【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

『マーケティングは進化する』(水野誠著、同文館出版、2014年6月刊)

2014年07月14日 | 書評
今までわかったつもりだったことを、根本から見直し、自分の中で再構成でき、かつ、新しい視座も獲得できた。

2年前の今頃、ミュージックソムリエ協会事務局で理事長、副理事長とミュージックソムリエ養成講座を企画していた頃を思い出した。
ワインソムリエとも野菜ソムリエとも違う。今まで世の中に存在していない存在。
重要なことは、(1)ターゲティングと(2)価格設定だった。
どんなペルソナかとか? いや、ペルソナなんて必要なのか?とか。
もし仮に協会に潤沢な資金があったとしても、調査会社を使って調査するなんてことはなかったろうね。
お金をドブに捨てるようなものだからだ。
明大の水野先生のこのご著作によれば、そういう調査は「トップダウンマーケティング」。
こちらは「ボトムアップマーケティング」だったということになる。
実行には移せなかったけど、副理事長が言ったように、自分達の身の回りの友達(リアル・バーチャル)で、「受講しそうな人」にヒアリングしてみるというのが最も現実的な方法だった。
そこで価格を設定するという。
価格設定は難しかった。
客観的になろうにも、自分達の懐事情とかで、どうしても主観が入らざるを得ない。
「希望的」な「バイアス」ね。実体験しないとわかんないことだけど。当初、「どんな人達が受講してくれるのか?」で色んな仮説を出した。

第7期があと試験のみという現在、仮説通りのことと、仮説とは若干異なっていたこと、などが出てきて面白い。
性別・年齢・職業のようなデモグラ属性もそうだが、ボトムアップマーケティングで大切なのは「トライブ」だよね。
理事長が「ペルソナとか決めないでいいよ」と言っていたのは、そのあたりを経験的に熟知されたからかも?
デモグラ属性では区分できない「トライブ(部族)」。
この数年、徐々に色んな本で書かれ始めてきたけど、いよいよ水野先生のような本格的な消費者行動研究者のご著作にも登場。

で、ボトムアップでもトップダウンでも、新しい商品やサービスって、「やってみなけりゃわからない」ということね。
それが面白みでもあるんだけど(でも、コンサルタントさんはそう言っちゃだめよ・・)。
トップダウンマーケティングの事前の調査とかは、精度を高めたり、社内でゴーサインを出すとかそういう「素材」以上でも以下でもない。
もちろん調査ってのは重要な「手段」だけどそういう認識は大切だよね。

マーケティングは進化する -クリエイティブなMaket+ingの発想-
クリエーター情報なし
同文館出版

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『統計思考入門』(水越孝著、プレジデント社、2014年4月刊)

2014年07月12日 | 書評
株式会社矢野経済研究所 代表取締役社長 水越孝氏のご著作。

実務のための統計手法とその基本的な考え方のいい復習になった。
実務の初心者にも向いていると思う。

多変量解析のガイドブックは数多あれど、B to Cメインの調査会社の経営者が著者であることによる独自色が濃い。
その意味では貴重な入門書である。
最も優れているポイントは、「解説のための解説」本ではなく、実務レベルでの経営課題解決という目的が本書全体に貫かれていることだ。
数量化Ⅲ類の解説では、「不明瞭な現実」を受け入れた上での戦略的ターゲティングの重要性を説いている。

財務諸表の諸指標(例えば「対売上高原価率」ほか)を変数にクラスタ分析をかけ、業態などの固定概念に縛られることなく、企業体質をカテゴライズ。
これには驚いた(笑)。
こういう発想って天才的だよねと(ずっとB to Cの解析しか頭になかった自分が知らなかっただけ?)。

あと、私も知らなかったが「仮想的的市場評価法」(Contingent Valuation Method)、略してCVM。
このあたりはコンサルティング領域だろう。
成熟社会においてその重要性が高まる可能を感じる。

本書の最後、こんな記述がある。

「Aさんは早々、近藤部長に分析の結果を報告しました。近藤部長の良いところは、自分の考えにやみくもに固執することなく、部下の意見にも広く耳を傾け、合理的な提案であればただちに採用する点です。今回もAさんの意見を受け容れ、早々部下に大号令を発しました」(204ページより)
おそらく、この近藤部長って著者のような気がするのだが、気のせいだろうか(?)。

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プレジデント社

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