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【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

芥川賞2作 雑感

2015年10月12日 | 書評
ようやっと芥川賞二作読みました。
又吉のほうはやたらとリアル過ぎ。
吉祥寺から上石神井とか。高円寺の公園はあそこでしょ、とか。
下積み芸人の生活もリアル。
又吉はメタ認知の達人だと思います。
売れることの背景にはこんな師弟関係もある。
それはミュージシャンも同じかと。
大学を出たばかりの私が熱中した古井由吉が大好きという又吉の将来の作品が楽しみです。

羽田のほうは、高度成長期に生まれた多摩エリアのニュータウンの現在形を、心象風景とともに、とてもよく表現しているなと感じました。
それは現代日本の象徴のひとつでしょう。
こちらはすでにプロの物書きですしね。
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『脳はどこまでコントロールできるか? 』(中野信子著、ベスト新書、2014年8月19日刊)

2015年06月28日 | 書評
「割れ窓理論」という心理学用語を聞いたことのある人は少なくないと思います。

落書きだらけだったニューヨークの地下鉄が綺麗になった、犯罪が減った例が有名です。人には秩序の乱れがあるとそれに同調してしまう、ゴミが落ちていれば、ゴミがどんどん増えて、やがては犯罪に、という性質があることです。

中野氏は、人にも同じことがあてはまると言います。

「人間は、自分を大事にしている人を粗末に扱うのには、抵抗を感じます。しかし自分で自分を粗末に扱っている人には、こちらも同じように粗末に扱ってもいいような気分になってしまうのです。」

昔の自分を振り返るとよく理解できます。馬鹿な酒の飲み方をして、記憶が飛んだり、死んでも決しておかしくなかったいくつもの醜態をさらしたこともありました。さらに、そんな体験を武勇伝のように考えたり、人に吹聴したり。。
世の中一般の「常識」にあらがうようですが、ヤケ酒のような悪い酒はNGですね。お酒は気分のいいときにこそ飲むものなのです。
今では楽しい酒席にしか参加しません。ま、ヤケ酒を飲みたい人のお誘いにはのって話だけは聞きますけどね。
自分の経験で酒席のことを例に出しましたが、身だしなみとか、部屋をきれいにすることとかも、結局は自分を大事にすること、だったんですね。

脳はどこまでコントロールできるか? (ベスト新書)
中野 信子
ベストセラーズ


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『たったの4STEPでこんなに通る!プレゼン』(家弓正彦著、明日香出版社、2015年5月15日刊)

2015年06月24日 | 書評
私の大学の一年先輩(初めてお会いしたのは11年前ですが)、銀座にあるコンサルティング会社、株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦先輩の新著です。

過去数年、私が家弓先輩の「仕事塾」に参加し聴いた重要なポイントを改めて再確認できました。
たとえば、「ニーズの意味の勘違い」ですね。
顧客の発した「ニーズ」は「手段」であることが多く、「目的」まで察することが必要。
顧客の「語ること」をそのまま忠実に「ニーズ」と勘違いするケースは少なくありません。
特にスキルと経験の乏しい営業職の方は要注意です。
そこで必要なのが「Whyを5回繰り返す」だったりします。

あと、以前、私も書きましたが、超基本的なこと。
いきなりPCでパワポを作成に取り掛かるのはNGですよとか。

また、営業プレゼンアプローチでも社内向け問題解決アプローチでも、「AIDMAモデル」でゴールまでのプロセスを体系的に明確化する、というのは本書を読んで目から鱗でした。

他にも、定量的データを棒グラフで表現するところを、マトリクスでビジュアライズするというのは、コンサルならではの見せ方。
調査関係のワーカーには刺激的だと思います。

私達でしたら「普通」に「無意識的」に選ぶチャートにしても、「分解表現」「特性表現」「時間軸表現」と体系的に把握することも、さすが先輩、コンサルタントですねとヨイショしておきます(笑)。

本書のタイトルにある「4つのSTEP」とは、(1)コンセプトを決める、(2)ストーリーを作る、(3)ドキュメントを描く、(4)プレゼンターのルール。
まさに、「Short」「Simple」「Straight」の3Sということですね。

実は、今現在、私は重要なプレゼンに向け企画書を作成している最中なのです。
とてもタイムリーな先輩の新著リリースだったのでした。

ちょうど、出版記念企画第1弾として、無料セミナーを開催されるとのことでです。
企業の皆さん、チャンスですよ。

資料作成から発表までたったの4STEPでこんなに通る! プレゼン (アスカビジネス)
家弓 正彦
明日香出版社


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『心理マーケティングの基本』(梅津順江著、日本実業出版社、2015年6月1日刊)

2015年06月11日 | 書評
安原マーケティングワークショップJMRX勉強会でお世話になっている、ジャパン・マーケティング・エージェンシー企画部/定性調査部シニアディレクター/モデレーターとしてご活躍の梅津さんの力作
『心理マーケティングの基本』を拝読いたしました。

私が知る限り、その黎明期からMROCをこなされてきた日本を代表する実務者のお一人です。

梅津さんが全身全霊を込めて執筆された本署のタイトル通り、実務に有用な「心理マーケティング」書ですね。
内容は定性調査のマニュアル本を超えています。

私の主観ですが、やはり後半、第5章のMROCあたりから、著者の筆致がグイグイと迫ってくるのを感じました。

黎明期に行き詰られた折、エイベック研究所の武田隆さんの『ソーシャルメディア進化論』を読まれ、MROCのダイナミクスとは、参加者が他者の発言を参照しつつ行う「自分自身との対話」であり、「静寂の中で生まれるグループダイナミクス」と気づかれたあたり、流石としか言いようがありません。

「思考・熟考型コミュニティ」では、消費行動の態度変容=「変化」ではなく「深化」が起こるという経験に基かれたご知見。

また、私にとっての「金言」は205ページに述べられています。

「同質なき多様性は単なる崩壊でしかなく、多様なき同質性は周囲に迎合しているに過ぎません」

ほかにも、ゲーミフィケーションの具体的な活用例、インサイトよりもセレンディピティという考え方、評価グリッド法とラダリングのよく整理されてわかりやすい比較など、「眼から鱗」の知見を得ることができました。
あと、梅津さんの本質の一つだと思うのですが、「言葉」に対する感性が鋭いなと。
本書の導入部の「性格」と「人格」相違点に始まり・・、ご興味のある方は本書をお読みください。

インタビューやホームビジットの際、買う・買わないという購買行動だけでなく、捨てる・捨てないからもアプローチするという姿勢は、リサーチャーのみならずマーケターとしての高い素養を感じました。

インタビュアーだけでなく、ファシリテーターもこなせるというスキルも貴重だと思います。
ジャパン・マーケティング・エージェンシー(JMA)さんでは2014年より「集合知メソッド」という定性調査とワークショップを組み合わせたサービスを開始されたとのことですが、ワークショップは他の業界でも、これから「標準装備」になるんじゃないかな? と私は考えておりました。
これも私流の言い方をさせていただきますと、「デザイン志向の仕事術」ということになります。

最後にJMAさんが2014年に実施された「女子を考えるプロジェクト」の発見事実が興味深かったことを記します。
「半歩先」のニーズを持った女子の4つの特徴、全て私に当てはまりました。
先日、Facebookで「Franc Franc」のアロマ製品を買って喜んでいることを投稿しましたら、Y君から「女子ですね」とコメントいただきました。
中々、鋭い奴ちゃなと今さらながら思ったのでした。

この1冊ですべてわかる 心理マーケティングの基本
梅津 順江
日本実業出版社


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『コンテンツの秘密』 (川上量生著、NHK出版新書、2015年)

2015年06月10日 | 書評
サブタイトルは「ぼくがジブリで考えたこと」。
著者の川上量生氏はジブリでプロデューサー見習いをやられてるのですね。

(1) コンテンツの本質

現実世界を特徴だけでなく特徴だけで単純化してコピーした脳のなかのイメージの再現。

私の補足を入れると、「現実世界」は心象世界も含んでますよね。

(2) クリエーターとは?

コンテンツ、つまり脳のなかのイメージの再現する人のわけだけど、すべて過去の経験をいったん自分の中に取り込んで、それをヴィジョンとして脳の中に再現したものを表現する人。

で、「オリジナリティ」なんですが、一般的には付加価値のように「プラス」のイメージで捉えられる場合が多いと思います。
が、川上氏は、クリエーターがヴィジョンを表現するとき、能力的な問題で正確に再現できないため、オリジナリティが生まれているように見えるだけだと考えているのは、とても新鮮な視点だと思います。
「オリジナリティなんてそんなご大層なもんじゃねぇんだよ」と、私がこう書くと気分を害されるクリエーター・アーティストさんもおられるかもしれませんが(そんなことは私も百も承知です・・)、こういう相対的な視座も必要と私は考えます。
そこで「プロデューサーとは?」となるわけです。

(3) プロデューサーの重要な役割は?

クリエーターほどコンテンツに思い入れのない観客(ユーザー)に対して、普通の観客の目線に引き戻すこと。(鈴木敏夫氏)

これって、クリエーションの世界だけでなく、一般のビジネスの世界でも重要じゃないかと私は思います。
ディレクターもですけど、プロデューサーが。
プロデューサーって、予算や時間・タスクの管理だけをする人じゃないんですね。

故 佐久間正英氏(音楽プロデューサー)もほぼ同じ思想であられたと思います。
作品を「マスに受け容れられるよう商品化する」。
オリジナリティにいかにポピュラリティーをまぶせる、といった感じでしょうか?

(4) その他諸々

・主観的情報量と客観的情報量は、本書を通底する重要なキーワードです。

・物事を記号化して少ない情報量で表現したものが「本質」の本質。脳は単純な情報しか扱えない。

「おそらく人間の脳には、対象物の法則性を認識し、複雑なものを簡単な要素に分解できたときにうれしくなる回路が存在していて。それがコンテンツを「いい」と思ったり「美しい」と思ったりする根源なのではないでしょうか?」(川上氏、123ページ)

・UGIサイトでユーザーが無料でたくさんコンテンツを創るから、競争の質は上がるし、多様性もあるというのは嘘で、競争を行えば行うほど多様性は減っていく。ソーシャルゲームがそのいい例。

⇒ コンテンツの多様性を守るためには激しい競争をしてはいけない。

・クリエーターは、パターン化されやすくパターン数も少ない「ストーリー」より、「表現」にこだわる傾向が強い。映像に合わせてストーリーをつくる宮崎駿氏は、いいシーンが描けなければストーリーを削ってしまうことさえある。

・ハリウッドの映画監督の優先順位は、キャラクター→ストーリー→世界観。あるいはストーリー→キャラクター→世界観。対して押井守監督の場合は、世界観→キャラクター→ストーリー。

・『となりのトトロ』のヒットの理由は、昭和の原風景とか、現代人の自然回帰欲求などの難しいことではなく、トトロのお腹がフワフワしていて、なんだか触るとへこんだりして気持ちよさそうだったから。(鈴木敏夫氏)

コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書)
川上 量生
NHK出版


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『スピーチプレゼンはまず3秒黙りなさい 人前で堂々と話せるようになる「伝え方」の技術』

2015年06月06日 | 書評
安原マーケティングワークショップ仲間、森裕喜子さん待望の新著です。
amazonのカスタマーレビューには5つ星で簡潔に3、4行だけ投稿しましたが、
ここでは全く別のことを書きます。

アーティストさんがライブでMCをするとき、すでに固定ファンを沢山抱えている場合以外、ご自分の憧れのビッグアーティストさんの真似は禁物だということです。
本書を読んでそれを実感しました。
ストリート演奏の経験が多い人は大丈夫かと思いますが。

ライブもスピーチプレゼンも変わらない本質があります。
特に、はじめてのお客さんばかりの場合、「聞き手=聴き手が主役」ということです。
(蛇足ですけど、いま、アイドルが隆盛なのは、ファンにリアルな参加感を与えてるからでもあるのですよ、偏見をお持ちの方々)

本書の90ページで森さんは「1の輪」「2の輪」「3の輪」という「三つの輪」という考え方をご紹介されています。
「一人」「二人」「三人以上」という関係性のことです。
すでにファンとの信頼関係が強いビッグアーティストの場合、
MCは「1の輪」で十分な場合があります。
しかし、ほぼ「初めての人達」が相手の場合、
「1の輪」でMCをすれば、悲惨にならずとも、人を惹きつけ「思い」を伝えることは難しいでしょう。
「聴き手が主役」ということを心して、初めて自分が「場を支配する」ことができるということでしょうね。

*58ページにジャズシンガー時代の森さんのお写真が! お美しいサプライズでした(笑)。

スピーチプレゼンはまず3秒黙りなさい 人前で堂々と話せるようになる「伝え方」の技術
森 裕喜子
光文社

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『戦略思考ワークブック』(三谷宏治著、ちくま新書、2014年10月刊)

2014年12月10日 | 書評
「重要思考」をシンプルに解説。

(1) 「重み」と「差」で考える
(2) DMU(Decision Making Unit)の明確化

営業・販売から、サービス、マーケティング、事業戦略・ビジネスモデル、事務作業まで、シンプルなフレームワークを使った事例。
著者は、ケーススタディの答えを紙に書きながら読み進めることを推奨しているが、時間がなければ、まず読み進み、自分にとって重要と思われるケースを改めて書いてみるのもいいだろう。

■マーケティング

STPのセグメンテーション&ターゲティング=「DMU」、ポジショニング=「重み」、4P=「差」。
⇒「重み」「差」「DMU」の一貫性が必要

■事業戦略・ビジネスモデル

ポジショニング=「DMU」とその「重み」、ケイパビリティ=「差」
⇒ 「差」はマーケティングミックスの4Pだけでなく企業能力全体(CRM,SCM,FPM,R&D,HRM)で
⇒ 企業能力も自社内(バリューチェーン)のみならず他社を含めた全体(バリューネットワーク)へ

「DMU」もステークホルダー全体のうちその主なもの。

<事例>
・DMUにとってはその商品が本命でなく、ついで買いかもしれない。旭山動物園は札幌観光のついで商品として大成功。
・一番大きな市場を狙う。アップルiPpdはウインドウズユーザを取り込んで成功した。
・最大の価値を捨てることで再生することもある。ハウステンボスは「オランダへのこだわり」「全国市場」を捨て再生した。

戦略思考ワークブック【ビジネス篇】 (ちくま新書)
三谷宏治
筑摩書房

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『8割の人は自分の声が嫌い』(山広子著、角川SSC新書、2014年11月刊)

2014年12月01日 | 書評
学校に通ってる頃か社会人になってからか覚えていないが、親鸞とか日蓮といった仏教の教祖は、声が奇麗なことで人々を惹きつけた、つまり芸能的性格を有していたのでは、という説を何かの本で読んだことがある。
本書を読んでそれが科学的に裏付けられた確信に変わった。ビン・ラディンの声がもう1オクターブ半低ければ、欧米社会に与える影響は変わっていただろうどいうご説には納得した。

日本人の場合、欧米人に比べ声への意識は著しく低い。最近、サイトのニュースでもこれだけ豊かで治安のいい日本なのに「幸福感」が感じられにくく、自殺者も先進国の中で多いことが話題になっている。思わぬことだかその要因の一つに「声」に対する低すぎる意識・態度があるのではないか? と思わぬ視点が。
「声」を作る要素は8割が後天的で、先天的素養は僅か2割だという。
著者の山崎さんが力説するように、日本では幼児期から「声の個性」を没するように教育している。声がその人自身を表現する重要な手段であり、他人・社会と自分をつなぐメディアだという認識がない。本書を読むまで私もそうだった。
実際、ある小学校2年生のクラスの学級崩壊が、担任の女性教師の「声」のトレーニングの結果、ピタリと収まった事例も紹介されている。

さらに本書の素晴らしいところは、知識・教養書にとどまらずハウツー本でもあるところだ。どこどこでお金を払ってトレーニングしなさいと薦めるどころか、ほかならぬ自分自身のセルフトレーニングが最も有効でその方法が記されている。根気はいるものの難しいことではない。「オーセンティック・ヴォイス」を見つけることを早々、私も始めた。

山崎さんは人の声でその人の性格、育ってきた環境、現在の精神・身体状況を相当、深く読んでしまう。科学的根拠のみを背景にした「占い師」のような方だ(実際、米国の大学病院では声を録音しフィルターをかけることで特定の病気を診断する試みも始まっているという)。
読了して気づいた。今までの山崎さんとの会話の中で、私はどんな風に感じられていたのだろうか? 少し怖くなってきた(笑)。

8割の人は自分の声が嫌い 心に届く声、伝わる声 (角川SSC新書)
山崎 広子
KADOKAWA/角川マガジンズ

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『人に強くなる極意』(佐藤優著、青春出版社、2013年10月第1刷)

2014年10月30日 | 書評
いやぁ~、先週、ある地方駅で乗り換えの僅かな時間、構内の書店で衝動買いしたんですが、現在の自分の考えていること・悩んでいることへの「解答」、いや、「解答」への方向性が見事に書かれてました。
地元の書店でも立ち読みしつつ、買わなかった本なんですが、タイミングというのもあるもんですね。
別にタイトルのように、「人にナメられんような強い自分になる」という表層的なことじゃないんですよ。
単にビビらせるのなら簡単ですからね。リスクを負う覚悟さえあれば。
でも、そんなことじゃなかったんです、私が考えたり悩んでいたことは。

ちなみに佐藤優氏について最も知りたかったことってのは、無実の冤罪=国策捜査とはいえ、鈴木宗男議員を裏切らないがために、1年以上もの間、拘置所生活を送り、外務省を去らざるを得なかったご経験で、どんな想いだったんだろうか? ということでした。
その「答え」も解説されていました。

人間としての「根っ子」とは?「根っ子」とは「軸」のこと。「軸」があれば虚と実のはざまでも飾らない自己・関係をつくることができる。
佐藤氏の「軸」とは、外務官僚としてのソ連・ロシアでの経験? いや違う。キリスト教という宗教と、神学という学問だそうです。
じゃ、私の軸は? それは今、ここでは言いません。

「侮り」とその対極にある「畏怖」。そして「執着」。
目標設定のために必要なことは「完成形」がイメージできること、つまり「出口」があるということ。
「出口」がないことを求めるのは「執着」。わかるな~(苦笑)。

自然界にあるものは、ある程度得られれば満足できるように本能的にプログラミングされている。しかし、人間と人間の関係の中で作られたお金にはそれがない。だからこそ、お金が必須とはいえ自分のビジョンの「完成形」が必要なんだなぁ・・と思いました。

ほかにも「仕事の遠近感」とか。
別に、他人に対して強くなりたい、とかそんな考えではなく、仕事でもプライベートでも「自分ってなんだろうか?」と悩んでいる人にお薦めの新書です。

人に強くなる極意 (青春新書インテリジェンス)
クリエーター情報なし
青春出版社


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『知性を磨く』(田坂広志著、2014年5月刊、光文社新書)

2014年09月29日 | 書評
著者も本書で記している通り、当然ながら書籍を読んだだけでは「知識」は身についても「知恵」は身に付かない。

「知識」とは「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるものである。
「知恵」とは、言葉で表せるないもの」であり、「経験」からしか学べないものである。
(同書54ページより)

それでも「知識」という基礎がなければ「知恵」は身に付かんよね。
さらに「経験」も「体験」にまで昇華せんと何にもならんわけだ。
「体験」にまで昇華せんと、若い人達を育てることもできん。
短絡的な人達は、単純にベテランを若手育成に「利用」しようとする。
ベテランも若手に「利用」されるが、若手に「スキル」が身に付く、つまり「育つ」ということは難しい。
「スキル」の伝承というのはシステマティックにはいかんもんだからだ。
人様への批判だけでなく、自戒の意味を込めて言ってる。
ベテランと言っても(自分も含めて)「経験」を「体験」にまで高めてる人って、そう多くはない。
本当に若手を育てたいなら、自分はあまりしゃしゃり出ないこと。
若手の人に内発的に「学ぼう」という意識を持ってもらわないと、その場しのぎの「稼ぎ」になるだけだ。。
あと、極端な方法にはなるが、時と場合、相手にもよるけど、とても効果的なのは、まず若手に「失敗」させること(笑)。
これは本書に書かれてることではなく、自分の持論でしかないが、相当、相手に対する愛情とそれなりの関係性がある場合に限られるけど。
自分がこの本を読んでの感想だけど、「経験」だけのベテランは、若手から「凄いですね!」と言われても、自分の「経験」を語り出すとウザがられるだけ。
対して、「経験」を「体験」まで高めた人は、あれこれ言わなくても若手がついてくる。つまり「背中を見せられる」人ね。そんな感じじゃないかと思う。

閑話休題。
「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つのレベルの知性」。
それらが「垂直統合」されると「一つの知性」となる。

<個人的に切迫した課題について(メモ)>

(1)「言葉」が世界を分節化してしまう怖さ。そして、それが「心」を支配してしまう怖さ
⇒ 「自己限定の意識」からの解放へ

(2)「自分の心」の動きを理解しなければ、「他人の心の動き」「集団の心」の動きも理解できない
⇒ よく営業の心得とかでクライアントの心の動きを、なんて言われるが、その前に自分の心だね。自分のことが一番わからん。

(3) 「多重人格のマネジメント」が抑圧している「深層意識」の解放とマネジメント
⇒ よく定性調査とかで「深層意識」とか気軽に言うけど、まずは自分自身ということかな。

ヘーゲル、マルクス(弁証法)をはじめとした哲学を愛し内面化しつつ、ビジネスパーソン向けの書籍を数多く出版している。
こんな人はなかなかいない。

知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~ 光文社新書
田坂 広志
光文社


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『オルタナティブロックの社会学』(南田勝也著、花伝社 (2014年4月5日刊)

2014年09月25日 | 書評
ヤバい!
タイトルに「週一更新」とあるのに「月一更新」となってしまった。。
FACEBOOKは毎日記事を書いとるにのに。
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『ロックミュージックの社会学』(2001年、青弓社)の著者、南田勝也の力作。
すんごく単純化してまとめると、おおよそ90年を境とした「オルタナティブ」「グランジ」と、その前の「ロック」との違いはこういうことになる。
「黒いか黒くないか?」「波の音楽から渦の音楽へ」。

また、「セックス・ドラッグ・RR」の時代との違いとして、大きな潮流ではないものの、2000年代以降、Xスポーツなどとの親和性(「ストレートエッジ思想」など)も挙げられる(「ロックのスポーツ化」南田)
そこまでいかなくても、ノイジーなサウンドに対する鋭敏性が研ぎ澄まされ(どうりで30年前のうちのバンドのCDが2000年以降、再発されたわけだ。本書では、メジャーの規制からの解放を顕示する露悪的なアートへ沈溺していった80年代の「暗黒インディーズ」と表現されているが・・)、大音響に増幅されて聴衆の身体全体に働きかけている。
ロックは「個人表現という再帰的なイデオロギー」にいつまでも縛られているわけでなく、ダンス音楽と同様、身体の運動機能に直接振動を与える音楽となっている(同書137ページより)。

DJとレイヴの文化は「反復的なサウンド構造に酔いしれ、個人のアイデンティティを溶解させる」が、そこまでではなくとも、オルタナ以降のロックにはそんな要素も。

南田氏のことだから、本書にも当然、語られて久しいネットのメリット・デメリットもまとめられている(Push型とPull型など)。
そのあたりのこと、例えば「文化的な寛容・不寛容さ」とか「サイバーカスケード現象」とか興味のある人はご自身で読んでね。
欲を言えば、メリットの側面を、実態に即して深堀してほしかった。
1957年当時の米国で、(1)白人中産階級向けポピュラー、(2)白人労働者階級向けカントリー&ウエスタン、(3)アフリカ系アメリカ人向けのリズム&ブルーズという3つのジャンルがクロスオーバーしていったのは、ラジオの影響であったこと。
それがネット社会では? といったところか。
ま、自分で考えろってことだろうね。
尤も、どんな業種・業態でも言えることだけど(あんましマーケティングという言葉は使いたくないね。皆さんの定義はバラバラだし、限定的に理解されっからね・・)Push型とPull型はどっちが優れてるということではないからね。
そのあたりは、新し物好きで、金にならないとなるとすぐに忘れさせる(「消費」させ尽くしてしまう)マスコミ・ジャーナリズムに振り回されないようにしましょうね。

オルタナティブロックの社会学
南田 勝也
花伝社


ロックミュージックの社会学 (青弓社ライブラリー)
南田 勝也
青弓社

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「女子」の誕生(米澤泉著、勁草書房、2014年7月刊)

2014年08月19日 | 書評
大学2年生の年末、新宿LOFTの大晦日、年越しオールナイトライブに先輩のバンドが出るんで、スタッフとして参加した。
そのとき、対バンの一つが上野耕路と戸川純のユニット「ゲルニカ」
後に私と同じ歳とわかった戸川純は本当に変な人で驚いた。
本番のほうがフツーで、リハのときが変。
(細野晴臣のYENレーベル(アルファレコード内)からデビューする直前だったろう)

その戸川純が、2010年代の「女子」「女子力」「ガーリー」の“源泉”“種”という説を本書で読み、意外というか驚き。
それも「腐女子」「文科系女子」といったマイノリティの話ではない。
自分の「常識」「想像力」ではとても辿り着けない説だ。
そこんとこ、自分は男なんだろう。
ファッション誌の「女子」を代表する存在で、他に類を見ないほど「女子」を着ることを実践している写真家の蜷川実花が、戸川純の大フリークである。
本書を読み始める前まで、『Sweet』『InRed』『GLOW』『VERY』『STORY』『CUTiE』『DRESS』といった青文字系、赤文字系雑誌がメインと想像していて、前半はその通りであった(「女子力」の勃興とは青文字系と赤文字系とのシェア逆転)のだが、終盤でそんなラジカル(根源的)な歴史性の“種明かし”。
青文字系とは宝島社なのだが、宝島社には70年代、80年代からのDNAがあった、ということなんだろうか。

「女子」なんてコトバが普及する前、何年前だったろうか? とにかく女性が男性のためではなく女性、自分自身のために化粧をしファッションを選ぶようになったことは、自分にとっては常識のはずだった。
それを歴史性を踏まえ、論理的に解説されているのが本書だ。そのキーワードが青文字系雑誌だ。
本書を読むまで、表紙のモデルに笑顔がない「モード誌」と、表紙のモデルに8割の微笑みがある「実用ファッション誌」の違いさえ知らなかった。

年齢を超越したキレイ。
「恋愛」は最終目的ではなく「美」が最終目的。
化粧や装うことによってキレイに、「なりたい自分」になる。
「女子」が世界に立ち向かうための武装。
「仮装」によって世界を拒絶する一方で、「武装」によって世界に立ち向かう。
繭と鎧。

あと「アラサー」といった言葉は、当時、バズワードにしかならんと思っていたが根づいてしまった。それも雑誌の力だろう。
「女子」「女子力」といった言葉への反発も世の中にはあると思うが、大正から昭和、「婦人」「女学生」という言葉も雑誌から生まれたことも本書を読めばわかる。
ネット社会の現代でも、オールドメディアとしてその危機的状況にある雑誌だが、その世の中への影響力は決して劣化することはないだろう。
90年代までの女性の“教科書”『JJ』の販売部数が激減しても、年代などの属性という旧ターゲットを超越した宝島社の青文字雑誌に政権交代したにすぎない。

百貨店文化や「JJ」など赤文字系の主要フレームから、年代などを超越したターゲット。
「女子」ってのはマジョリティの「トライブ」じゃないの?

「私萌え」。
これも、私がよく使わせてもらっている「コンサマトリー」(な生き方)そのものだ。

「女子」の誕生
米澤 泉
勁草書房


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『売る力 心をつかむ仕事術』 鈴木敏文著 文春新書 2013年10月刊

2014年08月11日 | 書評
長期出張があったたため、リニューアル後にも関わらず、「週一更新」が「月一更新」となってしまいました。。

「読んどいてよかった」一冊。
おそらく著者本人の口述か何かを元にゴーストライターが書いたはず(悪いと言ってるのではなく、それが当たり前)だが、カリスマ経営者の著作の中では、一般性・普遍性のある内容となっている。

「変わらない視点」と「新しい」ネタ。
「漢方薬と抗生物質」のメタファー。
「ココアとバターと文庫本」。
とてもシンプルで、自分のフレームワークに活用させていただく。
人様のことがどーやらこーたら「分析」「コンサル」するだけでなく、自分の手掛ける「こと」で。

自分のバイブルの一冊であるケビン・メイニーの著作『トレードオフ』も鈴木氏は、戦略的な視野を広げる一助になるとグループ社員に薦めたそうだ。
「上質」と「手軽さ」のことね。
実際、鈴木氏はセブンやヨーカ堂の商品開発で、「不毛地帯」に陥ることのない実績をあげられてきた。
それも鈴木氏ならでは、だろう。
まず最初に、皆が皆、賛成するようなものはほぼ失敗する。
僕がよくいうように、例えばアンケート調査で「好意度80%」のようなものはまず大ヒットすることはない。
それも鈴木氏の場合、「反対」の数が半端ではない。
鈴木氏だから凄まじすぎる「反対」「無謀だ!」の声を押し切ってこられたのは事実で、例えば一サラリーマンでは無理しょ? というパターンも多い。
鈴木氏はただのカリスマではない。
「マーケティング」を頭と体でよくわかられている方だ。
それも「心理学」のほう。
本書を読まれればわかるが、佐藤可士和、バルス(フラン・フラン)の高島社長はじめ、独創的な商品・サービスを開発・展開されてきた方々との共通項が多い。
ルーディ和子氏、辰巳渚氏といった鋭く優れた女性マーケティング研究者の知見も勉強されていたのを知り、僕も驚いた。
失礼いたしました。

売る力 心をつかむ仕事術
鈴木敏文
文藝春秋

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『マーケティングは進化する』(水野誠著、同文館出版、2014年6月刊)

2014年07月14日 | 書評
今までわかったつもりだったことを、根本から見直し、自分の中で再構成でき、かつ、新しい視座も獲得できた。

2年前の今頃、ミュージックソムリエ協会事務局で理事長、副理事長とミュージックソムリエ養成講座を企画していた頃を思い出した。
ワインソムリエとも野菜ソムリエとも違う。今まで世の中に存在していない存在。
重要なことは、(1)ターゲティングと(2)価格設定だった。
どんなペルソナかとか? いや、ペルソナなんて必要なのか?とか。
もし仮に協会に潤沢な資金があったとしても、調査会社を使って調査するなんてことはなかったろうね。
お金をドブに捨てるようなものだからだ。
明大の水野先生のこのご著作によれば、そういう調査は「トップダウンマーケティング」。
こちらは「ボトムアップマーケティング」だったということになる。
実行には移せなかったけど、副理事長が言ったように、自分達の身の回りの友達(リアル・バーチャル)で、「受講しそうな人」にヒアリングしてみるというのが最も現実的な方法だった。
そこで価格を設定するという。
価格設定は難しかった。
客観的になろうにも、自分達の懐事情とかで、どうしても主観が入らざるを得ない。
「希望的」な「バイアス」ね。実体験しないとわかんないことだけど。当初、「どんな人達が受講してくれるのか?」で色んな仮説を出した。

第7期があと試験のみという現在、仮説通りのことと、仮説とは若干異なっていたこと、などが出てきて面白い。
性別・年齢・職業のようなデモグラ属性もそうだが、ボトムアップマーケティングで大切なのは「トライブ」だよね。
理事長が「ペルソナとか決めないでいいよ」と言っていたのは、そのあたりを経験的に熟知されたからかも?
デモグラ属性では区分できない「トライブ(部族)」。
この数年、徐々に色んな本で書かれ始めてきたけど、いよいよ水野先生のような本格的な消費者行動研究者のご著作にも登場。

で、ボトムアップでもトップダウンでも、新しい商品やサービスって、「やってみなけりゃわからない」ということね。
それが面白みでもあるんだけど(でも、コンサルタントさんはそう言っちゃだめよ・・)。
トップダウンマーケティングの事前の調査とかは、精度を高めたり、社内でゴーサインを出すとかそういう「素材」以上でも以下でもない。
もちろん調査ってのは重要な「手段」だけどそういう認識は大切だよね。

マーケティングは進化する -クリエイティブなMaket+ingの発想-
クリエーター情報なし
同文館出版

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『統計思考入門』(水越孝著、プレジデント社、2014年4月刊)

2014年07月12日 | 書評
株式会社矢野経済研究所 代表取締役社長 水越孝氏のご著作。

実務のための統計手法とその基本的な考え方のいい復習になった。
実務の初心者にも向いていると思う。

多変量解析のガイドブックは数多あれど、B to Cメインの調査会社の経営者が著者であることによる独自色が濃い。
その意味では貴重な入門書である。
最も優れているポイントは、「解説のための解説」本ではなく、実務レベルでの経営課題解決という目的が本書全体に貫かれていることだ。
数量化Ⅲ類の解説では、「不明瞭な現実」を受け入れた上での戦略的ターゲティングの重要性を説いている。

財務諸表の諸指標(例えば「対売上高原価率」ほか)を変数にクラスタ分析をかけ、業態などの固定概念に縛られることなく、企業体質をカテゴライズ。
これには驚いた(笑)。
こういう発想って天才的だよねと(ずっとB to Cの解析しか頭になかった自分が知らなかっただけ?)。

あと、私も知らなかったが「仮想的的市場評価法」(Contingent Valuation Method)、略してCVM。
このあたりはコンサルティング領域だろう。
成熟社会においてその重要性が高まる可能を感じる。

本書の最後、こんな記述がある。

「Aさんは早々、近藤部長に分析の結果を報告しました。近藤部長の良いところは、自分の考えにやみくもに固執することなく、部下の意見にも広く耳を傾け、合理的な提案であればただちに採用する点です。今回もAさんの意見を受け容れ、早々部下に大号令を発しました」(204ページより)
おそらく、この近藤部長って著者のような気がするのだが、気のせいだろうか(?)。

統計思考入門―プロの分析スキルで「ひらめき」をつかむ
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プレジデント社

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