NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

集改センターの第153回 スキルアップセミナー報告

2017-10-21 14:21:44 | 集改塾

集改センター恒例の第153回 スキルアップセミナー報告です。

開催日:2017年(平成29年)10月4日(水)

テーマ:「理事会のあり方と昨今のトラブル事例について」

講 師:九鬼 正光(本会・正会員/弁護士)

 

<セミナー概要>

■はじめに

 現在、マンションは600万戸を超えていると言われています。今や居住形態のひとつとしての地位を確立しています。東京におけるマンション化率は27%、大阪は全国3位の18%のマンション化率です。今後、住まいであるマンションを居住者全員で住みこなしていく必要性がさらに高まっているということです。上手に住こなすために、本セミナーの理事会のあり方についての説明とトラブル事例の紹介を参考にしていただけたらと思います。

■理事会のあり方

 理事会は管理規約に定めることによって設置でき、設置されると管理組合の運営は理事会を中心に行われていきます。理事会は総会で選任された理事で構成され、理事の互選で理事長が選任される。そして理事長は管理組合を代表する、と多くの管理規約で規定しています。実際には、総会で理事長の候補者として明記して決議されていることが殆どだと思われます。理事会は管理規約に設立根拠があると言いましたが、その管理規約は区分所有法第30条の範囲内であれば、管理組合独自のものを作ることができます。国土交通省の標準管理規約はあくまでモデル規約であって規範性はありません。理事に、区分所有者の配偶者や親族を選任することも管理規約に定めておけば可能です。理事と管理組合の関係は委任の関係にあり、理事には善管注意義務があります。裁判事例をあげますと、ある管理組合の会計担当理事が5000万円を着服、当時の理事長と監査担当理事(監事に相当)が善管注意義務違反で訴えられ、裁判所が義務違反あり、と認めた判決があります。理事・監事の責任は重いものがあります。一方、理事、理事長の権限について錯覚している人が時々おられるようです。特に、理事長は株式会社の代表取締役のような権限はない、ということを理解しておくことが重要です。総会や理事会の決議を経ずに、勝手に契約を締結してよいと勘違いして、管理組合とトラブルとなった事例もあります。理事長、理事の方は気を付けてください。

■理事会と管理会社の関係

 区分所有法の考え方は自主管理なので管理会社のことは触れられていません。最近の管理組合というか理事会は、管理会社ありきという考え方になっているのではないでしょうか。例えば、滞納金の回収は管理会社ではなく管理組合が主体だ、ということが忘れられていないでしょうか?管理会社は管理業務委託契約に則って管理組合運営をサポートするものであり、理事による合議体である理事会が業務執行機関であり、管理組合の運営を担っているということを認識して、理事会の運営に携わってください。

 

~次回開催予告~

■第154回スキルアップセミナー 2017年11月1日(水)午後3時から

 テーマ:「熊本震災復旧マンションの実例」

講 師:上村 允郎(本会・正会員/設計監理事業部長・建築担当)

<昨年11月からコンサルタントとして携わった2件の実例を紹介。震度7弱の揺れを2度も経験し、不安な中から完了までの問題点と解決策について。マンション管理新聞にも特集で掲載されました。>

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集改センターの第151回 スキルアップセミナー報告

2017-10-13 21:36:56 | スキルアップセミナー

集改センターの第151回 スキルアップセミナー報告です。

開催日:2017年(平成29年)8月2日(水)

テーマ:「民間非営利組織(管理組合・自治会)のマネジメント支援について」

講 師:上野 義治(本会・正会員/司法書士)

 

<セミナー概要>

■非営利組織とは

 管理組合・自治会などの非営利組織と言われているものについて考えてみましょう。経済的利益つまり儲けを追及し、構成員に分配する株式会社などの組織は営利組織と呼ばれます。利益をあげていても構成員に分配しなければ非営利となります。NPO法人も特定非営利活動法人という非営利組織です。営利活動を行わない自治会・町内会は当然に非営利組織であり、管理組合もその範囲に入るものです。

■管理組合と自治会(町内会)

 管理組合とは、区分所有法に基づき区分所有者を構成員として組織された団体であり、自治会・町内会は地域の自治や親睦のために組織された任意の団体です。組織の成り立ちには違いがありますが、構成員の自治により運営され、地域(管理組合の場合はその区分所有建物)で暮らす住民ために活動するという目的・機能においては変わりがありません。

■管理組合の在り方

 人が集まって作った組織は、営利組織、非営利組織に関係なく使命を持っており、目標があるはずです。その目標を達成するために、戦略・戦術を考えそれを実際に行動に移すことになります。管理組合や自治会の場合はどうでしょう。当然、管理規約や自治会の会則といったもので、その組織の使命は規定されています。同じ目的に向かって進むことが求められています。最近感じることは、管理組合の相談会などにおいて、自分の意向ばかりを声高に主張される方が多くなってきたということです。管理組合は、組織としての意思を総会などにおいて、規則に則って多数決で決めておられると思います。その場合も、個々の考えや思いに配慮し、決定に至るまでのプロセスを明示するといった方法、いわば戦法をとることが重要になってくると考えます。個々の意見を無視するだけで済ましてしまうと、その個々は益々不満を募らせ、結果的に管理組合の活動に背を向けることとなります。

■最後に

 非営利組織においては横の関係を築くことが重要だと考えられます。管理組合においては特に、一人ひとりの繋がりが求められていると思います。個々の繋がりが新たなものを生み出すということはよくあります。これは管理組合活動にも当てはまるのではないでしょうか。現在、二つの老いを抱えていると言われている管理組合として、組織の現状をよく分析・検討することと、構成員が組織の運営に危機意識を共有し、管理組合活動に参加するようにもっていくことだと思います。そういった管理組合のお役にたてるように、集合住宅改善センターはマネジメント支援を今後も続けていきます。

~次回開催予告~

■第152回スキルアップセミナー 2017年9月6日(水)午後3時から

 テーマ:「鉄筋コンクリート造の構造としくみを学ぶ」

講 師:新保 勝浩(本会・正会員/1級構造建築士)

<鉄筋コンクリート造の確部材の役割や仕組み、各種の工法の違いなどを解説して、

 構造性能や耐震性能について学んでいただきます。>

 

 

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集改センター11月の「スキルアップセミナー」

2017-10-10 20:07:46 | 集改塾

集改センターの11月の「スキルアップセミナー」を下記のとおり開催いたしますので奮ってご参加ください。


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「熊本震災復旧マンションの実例」

昨年11月からコンサルタントとして携わった2件の実例紹介。
震度7弱を2度も経験し不安な中から完了までの問題点と解決策について。
先だっての1037号マンション管理新聞にも特集で記載されています。


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開催日時:11月1日(水)午後3時~5時 
講  師:上村 允郎 氏(本会・正会員/設計監理事業部長)
     

参 加 費:会員1000円/非会員2000円(講師料、会場費、資料代に充当します。)
開催場所: 大阪建築会館(会議室)
申 込 み :10月31日(火)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。

<お願い>スキルアップセミナーは予約制です。
申込み締め切り後の急な参加も歓迎いたしますが、
必ず事務局まで電話で連絡願います。
事務局不在のときはFAXかメールをお願いします。     

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集改センター第152回 スキルアップセミナー報告

2017-10-10 19:56:05 | 集改塾

集改センター恒例の第152回 スキルアップセミナー報告をいたします。

開催日:2017年(平成29年)9月6日(水)

テーマ:「鉄筋コンクリート造の構造としくみを学ぶ」

講 師:新保 勝浩(本会・正会員/1級構造建築士)

 

<セミナー概要>

■鉄筋コンクリート造(RC造)とは

 柱や梁などの主要構造部に鉄筋の入ったコンクリートを用いたものをいい、圧縮力に強いコンクリートと引張力に強い鉄筋を組み合わせているため、耐久性、耐震性、耐火性、遮音性に優れておりマンションによく用いられています。一方、居住用ではない高層建築物においては鉄骨造(S造)のものが多くなっています。

■RC造のマンションの構成部材

 RC造を構成するものとしては柱、梁、壁、床、基礎それに階段、手すり、パラペット等があります。壁には地震などへの抵抗力を持つ耐震壁や耐力壁と住戸内の間仕切りの雑壁があります。雑壁には耐震スリットという隙間や目地が設けられています。床は180mm~200mmのスラブ厚となっているのが多数ですが、小梁を用いない厚さ250mm~300mmのボイド床を利用するケースも増えてきています。ボイド床は自重を減らすためにコンクリートの中に楕円型の空洞が発砲スチロール等で作られています。また、マンション等の建築物を建てる際にはボーリング調査を実施して地盤を確認します。調査の結果、地盤に問題が無ければ独立基礎や布基礎といった直接基礎とし、問題がある場合には杭基礎(場所打ちコンクリート杭、鋼管杭等)の工法を用います。

■構造設計

 構造物にはどういった力が加わるのか。垂直方向に加わる荷重として建物自体の重さや家具などの居室の重さを組み合わせた長期荷重と積雪荷重があります。水平方向に働く荷重としては地震荷重、風荷重、土圧荷重・水圧荷重があります。地震荷重については耐用年数期間内に1度遭遇する地震に対して無被害とする1次設計と震度6強の大地震でも人命を損なわないとする二次設計があります。次に構成部材は荷重に対してどのような挙動、反応をするのか。柱、梁、床については圧縮、引張、曲げ、せん断、たわみ、ねじれ、振動等が生じ、基礎については引抜き、転倒等が起こる。こういった考えられる事柄について、意匠性、経済性、安全性、耐久性、品質性能を考えて構造形式を選択していくことになります。

■タワーマンションと免震装置について

 免震設備のないタワーマンションでは、上層階では揺れにより室内の物はほとんど倒れてしまいます。またエレベーターはまず動かなくなります。免震設備がある場合はエレベーターの問題は生じないと考えられています。免震装置は取り替えることを前提に設計されており、ジャッキアップ等で交換できます。また免震装置に使用されているゴムは、50~60年は持つと言われております。

~次回開催予告~

■第153回スキルアップセミナー 2017年10月4日(水)午後3時から

 テーマ:「理事会のあり方と昨今のトラブル事例について」

講 師:九鬼 正光(本会・正会員/弁護士・管理運営事業部)

<理事会の設立根拠を考えてみる。理事・理事長の役割と権限・責任範囲とは。基本を理解しないで独断専行する理事会や理事長のトラブルが発生しています。事例を交えてマンション紛争に詳しい弁護士が解説します。>

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集改センターの第40回 集改塾 報告

2017-10-07 13:48:27 | 集改塾

2017年(平成29年)10月4日

この日(10月4日、水曜日、午後7時00分~8時30分)は、塾生参加企業の担当者が講師(塾生の企画による)となり今年度最後となる講義でした。

テーマは、「大規模修繕工事のこぼれ話(営業)」を(株)幸和社員(山野氏)による営業マンが大規模修繕工事に携わり経験した知識と疑問(業界合理不合理)についてのプレゼンテーションと出席塾生との意見交換などが行われました。

 

< 塾長の声 >

今回のテーマでは、はじめに大規模修繕工事の基本的知識として「大規模修繕工事とは」、「大規模修繕工事の方式(責任施工方式・設計監理方式)」、「大規模修繕工事の流れ(計画開始から引渡しまで)」、「営業の大規模修繕工事の業務の流れ」の5つの項目に分けたプレゼンがありました。特に「営業の大規模修繕工事の業務の流れ」では、塾生との意見交換において、受注活動や品質管理の向上にはどの段階から社員として参加すべきかを考えるよいテーマとなったようです。

 

 そして、2つ目のテーマでは、今年「週刊ダイヤモンド」で取り上げられた記事の紹介があり、大規模修繕工事に携わる塾生にとってのコンプライアンスとは何かを考える機会となり、この時も活発な意見交換がありました。

最後にまとめとして、「大規模修繕工事の仕事をして思うこと」についての話しがあり、続いて「営業の立場から現場代理人の皆さんへ」と熱いメッセージを発表して終了となりました。

 

 

以上

 

 

 

 

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