チェーホフのいろんな戯曲のセリフが唐突に出てくる。あまりこの現代劇とは関係なさげだが、この劇団がチェーホフを猛烈に好きなことはわかる。チェーホフファンにはたまらない。
しかし、肝心のこの本編ストーリーが分かりづらく、しばし目は宙を舞う。チェーホフの世界とは全く違い、最初少々面食らう。でもこの狭い舞台に10数人の役者たちが動き回る。セリフのとちりが全くなく十分練習された完成度の高い劇だということが . . . 本文を読む
この暗くどんよりしたロシアの自然と一体化したかのような現実感。荒涼たる写真群は人間の生きることの苦悩を写し出す。
人は土地でさえ、家族でさえ権力の思いのままに奪われ、もはや神の不在を問うことさえ愚直に思えるほどだ。このペシミズムは現代のロシアを提起しているのか、それとも人類の普遍的な営みの危機を訴えているのか。
2時間強、観客はこの苦痛に耐えている。その時間は映画の登場人物と共有する。けれど、 . . . 本文を読む