AACMの創設にも関わったフレッド・アンダーソンは1929年生まれということだから、いま80歳である。シカゴのデルマークから出されているDVD『TIMELESS, LIVE AT THE VELVET LOUNGE』は2005年の記録だから、このとき76歳。年齢のことばかりを言うのは間違っているが、それにしても驚異的である。アンダーソンは前傾姿勢でテナーサックスを重そうに持ち、しかし、アンダーソン節を吹き続ける。この人は何者だ。
メンバーは、ハリソン・バンクヘッド(ベース)、ハミッド・ドレイク(ドラムス)とのトリオ。コードに調和的な美しいメロディーを吹く人ならともかく、アンダーソンのような即興に賭ける音楽家は、テンションがピアノやギターのコードとぶつかるだろうから(この場合、何だか眠くなってしまう)、ピアノレスのサックス・トリオという編成が理想に近い。
冒頭の「FLASHBACK」からいきなり全開である。次の「ODE TO TIP」は、亡くなった友人の名前をタイトルに入れていることもあってか、やや叙情的になる。ここでバンクヘッドのベースの存在感が増す。3曲目「BY MANY NAMES」は、ドレイクが手持ちの大きな中東風の太鼓を叩き、いい響きのバンクヘッドと一緒にムードを盛り上げる。その中に、アンダーソンは絶妙とはとても言えないタイミングで入っていくが、なぜかすぐに一体化してしまう。ドレイクは唄いもする。最後の「TIMELESS」は、ドレイクの活力的なドラムスが煽り、アンダーソンはそれを受けて吹きまくる。
あるフレーズの種を見つけ、それを核として幾様にも発展させ、即興のひとかたまりの時間は長かったり短かったりする。解説のジョン・リトワイラーに言わせれば発見と冒険、そしてアンダーソンは「まさに人生のようなものだ―――人生は謎だ」と語る。これがアンダーソン節である。この、毎回異なる発見と冒険に立ち会うためには、シカゴのヴェルヴェット・ラウンジに駆けつけなければならないに違いない・・・・・・。
シカゴでは女声、リスボンでは男のコーラスですか・・・。サックスの音も大きいですし、室内で共鳴でもしたのでしょうかね。それとも、「サックスの名演には幽霊が現われる」としておきましょうか(笑)。いずれにしてもアルバムが楽しみです。
どういうわけか、男声のコーラスのような
奇妙な音がある部分で入っていて編集でも
消せませんでした、、、
こういう話をしてもいまだに凄まじい暑さの
リスボンです。
怪談はおやめください(笑)。ドレイクの声は弱弱しくて妙ですから、偶発的に倍音が響く瞬間なんかがあるのでしょうかね。あまり音響も良さそうな空間とは思えませんし。