【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

トレンド分析ML251の文化マーケティング関連Blogです。ML251の主業務はトレンド分析をコアにしたデスクリサーチ。

そう言えば、重回帰分析

2007年08月30日 | マーケティング話
 こんにちわ!
 「ラディカル・マーケティング・アナリスト」の井上秀二です。

 8月も残すところあと2日。朝と夜は過ごしやすくなってきました。

 今回の「マーケティング話」は、
 今まで書いたことのなかった「統計解析」のお話です。

 8月中頃、お盆休みのときでしたが、
 調査会社を経営する友人から電話がかかってきました。
 友人(とその会社)の得意分野は、ミステリー・ショッパーなんですが、
 最近は、「リスクマネジメント」が主要業務とのことです。

 で、友人があるSNSで知り合った学生さん(マーケティング専攻?)から、
 メールで「重回帰分析」の結果について質問を受けたそうです。

 マーケティング・リサーチに携わっている方なら、
 実際に多変量解析を業務でご活用か、
 ご活用でなくても聞いたことぐらいはあると思います。

 「回帰分析」「重回帰分析」は、多変量解析の中でも最もポピュラーな手法です。

 重回帰分析を行なう目的を、ぶっちゃけて説明すれば、

 要因(影響度)分析と予測。

 例えば、「満足度」には、影響を与える「要因」がいくつか想定できます。

 この場合、「満足度」を従属変数(目的変数)
 各「要因」を独立変数(説明変数)とします。

 「満足度」=a+bx+cy+dz+誤差

 という方程式(重回帰式)で、「満足度」を説明します。
 aを「y切片」、b、c、dなどを「回帰係数」と言います。
 x、y、zは「味が良い」「CMが良い」「品質が良い」としましょう。

「満足度」=-0.253+(0.299×味が良い)+(0.169×CMが良い)+(0.546×品質が良い)+誤差

 数値は適当ですが、こんな重回帰式を求めたりします。
 そして0.299や0.169、0.546などの回帰係数に、
 「データのレンジ(範囲)」を掛け合わせれば「影響度」が算出できます。

 さらに、「危険率」(P-値)の高い要因を除去して回帰分析を繰り返し、
 「重決定」(R二乗)が最も高くなる重回帰式を算出する。
 そうすると、評価者(ユーザー)にとっての「当たり前品質」(アーティストでしたら「歌唱力」「ルックス」など)が何か? ということがわかることもあります。

 「重回帰分析」は、ライセンス料の高い統計ソフトを使わなくても、
 Excelで簡単に出来ます。

 そして、友人は統計解析のほうはあまりお詳しくないので、
 学生さん質問への回答を、私に書いてくれないか? と依頼してくれました。
 (有難うございます)

 そして先週、学生さんの質問(2項目)について私のコメント(回答)を
 友人にメールで送りました。

 今、統計解析の世界では「共分散構造分析」「構造方程式モデル(SEM)」がトレンドになっていますが、「重回帰分析」もベーシックで重要な手法であることに変わりはありません。

 前職在籍時には、「因子分析」「主成分分析」をよく使いましたし、
 現在は、「数量化Ⅲ類」「コレスポンデンス分析」のソフトがない代わりに、
 手軽な「双対尺度法」を多用している私です。

 でも、「重回帰分析」は前職在籍時に使っていませんでした。
 そろそろ業務で使いたいな、と思ったのも、
 学生さんの質問への回答を私に依頼してくれた友人のお陰ですね(感謝!)。

*そう言えば、「共分散構造分析」もExcelで出来ちゃうんですね(笑)。

 
 (↑)内容とは関係ありません。
    先週末、「埼玉スタジアム2002」で発見。
    湿った冷気が噴出。これに当たると涼しいことこの上なし。

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『人間失格』(集英社文庫)-“カバー買い”で大ヒット

2007年08月22日 | マーケティング話
 こんにちわ!
 「ラディカル・マーケティング・アナリスト」の井上秀二です。

 今日もクーラー、ガンガンつけてます。
 (電力節約は、大きな企業の皆さんから率先願います)

 そして珍しく夏の高校野球の決勝戦を。
 (社会人になってから高校野球、ほとんど興味なくなりました)

 2試合の延長戦、そして再試合まで経験してしまった佐賀北(佐賀)が、
 唯一の決定機(8回裏)に3番打者の逆転満塁ホームランで勝ち越し。

 「走・攻・守」の総合力では勝っていた広陵(広島)ですが、
 9回表の最後の攻撃、ノーアウト1塁、送りバンドのシーンで、
 1塁走者が3塁を狙ってアウト。2アウトランナーなしに。
 戦術としては大正解だったんですが。。。
 この“あっけなさ”こそ、“勝利の女神”の意思でしょう。

 結局のところ、甲子園に来てからの“勝ち方の良さ”が、
 優勝・準優勝の明暗を分けたのかなと。
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◆デスノート漫画家 太宰治代表作「人間失格」表紙を描いて大ヒット

 太宰治の代表作「人間失格」の表紙が、人気漫画家 小畑健さんのイラストにした集英社文庫の新装版が6月末の発行以来、約1か月半で7万5,000部、古典的文学作品としては異例の売れ行きとなっている。
 太宰治の「人間失格」は、「恥の多い生涯を送ってきました」という文章で知られる太宰が自殺する1948年(昭和23年)に発表された自伝的小説。
 生きることの苦悩を見つめた小説には若い世代のファンが多く、52年初版の新潮文庫は602万5,000部と夏目漱石「こころ」と並ぶ大ベストセラー。
 90年初版の集英社文庫でも40万部を超えている。
 従来の表紙は抽象画だったが、編集部は、「いかにも名作」という路線からの脱却を目指して小畑さんに表紙絵を依頼。新装版は、「デスノート」の主人公・月(ライト)を思わせる学生服姿の男の子が不敵な顔で座るデザインとなった。 (「話題のナレッジベース」8月18日 より)

■太宰(作品)の魅力

 私が太宰作品を読んだのは、大学に入ってからでした。
 いちおう日本文学科でしたので、授業で使った代表作は読んでます。

 三島由紀夫が、太宰を大嫌悪していたのは有名な話です。
 三島自身の“内”にあって、自身が嫌悪していた資質が、
 太宰の“内”にあった。

 「行動」のベクトルこそ全く違っていても、実は資質が似ている。
 よくわかりますね。

 でもあえて二人の“相違”を考えてみると、
 三島と違って太宰(の作品)は、“好き”“嫌い”がハッキリするということ。
 読者の受け止め方ですね。

 リアルタイムではベストセラーとなって、
 後世も「古典」とし脈々と受け継がれていっていく。
 しかし、読者の好悪は、はっきりと分かれる。
 このあたりが太宰(作品)の“魅力の素”なんでしょうね。
 実際、“嫌悪”する人のほうが、実は「太宰の真の理解者」だったりね(笑)。
 だから残っていく。これも「古典文学」の肝かもしれません。

■カバー買い

 『人間失格』(新潮文庫版)の表紙は「話題のナレッジベース」に掲載されていますね。
 現在の価格は300円。

 で、私が大学時代に買った新潮文庫版がこれ(↓)。
 “作品世界観の表出”としてはOKでしょう。

   

 価格は180円。1982年6月の93刷。25年前ですね(^_^;)。

 当時の新潮文庫の太宰作品はこの装丁です(↓)。
 クラ~イですね(^_^;)。いかにも「昭和チック」。



 そして2007年、集英社さんのこの快挙。

 オッサン・オバハン的な違和感、
 ジイサン・バアサン的な違和感
 を感じる方も少なくないかもしれませんが、
 私はこの快挙、認めます。

マーケティング戦術としては大成功

 でしょう。
 漫画家 小畑健との契約条件はわかりませんので、
 集英社の利益はどの程度だったのかは、わかりませんけどね。

 約1ヶ月半で売れた7万5,000部のほとんどは、
 「カバー買い」だったことが推察されます。

 このうち何万何千人が読んだのか?
 それは推測できませんが、
 古典文学が継承されていくことでは奏効したと。

 実際、私も購入して読んでみました(25年ぶりかよ・・・)。
 音楽CDと違って安いんで、衝動買いのハードルが実に低い(^o^)。

 文字の大きさ(ポ数)が大きく、旧かな使いが改められている。

 大学時代に購入した新潮文庫版の本文部分は約120ページ。
 集英社文庫新装版の本文部分は約160ページ。
 ボリューム(ページ数)が1.3倍の分、読みやすくなっています。

 たしかに、旧かな使いで古い新潮文庫版のほうが、
 原作に近い雰囲気がある。
 しかし、いざ読んでみると 違和感はなかった。

 週末の夜、ベッドの中で読んだのですが、
 おかげで、“他人”の存在が怖くて仕方なかった小さいの頃の記憶が蘇った、嫌な夢をみてしまった私でした。。。

 この集英社文庫版、巻末の「解説」のほかに、
 太宰の娘さんにあたる太田治子(作家)の「鑑賞-父親というもの」も収録されています。
 結構、やりますね。
 しかも価格は新潮文庫より安い。
 300円でおつりがくる。
 ターゲットを考えてもね、
 価格戦略 も巧みです。

 あと余談ですけど、やはり巻末の「太宰治 年譜」は、小田切進 編。

 1992年にご逝去された小田切進先生、私の卒論指導教授でした。
 3日徹夜してもなお未完成だった私の卒論を通してくれました。
 単位がぎりぎりだったため、留年を覚悟していた私でしたが、
 4年で卒業できたのは、故 小田切進先生の温情ゆえなんです(^_^;)。

■芸術作品としての書籍の装丁

 書籍のマーケティング戦術としての、
 人気漫画とのコラボによる「カバー買い」誘発。
 私は快挙だと考えます。

 肝要なことは、メリットとデメリットの天秤。

 でも、決して、書籍の装丁の芸術性、作品内容との整合性を、
 「時代遅れ」として切り捨てる立場ではないことも書いておきます。
 マーケターとしての立場よりも、個人の愛好者としての立場にシフトしますが。

 私は昔から、菊地信義という方の装丁が好みでした。
 山田詠美のデビュー作、『ベッド・タイム・アイズ』(河出書房)も
 (当時、『ベッド・タイム・エイズ』と揶揄されてましたが・・・)
 菊地信義の装丁でした(もう売っちゃいましたけどね・・・)。

 社会人になったばかりの私が、
 給料をつぎ込んで揃えた古井由吉の著作も、
 装丁は菊地信義でした。(↓) (作品集の六巻だけ、ね~んだよな)

 

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62年目の終戦記念日に思ふこと

2007年08月17日 | 徒然
 こんにちわ!
 「ラディカル・マーケティング・アナリスト」井上秀二です。

 とうとう東京の気温は40℃を超えました

 皆さん! 熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。

 今回は、62年目を迎えた終戦記念日に書いた文章を「加筆・修正」の後、
 ここに記すことにします。

 私は、「ラディカル(根源的)」なマーケターです。

 よって、マーケティングのみならず、日々のことでも、政治のお話でも、
 自分なりに

  「本質は何か?」

 を追求することをスタンスにしたいと考えています。
 (よく息抜きもしますけどね-笑)

 よって、「タブー」を破ることを厭わない場合があります。
 勿論、間違うこともあります。「仮説」が多いですし。
 そんなときは「朝令暮改」、いや、謙虚に改めます(^_^;)。

 でも私は、
 ひょっとすると今日、死ぬかもしれない、
 と覚悟しながら毎日を生きています。
 そして、死ぬ時は出来る限り後悔したくない、
 言うべきことは言っておこう、と考えています。

  「政治ネタはビジネスブログではタブーだよね」

 という、毒にも薬にもならない「クソ マーケター」とは違うのです、私は。

 マーケティングでも政治でも人間でも、論じるときに大切なのは、

 本質を追求する姿勢。 

 そして、一国民として大切なのは、
 税金を払う前に、
 選挙で投票する前に、

 自分の考えをもつこと です。
 
 勿論、間違っていたらすぐ修正する柔軟性も大切です!

 (そんな私がお嫌いな方には、「Say Goodbye」と言うしかありません)
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 昨日は62回目の終戦記念日でした。
 戦時中の体験談は、子供の頃から家族・親戚をはじめ、
 数え切れない人達から聞いてきました。

 今年79歳の父が今でもよく語るのは、
 1945年(昭和20年)3月10日、東京大空襲の翌日のことです。
 父は当時、大宮から巣鴨の旧制中学校に通っていたのですが、
 勤労動員で東京下町の軍需工場に通っていたそうです。

 大空襲の翌日でも、都内では焼け残った電車が動いていたのは、
 さすが戦時体制下ですよね。

 ところが、当然、下町の工場には電車では行けない。
 仕方なく途中から歩いたそうですが、周りは黒焦げの死体ばかり。
 「踏んづけたら悪い」、と黒焦げの死体を避けながら歩き、
 浅草(現在の「松屋百貨店」付近)辺りで、腹が減ったので、
 弁当を食べたそうです。

 黒焦げの死体が横たわる中でも平気で弁当を食べていた。
 それが「戦争」という非日常なんですね。

■靖国神社参拝問題とアジア諸国の反発

 安倍総理は8月15日、靖国神社へは参拝しませんでした。
 私、賢明な判断だったと思います。
 (閣僚で参拝したのは、高市早苗さんのみ)
 小泉前首相の靖国神社、8月15日ではありませんが参拝しました。
 心情的には私も小泉首相を支持していたのですが、あれはマズかった。
 もちろん、私、中国をはじめとするアジア諸国の反発に対しては、

  「内政干渉すんじゃねぇよ、ボケどもが!」

 という感情も一時は涌きましたが、
 冷静に考えると、やはりマズかった。

 何故なら、70年代、「日中国交正常化」に向けた交渉の過程で、

  ・日本の中国大陸への侵略は軍部の暴走と政府指導者層の責任で、
  ・日本国民は悪くはなかった

 という「合意」のがあったからです。

  「そういうことにしておこうよ、じゃないと話が進まないからね」

 という「合意」です。
 「合意」をした当事者は日本政府と中国政府です。

 その「合意」の是非はともかくとして、
 そういう歴史的経緯を踏まえずに、
 自らの「政治的信条」のまま、
 A級戦犯が合祀された靖国神社に参拝しちゃったら、
 そりゃ、中国政府や国民が怒るのは当然でしょ? 純ちゃん。。。

 何しろ、戦後62年間、日本国民は「戦争」の総括してないんですからね。
 面倒なんですけど、そういうプロセス=戦争の総括を経て、初めて、
 「靖国」や「憲法第9条」「憲法改正」の論議をすべきなんです。

 でなければ、
 「小林よしのりの漫画で舞い上がった“にわか”ナショナリスト」
 のような皆さんが「暴走」しますからね。
 中国大陸での軍部の暴走=謀略のように。。。

 「戦後政治の総決算」は大いに結構なんですけどね、
 自国内だけで完結して済む問題じゃないわけですよ。

 まずは一時の感情(それは「世論」とは言えない)に惑わされず、
 国民的な論議を尽くすことが肝要です。

 あと、余談なんですが、
 なぜ、中国や韓国や北朝鮮が、戦後62年経っても、
 教科書問題をはじめとする諸問題に、口出しをするのか?

 ここで私の仮説を。それは、

中国や朝鮮が日本を破ったわけではない

 という事実があるからです。

 中国も連合国側だったし、蒋介石も、
 「日本の敗北は、大陸に日本軍を釘付けにしたわが方の貢献が大きい」
 と主張されていたそうですが、
 わが国が「ポツダム宣言」を受け入れた決定的なきっかけは、
 二度の原爆投下や、「不可侵条約」を破ったソ連軍の侵攻。

 少なくともわが国は、直接的には米国やソ連に負けたわけで、
 国民党軍や共産党軍、ましてや、、、
 「朝鮮の英雄的な抗日パルチザン」に敗れたわけではない。
 (金日成の英雄説はインチキだったらしいですね)
 (金日成みたいな人物を祭り上げたソ連は、後に大いに後悔したそうです)

 そういうコンプレックスが、
 中国や朝鮮の国民の「深層心理」によこたわっている。
 彼らの心の奥底ではね、「戦争」は終わってないわけなんですよ。

■もう一つの重要な戦争犯罪

 と、話が長くなりましたが、
 ズバリ、私の「靖国神社」問題についての考えを。

 ハッキリ言って、
A級戦犯の合祀には強い違和感を感じる
 ということです。

 それは、連合国による「東京裁判」の不当性を訴えたり、
 「大東亜戦争」の正当性(自衛戦争)を主張する「右翼」の人たち、

 さらには、自虐史観によって「内政干渉者」たちを付け上がらせる「左翼」の人たち、

 とは違った、私の視点とスタンスによります。

 満州事変や中国大陸への侵略、
 パールハーバー奇襲を戦端とした太平洋戦争の是非、については
 私なりの考えはありますが、ここでの直接的なテーマではありません。

 日本という国だけの「ミクロ」の視点で考えます。

 兵站=物資の質と量・補給はあまりにも貧弱。
 圧倒的に不利で、勝ち目がないのにも関わらず、
 無謀としか言いようのない作戦を強いに強いて、
 飢えや病で夥しい戦病死者を出した責任。

 負けるとしかわかっていない戦(いくさ)を
 ズルズルと引き伸ばし、
 制空権を失った後は、
 東京をはじめとする各地に大空襲の被害を許し、
 沖縄では悲惨な地上戦を招き、軍人や国民に自決を強いて、
 あげくの果てには、広島のみならず長崎にまで原爆投下を許した。

 せめてもの救いは、「本土決戦」が避けられたことだけ。
 竹槍を武器にした「本土決戦」が行われていたならば、
 おそらく私はこの世に生を受けていなかったことでしょう。
 山間部の「大本営」が陥落する前に、
 幾百万の国民が悲惨な死を強いられたはずです。

 この指導者たちの責任を、
 うやむやにしたままじゃ、いけないんじゃないか?
 「終わったことは水に流そう」という「日本人の国民性」、
 「死んでしまえば皆、仏様」というのは、
 この際どうかな? と思うのです。

 戦争を指導した陸軍、海軍、政府指導者の責任、つまり、

日本人に対する日本人の責任

 を問わなくてもいいのか?

 「東京裁判」で殺されちゃったから、もういいや?
 ということなのかな?

 国のために、中国大陸や南洋の諸島で、
 飢えと病の地獄にぶち込まれ命を落としていった、
 英霊たちの御霊(みたま)を「靖国神社」で祭るのはいい。
 「神風特攻隊」の若者たちもそう。

 非情な「命令」によって残虐行為を強いられ、
 現地で処刑されたBC級戦犯たちの御霊を祭るのもいい。

 しかし、
 自らを「安全圏」に置きながら、
 破滅的な戦争を遂行した指導者たち。
 結局、連合国側の「東京裁判」によって裁かれるしかなかった
 A級戦犯達の「罪状」は、
 私たち日本人にこそまず裁かれるべきだった。
 (もちろん、当時、それは不可能なことでしたが)

 で、そんな「A級戦犯」たちを、
 「英霊」が眠る靖国神社に合祀することに、
 私は違和感を覚えるわけです。

 死者に鞭打つのは気が引けますが、それでも言いたい。

 東條英機は、GHQに自宅を包囲されたとき、
 自室の窓から間の抜けた顔を晒して (先日の「NHKスペシャル」で放映)、
 連行されると知るや、自決を図って失敗しました。
 本来はね、8月15日に自決すべきだったんです。
 大体、何人の「部下」たちが自決したと思ってるんだよ!!!

■天皇陛下と国民の責任

 天皇陛下に戦争責任はあったのか?

 もちろん、ないわけがない。

 「大アリ」というのが世界の常識でしょう。
 そういう世界の常識が、わが国では「大タブー」。
 今まで何人の要人や言論人たちが、
 この当たり前の事実を語っただけで「襲撃」されてきたのか!?
 こんな国が「美しい国」か?
 「右翼」を育成した岸信介元首相のお孫さんの安倍総理、どう思います?

 但し、昭和天皇は聡明なお方だったので、
 ご自身でも、そのことはよくおわかりのはずだった。
 おそらく責任を問われたらならば、甘受されたに違いない。

 しかし、わが国の再統治を優先させた連合国側の
 「超法規的判断」によって戦争責任は不問となった。
 東西冷戦の「反共防波堤」としてわが国を位置づけた米国の判断も大きかった。

 そのあおりを食って、
 平和主義者で、日米開戦直前まで外交による解決を模索しながら、
 「東京裁判」で有罪・絞首刑の判決を受けたのが、広田弘毅
 軍人ではなかったのにもかかわらず、
 天皇陛下の「身代わり」として人身御供にされた。

 軍部を掌握できるのは天皇陛下お一人のみ、
 内閣も政権も誰も軍部をコントロールできないという
 「統帥権」というシステム。

 広田は天皇陛下に対し、
 戦争の無謀さと外交交渉の大切さを具申したのにも関わらず、
 唯一の決断者である陛下は、ただうなずくだけで何も出来なかった。
 その責任は、とてつもなく大きい。

 そして、日本国民。

 1941年(昭和16年)パールハーバー奇襲成功の報を聞き、
 歓喜の声を上げたのは日本国民。
 一部の反戦論者達を、「アカ」呼ばわりして迫害したのも日本国民。
 でも、出征して虫けらのように命を落としたり、空襲で黒焦げ死体になったり、
 生き残っても窮乏生活を耐えに耐えた。
 かけがえのない愛すべき人たちを失った。
 それで十分なんじゃないかな?

 会社だったらね、
 「こんな会社、辞めてやらぁ!」と言えるんだけど、
 国の場合はね、
 「国民、辞めます」
 なんて訳にはいかんかったわけですよ(^_^;)。

 そして戦後の復興で、一生懸命頑張って、
 戦後生まれの私たちが不自由なく暮らせる社会を築いてくれた。

 もちろん、「戦争」の総括を全くしてこなかった責任はあります。
 おかげで、「戦争の延長」たる高度経済成長を達成しましたけどね。
 米国の庇護の下とはいえ。

 そう言えば、
 私の母方の祖父、上野駅にたむろしていた戦災孤児の一人を、
 引き取って育てたいと考えたそうなんですが、
 私の母を含めた兄弟は5人で家族は7人。
 祖母に、「それだけは止めてくれ」、と懇願されて諦めたそうです。
 そりゃそうでしょう。祖母の主張が正しいと思います。
 でも、そういう「情」を持っていた祖父に微かな誇りを感じる私です。

 最後にマーケターとしての見解を。
 (「マーケティング」って、「軍事」の影響が強いんですよ)

 マーケティングの基本、
 それは、
「負けることが明らかな戦いはしない」
 ということです。

 個人だったらね、
 愛する人を守るため、人としての誇りのため、
 「無謀な行為」に走ってしてしまうこともあるかもしれない。
 でも、国家規模ではね、何百万の命に関わることなんですよ。
 これは会社でも同じことか。規模が違うだけで(苦笑)。

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今年も夏フェス、縁なし。。。

2007年08月10日 | 徒然
 こんにちわ!
 今、J-WAVE「E-STATION」バロン・ヤマザキの「e-Report」を聴いている、
 ラディカル・マーケティング・アナリスト 井上秀二です。
 バロンの奴、秋葉原の「リバティ」8号店に出没しているのか。。。
 末裔レポーター、実は「ヲタ」であったことが判明。

 ところで明日から「サマソニ」ですね。
 私は先月の「フジ」もそうでしたが、今年も「夏フェス」とは無縁、
 昨年同様、PCに向かいながらの「日々是仕事也」という状態です。

 「フジ」と言えば、スマッシュさんですね。
 「80年代」がらみの話になりますが、
 私が学生の頃から、スマッシュさん頑張ってます。
 「ジュリアン・コープ」を呼んで、
 当時サイケ色を強めていた「ルースターズ」とのジョイント(@日比谷野音)。
 ところが、来日前に「ルースターズ」から大江慎也が脱退。

  『SOS』でダイジョブなんかい?
  ジュリアン、怒るんとちゃうの?

 あっ! これわかる方、ほとんどいませんよね(^_^;)。

 私が4年生の時の1年生、K君(10年位会ってません)。
 (学校に来た町田町蔵氏に「千円あげますからサイン下さい」と言ってサイン貰った人)
 よくスマッシュのバイト(コンサートの裏方さん)してました。
 音楽業界裏側の「悲惨さ」を知って、公務員になったK君、賢明でした。

 「ロックフェス」の場合、
 アーティストのファンと、フェス自体のファンにセグメントできますよね。
 (もちろん重複しますけど)
 私は「フェス自体のファン」ではありません。

 今年の「フジ」も面白そうだったんですが。。。

   ケミカルなブラザーたちを、
   ネイチャーな環境でネーチャンと観る

 なんてのも体験したかったと。

 そして明日は、「サマソニ」。
 やはり縁がありませんけど、面白そうだなと思うのは、
 「Arctic monkeys」かな。

  やっぱ、媚びないっていう姿勢はいいですね♪

 「AVRIL LAVIGNE」も、どの程度のパフォーマンスが出来んの? とか
 「SUM41」も「THE OFFSPRING」も、どんなもんかいな? 
 という興味もないことないんですが。。。

 あと、これ(↓)も。

 

 アルバム全体を聴いたところ、
 どうも「一発屋」で終わりそうな、嫌な予感がするんで、
 今のうちに・・・、つー感じがしないではないのだが。
 「セルティック」サポに愛されている曲もあるようなので、頑張ってほしいもんです。

俺がファンを自認するバンドはな、
世界で唯一、「U2」だけなんだよ。
 と負け惜しみを吐いて、「日々是仕事也」で行きましょか
 秋にはDVD出るしね。

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「ユニクロ」の躍進

2007年08月02日 | マーケティング話
 こんにちわ!
 関東地方、梅雨は明けたものの、小さな地震の頻発にチョイ不安な
 ラディカル・マーケティング・アナリストの井上秀二です。

 今日はファッションビジネス関連のお話です。

 前々から進んでいた、
 「ユニクロ」でお馴染みの株式会社ファーストリテイリング(FR)による、
 米国高級衣料品「バーニーズ」の買収が現実味を帯びてきましたね。

 「ユニクロ」がアパレル業界の話題の中心となりはじめた2000年前後、
 少なからぬ業界関係者の皆さん、
 心底、そう確信されていたのではないのにもかかわらず、
 
   “ベーシックなSPS企業”ユニクロの“ブーム”なんてすぐ終わるでしょ

 と仰せでした。

 ところが、社長交代や海外展開の失敗(特に英国)、訳のわからん商品政策(野菜!?)
 という「混乱のフェーズ」を経ながらも、FR社、何だかんだ言って、

  【売上高】4,488億円 【経常利益】731億円 【売上高経常利益率】16.3%
                          
 ですからね。(2006年8月期。同社ホームページより)

 店舗数は1,632店舗。3年前の2.6倍! 2007年8月期予想は1,825店舗。
 従業員数も3,990人。3年前の2.2倍!

 2000年代に入ってから積極化させた障害者雇用も話題になっているようです。
 企業の社会的責任もキチンと果たしている。しかも「優等生」。

 2007年8月期予想によると、いよいよ5千億円企業になるとのことです。
 (経常利益、当期純利益は、前年比マイナスのようですけど)

 “ブーム”は終わってもちゃんと成長していたわけです。 
 “ブーム”に振り回されなかった成功事例、と言えるかもしれませんね、FR社は。

■「成功」に至る深層心理?

 「ユニクロ」の第1号店出店は1984年のことです。
 「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)。
 場所は広島市内でしたね。

 1984年は、私が大学を卒業した年です。
 間もなく時代は「DCブランドブーム」を迎えます。
 丸井のバーゲンとなれば徹夜の行列が出来た。
 学生時代の私は、まだファッションの“イノベータ”でしたから、
 卒業後もそんなものには目もくれませんでしたけど。

  「流行っちまったらカッコ悪い」

 尤も、就職後、ファッション感度が鈍ったのも事実ですけどね。
 (大学時代は高給のアルバイトしてましたんで、「小金持ち」だったんです)

 そんなご時世に、「ユニクロ」の展開を開始したわけです。
 小郡商事 (ユニクロの前身)は。

 当時、広島エリアに住んでいた私と同世代の人たちの共通認識とは、

「ユニクロ」着るくらいなら
死んだほうがマシだ!


 というものだったと、後年になって聞きました。
 もちろん、ファッション感度のある程度高い人たちの認識でしょうけど。

 あと、80年代後半か90年代前半でしたか?
 私は観た覚えがないんですが、関西地方(?)で
 超ダサダサTVCMも流していたそうですね。
 「You tube」で検索したらあるかな?

 (ダサダサCMでも、「サンガリアコーヒー」のは大好きなんですけどね)

 まぁ、私は柳井正さん(会長兼社長)と面識はありませんし、
 著作を読んだことありませんので、
 あくまでも、推測の域を出ないんですが、

柳井さん、相当、「ルサンチマン」が強かったんじゃないのかな? と

 *「ルサンチマン」:恨みや憎しみ。やはり推測ですが、竹中平蔵さんも相当強いんじゃないかと。

 もちろん、カジュアル衣料「ユニクロ」のメインターゲットは、
 ファッション感度の高い層ではありません。
 それでも当時のDCブームや、バブル期の「インポートブーム」は、
 マス(多数派)に相当浸透していましたから、
 「ユニクロ」を馬鹿にする風潮を、のほほんと流せていたと考えられません。
 柳井さんだって米国の「GAP」をモデルの一つと考えておられたのでしょうし。

 バブルは崩壊し、「ユニクロ」を蔑んできた人たちの意気も消沈。

 90年代、若年層のトレンドが「ストリート」に転換したことも、
 その後の「ユニクロ」躍進に好影響がなかった、と言い切れないのでは?
 というのも私の仮説なんですが。

 数年前、マーケティング・プランナーの村山涼一さんが、
 柳井正さんの著作『一勝九敗』について、柳井さんご本人に、

  「1勝99敗じゃないっすか?」

 と言ったら、頭をポカンと叩かれた、と仰せでした(^_^;)。

 まぁ、私の推測が当たっていなかったら、
 柳井さんには Very, very sorry(^_^;) なんですが、
 こういう強い「ルサンチマン」って、物凄いエネルギーになるんです。
 「ブラックエンジン」
 というやつです。

 これ結構、効きます。
 私も自身の経験で実感しています(大それた「成功体験」はありませんけど)。
 所謂「成功者」と言われて本を書くような人の原動力は大体、「ブラックエンジン」。
 そういう成功話のビジネス書には、奇麗事ばかり書いてますけどね。
 (だから読んだところでクソの役にも立ちません)
 
 私はもう使いたくないですね、「ブラックエンジン」は。
 私にはそんな憎しみを向ける対象(人物、組織)なんて存在しませんし、
 (「馬鹿が!」と言いたい人物、組織は存在しますが、それは愛情ゆえです-笑)
 江原啓之さんが仰せの「因果の法則」「波長の法則」を考えると怖いですしね(^_^;)。

■“ブランド”ではないブランド

 2000年前後の、「フリース」(2,900円)をはじめとする“ブーム”の頃、
 「無地のベーシック」を基調にした「ユニクロ」商品なんぞ、
 「ブランドではない」
 という声もよく聞きました。

 でも、「ユニクロ」は立派なブランドです。

 「ユニセックス」「ノン・エイジ」というターゲティングも。
 こういうのが最も難しいんですけど。

 ただ「多く売りたい!」という願望だけで、ターゲティングを疎かにして、
 「分け隔てなく多くのお客様」に訴求したい、というお馬鹿さんは沢山いますが、
 そういう企業(経営者・担当者)には到底出来ないことです。

狭義のファッションブランドの定義・概念・方法論からのブレークスルー

 の結果、構築されたブランドなんです。「ユニクロ」は。

 マーケティングの「4P」(Product, Price, Place, Promotion)の観点でも、
 「ユニクロ」の秀逸さを語れば、ここでの制限文字数を超えてしまいますし、
 多くのマーケターの皆さんが書かれていると思いますので、ここでは書きません。

 「無印良品」との共通項もあるようで、実は「似て非なるもの」
 「無印良品」よりはるかに幅広い層に浸透しています。

 現在は高田賢三さんなど著名デザイナーを起用されたりしているようですが、
 当然、想定されていたデザイン面での商品政策が奏効されたのは、
 正直、私の想定を超えていました。

 TVCMやショップでのコミュニケーションの秀逸さは特にわかりやすいですね。

 そう言えば、この記事で使った夏木マリのポスターも「ユニクロ」でした。

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