CL決勝も終わってヨーロッパサッカー愛好家たちは「22-23シーズンもついに終了して一息」と思ってる方が多いと思いますが、実はそうではありません。サンプが来季戦うであろう土俵(予定)である「世界最凶リーグ・セリエB」を巡る戦いはまだ終わっていなかったのです。その最後の1枠を巡ってセリエCからのプレーオフの決勝2戦目、レッコ(グループA・3位)vsフォッジャ(グループC・4位)が行われ、レッコが激戦を制してその座を掴み取りました。レギュラーシーズンを38試合戦った後に、28チームから1チームだけ⁉を決めるプレーオフ!!いかにセリエBリーグが過酷で最凶かがわかりますねー。プレーオフだけで8試合目(笑)、20チーム×3グループで60チームからなるセリエCの中から、自動昇格や降格、B昇格プレーオフ、D降格プレーアウト、何にも絡まないのはわずか16チーム。イタリア人、プレーオフ制度が好きね(笑)。ちなみに内訳はこんな感じです
セリエC 20チーム×3グループ
- 自動昇格 3チーム(各グループの優勝)
- 昇格プレーオフ 28チーム(そこから1チームだけ昇格)
- なんも無し 16チーム
- 降格プレーアウト 8チーム(そこから4チーム降格)
- 自動降格 5チーム
というわけで、セリエB2023-24はこうなる予定ですー (一応6/20登録期限なので)
それでは各クラブをABC順で せっかくなのでサンプ的目線からの超簡単レビューを
- Ascoli アスコリ
スタジアム=Cino e Lillo Del Duca 11,326人 昨季Serie B12位
サビリの出身クラブ。昨季はサンプからレンタルのジョルダーノ(左SB)が活躍した。その他の元サンプ選手ではクロアチア人のロレンツォ・シミッチ。アスコリ・ピチェーノと言う街の名物料理は、グリーンオリーブの中に兎や鳥などの肉を詰めて揚げた”オリーヴェ・アスコリターネ”。美味しい
- Bari バーリ
スタジアム=San Nicola 58,270人 昨季Serie B3位
惜しくもA昇格プレーオフ決勝でカリアリに敗れる。熱狂的なファンを持つ、ご存じカッサーノの原産クラブ。かつてはサンプウルトラとGemellaggio関係にあり、一応は解消はされてるはずだが現在も関係はかなり良い。昨季はサンプからレンタルされたベネデッティが活躍。バーリはカルドンチェッロと言うキノコの名産地。エリンギとポルチーニのあいのこみたいなキノコで、触感も良く美味しい。また美味しくて安いワインがたくさんある。プリミティーヴォとか
- Catanzaro カタンザーロ
スタジアム=Nicola Ceravolo 14,650人 昨季Serie C・Group C優勝
昨季Cでは102得点、21失点 の+81、勝点96の結構ダントツで優勝した。南部のカラブリア州のクラブで、最大のライバルは同州のコセンツァ。セリエBは2005-06以来の昇格だが、かつて1980年代にはセリエAでも活躍した。その時代の選手として活躍したのが、サンプの指揮も取ったクラウディオ・ラニエリ。また元サンプのジェンナーロ・デルヴェッキオもカタンザーロでプレーした。ユニはレッチェみたい
- Cittadella チッタデッラ
スタジアム=Piercesare Tombolato 7,623人 昨季Serie B15位
1973年創立と比較的若めのクラブ。2018-19、2020-21シーズンとセリエA昇格プレーオフまで駒を進めているが、いまだにセリエAの経験は無い。昨季のエース10番は元ローマのアントヌッチ。ちなみにマノーロ・ガッビアディーニが若き頃(2010-11)に1年だけプレーして27試合5ゴール
- Como コモ
スタジアム=Giuseppe Sinigaglia 13,602人 昨季Serie B13位
元スペイン代表のセスク・ファブレガスが加入した事でも話題になりました。コモ湖はイタリアでも有数の別荘地。2006年イタリア代表W杯優勝メンバーでもあるジャンルカ・ザンブロッタがキャリアをスタートさせたクラブでもあり、彼には名誉会長と言う職が与えらえている
- Cosenza コセンツァ
スタジアム=San Vito-Gigi Marulla 20,987人 昨季Serie B17位
1912年創設のカラブリア州のクラブ。1990年代はセリエBに定着していたが、2003年さらに2011年と2度も破産して、一時はセリエDまで落ちた。その後2018年にBまで返り咲いてからはギリギリ留まっている。元サンプのアンドレア・リスポリが昨季所属。他にはサリハミジッチの息子がいたりする
- Cremonese クレモネーゼ
スタジアム=Giovanni Zini 15,191人 昨季Serie A19位
赤と灰色と言うウルトラマンみたいなユニをまとうクレモナのクラブ。クレモナはヴァイオリンの名産地でも有名で、1台1億円はくだらないと言われる名器「ストラディバリウス」を生み出している。サンプ的にはやはり「ジャンルカ・ヴィアッリ」の出身クラブとしてのイメージが強いが、キエーザ親父やリカルド・マスペロなどもクレモネーゼで名を挙げた。昨季は冬からアレックス・フェラーリをレンタルで貸し出し
- Feralpisalò フェラスピサロ
スタジアム=Lino Turina 2,364人 Serie C Group A優勝
2009年にできたばかりの若いクラブ。人口わずか10000人の村salòのクラブだ。もちろんセリエBも初めて。元サンプのマルコ・サウが昨季プレー。またマックス・トネットの息子も在籍。親父とそっくりで、ポジションも同じ左SBだ
- Lecco レッコ
スタジアム=Rigamonti Ceppi 4,997人 Serie C プレーオフ勝者
最後の最後で1972-73以来50年ぶりのセリエB復帰を決めた マルディーニの長男、クリスチャン・マルディーニが昨季プレー
- Modena モデナ
スタジアム=Alberto Braglia 21,151人 昨季Serie B10位
1912年創設の古豪。2002-04はセリエAにも在籍したが、その後財政が厳しくなり2018年に破産宣告。その後5年間でセリエDからBまで復帰。フェラーリ博物館やバルサミコ酢が有名なモデナ。昨季は元サンプのアンドレア・ポーリが在籍
- Palermo パレルモ
スタジアム=Renzo Barbera 36,365人 昨季Serie B9位
ピンク色ユニが特徴的な南の雄。思い浮かぶのはやはりディバラやカバーニ、ミッコリなどの名選手が躍動していた21世紀初頭。昨季は冬からヴァレリオ・ヴェッレがレンタルでプレー。監督は元サンプでもあるエウジェニオ・コリーニ
- Parma パルマ
スタジアム=Ennio Tardini 22,352人 昨季Serie B4位
Ultras TitoとGemellaggioを結ぶ最大とも呼べる同盟国。かつてはビッグ7とも呼ばれ、サンプともAの強豪同士としてしのぎを削っていたが、お互いBとは寂しい限り。昨季監督のファビオ・ペッキアも元サンプ。ブッフォンは今年もプレーするのか!?
- Pisa ピサ
スタジアム=Arena Garibaldi 14,000人 昨季Serie B11位
斜塔で有名なピサ。隣町のリヴォルノと激しいライバル関係にある。私はLivornoに住んでいたので、当時セリエCだったがDERBYは非常に熱くて面白かった。ユニはインテルに似ているネロアズーリ。元サンプではデ・ヴィティスやトッレグロッサが昨季プレー。なお、新監督はフィオレンティーナのプリマ監督だったアルベルト・アクイラーニになる模様
- Reggiana レッジャーナ
スタジアム=Mapei Stadium – Città del Tricolore 21,525人 Serie C・Group B優勝
昨季は元サンプのアイモ・ディアナ監督の元で昇格を勝ち取る。元サンプのルカ・チガリーニもプレー。今季はアレッサンドロ・ネスタが指揮を取る。ちなみに私が初めて現地生観戦したゲームは1996-97シーズンのサンプvsレッジャーナ。場所的にはパルマとレッジャーナが合わさってパルミジャーノ・レッジャーノチーズが出来る。また、キャプテン翼で日向小次郎がユーヴェからレンタル移籍して、セリエB昇格に導いた
- Reggina レッジーナ
スタジアム=Oreste Granillo 27,543人 昨季Serie B7位
日本では良くレッジャーナと間違えられるが、とにかくかつて中村俊輔が所属した事でも有名なクラブ。カラブリア名物は何といっても唐辛子。昨季の監督はサンプの新監督候補にも挙がってるピッポ・インザーギ。また、昨季冬から元サンプのGKコンティーニがプレー
- Sampdoria サンプドリア
スタジアム=Luigi Ferraris 33,205人 昨季Serie A20位
「サンピエルダルネーゼ」と「アンドレア・ドリア」が合併して1946年に誕生した港町ジェノヴァの雄。1990-91にはマンチーニ現伊代表監督やヴィアッリ、トニーニョ・セレーゾ、ロムバルド、パリュウカなどを擁してクラブ史上初のスクデットを獲得した。近年、財政難に苦しんでいたが、2014年に詐欺師オーナーに買われてからクラブの足取りが不安定となり、昨季通算4度目のセリエB降格となってしまった。ただし過去3回の内、2回は1年でAに復帰。77シーズン中、セリエA=71シーズン、セリエB=6シーズン。2023年5月30日、ようやく新オーナー「アンドレア・ラドリッツァーニ」への売却が決まり、ここからの巻き返しを図る。ジェノヴァの名物料理は何といってもバジルソース=ジェノヴェーゼ。母を訪ねて3千里のマルコ少年が旅立った街だったり、クリストファー・コロンブス生誕の地でもある。ちなみに一応観光名所にもなっているコロンブスの生家は、素通りしてしまうほど小さい
- Spezia スペツィア
スタジアム=Alberto Picco 11,968人 昨季Serie A18位
エラスとのプレーアウトに敗れ降格。ざまーみろ。かつては仲良かったが、今や憎敵。今季は唯一のリグーリアDERBYが繰り広げられる。アウジェッロの出身クラブ
- Südtirol ズュートティロール
スタジアム=Druso 5,539人 昨季Serie B6位
昨季クラブ史上初のセリエB昇格から一気にプレーオフ圏内へと旋風を巻き起こした、半分オーストリアのズュートティロール。惜しくも昇格はならなかった。昔はサンプも良くキャンプを張っていたボルツァーノが本拠地
- Ternana テルナーナ
スタジアム=Libero Liberati 22,000人 昨季Serie B14位
ウンブリア州のテルニのクラブ。古くからサンプUltrasとGemellaggioを結ぶ同盟国。昨季は元サンプのGKティタス・クラピカス、DFブルーノ・マルテッラ、MFアントニオ・パルンボらがプレー。監督はクリスチャーノ・ルカレッリからアンドレアッツォーリにシーズン途中で変わった。ミッコリやカンドレーヴァもかつて4年ずつプレーした事が有る
- Venezia ヴェネツィア
スタジアム=Pier Luigi Penzo 11,150人 昨季Serie B8位
かつて名波が所属した古豪。アウェイ用の観客席は船でしか入場できない。昨季キュイザンスがレンタルで来たり、かつてはノヴェッリーノ監督とヴォルピ、ペドーネ、ヴァルトリーナ、バッツァーニが一気に来たり意外と移籍の行き来は多い。元サンプユース出身のフランチェスコ・ザンパーノが昨季プレー。良い選手だからずっと呼び戻したいと思っていたのだが・・・
というわけで、駆け足でセリエB20チームを見てきましたが
セリエBのクラブを地図にするとこんな感じです
まだ移籍市場も大して始まってないのでまだ今季の展望とまではいきませんが、なんとなくの勢力分布図
これを見ると中部が少なくて、北と南に固まっておりやや北が多勢と言った感じです
正直プレーオフはフォッジャが勝たなくて良かったと思ってます。やはり南部のクラブはファンも熱狂的なところが多いし、移動も大変。パレルモ、バーリ、レッジーナに加えてフォッジャまでいたら、もうたーいへん。サンプもかつて率いたデリオ・ロッシ監督も歴戦の勇者ですし。(決してレッコが楽な相手と言うわけではありませんが・・)
戦力が決まる前の段階でも、かつてセリエAでも強豪だった同盟国のパルマや、Aでもなじみ深い名前のバーリ、パレルモ。日本人がかつて活躍したレッジーナやヴェネツィアとの対戦はすでに面白そう
そして一番燃えるのはスペツィアとのリグーリアDERBYですな
ここは負けられない戦いとなるでしょう
この号をたたき台にして、次セリエB特集をやる時はより深く各クラブを掘り下げられていければなぁと思っています
ちなみに昨季セリエBだったブレッシャは、元サンプ・キャプテンのダニエレ・ガスタルデッロ監督の元で16位となり、降格プレーアウトを戦った末に敗れて1984-85以来のセリエC降格が決まってしまいました・・・バッジョやピルロ、グアルディオラも在籍した名門でこの現状なので、本当にセリエBは大変です。他に今季セリエC降格したのはSPAL、ベネヴェント、ペルージャとついこの間までセリエAにいた面々でした
しかしそんな中でも、今季のセリエBのクラブの中でAで優勝経験があるのはサンプドリアただ1チームのみ
(もちろん新会長次第にはなってしまうのですが)
ここは贔屓目無しで、我らがサンプはBの中では優勝候補筆頭にならなければならないクラブなのです
1年で返り咲くために
過去3回のB降格時は2回は1年で戻りました。しかし1年で戻れなかった時は復帰まで4年かかりました。その時も財政はまずい事になってました
しかしリッカルド・ガッローネがクラブを買収して救ってくれて、投資してすぐさまAに返り咲きました。今回のラドリッツァーニの買収でも同じパターンを期待しましょう!!
次号からはやんわりサンプのメルカート、そしてラドリッツァーニ中心に触れていきたいと思います
Foooooooorza Saaaaaaamp!!