もうはるか昔に思えるEURO2024は、16歳ヤマルの活躍も目立ったスペインの優勝で幕を閉じました。
イタリアは醜態をさらしてしまい、やはりカルチョ界全体の育成問題、特にFW不足が浮き彫りになりました。
今回のEUROはサンプゆかりの選手や監督も少なく、唯一頑張っていたのが昨季プレーしていたスロヴェニア代表のストヤノヴィッチ
あとはトルコでモンテッラ監督が頑張っていた事ぐらいでしょうか・・・
さてそんな中、7/1に開幕したイタリアの移籍メルカートは、あっという間に終了。
今季の世界最凶リーグは、28チームのプレーオフ(←過酷過ぎるw)を勝ち抜いたブッフォンの故郷、カッラレーゼが最後の最後に昇格を決めて20チーム出そろい
今季はサッスオーロとサレルニターナが落っこちてきたので、なんと”SA”始まるチームが3チームになってしまいました。
これは中継の時の略称や、検索においてやや支障をきたすでしょう。
そんな事はどうでも良いのですが、頭文字”S”の5チームはみな強そうですしそれ以外にもパレルモやクレモネーゼ、フロジノーネなどなど相変わらず世界最凶リーグは厳しい戦いが繰り広げられることでしょう。
我らがサンプは、昨季は飛行機に例えると両翼エンジンが無い状態で飛行していたようなものでした。
前💩会長の残した負の遺産=財務状況のせいで、誰かを売らないと選手を買えないと言う制限があり、まともな補強はなかなか難しい状況でした。
それに対して、今年は片肺飛行
夏のメルカートはまだ制約がありこの状況は今年の冬まで続きますが、次の冬のメルカートからはその制限を解かれて自由な補強が出来るようになる予定です
ただ、それまでに良いパトロン、投資家達が見つかってないといずれにせよそんなに大それた補強は出来ないですが・・・
いずれにせよこの夏のメルカートはこのような状況でスタートしました。
そんな中決まったのは新テクニカル・ディレクターの”ピエトロ・アッカルディ”
これは15年前ぐらいに私が練習場で撮った写真です。
当時は練習がまだ公開されたりしてたんですねー
私も色々な選手と写真撮ってましたが、アッカルディは残念ながらこれぐらいしかなかった
そして、サンプは新DSアッカルディの元、15人もの新戦力の獲得に成功しました。
結果はどうでるかまだわかりませんが、正直スゴ過ぎる。
先に売らなければ選手を買えない、お金をほぼ使えない状況で即戦力中心にレギュラークラスだけで10人以上獲得しました。
まず1番特筆すべきは決断力の早さ
就任早々、どうせ待ってても大した金額じゃ売れないだろうし、あっさりヴェッレとコンティをばっさり切りました。
私の放出リストの1、2番手でした。さらにムッルーやアスキルドセンも見切られました。長くサンプにいようが活躍してなければ温情は一切無しですね。
そう言う意味では、私の友人に被害者もいます。
先日日本にも来て会ったサンプのフィジオテラピスト(元)Alessio Vaninはサンプから突然契約を打ち切られて、失意のハネムーン日本旅行でした。
選手同様6/30までの契約だった彼はサンプ一筋15年。当然契約更新を待っていましたが待てど暮らせど期限までに連絡が無く、本来働いてるはずの7月に入ってからさらに1週間待たされた後に契約打ち切られの連絡が来ました。
これも就任したてのアッカルディの決断です。Alessio含めて7人のフィジオテラピスト全員の首が切られて一新されました。Alessioは凄く良いヤツなのでもちろん同情します。彼の言葉に感動したのは、やはりアッカルディの事は良く思っていないみたいですが、自分は生涯サンプファンだし、スペツィアとかからもすぐにオファーは来たけど、断ってとりあえず個人でやる事を決めた、と。。今のサンプの内部が酷い状況であるのは間違いないので、ゴタゴタが収まってまたサンプから復帰の要請が来るのを待つ、と言ってました。僕もその可能性はかなり有ると思うので、彼の決断を尊重しますし上手く行く事を祈っています。
メルカートに関しては違う号で詳しく触れるとして・・・
このアッカルディの決断力の早さの、ここまでの集大成がピルロ解任でしょう。
ピルロはゴールキーパーから短いグラウンダーのパスをつないで、ボール保持率を上げる。いわゆるグアルディオラサッカーを理想に掲げましたが、現状のサンプの選手レベルとセリエBのひどいピッチではなかなか理想を実現することができませんでした。
昨季は補強もままならず怪我人も多かったため、最下位に沈んだり正直昨季も危ない局面は有りましたがギリギリ解任されずに持ちこたえました。その後、冬のメルカートで獲得したダルボエやレオーニが当たったり、少しだけチームが噛み合ってきた終盤に調子を上げプレーオフにまで何とか滑り込みました。その後プレーオフのパレルモ戦は完敗で即敗退。
しかし効果的な補強もされた今季、サンプは昨季と同じ事を繰り返すわけにはいかず。開幕3試合で勝点1の時点ですぐさまアッカルディの決断力が発揮され、あっさり見切られました。
「1人の人間としては素晴らしいので残念だが、サッカーの監督としてはやめてもらってよかった」
「サンプでは(ジャンパオロに続いて)再びマエストロが解任された」
「結局マエストロの理想についていける選手は誰もいなかった」
↑↑筆者撮影
サンプ内情を色々聞くと、スタンコビッチ元監督はアイディアはかなり良かったですが人心掌握術は欠けていて、実際あのシーズンはほぼ裸の王様だったようです。ピルロも”デキ”よりはマシですが、実際はメディアに出てるほどそこまで選手全体と良好な関係を築けているわけでは無いようで。基本的に寡黙なピルロは選手たちを掌握し切っておらず少し浮いていたようです。ピルロが出場停止で助監督バローニオが指揮を執った試合。皮肉にもピルロに比べて闘志を全面に出すバローニオの元、選手もいつもより団結。気迫で応えて勝利を掴みました。
まぁ選手自体もかなり問題で、今の選手は1,2年活躍するとすぐ複数年契約で年棒も吊り上がってそれにあぐらをかいちゃうと。サビリなどはその最たる例で、ものすごいポテンシャルを持っていたが、頭が悪すぎる。パロンボやクアリアレッラ、そしてガッビアディーニぐらいまでがちゃんと心を持ってプレーしていた選手達で、彼らがいなくなってそれに代わるようなサンプでのベテラン、ヴェッレやムッルーあたりは残念ながらそれを継続できるような選手では無かったと。
そして長年働いたドクター「アメデオ」もあっさり首を切られたり、ロッカールームを今まとめられる人がいない、と言うのが一番の課題でしょう。
まぁ、ピルロは私も選手時代は唯一に近いサンプの敵ながらスゴイなと思っていた選手だったので、少し残念ではありますが。今のままでは彼は、やはりある程度の技術を持った大人のチームでないとなかなか結果を出せない気がします。そしてこのトルコとサンプでさほど成果を挙げられなかったので、最初からそのような良いポストを掴むのが難しい状況にはなっています。まぁ若いですし、ネームバリューが有るからここで終わりでは全然無いとは思いますが。ただ大して挨拶もしないで去っていったようなので、このままサンプの歴史からは正直忘れ去られていく気がします。
フェラーラもそうでしたが、ユーヴェ色強い外様はホント失礼なやつ多い。
さて、それに代わって就任したのがアンドレア・ソッティル
同じアンドレアですが、全然違うアンドレア
ピルロ解任が騒がれ始めてから、ソッティル以外に
▶Sarri
▶Andreazzoli
▶Juric
あたりの名前が挙がってましたが、まぁユリッチやサッリは現実的にサンプに来てくれる姿も想像できませんでしたし、 まぁ良かったんじゃないでしょうか。
↑↑©U.C.Sampdoria Official Page
Andrea Sottil アンドレア・ソッティル
●DF ●トリノ近郊生まれ ●1974年1月4日(50歳) ●184cm ●セリエA通算258試合10得点
現役時代は左利きのCB。空中戦に強い武骨なタイプのストッパーでした。息子のリッカルド・ソッティルは現在フィオレンティーナでFWとして活躍中
ソッティルは2004-05に💩ェノアで1シーズン強プレーしているので、すでにルイジ・フェッラーリスとジェノヴァの街に馴染み有り。ちなみに息子もその住んでた時期に💩ェノアのユースからキャリアをスタートさせた。糞チームだったために1年のみでトリノユースに移りましたが
ちなみに日本語表記だと同じになるのでわかりませんが、イタリア語的には後ろにアクセントがきて”ティ”を伸ばします。
”そってィーーる”
ですな
年齢は違えど、左利きのストッパータイプのCBという事で実はアッカルディと選手的には似てる気がします。そこが獲得の理由でしょうか?いずれにせよ、ピルロサンプが一貫して失点が多かったのは事実で、守備組織の構築をDFならではの視点から期待されます。
監督としては、シラクサをセリエDからCへ(1位)、リヴォルノをCからBへ(1位)と2回の昇格をもたらしてます。ただ、イタリアカルチョ界の監督は当然簡単ではないので、途中解任もすでに2度経験していますが。それでもD⇒C⇒B⇒Aとここまで順調にキャリアアップしてきました。自身も長くプレーしたウディネーゼでセリエAでは初めて指揮を執り、1年目は余裕の残留を果たしました。それまでは4-3-3や4-3-1-2を主に使用してましたが、ウディネーゼでは3-5-2を採用。右WBにサイドタイプの選手では無く、テクニカルMFペレイラを起用したのも特徴です。今まさにサンプでもフォーメーションを模索してる最中ですが、特にフォーメーションに拘りはなく選手の特性を生かして決めていきたいと言ってました。
ウディネーゼの2年目は開幕から6分け3敗と結果が出せずに途中解任されました。それが昨季2023-24シーズン。今季は売却が決まる予定だったサレルニターナ(A⇒Bに降格したて)で指揮を執るはずでしたが、売却が白紙となって補強等不透明になったことで、10日間で自ら辞任しました。そこにピルロ解任に踏み切ったサンプのオファーがくる形となりました。
闘志あふれる守備が特徴だった現役時代と変わらず、指揮者となっても熱血漢。そこもピルロと真逆なので、サンプの選手たちに闘魂を注入してもらいましょう!
とりあえず就任わずか2日後に指揮をふるったバーリ戦はこんな感じのフォーメーションでした
SAMPDORIA<3-5-2> 監督アンドレア・ソッティル
トゥティーノ コーダ(80分セクロフ)
ベッレーモ ベネデッティ(58分アキンサンミーロ)
イオアノウ(58分バッレーカ) デパオリ(58分ヴェヌーティ)
メウレンスティーン(28分ヴェローリ)
ヴリキッチ■14分 ベレシンスキ(c)
ロマニョーリ
ヴィスマーラ
ベンチ:GK㉚ラヴァーリア;DF:⑤リッチョ、㉕フェラーリ;MF④ヴィエイラ、⑭カザミ、㉘ジェペス;FW:⑳ラ・グミナ
イエロー:ベッレーモ、イオアノウ、アキンサンミロ
- GK ㉒ギドッティ(怪我)、㉝シルヴェストリ(この日来たばっか)
- DF ㉑ジョルダーノ(メルカート理由)
- MF ⑧リッチ(戦術上)、㉙ジレッリ(戦術上)
- FW ⑪ペドローラ(怪我)、⑯ボリーニ(怪我)
とりあえずピルロ監督の3バックを引き継いで、3-5-2でスタートさせたソッティル
しかし開始早々14分のレッドカードで、いきなり大きな制約を受ける事となります。
前半28分のクーリングブレイクまではなんとか両WBを下げてSBにして4-3-2で耐えました
その後MFのオランダ人を下げてDFを投入して3バックを再形成。メウレンスティーンは悪くなかったですが、数的不利の中なんとかMF陣に攻撃色を残したかったんだと思います。
前半はこんな感じでした
- 6分 ぎりオフサイで失点取り消し
- 9分Tutino→DePaoliスーパーボレー 敵GK指先で触ってポスト、郵便でーす📮
- 14分 Vulikic VARで疑惑の一発レッド🟥
- 33分VARでベレのハンドがバレてPK
→正GK奪われる寸前のVISMARAが奇跡のPKストップ✨
そして後半3人投入した後のフォーメーションはこんな感じでした
SAMPDORIA<3-4-2> 監督アンドレア・ソッティル
トゥティーノ コーダ(80分セクロフ)
ベッレーモ アキンサンミロ
バッレーカ ヴェヌーティ
ヴェローリ ベレシンスキ(c)
ロマニョーリ
ヴィスマーラ
後半開始早々の、コーダの神トラップからの絶妙ループ!これが決まってれば80分間数的不利からの奇跡勝利でしたが・・・
まぁしょうがないですね。
とりあえず、数的不利ながら今季初の無失点でドローは評価に値すると思います。
このいきなりの試合で私が気付いた2人のアンドレアの差はこんなところです
- ジェペスの序列(ソッティルが低い)
- コーダを下げてトゥティーノを最後まで起用した。(ピルロが前節調子良かったトゥティーノを交代させてその後逆転されたのは相当槍玉に上がってました)
- ゴールキック、結構蹴らせていた
- 闘志🔥🔥🔥
さて、ここで15日間の代表ウィーク休みがあります。ソッティルには貴重な準備期間となるでしょう。
サンプから代表選手は3人
- ベレジンスキ(ポーランド代表)
- イオアノウ(キプロス代表)
- ヴェローリ(イタリアU-21代表)
彼らには怪我せず無事に戻ってきてもらって
次節から新生サンプに期待しましょう!!
今季のサンプ名鑑も取り組んでますので、しばしお待ちをー
Foooooooorza Saaaaaaamp!!
次節:セリエB 第5節 2024年 9/15(日) 対コセンツァ@コセンツァ 現地15:00Kick Off(日本時間22:00)
’24-’25 SERIE B
5試合 0勝2分2敗 勝点2 得点4 失点6 得失点差 -2 18位
とても読み応えありました。
にしてもソッティルとは懐かしい・・・
ウディネーゼ時代は守備でも攻撃でも頼りになる良いDFでしたね。
当時は密かにサンプに欲しいと思っていました(笑)
まだ何とも言えないですが、今のサンプにはピルロよりソッティルのほうが合ってる気がします。
今年こそ飛躍してほしいものです。
>早速の記事ありがとうございます。... への返信
コメント頂いたおかげで更新するやる気が起きました(笑)
名鑑も頑張ります!