集改センター最後のフリーセミナーの報告をいたします。
第92回フリーセミナー報告書
開催日 2011年(平成23年)5月17日(火)午後3時~5時
開催場所 大阪建築会館 3階(会議室)
参加者 22名
テーマ 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」
講師 横山由紀子 オフィスSRC主宰 コミュニケーション・サポータ―
(セミナー内容報告)
合意形成がスムーズにいくような話し合いを目標とする人は多いですが、では、「理想的な話し合いのイメージは?」と問われると、答えに詰まる人も多いですね。何の反対意見もなく決まっていくのは楽ですが、本当にそれでいいのでしょうか。反対意見も含めていろいろな意見が出てこそ、「三人寄れば文殊の知恵」も生まれるもの。こういうお話から、では、「意見の違い」の上手な受け止め方は、というところからセミナーは始まりました。
まず、意見の対立した時の行動パターンとして、「回避」「対決」「妥協」「服従」「協働」の5つがあり、はじめの4つは、根底に「相手に負けたくない」という気持ちがある。それを自覚して勝ち負けを超えたところにwin-winの関係「協働」が生まれる。そして、人は非言語コミュニケーションといって、言葉だけではなく、表情や態度で相手を拒否したり、受け入れたいという気持ちを知らず知らずのうちに伝えている。また、思い込みや「心の物差し」で話をすることが多い人ほど、他人と意思の疎通を図るのは難しい、というお話がありました。
そして、管理組合の理事会を具体例として、「合意形成における問題点」として、無駄に時間ばかり過ぎてないか、結論がいつまでも出ない、声の大きな人が全て仕切ることへのあきらめ、管理に無関心な欠席者が多い現実等が挙げられました。それには話し合い方法の見直しが必要であり、安心・安全・平等な場を提供して、目的を明確化し、事前準備(根回し等)が必要であり、ファシリテーター技能として、支援型のリーダーシップや話の意見の交通整理が必要である、とのアドバイスがありました。
トラブルメーカーへの対応としては、まずは、「なぜ、攻撃的になるのか」を考える。多くは「自分だけが正しく、みんなのためにやっている」と思い込んでいる。そこを気づかせることが大事で、相手の挑発に乗らず、淡々と理性的に対応し、多くの住民を味方につけてトラブルメーカーを孤立させる。そうすれば、本人が自ら自分の勝手な思い込みに気づき、自然と解決することが多い、ということでした。
また、相手に自分の意見を受け入れてもらうには、相手の立場を認め、なぜ、反対するかを聞いて、相手の状況を認め、自分の利益を説明し、共に納得できる解決策を尋ねる。決して感情的になることなく、私メッセージ(私は、こう感じている)を伝えていくことで、しっかりと話し合いをしていくことが大切である、ということでした。
合意形成には、「気づくこと」が大事である、と教えてもらったセミナーでした。よいコミュニケーションをしていくには、話し相手ではなく、まず、無意識な態度や表情で相手にメッセージを伝えている自分や、自分自身の思いこみや物差しを持っていることに気づくこと。また、トラブルメーカーへの対応も「みんなのため」「自分だけが正しい」という勝手な思いこみに気付いてもらうことです。そういう気づきがあれば、合意形成への道は見えてくるのではないかと思いました。よいコミュニケーションは、団体の合意形成だけでなく、人間関係を円滑にするエッセンスでもあります。今後、仕事や生活の場面でも大いに参考にしていただけるセミナーでした。