【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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iTunes Storeは日本でも独走か!?

2007年06月29日 | 音楽配信サービス
 こんにちわ! 自宅=仕事場の弊害(?)か、
 夜中の12時~朝4時、最もテンションが上がり頭が冴えてしまう井上秀二です(^_^;)。
 でも「朝型」転換を諦めたわけではございませんし夜も更けてきましたので(私の歳も、こっちは「老けて」か・・・)、今回は手短に。。。
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 先日、「CNET Japan」記事「iTunes、音楽販売でアマゾンを抜き業界3位-米調査」 を読みました。

 日本国内同様、音楽マーケットがシュリンクする米国で、
 (何と2007年前半の音楽販売は業界全体で20%のダウン!)
 「iTunes」のシェアは「amazon」を抜いてしまった!
 Wal-Martのようなパッケージ販売の小売業もダウンロード販売に参入し、
 これからも競争は激化していくことでしょう。

 しかし、NPDのシニアアナリストであるRuss Crupnick氏がコメントしているように、
 ユーザー・ベネフィットに忠実な「iTunes」は健闘するのではないかと私は考えます。

「もしAppleがより優れたシステムを提供しなかったら、デジタル音楽の新規ユーザーがこれほど増えることはなかっただろう」(Russ Crupnick氏)

 日本でもこの6月から、
 ワーナーミュージック・ジャパンさんの楽曲が「iTunes Store」で購入可能になりました。

 さらに、「Yahoo! ミュージック」でも「Music Download on iTunes」がスタート(「CNET Japan」より)。

 国内における「Yahoo! ミュージック」と「iTunes Store」のデータを眺めれば、
 「さもありなん!」 という感も否めないところです。
 「Yahoo!」さん、動画でしょ

 このデータ(↓)は、㈱ライブドアさんが3月に実施したネットリサーチ結果です。

  ◆【音楽配信】「使ってみたい音楽ダウンロードサイトは?」

   1.iTune Music Store 23.6%
   2.TSUTAYA Online 14.6%
   3.Yahoo! ミュージック 11.8%
     (以下、省略させていただきます)

 複数回答で利用意向を聞かれておりますが、
 「音楽をダウンロード購入しようとは思わない」も選択肢に入ってますね。
 この選択肢を除いた、実際のユーザーの利用動向は、
 ライブドアさんとのコラボレートで私が執筆させて頂いたこちらの資料に詳しく記しました。

  

 アクセス経験率の高い「Yahoo! ミュージック」での購入比率は?
 「iTMS」での購入比率は?
 ヘビーユーザーの購入動向は?
 そして携帯ユーザーの利用意向は?

 その辺りも詳細に分析しております。

 どうもこのブログの「音楽配信カテゴリ」、執筆レポートの宣伝が目立っているかもしれませんが、
 こういうデータの活用は大切ですからね。
 個人様向けの資料ならともかく、企業様向け資料でたかが6万5千円ですからね。

勢いで参入して撤退する損失
を考えれば安いもんです。


 (注)私も営業いたしますが、販売窓口は㈱ライブドアさん一本です。

 そして、、、
 多くの皆さんが一様に「日本では携帯! 携帯!」とおっしゃいますけどね。
 それは今現在の話でしょ?

 今後のマーケットの動向は?
 自社はマーケットでどのようなポジショニングが可能なのか?
 セグメントは? ターゲットは?(思い込みではなくね・・・)

 そういう戦略立案や戦略のメンテナンスのためにこういう資料が存在し、
 さらにはコンサルティング・サービスもあるのです。
 (個別案件は㈱ライブドアさんにご依頼頂ければ、私も稼動いたします)

 プロモーションについて考えてみて下さい。
 安価なプロモは大した効果を生みませんよね。
 「Web2.0時代」でもそれは変わりませんよ。
 「ロングテール」のヘッドの部分はね。勘違いしないで下さいね。
 そして、戦略立案でも同じことが言えるんです。

 このままでは、
 戦略立案のマーケティング・リサーチにお金をかけるごく一部の既存企業と
 新規参入企業のみが極少数の「勝ち組」となり、
 従来のプロモ偏重企業が凋落していくことは目に見えています。

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セオリーの殻を破れ!-「DoCoMo 2.0」のコミュニケーション

2007年06月26日 | マーケティング話
 こんにちわ! 先週、社会保険事務所にて、過去の「国民年金」の納付状況を確認したところ、
 「大丈夫です」ということで、すこしホッとしている井上秀二です。

 「すこし」というのは過去の納付手続きにミスはなかったものの、
 これからも社会保険料を納付し続けなきゃいかんのう、というプレッシャー故です。
 それには、、、しっ、仕事だ
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 まず最初に、私が個人的に好きなCM、DoCoMo 2.0「ワンセグ」(焼肉)篇のお話です。

 土屋アンナ(アナコンダ?)の「焼き焼きロック」で長瀬智也が、
  「うめーなぁ、この選手。」
 と叫ぶシーン(照れ隠し)がありますが、
 ワンセグ画面に映っている背番号「18」
 わが大宮アルディージャのDF西村卓朗選手です。

 浦和レッズでは芽が出なかったものの、大宮に移籍してからは才能が開花、
 突破力があり、右サイドを駆け抜けチャンスを演出する頼もしい選手です。

 また、普通のサッカー選手と一味違って、
 インテリジェンスもあり人間的な魅力のある人だと私は思います。
 勿論、活躍を期待していますが、将来、現役を引退しても
 サッカー関係で優れた職業人として成功するだろうと私は考えています。
 「卓朗日記」という彼のブログもありますよ。

 2005年、mixiで彼のコミュニティを作ろうかと思いましたが、他の人が作ってくれたので、
 今年からアビスパ福岡に戻ってしまった久永辰徳選手のコミュを作ったのも懐かしいです。
 (現在は、アビスパ福岡サポの方に管理権を移譲、私は副管理人)

 このCMでは他にもアルディージャの選手達が映っています。
 中々ブログを更新していない背番号「5」トミダイも。

 という個人的な好みのお話はここまでにして、
 今回は色々な意見が飛び交っている(?)
 NTTの「DoCoMo 2.0」のコミュニケーション戦略について思っていることを書きます。

   

■大前先生、セオリーはその通りですが・・・

 私のマイミクさん(mixi内の友人)には広告代理店勤務のプロのアドマンが数名おりますが、
 皆、「DoCoMo 2.0」のCMについては批判的基調の日記を書かれていました。
 また、プライベートな場でお会いしたNTT関係者の方からも、お金をつぎ込んで、
 俳優さんたちを集めた手法に批判的なご意見を聞いたこともあります。

 私は広告関係のプロではありませんが、プロのマーケターの立場から、
 携帯業界のマーケット・リーダーたるNTTさんのコミュニケーション戦略に、
 批判的な意見が出ることは容易に想像できましたし、
 様々な角度からの批判意見に頷くことも多いです。

 極めつけ(?)は大前研一先生のブログでしょうか。

  ドコモ2.0は、大きな過失。絶対にやってはならないマーケティング戦略
  経営者としては絶対にやってはいけないマーケティング上のミス
  もし私がドコモの社長なら、今回の広告を作った人を解雇するでしょう。

 先生、手厳しいですね。。。

  『そろそろ反撃してもいいですか?』
  のキャッチコピーを見て分かるように、
  この戦略は完全に同業他社に反発し、それを打ち負かす
  ことだけを考えたものです。

  こういった考え方を、経営学では、「コンペティティブ・
  リタリエーション(競合反発)」と呼び、経営者が選んでは
  いけない戦略の1つになっています。

 「コンペティティブ・リタリエーション(競合反発)」ですか。
 確かに大前先生が仰せのセオリーはよくわかります。
 低価格競争=消耗戦→市場の疲弊というスパイラルを招く可能性も大でしょう。

■「DoCoMo」ブランドイメージの硬直化に対して

 しかし、私といたしましては「ワンセグ」「音楽」というキーワードによって、
 「NTT DoCoMo」のブランドイメージ戦略を考えてみました。

 結論から言えば、
 「DoCoMo 2.0」のCM、アリでしょう
 ということです。
 CMに大宮アルディージャの選手が映っているから、というからではありませんよ。

 「番号ポータビリティ実施後の契約純増数ドコモの一人負け」
 という現実は確かにあります。
 そこで焦った「NTT DoCoMo」がauやソフトバンクに巻き返しを図ろうと、
 挑戦的でやんちゃなコミュニケーションを、
 というのが一般的な理解でしょうか?

 確かにNTT(グループ)は電話業界のガリバー企業であり、
 「NTT DoCoMo」は携帯電話業界におけるマーケット・リーダーです。
 下表は、社団法人 電気通信事業者協会のデータを私がグラフにしたものですが、

  

 「NTT DoCoMo」のシェアは54.1%。
 「クープマンの目標値」でみると、「相対的安定シェア」を約10ポイント上回っています。
 (「au」は29.3%。「市場的安定シェア」です)

 しかし、「ワンセグ」というサービスに絞ってマーケットを見るとどうでしょうか?

 1年前のデータですが、ネットリサーチ企業の㈱マクロミルの調査結果を見てみましょう。

  ◆ワンセグ放送に関する利用状況調査(㈱マクロミル実施)

 2ページに「ワンセグ対応機器所有率」の円グラフが掲載されていますが、

  ・P901iTV(DoCoMo)18.4%
  ・W41H (au)40.8%
  ・W33SA(au)40.8%

 となっています。
 携帯業界における1年前はだいぶ昔ということになりますが、
 それでもこの数字から、「ワンセグ」というカテゴリで
 いかに「NTT DoCoMo」が「au」の後塵を拝していたか! が明らかです。

 「ワンセグ」にフォーカスを絞ると、
 「DoCoMo」はガリバーどころではない。

 では、「ワンセグ」に対するニーズが高いのは?

 やはりネットリサーチ企業の㈱インフォプラントが2007年3月に実施した調査結果を見ましょう。
 この調査は、iモードサイト「とくするメニュー」上で実施したものですね。
 (ググって探した資料ばかりで、スンマセン。。。)

  ◆「ワンセグ放送の利用」に関する調査(㈱インフォプラント実施)

 4ページの「ワンセグ放送視聴意向」(Q2)の性・年代別グラフを見ると、
 視聴意向が高いのは男女とも「19歳以下」。
 年代の上昇に従って低下する傾向が顕著です。
 (男性は「ニュース番組」「スポーツ」、女性は「ドラマ」「バラエティ」)

 またまた日経リサーチさんの最近の調査結果でもこの傾向が顕著に表れています。

  ◆携帯電話で見る動画は音楽が一番人気--日経リサーチ調べ(CNET Japan記事)

 よって、ニーズの高い若年層をメインターゲットとした
 コミュニケーション戦略は間違っていません。
 CMの尖ったキャスティングもストーリー展開もOKでしょう。

 TVCMを観ていると、
 篠原涼子をキャラクターに使ったり、
 BONNIE PINKの曲を使ったり、
 アンジェラ・アキ「LISMO」のキャンペーンに使ったり、
 ヴァン・ヘイレンの「JUMP」を使ったり、
 ことコミュニケーション戦略では、
 「au」のほうがマーケットリーダー?
 と錯覚せざるを得ない状況ですね。

 すでにこの時点でポジションが逆転しているんです。
 顧客の「マインドシェア」ではね(推測ですが)。

 そんな「au」に対して、
 NTTのコンサバなイメージを強調したコミュニケーションで対抗していては、
 到底、先はないでしょう。

 私が言いたいのは、

マーケット・リーダーNTTの
コンサバなイメージ=“殻”を打ち破る、
尖ったイメージ戦略が必要でしょ、
携帯、特にワンセグでは、


と言うことなんです。

*勿論、NTTグループ全体のコーポレートブランド戦略の再構
  という大変な作業が必要なことは言うまでもありませんけどね。

■「音楽に強いau」に対して

 「au」が音楽に強い、というブランドイメージが、
 若年層を中心に浸透していることは言うまでもありませんね。
 特に「LISMO」ですね。

 大前先生をはじめコンサバで古いセオリーに縛られている方々のご持論を
 あえて拡大解釈させて頂くならば、

 「NTT DoCoMo」は、
 「音楽」というカテゴリで「au」に対抗すべきではない

 ということになりかねません。

 若年層をメインターゲットに「au」への対抗軸を据えて闘う姿勢を批判するのなら、

「TOWER RECORDS」を傘下に置いたことに遡って否定しなければならないんじゃないでしょうか?

■コミュニケーション本来の目的とは?

 コミュニケーションの専門家ではない私が言うと、
 「理想論」と一蹴されかねませんが、
 CMは短期的なキャンペーンの即効性を要求されるケースが多くなったとはいえ、
 本来は企業や商品・サービスのブランディングが目的です。

 ドッグイヤーの時代の移り変わりの速さに翻弄されてはいけませんが、
 企業・商品・サービスのブランド・イメージの再構築が必要な時期はやってきます。

 今回の「DoCoMo 2.0」キャンペーンが短期で終わることなく、
 コンサバな旧来からのイメージの脱却と、ブランド再構築、
 という観点からなされたものならば、私は正解だと考えます。
 (継続するだけの経営資源はあるでしょうし)

 最後になって、また私の個人的趣味が露出しますが
 「DoCoMo 2.0」のクリエイティブは、TUGBOATですよね。
 ここが作るCM、結構好きなんです、私。

 「CMスキップ」の問題が語られて久しいですが、
 作品性の高いCMが、企業・商品・サービスのブランディングに寄与するという
 流れこそ必要なんじゃないでしょうか? と思う今日この頃です。

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『連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ』 田原総一朗著 集英社 2004年刊

2007年06月12日 | 書評
 こんにちわ! 井上秀二です。
 「80年代J-ROCKのお話」まだ続きますが、たまには書評でも。
 私もビジネス書以外の本も読んでおりますので。

 先程、「mixi」と「XSHIBUYA」の「レビュー」にアップしたものを再編集・載録いたします。
 ジャーナリスト田原総一朗さんの著書、『連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ』について書きました。
 レビューと言うよりも、備忘録のような走り書きで、引用が多いですけど。。。

 1934年生まれの田原さんは、戦争中の少年時代、海軍に入って特攻機に乗ることを考えておられたそうです。戦争後期、米軍が上陸したら爆弾を抱えて米軍の戦車に体当たりする、つまり自爆テロを決意しておられた。

 大学生時代、私はある問題意識を抱いておりました。
 何故、特攻隊を組織してまで戦争を遂行した日本軍が、天皇陛下の玉音放送で敗戦を受け入れたのか? そして連合国による占領政策のためとはいえ、なぜ日本人は価値観を180度転換してしまったのか? これぞ“原理主義”。

 現在、イラクでは武装勢力による“戦争”が続行中です。
 当時の“青かった”私は、敗戦直後の日本でも今のイラクのような状況が続いてしかるべきではなかったのか? でなければ、国のために命を落としていった兵士たちの魂に顔向けできないのでは?
 という問題意識をもっていたのでした。

 勿論、今の私は、戦後の日本人が価値観を転換させ、復興(実はそれも戦争の継続した形だったのですが・・・)に注力、と言いますか、生きていくことに精一杯だった歴史を肯定しております。

 但し、太平洋戦争中の日本人(政府・軍部だけではありません!)が、“病的”であったこと(岸田秀氏の持論では「精神分裂病」)は否めない事実だと考えます。

 本書は、執筆にあたる田原氏に、「青春時代の私たちも、テロリストだったの?」と叱咤し背中を押してくれたという田原氏のご夫人、節子さんに田原氏が捧げた一冊とのことです。
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■第一章 アルカイダ-孤立した秀才たち
■第二章 オウム真理教-武装した予言者

 ここまでは従来マスコミ等の報道から得られた情報以上のものはほとんどなし。
 事実関係の話が中心で、人間の深奥に至る洞察を期待してしまった私には、物足りなかった。

 ただ、全てのオウム裁判を傍聴された降幡賢一氏(朝日新聞編集委員)が、差別的言動との誤解を恐れず発言されたことは自分にとっては新鮮。言われてみれば当たり前のことなんだが。

「麻原が目が見えていれば、これはインチキだとか、これはだめだということが即座にわかる類のことですよね。だけど彼は情報として話を聞くだけなんですよね。」
(ボツリヌス菌、潜水艦、ホバークラフトなどの滑稽性について)

■第三章 連合赤軍-消された大義

 はっきりと言おう。
 連合赤軍事件で当事者達の経験は、太平洋戦争で原爆を2発落とされるまで、勝てない戦をズルズルと続けた日本人(政府だけではない)の体験と、本質的に同じである。

 「もうやめよう」と誰も言えなかった歴史。
 本書を読む前からの私の持論の確信は高まった。

 この章でようやく私の期待した発言が。

 3人の証言者のうち最後に登場する、三上治氏(元共産主義者同盟叛旗派最高幹部)の発言は、人間というものの本質をよく捉えている。

 三上氏は、赤軍派の故 森恒夫氏など後の「連赤」幹部との交流はあったものの、ブント(共産主義者同盟)叛旗派は、「連合赤軍」とは別組織。
 元連合赤軍兵士の植垣氏のような“当事者”ではない。

 だからこそ、冷静に当時を総括できるのか?
 いや、三上氏の資質故だと思う。

 大衆運動から武装闘争に転換した赤軍派にしっかりとした「コンセプト」がなかったことへの指摘もそうだが。。。

 何よりも故 森恒夫氏の一度運動から脱落した後の復帰という経験が重要なキーとなっている。
 彼が連赤幹部として先鋭化していった心理過程は、何もテロや戦争に限らず、我々の日常でもよく観られる心理過程であると私は考える。とても象徴的だ。

 三上氏の発言は、実に鋭く私に突き刺さる。
 テロや戦争時ではなく、平常時に生きる自分にとってね。
 実に痛い。。。

「ここが大事なことなんですが、前向きに、しっかりした戒律をもった、しっかりした人物というのは、意外といざというときになると、全然、役に立たなかったりするんです。」(371ページ)

「グズで、役に立たないと思っていたやつが、いざとなるとやるんですよ、現場で。というのは、人間はね、想像で死ぬことを考えたり、想像力でいろんなことを考えるということと、現実の場面に臨んでやるというのは違うんだと。このことが非常に重要なことなんですよ。」(371ページ)

「ということはね、戒律や軍律や教育で何かきちんとした人間に育てようとしても、きちんとなりはしないんですよ。いざとなったらね、本人が積み上げた、自分の修練してきた歴史が全部出るしかないんです。戒律や軍律や、そんなもので縛ったりできるもんじゃないんです。
(中略) 政治や宗教をやる連中が、一番陥りやすい罠なんですよ」(372ページ)


 そう言えば、自民党内で「礼儀がどうのこう」のと息巻いていたお馬鹿さんが一人おりましたね(苦笑)。

「結局、自分の中の怖さをね、戒律で縛るということですよね。すると、自分の中に恐怖をもっている連中は、自分のそれを自分で縛るだけではなて、他人に強要するんですよ。つまり、自分に対する自己不信が、自己不信であればいいけれど、他人に対する不信として出てくるわけですよ。」(373ページ)

 うう~ん、こういう困った人達って、会社や学校、家庭やカップルにもゴロゴロいるんだよね。
 私だっていくつも過ち繰り返してきたし。
 だから今の私はフリーで丁度いいと実感。

「自分を恐れていると、『制度の言葉』に救いを求めるんです。」(373ページ)

「結局、自分の恐怖というか、逃げたら自分に負けたことになると考えるわけでしょ。規範みたいなもので自分を縛ろうとする。そういうところに行くわけですよね。宗教性みたいなところですけどね。 だから逆に、そんなもんなんだと。人間、いざとなったら、好き勝手、ちゃらんぽらんでいいんだよ、逃げてもいいんだよと。怖くなったら逃げろよ、ダメになったら逃げればいいんだよというようなことは、なかなかいえないんですよ。
 だけど逃げるにも勇気がいる。そういう、当たり前のことをいうのはね・・・・・・。」(375ページ)

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 連合赤軍によるあさま山荘事件の模様をテレビで観ていた私は、当時小学生でした。
 何がショックだったかといえば、あれだけ悪いことをしたのに逮捕・連行される時、顔を隠さず堂々と(実は呆然としていただけだったのかもしれません)TVカメラに写っていた坂東国男氏の姿です。
 強烈でした

「自分は弱い人間なんだ」

というコンプレックスを抱えていた小学生の井上少年の眼には、
確信犯として堂々と連行される坂東国男氏や、妙義山で逮捕された故 森恒夫氏が、

「ひょっとして、とても強い人たち?」

というように見えたのでした。
 そういう自分の「総括」のためにも、たまにはこういう読書もね
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