iTMS」の関係と、私のレポート販売チャネルのアナロジーは飛躍しすぎですかな(自爆笑)。。。

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