【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

陸(おか)に立つ人魚 Cocco

2006年10月31日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 どうも最近、テレビ番組を観たのをきっかけに記事を書くことが増えそうです。
 先々週、10月21日の土曜日の深夜、NHK総合でCoccoの「Live Tour 2006 ~ザンサイアン~ 2006年8月10日 日本武道館公演」(24:15~25:59)を観ました。ダイジェスト版です。90分の番組はNHK-BSで11月4日深夜にオンエアされるそうです。これも要チェックですね。

 ライブのオープニングは「音速パンチ」。オリジナル・ソロ音源として2月22日にリリースされたシングル『音速パンチ』は、即購入、3月1日にmixiの「おすすめレビュー」に記事を書きました。以下、抜粋です(一部加筆・修正)。
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 5年前の「活動停止宣言」。

 「勝手な奴ちゃ・・・」

と思ったりもしたが、本来、アーティストらしいアーティストってそういうもんなんでしょうね。

 その後も沖縄でゴミを拾ったり、絵本を出したり・・・。

 僕は彼女のファンではないし、全ての作品を聴いてきたわけではないが、

 ♪人は弱いものよ
   とても弱いものよ

 ♪人は強いものよ
   とても強いものよ (「強く儚い者たち」:アルバム『クムイウタ』1998年リリースより)

と歌う彼女は単純に好きだ。

 このシングルはCocco5年ぶりのソロ新作。

 「くるり」の人たちとSINGER SONGERを組んだりしていたけど、これで現場復帰っーことだろうか。
 タイトル曲は「音速パンチ」。

 音の速さで転がっていくのん???

 しかも、

 ♪御悪戯ニ悶エル
   ネェ 背中合ワセノ儘
   窃カニ突イテ

 天才の表現はよ~わからんのぉ・・・

と野暮なことは言わず、何ともスリリングなリリック! ウ~~、ゾクゾクしますね♪

 リズムはダンスビート。
 サウンドはオルタナ。
 こういうトレモロ・アーム使いまくりのギターサウンドに僕はすこぶる弱い。
 このドライブ感、気持ちいいーっす。

 PVでは、水を得た魚のように歌いまくる彼女が・・・。
 おまけに海の中を、白いワンピースでブクブク泳いじゃうお姿。

 「海」「水」と切り離せないのがこの人。

 まぁ、「原初的な生命の源」云々と、わかりきったような紋切り型の表現は使いませんけど。(もう、使ってるか。。。)

 タイトル曲のほかに、

 「どしゃ降り夜空」(やはり水)
 「流星群」(これにも「海を見ていた」というリリック)

が入ってます。

 「流星群」は、聴いていて包み込まれるような気持ちのいい曲です。古くからの彼女のファンには、「この曲のほうが『音速パンチ』よりもいい」と言う人が多いですね。

 発売1週目オリコンチャートはシングルで5位(4万3千枚)。
 ベスト10で唯一のノン・タイアップ!!! 
 これもまた気持ち良し。
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 とにかくこの人は女性からの評価が高いです。
 CD購入比率も女性のほうが男性よりも高いです(レンタル利用は男性)。結構、珍しいんですよ、女性アーティストの場合は。リリックも女性視点に徹しています。男には書けないのは間違いないですね。(当たり前か)

 ブランド価値評価で目立つのも、基本価値「歌詞」への評価の高さです。

 以前お世話になっていた会社を退職する寸前、『ユーザー調査による 女性50アーティストブランド価値評価レポート』を発刊しました。わかりやすい指標としてランキングを掲載したプレスリリースも公表しました。ところが、

  細分化した消費行動別の「裏ランキング」

というものがございます。これはレポートにもプレスリリースにも掲載しておりませんし、今後も無償では公表いたしません。まぁ、n数が少ないのが珠に瑕ですが、インサイト(知見)を得るのにはとても貴重なデータです。

 アンケートをとってグラフを作るだけなら誰でも出来るわけです(広告代理店様やその下請けのリサーチ会社の皆様ですね)。私の場合は、自分の知見をベースに、更なる知見を得るために色々とデータをマイニングしているのです。

 で、何の話でしたっけ???

 そう、Coccoさん、女性からの評価、特に「歌詞」への評価が高いということでしたね。結構、驚異的?な位です。(笑)
 あと、「ルックス」や「ファッションセンス」などの「感覚価値」は大して重要ではありません、この人の場合は。
 なにしろ、陸(おか)に立つ人魚なのですから。
 「セクシーさ」ですって? んなもんイランの核疑惑。(スンマセン。。。)
 もっと超越的と言いましょうか、「優しきカリスマ性」(形容矛盾ですが)のようなものが魅力なのかもしれません。
 ですから観念価値が重要になってくるのです。
 「存在自体のカッコよさ」。この項目の評価が高いですね(ルックスやファッションのカッコよさとは違います)。浜崎あゆみさんや宇多田ヒカルさんに引けをとっておりません。
(あくまでもブランド価値評価の数値なので、各アーティストのテーストの違いは無視しますよ)
 欲を言えば安室奈美恵さん、椎名林檎さん、YUKIさんに迫って欲しいものです。

 さて、11月4日のNHK-BSの番組が楽しみです。
 もしDVDがリリースされるのなら、わたしゃ買いますよ、May be♪
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絢香のリアリティ

2006年10月24日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
 10月15日(日曜日)深夜、日本テレビの『Music Lovers』を観ました。絢香さんとコブクロのお二人とのコラボレーションで、デビュー曲『I believe』を歌ったのは圧巻でした。もちろん私も『I believe』のCDは持ってます。
 翌日、mixiの友人(プロのMUSIC LIFE PLANNER。リアル知り合った方です)の日記で、この番組の感想を目にしました。彼が感じたことは以下の2点です。

 ①コブクロのお二人の熱唱のほうが『I believe』という唄のリアリティが感じられた
 ②彼女の詞は、果たして18歳の女性の「等身大」の世界なのだろうか?

 これはとても示唆に富んだ感想です。
 社会人経験、ストリートでの活動、5年前のデビューから今に至る道筋。一時は2~3万枚の売上に苦しみながらも、最新ベストアルバム『ALL SINGLES BEST』が発売3週でミリオンを達成したコブクロさん。
 地獄を見たこともあるかもしれません。そんな彼らが唄ってリアリティが伝わってくる唄なんでしょう、『I believe』という唄は。

 次に、「等身大な詞」という彼女のコンセプトについてです。
 中学生で音楽の世界へ志向、高校一年生で活動を開始した絢香さんは、福岡へ音楽理論の勉強に行くという極めて強い目的意識と行動力を持ち合わせた女性です。

 おそらく世間一般の「18歳」より進んだ経験と価値観を持ち合わせているのではないかと思います。
(「おそらく」というのは、①私が男性であること、②私の友人で18歳の女性がいないこと、③18歳の女性対象の調査データを持ち合わせていないからです)

 厳密な意味での「等身大」ではないかもしれません。しかし、10代の女性の経験から生まれて来た唄であることに変わりはありません。多くの人達に感動を届けるミッションを担っているアーティストという「立ち位置」での「等身大」なのです。

 酸いも甘いも経験した年長の人達が唄っても伝わるリアリティ。
 デビューというタイミングで、そんなリアリティのある唄を創ってしまったのは、ある意味大変なことかもしれません。

 リアリティのある唄とは?

 昨夜、NHKで9月につま恋で31年ぶりに開催された吉田拓郎さんとかぐや姫のコンサートの特集を観ました。絢香さんのレビューで取り上げるのもどうかな?と思いますが(笑)、たまたま観たので。

 吉田拓郎さんの『今日までそして明日から』という曲があります。この曲は拓郎さんが24歳のときにリリースされましたが、60歳になられた拓郎さんが今歌っても「リアリティ」があります。

 60歳は極端かもしれませんが、絢香さんの『I believe』、彼女が30歳になっても40歳、50歳になって唄ってもリアリティが色褪せることがない、そんな名曲ではないでしょうか?

 と言うことは、これから先、良いことも悪いことも体験されるであろう彼女が、どんなことがあっても「リアリティ」のある唄を私たちに伝え続けなければならない重責を負ってしまった、ということでもあるのです。デビューしたその時から。

 ちなみに、女性アーティストのデータを統計的に処理した結果をみると、彼女の場合、同世代、つまり10代の女性よりも20代の女性に好かれる傾向がみられます。男性の場合は20代とともに30代。
 「認知度」は10代で最も高いので、単純な「好感度」は10代で最も高いのは当然なんですが、彼女には幅広い層に受け入れられる素地があるということです。
 もちろんイメージターゲットは彼女の同世代であるべきなんですけどね。
*************************************************************************** 9月27日、4枚目のシングル『三日月』がリリースされました。
 au by KDDI 「LISMO!」のCM、NHK「つながるテレビ@ヒューマン」テーマソングとのタイアップ効果もあり、オリコン初登場1位でしたね。2、3週目も3万枚超(ともに2位)。

 遠距離恋愛をテーマにしたこの唄、デビュー前から唄われていたそうですが、ファンの間では思い入れの強かった曲のようです。デビュー前から配信されていたので尚更でしょう。mixiにはもちろん絢香さんのコミュニティがいくつかありますが(最大の「絢香 ayaka」は現在4千2百人超)、「三日月」がらみのコミュも二つ存在します(うち一つは1千7百人超)。

  太陽ではなく月。
  満月ではなく三日月。

 これがシックリくるんですね。

 『I believe』で示された世界は「黒」。

   ♪偽りの中でウソの微笑み浮かべて 生きる人を
     幼き自分と重ねて見て
     ため息つく

     どんな色にも染まらない「黒」になろうと誓った

 その基調が引き継がれた『三日月』に「青」が加わったように思います。
 「黒」「灰色」そして「青」
 「青」のチャクラ・チャートは、「喉」:コミュニケーション(意志や情報の伝達)です。

 当面、この世界観を大切にしていくしかないのでしょう。
 いつの日かブランド・リニューアルの日が来るのかもしれませんね。
 「三日月」が「半月」「満月」になったり。さすがに「太陽」は??? でしょうけど。(笑)

 まだ今のところ、他の「色」では厳しいのかもしれません。
 バラードではなくアップテンポなナンバーの『Real voice』は、「月9」のテーマだったのにもかかわらず、「もっといってほしかった!」という数字だったようです。

 アップテンポなナンバーでも彼女の世界観が伝わるようになってほしいものです。
 その時こそ、彼女のブランド価値は不動のものとなるでしょう。

 それでも彼女のコア・バリューは歌詞の世界観のようです。

 女性アーティストのブランド価値評価でも、「歌詞」の評価は50アーティスト中、トップでした。
 「歌唱力」や「声質」などを加えた「基本価値」では、非の打ち所がありません。

 「パッケージ購入のキーは何?」ということを調べるため、データをあちゃこちゃこねながらグラフを作ってみたのですが、「基本価値」のグラフは、同じレコード会社の先輩、小柳ゆきさんのグラフと似ていることがわかりました。

 で、最も大切な「観念価値」のグラフでは、絢香さんより1学年上でデビューも1年早かったYUIさんと相似形。YUIさんは「タイヨウ」ですけど。(笑)
 「観念価値」を見る限り、ほとんどの評価項目で「タイヨウ」が「月」を上回っていますが、そう大きな差はありません。お二人ともこれからです。ブランド価値で最も重要な「観念価値」が、リスナー・ユーザーの心の中で高まっていくには時間がかかります(上木彩矢さんのような例外はありますが)。

 とにかくそれまではコンセプトをブレされることなく頑張って欲しいと思います。

 長々となりましたが(^_^;)、11月1日リリース予定のアルバム『First Message』、楽しみです。
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高額商品対象のECサイト

2006年10月20日 | マーケティング話
■高額商品特化型ECサイト「valuenavi」

 マーケティング関係の勉強会や渋谷近辺のお酒の席でお世話になっている知人が、またまたエクセレントなお仕事を。

 一般的に多くのECサイトは、どこでも扱う商品が一緒のため、価格訴求、つまり安売りのスパイラルに嵌っているようですね。

 そんな中で、高額商品対象のECサイトが公開されました(検証を兼ねた創刊準備号とのことです)。それが学研さんの「valuenavi(β版)」です。

 なかなか手に入れることの出来ない限定商品・スペシャル商品を、専門的知識・含蓄を持ったナビゲーターが徹底的に語り尽くし販売するそうです。

 知人によると、「日本でもっとも売れているモノ雑誌 GetNavi、時計雑誌の WATCH NAVI、ストリート系ファッション誌 GetON!という3誌とのクロスメディア展開を目指している」とのことです。

 このブランド(サイト)が提供する社会的価値、それは「真の価値があるモノ。それらを手に入れることは、人生をゆたかにすることにほかなりません」という valuenavi 広瀬有二編集長の言葉に凝縮されています。

 私はWebデザイン、Webブランディングの専門家ではありませんが、一生活者として、サイト全体、そしてこだわりのあるディテールの見せ方には感服せざるを得ません。

 また、このサイト内の文章と画像は、クリエイティブ・コモンズ限定で、自由に使うことができるようになっています。

■シブヤ発クリエーターのSNS「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」

 ちなみに このvaluenavi、「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」という渋谷圏のクリエーターたちのSNS(ソーシャルネットワークサービス)の参加者がディレクション・制作を担当されたそうです

 つまりSNSから生まれたプロジェクトが成し遂げたお仕事なんですね。
 (知人と彼の経営する会社はCD&デザイン& Flashを担当)

 「ASCII24」に掲載された記者説明会で知人も語っていますが、mixiをはじめとする通常のSNS(ビジネス行為を禁止しています)とは正反対にビジネスに特化、従来型のヒエラルキーに縛られたビジネス構造からの脱却を目指すという実に画期的かつWeb2.0的な位置付けにあるのが、「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」なんです。

 この、「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」のブランド価値がこれから高まっていくことは間違いないでしょう。
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 と、他人事のようにのたまう私ですが、、、

 クリエーターでないのにもかかわらず、「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」に入れていただいた私、今はROMとして刺激を受けながら、色々なことを考えている今日この頃です。

 「XSHIBUYA(クロスシブヤ)」にご興味があり、参加されたいと思う方は、メールアドレスを教えて頂ければ(メール送って下さい)、ご招待いたします。
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コシノヒロコの「虎」ブランド

2006年10月18日 | マーケティング話
 10月14日(土曜日)の『日本経済新聞』朝刊で、「タイガース デザインド バイ ヒロココシノ」の記事を見つけました(「お・店・拝・見」)。

 発売から1ヶ月経過していました。

 コシノヒロコさん、熱心な“虎ファン”だったんですね。コシノさん側から阪神百貨店に申し入れ商品化されたそうです。

 ◆コンセプト:球場以外でも目立ちたがり屋のタイガースファンが愛用できる普段着
 ◆商品アイテム:Tシャツ、ブルゾン、タオル他。手袋、バッグは計画中
 ◆価格:Tシャツは4,095円から。従来のタイガースグッズより3~4割高い
 ◆展開店舗:大阪・梅田の阪神百貨店本店8階

 「プレタポルテ(高級既製服)としてファッションブランドを目指す」(同店田島MG)

 この記事を見たとき、ビミョ~ としか感じなかった私ですが、思い込みはよくないので、アンケートを行ってみました。遊びですからね。(笑)

 mixiに「阪神タイガース」というコミュニティがあります。メンバー数29,426人(2006年10月18日現在)の大型コミュニティです。
 mixiでは、「mixiプレミアム」と申しまして、毎月315円のオプション料金を払えば、コミュニティ内でアンケートが実施できるのです。

 早々、アンケートトピックスを立てました。質問は5スケールです。

   ■チョーサ期間:10月14日昼から18日夜(締め切りはありませんがこの辺で・・・)
   ■回答者数:55名

    とてもほしい     ★★★★★                    9%
    まあほしい      ★★★★★★★★★★★★        21%
    どちらともいえない  ★★★★★★★★★★           18%
    あまりほしくない   ★★★★★★★★★★★★★★★★★ 30%
    とてもほしくない   ★★★★★★★★★★★          20%

 ・mixiの会員構成は20代がボリュームで30代と続き、40歳以上は大幅に減ります。
 ・回答者数も55名と少ないですし、「統計的有意性」はございません。
 ・もちろん、性別・年齢などのデモグラフィック属性、居住地などのジオグラフィック属性などもわかりません。

 お遊びのアンケートとは言え、若いタイガースファンで、「とてもほしい」は5名(9%)に過ぎません。「まあほしい」(12名、21%)を合わせて「ほしい」とすると(トータル・ポジティブ)17名で3割です。

 一方、「あまりほしくない」(17名、30%)と、「とてもほしくない」(11名、20%)を合わせて「ほしくない」とすると28名で5割です。

 これは遊びのアンケートなんですけど、もし正規の調査でしたら、「購入意向者」「とてもほしい」との回答者(トップボックス)9%ということになります。

 やはり、、ビミョ~、というか、コリャ アカンわ。。。ですね。(^_^;)
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 ところが、このブランドのターゲットは“若きタイガースファン”ではありません。

 とりあえず、日経新聞には、「中高年層を中心に評判は上々」と書いてあります。

 もし、このブランドが野村監督時代に発売されていたならば、間違いなく、
野村克也・沙知代夫妻のペアルックがマスコミに登場していたことでしょう。

ふと目を閉じて深呼吸すると、脳裏にはっきりと
サッチーの得意げなご尊顔と、
はにかみ気味のノムさんの表情が
浮かんでくるではありませんか!!!


 星野前監督ではダメですね。やはりベタでないと。
 岡田監督はインパクトがイマイチ。。。
 やはり心斎橋あたりの飲み屋の、愛すべきオバやんのイメージですな。

 ということで、私が勝手に想定した「幻のイメージ・ターゲット」は、野村ご夫妻ということにさせていただきます。
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ブランドと音楽パッケージ商品

2006年10月16日 | マーケティング話
 「これから音楽配信が普及していくとパッケージ商品(CDなど)はどうなっていくの?」

という話題は硬軟併せ、色々なところで論議の的になっています。この私でさえ、大学の研究会に呼んで頂きお話をさせてもらったこともありますし、今や数限りない場(リアル・バーチャル)でホットな話題となっています。

 私は、「パッケージ擁護派」「パッケージ死守派」ではありません。フリーになる前に在籍していた企業でも、「親会社がCDの卸企業だから」「メーカーさんや小売店さんにお世話になっているから」という理由で、データに加工を加えたりしたようなことはありません。
 「配信が伸びるのがトレンド」と言いながら、本音で「パッケージを死守するぞ!」と思っているような「総論賛成・各論反対」の立場をとったこともございません。

 当時も今も私のスタンスは、「いい音楽が世の中に溢れ」「生活者がそれを最適な環境で享受できる」ということの追求です。しかもWeb2.0時代の今、生活者は一方的に情報や音楽を受け取る存在ではなく、情報や音楽を発信する存在になりつつあるのです。

 世の中の流れが、生活者にとって好ましいものならば、それを認める。既得権益にしがみつくためにそういう流れに抵抗する、ということはしません。
 例えばの話、自分の収入源の会社が無くなったとしても。
 自分達の「業界」が「衰退」しても、です。
 もっとも、そういい「抵抗」ははかないものですけどね。

 「総論賛成・各論反対」的なことを言うマーケターなぞ信用してはなりません。

 かと言って、私、積極的な「音楽配信推進派」でもありませんからね。(笑)
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 そこで本題です。
 アーティスト・ブランディング アナリストは、「CDパッケージ商品」をどう位置付けるのでしょうか?
 それは、アーティストというブランドにとって最も大切な「世界観」。
 その「世界観」に欠くことのできない「カタチ」なのです。


 ジャケットがそうですね。写真・デザイン、そしてカラーリング。アルバムCDの場合は特に重要です。生活者との絆を結ぶためには、「内容」だけでは不十分です。歌・メロディ・歌詞・アンサンブル・・・、それらを凝縮した表現の世界観が歌詞カードも含めたジャケットに集約される、と言っても過言ではないでしょう。

 リッピングしたり配信で購入した楽曲を自分のPCで焼いた、「世界に一つだけのマイ・オリジナルCD」では作ることができないものです(余程、マニアな方は別でしょうけど・・・)。

 店頭やサイト、各メディアで生活者の目を惹いてセリング(selling)に結びつけるのも重要ですが、それにとどまるものではありません。

 私たちの仕事でも、ユーザー調査の設問で、「(パッケージを)所有したいか否か?」という項目をポイントに置くものです。そしてこの「所有」というものを突き詰めていくと、購入=買い物体験という快楽、コレクションして陳列するという快楽にとどまらず、購入前の店頭で、購入後の自室で「手にとってみる」「触ってみる」 という快楽もパッケージの魅力なのではないか?と思ってます。

 今はまだ殆どのCDのパッケージが同一の規格ですが、今までにない凝った紙ジャケのパッケージも少なくなくなってきました。これからは「感触」が「気持ちいい」、「アーティストの価値観を象徴する匂い」がする、というパッケージも出てきてもおかしくはありません。

 もちろん、「アーティストの世界観を表すカタチ」は、ジャケット・CDパッケージに留まることはありません。ブランド・コントロールが可能な範囲で現在盛んに展開されている、「他消費財とのコラボレーション」もそうです。

 また、将来的にはCDパッケージがメインアイテムでなくなるアーティストが出現する可能性もあるでしょう。例えば写真集・書籍がメインでCDが附属アイテムとなるような。アロマグッズでもいいですね(現在の音楽業界の方々には嫌なお話なのはよくわかりますが・・・)。
 そんな場合でも、「アーティストの世界観」が生活者に伝えられ、「絆」が結ばれればそれでいいのです。
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 ここで「音楽配信とCDパッケージ商品」のお話に戻ります。

 音楽マーケットというマクロな論点では、「配信とパッケージの比率はどうなるの?」「数量ベースでは?」「金額ベースでは?」、というお話になります。それも重要です。

 アーティスト・ブランディング アナリストは、少々乱暴ですが下記のような見方をします。生活者からどう思われるか? Aパターン、Bパターンを示してみます。

   A.「アーティストの世界観」そのものを手に入れたいと生活者に思われるアーティスト・楽曲
   B.そこまではいらない。まず音さえ聴ければいいと生活者に思われるアーティスト・楽曲

 Bの場合は、いわゆる「消費される」アーティスト・楽曲ですね。
 ブランドは必ずしも「セールス実績」と連動するとは限りません。
 例えミリオンを達成した場合でも、1年後、2年後にマーケットから消えてしまうアーティスト・楽曲は「ブランド」ではありません。
 「セリング(Selling)」と「ブランディング(Branding)を混同しないで下さいね。

 短期的には、音楽配信(着うた、着うたフル、PC配信)で何万ダウンロードを達成し、売上額がシングル何万枚レベルに達したと言っても、CDパッケージ商品(特にアルバム)とのシナジー(相乗効果)がなかったならば、ブランドという観点からは、考える余地が少なくありません。尤もライブとのシナジーがあればまだいいほうですけど。

 マス向けにヒットし、認知度ほぼ100%のあるアーティストのブランド価値(ファンとの結びつきの度合い)を測定した結果、「こんなに低いの???」というデータもあります。ちなみにそのアーティストの着うたのダウンロードは多いと言われています。
(そのうちこのブログでも書いてみようかと思ってます。怖いんですけどね・・・笑)

 将来、音楽・映像配信のテクノロジーが飛躍的に進歩し、今では想像できないようなフォーマットが生まれた場合は別ですが、現状、もし我が国に「配信だけでしかリリースをしない」アーティスト(レーベル)が生まれるとしたら、それは「消費されるだけの楽曲」、「ファンとの強い絆が必要とされていないような」アーティスト(レーベル)ということになってしまうのかもしれません。(仮定の話です)

 音楽配信の普及によって、「シングルがの傾向がこうで、アルバムの傾向はこうなる」というアイテムを軸にした分析・予測もありますが、「ブランドとして生き残っていけるのか否か?」というアーティストを軸にした分析・予測もあるんですね。
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ハウス食品『うるおい美率』

2006年10月14日 | マーケティング話
 昨日、ハウス食品の『うるおい美率』についての記事を書きましたが、本日(10月14日)の『日本経済新聞』消費面(29面)、「ヒットの舞台裏」にこの商品が取り上げられています。

 偶然です。もちろん「やらせ」ではありません(笑)。
 CD・DVD・書籍他のレビューでも、全て私が自費で購入した商品を取り上げており、「メーカーによるプロモーション」とは一切関係ありません。

◆ハウス食品『うるおい美率』  配合量抑えたコラーゲン飲料  肌と同じ比率、味もスッきり

 ・今年6月の発売から3ヶ月で出荷額は約2億4千万円
 ・初年度7億円の目標を上回るベース
 ・コラーゲン飲料市場で10%程度のシェアを獲得する見通し

 私の記事でご紹介したSさん、新聞では実名で登場されてます。(笑)
 競合の新商品に押されたことによる販売額の頭打ちに対して、「配合量競争と一線を画す新機軸が必要」と考えたそうです。流石です♪

 (真皮と同じ比率で配合された)コラーゲンの量は、市場では低めだそうです(4000㎎/100mlあたり)。しかし、モニター調査では「人体に近い自然な調和を重視しているという印象をもってもらえた」。しかも生臭いコラーゲンの抑制(あくまでも比率は高いですが)は味の改善に役立つ。

 既存のコラーゲン飲料の味に満足できない20代後半~30代女性顧客の潜在ニーズにフィットしたわけですね。

 1.リリース(6月)
   CVS限定 → 売場・棚の確保(Place)
   TVVM集中 → 短期に認知度を高める(Promotion)
 2.チャネル拡張(10月)
   ドラッグストア、量販店 → ケース単体のまとめ売りなど「量」の拡大

 ブランド・イメージを拡散・劣化させることなくさらに多くのユーザーを獲得する。
 競合の追い上げを叩くためにも、コアとなる機能的ベネフィット・感覚的ベネフィットの啓蒙・浸透に注力、観念的ベネフィットを堅固なものにしてほしいものです。
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「オレ」の眼にも涙

2006年10月11日 | 徒然
 昨日、プロ野球セントラルリーグで中日ドラゴンズが優勝しました。
 球団関係者の方、そしてファンの皆さん、おめでとうございます♪

 私は少年時代から20代まで阪神ファン(虎キチ)でした。
 関東に生まれ育った私ですが、水島新司さんの『男どあほう甲子園』が好きでしたし、江夏・田淵のバッテリーや村山投手が好きでした。
 球場に足を運ばなくなってから20年弱の月日が経ちましたが、「贔屓のチームは?」と問われれば、今でも「阪神です」と答えます。

 そんな私ですが、中日の落合博満監督は現役時代(黄金期は「ロッテ時代」と思います)から憧れの選手の一人でした。選手というより「野球人」といったほうが正確ですね。
 私と同じB型というのもありますが(笑)、実は人知れず努力をしているのにもかかわらず、さらっと斜に構えて気の利いた言い方をされるのが、たまらなくカッコよかったのですね。
 秋田工業高校時代、野球部を何度も辞めて映画館通いに明け暮れながらも、野球部員たちに請われ続けて、しょうがなく(?)試合に出たというエピソードも聞いたことがあります。

 余談ですが、ロッテ時代、自宅購入の借金の保証人を稲尾監督に依頼、必然的に試合で自分を使わざるを得ない状況にもっていった「戦術」にも感心したものです。

 そんな「オレ流」の落合監督、今期も「投手力を軸にした守りで勝つ」という方針を徹底されたそうです。

「高校野球みたいだろ。こういう野球をしないと勝てない」(5/30)
「1番が出て2番が送って3-5番で点を取るのが今年の野球。つまんない野球だが、負けたらお客さんはもっとつまらない」(7/25)(*『日経新聞』10/11より)

 監督の方針を徹底されることは、並大抵のことではないだろうと思います。
 実力主義といえども、使われる選手も使われない選手もいますから、皆から支持を得るということは不可能。優しさ故の厳しさを理解してもらうのも難しい。

 またまた余談なんですが(汗)、1985年に阪神が優勝したときも「送りバンド」を多用した「For the Team」という言葉をよく聞いたものです。しかし実はバース、掛布、岡田のクリーンナップを軸にした攻撃力が優勝をもたらしたのです。
 ベンチで吉田監督が「送りバンド」のサインを出す。打者が失敗する。すると、

  「こんな作戦じゃ、勝ちゃーしねーよ!」

という声がベンチで上がり皆が騒ぐ。吉田監督、渋々と強攻策のサインを出しそれが成功した、という逸話を聞いたことがあります。つまり監督が選手の心を把握すること、方針と戦術を徹底させることは難しいということです。

 先日、日本ハムの金村投手が監督を批判しましたが、監督の采配とは、たとえ冷徹なようでも「投手の一球」に匹敵するほどの責任を背負った上での判断なんですね。金村投手にはそれがわからなかった、いやわかっても許せなかったのでしょうか。
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 日本の「プロ野球」、ここ数年テレビ中継の視聴率低下に象徴されるように、人気は凋落気味です。色々な要因がありますが、時代の流れとミスマッチしてきていることは否めないでしょう。

 かつて高度成長期、「プロ野球」をメジャーな存在にした最大の功労者は、元読売ジャイアンツ監督の長嶋茂雄さんでしょう。実力がある上に「ショーマンシップ」を徹底させた「天才型」。長嶋さんを“陽”とすれば、「努力型」の王貞治さんは“陰”。このお二人の功績が大きいでしょう。好き嫌いはあると思いますが、異論は少ないと思います。
(他にも野村克也楽天監督など功労者はおりますが、プロ野球という「ピラミッドの頂点」に位置するのはこのお二人だと考えます)

 このお二人は実にわかりやすいです。(あくまでも我々からみた場合ですが)
 確固たる「ブランド」が確立されています。

 落合博満さんの「ブランド」は、「マス」の心を掴んできた「ONブランド」とは違います。
 「オレ流」と言われているものの、皆にとって「わかりやすい存在」ではありませんね。支持を得る前に誤解をされることが多いのではないでしょうか?
 しかも野村克也さんと同様、奥様に対する誤解(?)が好感度に悪影響を与えていることも推察されます。

 そんな落合さんが優勝決定の直後、涙を流されました。

 「選手に恵まれた」とコメントしながら。

 計算ずくのことではないでしょう。

 私が連想したのは、春のWBCでイチロー選手が見せた“熱さ”“篤さ”です。
 イチロー選手も、どちらかと言えば、自分流でクール。
 松井秀喜選手とは対照的に、マスコミへのサービス精神はあまり感じられない。
 そして誤解されやすいタイプだと思います。

 ところがWBCで見せたイチローの態度は、彼をクールと考えてきた我々一般人のイメージに修正を迫る(?)ほどのインパクトがありました。
 一個の人間として多様性を持つのが普通なんですが、スポーツ選手や芸能人はやはり、「一つのイメージ」で捉えられざるを得ないのが現状でしょう。それをコントロールするのが「ブランディング」なんですが。

 イチローの態度と行動(プレー)が、結果的に彼のブランド価値を高めることとなった。

 そして今回の落合博満監督の「涙」も、彼のブランド価値を高めることになると私は考えます。

 お二人ともごく自然な態度・行動だったと私は推察いたします。
 今回はエージェントの方針と戦術、という類のお話ではありませんでした。
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Fly High/中ノ森BAND テイチクE 2006年

2006年10月10日 | 女性アーティストブランド価値評価・構造
★2006年9月9日、mixiの「おすすめレビュー」にアップしたレビューです。
 タイトルは『Fly High』
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 最近、ロックフォーマットの女性バンドはめっきり見ることがなくなったので(そういうサイクルでしょう)、このバンドの存在、オッサン的には歓迎。

 ポジショニング的には、コンペしている他バンドがイマイチなので救われているんです。このバンドは。

 ただし、「マス・マーケット」でどれだけ需要を開拓できるのかは疑問。
 現状ではニッチなマーケットにいるんです。

 もちろんボリュームは大きくなくても、彼女達を必要としている若者はいるわけだから、ニッチながらも確固としたポジションを確立すべきでしょう。

 このバンドの場合、ヒットチャートで上位に食い込む、つまりブレイクするには、ズバリ「歌唱力」がボトルネックになっているんです。

 たとえ実力のある作家に外注しても、大きなタイアップをとっても、リスナー・ユーザーはそう簡単にお金を出すようなアホじゃありません。

 かと言って「ロックサウンド」を深く追求しすぎるのは自殺行為。
 コアなロックファンの支持を得ることはあり得ません。少なくとも今は止めておいたほうがいい。

 ポップセンスとロックテーストの微妙なさじ加減。これが生命線なんですね。
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 ターゲティングについては、「10代」に見事にフィットしています。
 「認知度」「好感度」ともに「10代」の若者がボリューム。

 レンタルで借りたり友達から借りる比率の高い若者たちに、いかにCDを買ってもらうのか? これが最重要課題の一つでしょう。高校生たちへの認知度を高めることも必要でそのためのTVタイアップも必要でしょうけど。

 今の状態は、「認知度」も「好感度」も低い「30代以上」のCD購入比率が高いという、よくあるパターンです。それも「波及効果」の一つなんでセールス的には一概に悪いということはできないんですけどね。。。
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 昨年暮、「日本レコード大賞新人賞」獲得。所属のレコードメーカでの存在感も増しているはずです。

 でもブレイクさせるのも見捨てるのもリスナー・ユーザー。
 彼らの支持を確たるものにするには何をすればいいのか?

 すでに精力的に取り組んでいる「ライブ」です。「もう死んじゃう!」という位、ライブを展開する。
 コア層を固めて、動員というベースを確たるものにするのです。
 もちろん、MDでの収益という財政基盤も固める。

(厳しい言い方をすれば、例えばの話、事務所やレコードメーカから契約を切られても表現活動を続けるぞ!ぐらいの「魂」があればの話ですが)

 あと2年もしないうちに、“本物っぽさ”とカリスマ性がプンプンと匂ってくるようになりますよ。演奏力もつくしね。

 ロックチェーンでファンのハートを掴み、「鬼嫁」じゃなかった、「Oh My Darlin`」のようなキャッチーなナンバーで最大限に盛り上げる、そんな光景を見たいですね。
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 もちろん自分達の「強み」もしっかり認識すべきです。

 このバンドを好きな人達がCDを買ってくれるか否か? のポイント。

 それは「声質のよさ」と「ルックス」なんですね。

 客観的に声やルックスがいいか? という話ではなく、ファンが無意識的にそう思って購買しているということなんです。

 「コア・コンピタンス」ちゅー奴です。「武器」は「武器」として認識しましょう。

 「ルックス」が強力な武器なら、ファッションのカラーコーディネートも強化すべきでしょう。(私が言うまでもないか・・・)

 「ファッションセンス」の評価はもっと高くていいし高めることは可能でしょう。

 もちろん、「大人たち」が着せたいものを着せるのはNG。
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と、結構言いたいこと言ってきましたが、えっ?

 「それでお前、このバンド好きなんか? あ~?」ですって???

 そりゃ千円身銭切ったんですから、言わずもがなです。
 文句ございますでしょうか?(笑)

 私的には、「smile & wild」のサビのような解放感が好きなので、
 タイトル曲「Fly High」はOKであります♪
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色の暗号―カラーセラピーで知る本当のあなた/泉智子著 大和書房 

2006年10月10日 | 書評
★2006年8月27日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『色の暗号―カラーセラピーで知る本当のあなた (文庫) 』***************************************************************************
 色をなめたらあかんぜよ

 一読して実感しました。

 「カラーセラピー」というカテゴリを聞いて久しいですが、「外面」のことだけではないんですね、色って。

 しかも「占い」とは違って、自由なんです。
 カラー・ミックスとでも言いましょうか。
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Web2.0でビジネスが変わる/神田敏晶著 ソフトバンクC 2006年刊

2006年10月10日 | 書評
★2006年7月19日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『Web2.0でビジネスが変わる』***************************************************************************
 ITマーケティングの快著。

 猫も杓子も「Web2.0」って騒ぎすぎじゃないの?
 収益モデルのこと突き詰めないであんまりはしゃぐなよな。。。

と、うんざりすることが多い今日この頃、はしゃぎ過ぎることなく冷徹に「マスメディア」「CGM」「ボッドキャスト」を論じている。

 しかも整然としたデータを論拠に。
 「マーケティング書」としても秀逸!

 それにしても、著者、私と同じ歳だったのね(笑)。

 「破天荒すぎる人だ!」と、さすがの私も引いていたのだけれども、著者の凄まじい行動力と明晰な頭脳、編集スキル、さらに「強運!」には感服するしかない。
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ヤバいぜっ!デジタル日本/高城剛著 集英社 2006年刊

2006年10月10日 | 書評
★2006年7月19日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『ヤバいぜっ!デジタル日本―ハイブリッド・スタイルのススメ 』***************************************************************************
 ハイブリッド、スタイル・・・。

 いつも時代を進みすぎた感のある著者の、クールでシャープな視点には感服せざるを得ないが、それよりも「日本ブランド」への熱き(篤き)想いが伝わってくる一冊。
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芸術起業論/村上隆著 幻冬舎 2006年刊

2006年10月10日 | 書評
★2006年7月21日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『芸術起業論』
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 ヒトやモノの価値を創造し高めていくのに必要なフレームワークとは?

 そのヒントが満載。

 「欧米という限られたエリアで“芸術”を商業的に成功させるノウハウだけでしょ?」という人には理解できない。

 芸術について書かれた本書だが、ビジネスのミッション・ビジョンに活かすべき「宝」が詰まっている。

 国内では著者に対する色々な「やっかみ」を聞く事が多いが、修羅場をくぐり抜け、米国で成功し、「鬼」のように若きアーティストたちを育てている著者は、少なくとも私にとっては「信頼に足る」人物。

 私のコンペティター、ライバルの方には読んで頂きたくない、読んでも理解してほしくはない一冊です(笑)♪
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あの戦争になぜ負けたのか/半藤一利他著 文芸春秋 2006年刊

2006年10月09日 | 書評
★2006年7月3日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『あの戦争になぜ負けたのか』***************************************************************************
 戦略思考が苦手な私達日本人。
 マーケティング=販促としか捉えられないような人の多い日本人が読んでおいたほうがいい一冊。

 底の浅い「平和主義者」は、戦争の悲惨さのみを取り上げ、「政治の延長」(クラウゼビッツ)である戦争の本質的な論議を遠ざけようとする。

 そんな態度は、戦争を防ぐことに効果的であるはずがなく、むしろ逆である。

 平和を希求し追及したいならば、我々は、現在も続くイラクやアフガンの事例でさえ教訓化しなければならないのだ。

 「戦争」を考えることは「人間そのもの」を考えることである、というのが私の持論だ。
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 私と同世代の2名(福田氏、加藤氏)を含めた6名の論客の論議は示唆に富んでいる。

 人類史初めての「国家総力戦」=第一次世界大戦を経験しなかったことが、第二次世界大戦で日本がちぐはぐな戦争を遂行してしまった最大の理由であるという論はとても明快だ。黄禍論者であったヒトラーのナチス頼み(日独伊三国同盟)という、甘い見通しも然り。

 さらに、①武士→職業軍人と、②サムライでも百姓でもない「近代的な市民」の誕生という明治維新後のわが国で、国民が「国家総力戦」に動員されていく中で、どのような精神構造にあったのかの仮説も面白い。

 「特攻隊」についての論議も、「英霊化」「犬死論」の両極端に偏ることなく、史実に基づいた説が展開されている。戦後、東西両陣営の大国に対する、深層の「大いなる抑止力」が「神風特攻」であったとの説も示唆に富んでいる。

 最後に論者の一人、半藤一利氏の言葉で締めたい。異論・反論は多いだろうが、戦後日本を考えると示唆に富んだ言葉だ。

 ・無能な指揮官は、部下の命を無責任に浪費した。
 ・最大の罪は、特攻に行く青年を、指揮官が「俺もあとに続くから」と送り出していること。
 ・しかしほとんどの指揮官は、8月15日の終戦を迎えるとそんな約束などすっかり忘れて、
  「戦後復興に力を尽くすほうが大事だ」と言い出す。
 ・そういう人々がつくった戦後とはすなわち、命を懸けた約束を破ってもいい、嘘をついてもいい
  戦後ではないか?
 ・これが戦後の日本をダメにしている。

(大西瀧治郎海軍中将は終戦翌日の8月16日、割腹自決)

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音楽と意図―ヒットチャート考現学!/ターザン山本! インフォバーン 2005年

2006年10月09日 | 書評
★2006年6月10日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『音楽と意図―ヒットチャート考現学!』***************************************************************************
 著者の「ターザン山本!」(山本隆司)氏は、かつて『週刊プロレス』を40万部のモンスター雑誌に育て上げた人物なんですね(お名前存じておりませんでした-汗)。

 ◆基本的に音楽にはまったく興味ナシ
 ◆紹介するアーティストについての予備知識ナシ
 ◆偏見も下心も邪心もない、ナイナイづくしの純真無垢な音楽レビュー

 こういうコンセプトっていいもんです。

 著者の「音楽論」も明快でわかりやすい♪

 「音楽」とは時代の空気がそのまま音になったもの。
 特にヒット曲はそうした時代の空気の最大公約数を表したものである。
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 音楽(アーティスト)は、「作品」として捉えることもあれば、「商品」として捉えることもあります。

 なかなか明瞭に区分は出来ないのですが、「商品」として捉える場合には、ヒット曲の背景に、「時代」「生活者」「消費者」の“気分”を読み取りたいと私は心がけています。

 私も「日本消費者行動研究学会員」の端くれです。
 そう考えると、本書から得られたモノは少なくありません。

 80年代後半から90年代にかけて、わが国の産業構造・ライフスタイルの変遷とともに、時代を象徴する「ヒット曲」のあり方が大きく変わってきたのを実感したのは私だけではないはずで。

 著者の言葉で表せば、こういうことなんですね。

  「共通分母」(=同時代人)の喪失

 その時代を生きた人ならば誰でも知っているヒット曲の時代が終わったといこと。NHK「紅白」の凋落は時代の必然性ということがよくわかります。

 そこで「ヒット曲」は、「分母」の時代から「分子」の世界へと転換。

 私たちは「分母」への幻想を捨て、「分子」を求めるようになった。

 作り手側も「分母」になりきれないことがわかっているからこそ、アーティスト(歌手)という分子としての魅力を放出している。
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 で、本書の内容なんですが、ユニークこの上ない「仮説」がポンポン吐き出されています。
 例えば、

 「、」と「。」のない、宇多田ヒカルの世界が、責任を負いたくない現代人にマッチした。

 ううん、深読みじゃないのぉ~
 いやいや、そんな気もしてきたぞ。
 定量化してみたいけど難しいか。。。(笑)

 「ぼくたちの職業は深読みされてナンボ」(平井堅談、『ぴあ』のインタビューより)

 深読みOK、OK♪
 それがなくっちゃ、「仮説」もでてきません。
 「天才」の閃きってそういもんだしね。

 ところで本書では、今や世界的なアーティストとなった村上隆氏との対談が収録されています。村上隆の読みは鋭いですね。特に「ヒップホップカルチャー」への言及へは含蓄はなかなかのものです。

【ロックンロール】
 ・白人的な「個」とアイデンティティを強力に持っている=「向かい合い」
 ・自分がいて、相手がいて、対峙しあってコミュニケートするという西欧的、シェークスピア的世界

【ヒップホップ】
 ・背景には黒人文化。向かい合う個と個ではなく、同じ血を持つ同胞同士のコミュニケート
  (ブラザーに流れる血)=「並んで寄り添う」

 わが国でヒップホップカルチャーが流行する、ヒップホップ的な楽曲が流行するのは、「向かい合うこと」を受け入れがたくなってきた、という感性の変化ではないのか?

 さらに、日本人が元からもっている、なるべくヒエラルキーを作りたくない、ひとりだけ突出するのではなく、なるべくフラットな関係でいたいという欲求も含まれているのではないか? と仰せです。

 これにとどまらず、何事も「追求すること」が好きな方には超お薦めの一冊です。
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病気にならない生き方/新谷弘実著 サンマーク出版 2005年

2006年10月09日 | 書評
★2006年5月20日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める』***************************************************************************
 全米ナンバーワンの胃腸内視鏡外科医、新谷弘実氏の著作です。

 「患者の体に聞く」という新谷氏の医師としてのポリシー、治療されたガン患者のガン再発率「0」という実績は、単純に説得力があると思います。

 「エンザイム」「フリーラジカル」、初めて聞く言葉です。
 本書は実家の両親に読んでもらおうと思ってます。 
 できるだけ多くの方にお薦めです。

 ただし日本国民の殆どが本書を読み、影響を受けたならば、

 煙草、お酒、乳製品は言うに及ばず、食肉関係、食店・・・、「食」に関わるほとんどの業界が崩壊してしまうことになります(苦笑)。
 何も悪いことをしていない○○乳業も潰れるか業態転換へ。

 いやその前に、おびただしいお金が舞って、この本や新谷さんに「圧力」がかかってしまうでしょうね(笑)。まぁ、そんなことにはならないでしょうけど。「書店でよく売れたよ」くらいの小さいブームで終わってしまうと思います。

 今更、「肉」を食べるのを止めることなんて不可能でしょう。
 ワインなどのお酒は「毒」だから止めますなんて嫌でしょう。
 皆がやりたくないことを勧められているのです。

 Fear Appeal、きついですね。。。

 でも私の大事な皆さんにはとりあえず一読をお薦めいたします。
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 ◆胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる
 ◆薬は全て基本的に「毒」である
 ◆牛乳を飲みすぎると骨粗鬆症になる
 ◆ヨーグルトを常食していると「腸相」は悪くなる
 ◆マーガリンほど体に悪い油はない
 ◆白米は死んだ食べ物
 ◆カテキンはタンニン酸となりタンパクを凝固させる。またDNAを損傷させる
 ◆つまり「ヘルシア」は体、特に、胃に悪い

 一つ一つの説明は、シンプルで理にかなったものです。
 たしかに自然界で大人になっても「乳」を飲む動物はいませんね。しかも種の異なる動物の乳をわざわざ酸化させて飲んでいる。

 市販の牛乳を母牛のお乳の代わりに子牛に飲ませると4、5日で死んでしまうそうです(怖)。

 肉を食べることの弊害は、「人間の体温」を基準に考えるとよくわかるでしょう。

   牛や豚の体温=人間より高い38.5~40度
   鶏=もっと高い41.5度

 人間よりも高い体温の動物の脂は、その温度で最も安定した状態にある。つまり、それよりも体温の低い人間の体に入ったとたん、ベタッと固まってしまう。よって、血液はどろどろになる。

 同じ動物性タンパク質でも、「肉」より「魚」のほうがいいのは自明ですよね。
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 そんなこと言われても、おいしいものを食べたい。

 でも、太く短く生きてポックリいければいいんですが、私たちは長い一生を活きなければならないんです。たとえ、ダイエットなんかして痩せたとことで、胃や腸はとんでもない状態であることに変わりはない。ガンに蝕まれ、死ぬよりきつい抗がん剤のため地獄の苦しみを。。。

 もちろん、たまには肉を食べるのもいいです。
 新谷さんの言う食事健康法を100%実行するのは不可能でしょう。

 自分がガンになれば100%実行するでしょうけど、これは「対処療法」ではなく「予防」ということで。

  ・植物食と動物食のバランスは、85対15
  ・穀物50%、野菜や果物35~40%、動物10~15%
  ・全体の50%を占める穀物は精製していないものを選ぶ

 出来るところから。

 よく噛んで小食を心がける。

 お酒は付き合いのときだけ。
 それも量は考えること。

 大好きな牛や鶏や豚を食べるのは、極力、回数を減らすこと。
 ただしストレスを感じるようでは逆効果。
 自分なりの仮説で進めていきます。
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