セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 86本、 演劇 63本

初恋( 中原 みすず リトルモア 2002)

2006-12-24 11:00:00 | 読書遍歴
映画で気になっていて、ようやく読んだ。かなり短く、1時間ほどで読めるほどだ。 内容的には、小説といえど、脳裏にあるもやもやをメモ程度に書きとめたものとも読めるし、意図的にそうしているような感もある。 作者が分からないから、よけいそう思えるのだ。 今珍しい覆面作家ものである。 もちろん、この内容がそのまま本当なら、彼女が3億円の犯人ということになる。 でも、そういう感じもするなあ、なんて思ってしまうところがこの小説の魅力でもある。 僕としては、当時の思い入れが今でもものすごくあるから、こういう作品は好きだけれど、でもそれはこの作品の実力を買ってのことではない。 何か、1960年代後半の物憂い環境だの、ジャズ喫茶だの、当時の重い青春を引きずる何かが今の僕にも感じるものがあり、映画を見て余計気になり始めていたのだ。 突然出る、登場人物の芥川作家など、これはどう見ても中上健二なのだが、それをさらっと書いているところが小憎らしい。 小説の作品としては、映画のほうがずいぶんうまくできている。雰囲気小説なんだろうな。小説としてはまだまだなんだろうけれど、でもそのアンニョイはなかなかのものだ。 ほかの人の意見も聞きたいところ。 70点 . . . 本文を読む
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