NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

集改センターの第157回 スキルアップセミナー報告

2018-03-23 10:39:12 | スキルアップセミナー

集改センターの第157回 スキルアップセミナー報告をいたします。

開催日:2018年(平成30年)3月7日(水)

テーマ:「新築工事のあれこれ設計、監理の観点」

講 師:實本 勝也(本会・正会員/一級建築士・設計監理部会)

 

<セミナー概要>

■はじめに

 マンション等の大規模改修工事においても、いろいろな人が関わりますが、マンションに限らず新築物件においてはさらに多くの人が関わっています。新築建物が出来るまでの企画段階から完成引渡しまでの流れと設計者、監理者の観点また立ち位置とは、何かについて述べます。

■工事の流れと設計、監理

 新築工事の場合、事業主(施主)がいて、資金を借入れた場合には銀行等金融機関が絡み、建物の設計者(設計事務所)、建築工事を施工するゼネコンなど建設業者、場合によっては近隣住民が関わってくるなど非常に多くの関係者が存在します。建築の流れとして、企画の段階において設計者はまず、「事業主が希望する通りの建物が建つ敷地なのか」を見極めなければなりません。住宅が建てられる用途地域か、容積率・建蔽率、道路幅などを検討した上で判断します。また、行政との関わりも出てきます。開発許可が必要か否か、農地であれば転用許可が必要となるのか、など建築行政以外の対応も生じます。こうしたことをクリアして初めて建築確認申請に移ることが出来ます。次に設計段階に入ります。地盤調査を行い、どういったコンセプトでいくのか、意匠設計において全体像を把握します。木造かRC造または鉄骨造でいくのか、設備のグレードはどうするか等を決めていきます。それによって構造、機械設備、給排水衛生設備、電気設備といった設計が行われます。場合によっては外構工事設計も入ってきます。設計者は事業主、行政と打ち合わせを繰り返して完成させた設計図書で工事業者に見積り依頼を行ないます。1社指定か見積合わせかは、建物の規模等により変わってきますのでケースバイケースです。業者が決まり工事段階になると、設計者は工事監理という立ち位置にかわります。限られたコスト・工程の中で事業主と工事業者の間に立ち、より良い建築物を造るために、工事が滞りなく進められるように仲介します。工事が完成すると役所の検査などの後、事業主に建物が引き渡されます。各検査合格証や保証書などが渡されます。検査済証は特に大事ですので大切に保管しておいてください。通常は、登記手続きが終わると支払がなされ新築工事は全て終了ということになります。完成後については、建物の寿命を延ばすためには、当然、定期的にメンテナンスを行うことが大事になります。

■設計事務所の役割

 最後に、設計者の役割は事業主の希望を、専門知識というフィルターを通して工事業者に伝えることにありますが、事業主が間違った選択・方針をとろうとしているときに、正しい方向に導くことも大事な役目だと考えています。

 

 

~次回開催予告~

■第158回スキルアップセミナー 2018年4月4日(水)午後3時から

 テーマ:「理事長解任に関する訴訟を検証する」

講 師:九鬼 正光(本会・正会員/管理運営事業部・)

<理事長解任は理事会で出来ると、最高裁が逆転判決。1審・2審と最高裁の判断を検証します。その他、マンションに関係する、最近の裁判事例を考えてみましょう。>


集改センターの第44回 集改塾 報告

2018-03-16 12:13:07 | 集改塾

集改センターの第44回 集改塾 報告(出席11名)

この日(3月7日、水曜日、午後7時00分~8時30分)は、先月2月塾長(1級建築士)の講義に続き、同じく1級建築士で新築設計(企画・設計・監理)の実務に経験豊富な實本勝也氏に「新築工事のあれこれ設計・監理の観点」をテーマに講義をしていただきました。

 

< 塾生の声 Aさん >

新築の設計の仕事が、大変大勢の人との関わりであるというのが、何となくわかりました。とても一回では理解できないと思いましたが、すごく面白くお話を聞かせていただきました。

用途地域や容積率、建蔽率、日陰線、天空率など敷地の性格による建物の形の話や、構造を選ぶ際の基準がお金と安全、用途による柱の大きさや壁の有無だったりすること。その土地にどんな建物が建つかなんて、僕には全然想像できないところです。

脱線した姉歯さんの話からの構造の矛盾点も。コンクリートと鉄筋の比率が大事で、柱は大きければいいものでもない。冒頭の「あいつ何してくれてんねん!」は、今年の流行語大賞行けそうです。脱線といえば、高松伸さんのデザインの話はかわいそうなほど面白かったです。当時斬新な建築物も、あれだけ言われれば形無しですね。「デザインと無駄」は表裏一体なのだなと感じました。

個人的にIoTが建築に関わってることは流石に驚きました。関連技術の進歩に、建築が対応するのは大変なことなのですね。電気関連はインターネットの進歩がまさに光並みで、日進月歩の建築では追いつけそうもありません。というのを感じました。最後の検査済証の話では、改修の仕事にも大きく関わっていて、何が増築に当たるか?も触りだけわかったし、ちゃんと理解しなければいけないなと思いました。新築時に容積率いっぱいまで建てる話は、松山先生にもよく聞いていたのに、よくある外構工事(駐輪場の増設など)が容積率に関わる増築に当たることから、限界一杯で施行することができない。

お話聞いている中でやっとその意味に気づいてハッとしたり、そんな大事なこととは露知らず、強引にやってしまった管理組合さんは違法建築となるために、いざという時の売却にまで影響が出るとか、その責任はさて取れるのか? そして、そんな違法建築が実はゴロゴロあってあそこどうすんねん?とか。これからそんな物件の改修に当たるのかと思うと、今から戦々恐々としてます。

今回、いつもとはまた違う角度とタッチで話を聞くと、いろんな知らないことがあって、建築って大変面白いんだなと思いました。實本さん、貴重なお話をありがとうございます。また講師としてお話聞かせてください。

 

<塾生の声 Bさん>

 今回の新築工事の講義で企画段階についての内容は初めて知ることがほとんどで面白かったです。以前、大規模修繕工事の流れについて施工業者が決まるまでのスケジュールを知ったとき以上に知らない事だらけでした。企画・計画の段階で関わる人、企業が多く仕事量も膨大だなと感じました。用途地域の話は試験勉強で多少耳にしていましたが、建築面積、容積率、建蔽率、道路幅がどういった規制のなかで、どういう風に計算されて建てられているのかが見えて面白かったです。

新築では業種が多いことは今までの講義で聞いていましたが、その時の流行りや、新しい設備などがどんどん出てくる大変さがあると知りました。これから町中の新築工事の現場や、建物を注意深く見てみようと思います。監理者の観点として、施工管理できないレベルの施工業者と仕事をすると困るというお話があったように、新築、改修に限らず施工業者の技術力は必須で、施工業者は技術力を高めるように努力していかないといけないと改めて感じました。来期の集改塾でもいろんな講義を聴いて知識を増やしていこうと思います。

最後に自分が将来、家を購入することがあればいろいろ聴いてからにしようと思いました。

検査済証や銀行の金利の話のように知らないまま高額買い物をした人はたくさんいるんだなと思いました。

 

< 塾長の声 >

今回のテーマは、建物を設計するに当たり、計画予定地における企画設計・実施設計(意匠・構造・設備・積算・工事監理)など多義にわたる内容について、現役の実務者である實本先生(1級建築士)から、建築行為そのものは国の経済活動を支えるもっとも重要な基幹産業であり、住宅1軒の建築であってもそこに従事する(関わる)人々や産業また完成後に従事する(関わる)人々や産業が多くあることを気づかせてくれるお話でした。

また、企画設計においては、建築基準法(建ぺい率、容積率、用途・防火地域、接続道路幅、天空率など)を熟知したものが数時間~1日程度で建設可能な建築物を想定した企画設計図を作成しなければならないなどの話されたときは、たいへん驚いていた様子がうかがえました。普段の仕事では、新築というものにほとんど携わらない塾生ですが、この日の講義内容は、とても新鮮でありまた建築というものを身近に感じた日であったと思います。實本先生にはまたお越しいただき、実施設計におけるお話をしていただきければと思います。

以上

 

 

 

 

 

 

 


第158回スキルアップセミナー 「理事長解任に関する訴訟を検証する。」

2018-03-15 21:12:21 | スキルアップセミナー

集改センターの恒例第158回スキルアップセミナー は

 

 「理事長解任に関する訴訟を検証する。」


 理事長解任は理事会で出来ると、最高裁が逆転判決。
 1審・2審と最高裁の判断を検証します。
 その他、マンションに関係する、最近の裁判事例を考えてみましょう。


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 開催日時:4月4日(水)午後3時~5時
 講 師: 九鬼 正光 氏(本会・正会員/弁護士)


 参 加 費:会員1000円/非会員2000円(講師料、会場費、資料代に充当します。)
 開催場所: 大阪建築会館(会議室)
 申 込 み :4月3日(火)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。

 

 

 


集改センターの第156回 スキルアップセミナー報告

2018-03-09 11:47:25 | スキルアップセミナー

 集改センターの第156回  スキルアップセミナー報告


 開催日:2018年(平成30年)2月7日(水)
 テーマ:「団地型と複合型の管理規約を検証する」
 講 師:枝 俊男(本会・正会員/管理運営事業部長・マンション管理士)

 <セミナー概要>
 ■はじめに
 マンション標準管理規約の「団地型」「複合型」には問題が多く、一元管理の「管理費会計」と棟別「修繕積立金会計」
 で様々な問題が発生しています。安易に作成された(と思われる)団地型標準管理規約と複合型標準管理規約。2つの管理規約について検証していきます。
 ■団地型標準管理規約
 団地型にはいろいろなタイプが考えられます。同一敷地に3つの区分所有建物が存在している場合。敷地は3つの区分所有建物が各々所有しているが、
 駐車場や通路を共有している場合、もしくは1棟の区分所有建物の1室を集会室として他の棟と共有している場合等があります。団地型標準管理規約においては、
 管理は団地管理組合という組織で行い、義務違反者に対する措置等の一部は棟別の総会で決議するとしています。管理費、駐車場使用料等の「管理費」
 は団地管理組合で一元管理し、「修繕積立金」については、団地修繕積立金と棟別の修繕積立金で区分経理し、
 各棟の修繕積立金の改定は棟総会では決議できないとされています。大規模修繕工事において各棟の負担配分等で、「高層棟」と「低層棟」
 が混在している団地形態の場合に問題が発生しているケースがみられます。
 ■複合型標準管理規約
 複合型標準管理規約は大規模な開発型マンションを前提とせず、いわゆる下駄ばきマンションといわれる低層階に店舗があり、
 上層階が住居になっているマンションを対象としている、としています。会計処理は全体管理費、住宅及び店舗一部管理費、
 全体修繕積立金、住宅及び店舗一部修繕積立金で区分経理し、一元管理となっています。大規模開発マンションを対象としていないのに、
 ここまでする必要があるのか、という感じをうけます。店舗・事務所の比率が少なく、一部共用部分がないような場合は、
 単棟型の管理規約でよいのではないか、と思っています。複合型では住宅部会、店舗部会という構成をとられている管理組合が多くみられますが、
 修繕工事を実施する場合に住宅・店舗それぞれの負担割合をどうするか、ということで紛糾するケースが多々あると聞いています。
 ■最後に
 「団地型」「複合型」のマンションにおいては、いろいろな形態を考慮し、強行規定に違反しない範囲で、標準管理規約にとらわれず、
 自分たちのマンションにあった管理規約を定めることが大事です。

 



 ~次回開催予告~
 ■第157回スキルアップセミナー 2018年3月7日(水)午後3時から
 テーマ:「新築工事のあれこれ設計、監理の観点」
 講 師:實本 勝也(本会・正会員/設計監理事業部・)
 <新築工事のあれこれ設計、監理の観点>
 マンションにかかわらず、新築建物が出来るまでにはいろいろな立場の人がかかわります。そこで設計者の観点、監理者の観点また立ち位置とは何か、
 自分の家を建てるとき設計者は本当に必要なのかをお話しします。