『Gerry Mulligan Meets Johnny Hodges』(Verve、1959年)を聴きはじめると、思いのほか気持ちがよくて、ちょっと殺伐とした気分のなかにスルスルヌルヌルと入ってくる。
Gerry Mulligan (bs)
Johnny Hodges (as)
Claude Williamson (p)
Buddy Clark (b)
Mel Lewis (ds)
特にジョニー・ホッジスのアルトサックスのソロになると、その音の滑らか、幅広、ゆるやかな運動に聴き惚れてしまう。完璧にコントロールされていたふわふわの柔らかい唇を持っていたのだろう。マリオン・ブラウンがホッジスに捧げたアルバム『Passion Flower』(BMG、1978年)を吹きこんでいるが(>> リンク)、音色のキャラ違いなのだ。
こうなると、あまり聴いてこなかったデューク・エリントン楽団の演奏も掘り起こしてみたくなる。
ジェリー・マリガンの音色は相変わらず大きなバリトンサックスを本当に軽そうに扱っていたような感覚だ。そのことは、バート・スターン『真夏の夜のジャズ』(1958年)におけるマリガンの演奏を観ると実感できる。二管のアンサンブルになるとやはり気持ちが良い。いまだに、マリガンの最後の来日公演を聴きに行かなかったことを後悔している。