NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

集改センターの第142回 スキルアップセミナー報告

2016-09-30 11:51:03 | 集改塾

集改センター恒例の第142回のスキルアップセミナーの報告をいたします。

開催日:2016年(平成28年)9月7日(水)

テーマ:施工ミスと施工偽装に学べる構造問題

講 師:構造設計1級建築士 新保勝浩(NPO集改センター正会員)

 

 ◎平成27年度に発覚した東洋ゴム工業の免震部材のデータ偽装問題、横浜市のマンションにおける杭データの改ざん問題、大規模修繕工事の実施に際して多数散見される耐震スリットの施工ミスの発覚問題、そして東日本大震災で発生した立体駐車場スロープ崩落事故による刑事裁判について、製造・施工、設計上の問題点とマスコミ報道等により少し誇張して伝えられている事件の本質を見定め、今後に生かしていただければと思っています。

<セミナー概要>

■免震偽装問題

高減衰積層ゴムという免震部材のデータ偽装が10年以上前から行われていたと国土交通省より公表があり、当部材が高層を含む共同住宅や重要文化財の建物などに使用されていたため大きな事件として取り上げられた。改ざん前の実データを使った検証では、許容範囲に収まっていたのはごくわずかで、ほとんどが許容範囲外と結果がでた。

■杭データ偽装問題

横浜にある鉄筋コンクリート造の地上12階建て、総戸数705戸という大規模マンションで、住民が渡り廊下の約2cmのズレを発見したことにより、施工時の杭打ちデータの改ざんが発覚した問題。杭工法に問題があるのではと大きく取り上げられたが、私見ではあるが、横浜特有の支持地盤層の凹凸の見逃しに建物傾斜の大きな要因があるのではないか、と考えている。

■耐震スリット施工ミス

マスコミ等ではあまり報道されていないが、大規模修繕工事時に数多く目にする施工ミスが構造スリットの未設置や寸法不足である。大手ゼネコンが施工した大手分譲会社の物件においても不具合が確認されている。方立て壁の不具合はまだしも、腰壁におけるスリットの施工ミスは注意したい。大手ゼネコンは現場打ちをしないなどの方法を採用している。

■建物被害における建築士の刑事責任

本件は、大規模量販店の立体駐車場における取付けスロープの崩落により2名が死亡、設計した建築士が第1審で業務上過失致死傷罪に問われた事件であります。意匠図と構造図の不整合等の争点があり、上告審である東京高裁の判断が注目される。

■まとめ

実際の被害はマスコミ報道ほど大きくないのでは、と思いますが、施工、設計にかかわらず認識の甘い安易な行為が、結果的に大きな打撃となって帰ってくるということを、真摯に受け止め、今後に生かせてもらえれば幸いです。 


 

~次回開催予告~

■第142回スキルアップセミナー 2016年10月5日(水)午後3時から

  テーマ:「管理組合理事、管理会社の責任を法的に検証」「分別管理制度への問題提起」

  講 師:九鬼正光(弁護士)

◎   管理組合と管理会社との責任分担の境界、管理委託契約はどこまでのことを要求して

いるのか、を議論しましょう。


第28回 集改塾

2016-09-12 21:13:41 | 集改塾

第28回 集改塾 報告(出席者7名)

 9月7日(水曜日、午後7時00分~8時45分)、28回目の集改センター主催の集改塾を開催しました。

 

< 塾生(大西 隆之 カンサイ建装工業㈱)の声 >

今回も株式会社カシワバラ・コーポレーションの白石氏による講義で「平成28年度版 2級建築施工管理技士 即戦問題集」の第5章建築施工 5・9防水工事の過去問題を元に問題を白石氏による解説付きで大変わかりやすい内容でした。

試験内容が主に新築工事向けになっているので、普段見慣れない新築施工時のアスファルト防水の施工状況等の動画を見ながら、こちらも白石氏の解説付きで要所・ポイントを押さえながら問題を解いていく形でした。

また普段解っているようで忘れがちな、「下地塗材には可使時間がある」の話では、乾燥時間はいつも注意している部分ではありましたが、上塗やシーリング材充填等を行うまでの制限時間は、知っていても忘れがちになっている点でした。

他にも、噂や普段当りまえになっている事が当たり前では無い。例えば、「1液カートリッジのシーリング材にプライマーは必要ない。は、嘘である。」こちらの話では普段職人さんと接していて、職人さんの話を鵜呑みにしてはいけない。という事も改めて自覚させられるお話でありました。

いつも白石氏は大変解りやすく説明する能力と又、大変奥深い知識と経験を持たれており、我が社にも「こんな先輩がいたらいいなぁ」と、いつも思いとても尊敬しております。

 

塾長からは、先月リオデジャネイロにて開催されていたオリンピックに因み、「チーム力について」のお話も拝聴することができました。このお話もとても興味深いお話でありました。

こちらのお話の中で「グループ=各メンバーの成果の総和がグループ全体の成果となる事を前提とした人々の集まり」「チーム=各メンバーの成果の総和を超える成果をチーム全体で出す事を前提とした人々の集まり」という内容があり、その内容を日々の日常業務に置き換えて考えてみると、ほとんどの会社組織では大きくは営業・技術・総務系の3本柱で組織構成されており、その組み合わせにより、1+1+1=3ではなく4乃至それ以上の効果を創造・発揮することで、一人一人では成し得ない事を成し遂げる事が出来るんだと感じ、組織で仕事をしている私たち社員が、如何にしてチーム力を発揮できるかを日々追求することが肝要であると、改めて思いました。

 

最後の宣伝では出版物で「精度の限界」、漏水調査の工法で「レインボービューシステム」の紹介がありました。

 

今回も松山塾長及び白石氏の大変貴重な御講義を拝聴させて頂き誠に有難うございました。

 

< 塾長の声 >

この日も2級建築施工管理技士合格を目指した問題集の勉強と塾生による春工事の体験談の発表の予定でした。問題集では、YouTubeにアップされている防水工事の施工を動画で疑似体験しながらより深く問題解答の意味をしることが出来たと思います。後半予定の体験談は生憎、発表者の塾生(山野氏)が諸事情でどうしてもこの日は出席できないため10月に延期となりましたが次回の塾が楽しみです。

また当日この穴埋めとして「チーム力」というテーマで話しましたが、少々ネタ不足でしたのでいつか改めて「(仮称)スポーツ選手から学ぶチーム力」をテーマに塾生と話し合ってみたいと思っています。



「監事が総会を招集して理事長を解任?」

2016-09-05 08:43:55 | 集改塾

集改センターの枝副代表理事からの投稿です。


監事が総会を招集して理事長を解任?

高裁がこの決議を認めたのは変ですね!

本年1月に千葉県で起こった理事長解任事件。
1審(千葉地裁)は、監事が招集した総会で、理事長解任の決議は招集の要件が不適正とし、決議無効としました。
2審(東京高裁)は、解任が議題とし解することができるとし、決議を有効としたそうです。

さて、1審も2審も裁判官は、監事は総会を招集して理事長の解任ができると考えているのでしょうか?

区分所有法の管理組合法人における監事標準管理規約における監事、どちらも、監事は、管理組合の業務執行に不正があるときは、総会を招集することができると規定しています。
つまり、報告のための総会招集権があるとしています。

監事は、総会を招集して理事長を解任することまではそもそもできないのに、裁判所は有効か無効かを判決していますが、ちょっとおかしいと思いませんか?

なお、判決文を読んでいないので誤解があればご容赦ください。