NPO集改センター(NPO法人 集合住宅改善センター)活動レポート

大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、福岡を中心に大規模修繕工事やマンション管理運営をサポートいたします。

フリーセミナー「「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」の報告

2011-06-14 00:30:41 | フリーセミナー

集改センター最後のフリーセミナーの報告をいたします。

第92回フリーセミナー報告書

開催日         2011年(平成23年)5月17日(火)午後3時~5時
開催場所        大阪建築会館 3階(会議室)
参加者         22名
テーマ         「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」
講師          横山由紀子 オフィスSRC主宰 コミュニケーション・サポータ―

(セミナー内容報告)
合意形成がスムーズにいくような話し合いを目標とする人は多いですが、では、「理想的な話し合いのイメージは?」と問われると、答えに詰まる人も多いですね。何の反対意見もなく決まっていくのは楽ですが、本当にそれでいいのでしょうか。反対意見も含めていろいろな意見が出てこそ、「三人寄れば文殊の知恵」も生まれるもの。こういうお話から、では、「意見の違い」の上手な受け止め方は、というところからセミナーは始まりました。

まず、意見の対立した時の行動パターンとして、「回避」「対決」「妥協」「服従」「協働」の5つがあり、はじめの4つは、根底に「相手に負けたくない」という気持ちがある。それを自覚して勝ち負けを超えたところにwin-winの関係「協働」が生まれる。そして、人は非言語コミュニケーションといって、言葉だけではなく、表情や態度で相手を拒否したり、受け入れたいという気持ちを知らず知らずのうちに伝えている。また、思い込みや「心の物差し」で話をすることが多い人ほど、他人と意思の疎通を図るのは難しい、というお話がありました。

そして、管理組合の理事会を具体例として、「合意形成における問題点」として、無駄に時間ばかり過ぎてないか、結論がいつまでも出ない、声の大きな人が全て仕切ることへのあきらめ、管理に無関心な欠席者が多い現実等が挙げられました。それには話し合い方法の見直しが必要であり、安心・安全・平等な場を提供して、目的を明確化し、事前準備(根回し等)が必要であり、ファシリテーター技能として、支援型のリーダーシップや話の意見の交通整理が必要である、とのアドバイスがありました。

トラブルメーカーへの対応としては、まずは、「なぜ、攻撃的になるのか」を考える。多くは「自分だけが正しく、みんなのためにやっている」と思い込んでいる。そこを気づかせることが大事で、相手の挑発に乗らず、淡々と理性的に対応し、多くの住民を味方につけてトラブルメーカーを孤立させる。そうすれば、本人が自ら自分の勝手な思い込みに気づき、自然と解決することが多い、ということでした。

また、相手に自分の意見を受け入れてもらうには、相手の立場を認め、なぜ、反対するかを聞いて、相手の状況を認め、自分の利益を説明し、共に納得できる解決策を尋ねる。決して感情的になることなく、私メッセージ(私は、こう感じている)を伝えていくことで、しっかりと話し合いをしていくことが大切である、ということでした。

合意形成には、「気づくこと」が大事である、と教えてもらったセミナーでした。よいコミュニケーションをしていくには、話し相手ではなく、まず、無意識な態度や表情で相手にメッセージを伝えている自分や、自分自身の思いこみや物差しを持っていることに気づくこと。また、トラブルメーカーへの対応も「みんなのため」「自分だけが正しい」という勝手な思いこみに気付いてもらうことです。そういう気づきがあれば、合意形成への道は見えてくるのではないかと思いました。よいコミュニケーションは、団体の合意形成だけでなく、人間関係を円滑にするエッセンスでもあります。今後、仕事や生活の場面でも大いに参考にしていただけるセミナーでした。

 

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フリーセミナー終了のお知らせ

2011-05-19 21:42:55 | フリーセミナー

フリーセミナー終了のお知らせ

 

フリーセミナーは5月17日の第92回をもちまして終了させていただきました。今まで、ご参加された方には、深く感謝申し上げます。

 

このフリーセミナーは集改センター発足当時より、会員同士が学び合う内部セミナーとして、8月を除いて毎月開催されてきました。最初は、4~5人の有志が建築会館のラウンジに集まって、セミナーというよりも自由に忌憚のない意見交換をする会として開催されていました。それが、月日を追うごとに参加する会員も増え、しだいに外部の人や通信会員である管理組合の方も多く参加をしていただけるセミナーにまで成長いたしました。

 

そこで、より多くの方に参加していただける外部向けセミナーと集改センター会員のスキルアップを図るセミナーとに分けることにいたしました。前者はセミナー事業部、後者は品質推進事業部が担当することとなります。

 

セミナー事業部では、外部向けセミナーを「新時代のマンションセミナー&相談会」という名称で、年2回行います。セミナーだけでなく個別相談会も同時開催をいたします。今年の第1回目は下記をご参照ください。第2回目は2月11日に行う予定にしております。

 

日時:9月10日(土曜日)午後1時半~4時半

場所:OMM(大阪マーチャンダイズ・マート)京阪天満橋駅下車すぐ

大規模改修工事と管理規約改正についての講演と個別相談会を実施いたします。

 

相談会は、①大規模改修②管理と運営③保険④法律⑤会計の5つの相談コーナーを設ける予定です。

 

引き続き、管理組合役員さんをはじめ、多くの方のご参加をお待ちしています。

 

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第92回フリーセミナー 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」

2011-04-21 10:45:38 | フリーセミナー

 NPO 集改センター恒例のフリーセミナーのご案内です。フリーセミナーはこの92回をもっていったん終了となります。

 今後は「新時代のマンションセミナー&相談会」を年2回開催をいたします。 そのご案内は後日詳細をお知らせいたします。

 最後のフリーセミナーです。皆さん、ご参加のほど、よろしくお願いいたします。


 第92回フリーセミナー 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」
 開催日時    : 2011年(平成23年)5月17日午後3:00~5:00
 開催場所    : 大阪建築会館 3階
 テ ーマ    : 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」
 講 師    : 横山由紀子 オフィスSRC主宰 コミュニケーション・サポータ―


 〈セミナーのテーマ〉
 このセミナーの目標は、意見の相違を肯定的に受け入れる考え方に気付くこと、 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」 マンションにおける合意形成に役立つコミュニケーション・スキルを取得する、 という2点です。合意形成をするには、まずは自分の意見をうまく説明して、いかに相手を説得して合意するか、とついつい自分の主張のことばかりに目がいきがちです。しかし、それでは合意形成はできない、と横山氏は考えています。

学校や地域等の研修会で多く人を対象にコミュニケーションのあり方を講演してきた横山氏に、今回は、マンション管理組合の理事会を想定してセミナーをしていただきます。

 〈セミナー概要〉
 1.あなたは、理想的な「話し合い」のイメージをもっていますか。
 2.意見が対立したときの行動パターンって知っていますか。
 3.自分と違う意見の上手な受け止め方ってあるんですよ。
 4.実際の管理組合の合意形成の問題点は何だと思いますか。
 5.相手が受け止めやすい伝え方のテクニックをお教えします。

 このセミナーでは、講師の話を聞くだけではなく、実際にグループになって 「考え方の違いの重要性を確認するゲーム」や、「意見が対した場合の行動パターン選び」等、ご自身で体験していただく機会を設けております。また、「モンスター」管理組合員を住民の一言が鎮めた『戦わずして勝つ』という事例もご紹介します。管理組合にはもちろんのこと、管理組合をクライアントとするコンサルタントの方、また、会社内外でのコミュニケーションにも役に立つヒント満載のセミナーです。
 ぜひ、皆さん、お誘い合わせの上、お越しください。

                記
 開催日時    : 2011年(平成23年)5月17日午後3:00~5:00
 開催場所    : 大阪建築会館 3階
 テ ーマ    : 「合意形成がスムーズに進むコミュニケーション」
 講 師    : 横山由紀子 オフィスSRC主宰 コミュニケーション・サポータ-
 参 加 費   : 会 員1000円、 非会員2000円
 申 込み    :5月16日(月)までに電話・FAX・メールでお申込みください。
 申込先 : 電 話(06)6943-8383
  FAX(06)6943-8382
 メール osaka★shukai.or.jp(@に変換してください)

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フリーセミナー「マンションを管理で評価する新たな取り組みについて」

2011-03-07 21:35:59 | フリーセミナー

 NPO 集改センターの第90回フリーセミナーのご案内をお届けけします。

 【テ ー マ】マンションを管理で評価する新たな取り組みについて
 【講 師】大島 祥子    NPO法人 京都マンション管理評価機構/ 一級建築士/技術士(建設部門)
 【開催日時】 2011年(平成23年)3月15日(火)午後3:00~5:00
 【会 場】 : 大阪建築会館3階(会議室)

 昔から「マンションは管理を買え」といわれています。しかしマンション購入や賃借を希望する人がマンション管理に関する情報を知ることは大変に難しいという現状があります。大島さんは、 「よりよい管理を行うマンションが増加することが魅力的なマンションストックの増加に繋がる」というコンセプトの基に「NPO法人 京都マンション管理評価機構」で活動されています。

 「ストック」を大切にする京都ならではの発想から、京都マンション管理評価機構では、「管理組合の応援団」としてマンションの管理に関する情報を評価し発信する全国初の試みをスタートさせています。具体的には、管理組合の努力を積極的に評価し、住宅を探す人に対して、自身の生活スタイルにフィットした住環境かどうかを判断する他の材料(例:自治活動状況などの情報) と共に提供する活動をされています。人口減少&少子高齢化時代であってもマンションは増え続けています。マンションストックが供給過剰に陥ると、既存マンションの高齢化、賃貸化、空室化などの問題が顕著化します。

こうしたリスクを回避するための1つのアプローチを事例発表していただくことは、これからの管理組合の大きなヒントとなる ことでしょう。皆様のご参加をお待ちしております。

 【セミナー概要】
 ・ マンションを取り巻く背景
 ・「マンションの管理を評価することとは?」
 ・「NPO法人京都マンション管理評価機構の取組」
 ・「マンションが創る新しい未来」

 【申込み】3月14日(月)までに電話・FAX・メールでお申込みください。
 【参加費】 会 員1000円、 非会員2000円

 申込先 : 電 話(06)6943-8383
  FAX(06)6943-8382
 メール osaka★shukai.or.jp(@に変換してください)

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フリーセミナー「ここが盲点!マンション防犯対策 ~防犯基礎知識と考え方~」

2010-12-01 13:58:07 | フリーセミナー

 NPO 集改センター恒例の第87回フリーセミナーのご案内です。

 開催日時    : 2010年(平成22年)12月14日午後3:00~5:00
 開催場所    : 大阪建築会館 3階
 テーマ     : 「ここが盲点!マンション防犯対策 ~防犯基礎知識と考え方~」
 講師       : 平野富義 NPO法人 大阪府防犯設備士協会 理事長 総合防犯設備士

 防犯設備士は、防犯設備機器についての普及、運用に関する正しい知識、そして技能を有する専門家の資格で、昨今の防犯意識の向上によって、その役割が重要視されています。講師の平野さんは、その上級資格で、合格者が300名程度しかいない「総合防犯設備士」の第1号資格者です。今回のフリーセミナーは、そんな平野さんに防犯設備のパイオニアとして、マンションの防犯対策についてお話いただきます。

 玄関錠やサッシ錠、面格子、防犯ガラス、オートロック、防犯カメラ、センサーライト、忍び返し・・・防犯のための設備は数多くの種類があります。

 今回、平野さんには、「どんな性能の設備なら安心できるか?」だけではなく、「安心の基準とは何か?「」安心基準の根拠は何か?」「防犯設計の考え方は?」といったテーマを取り上げていただきます。そして防犯対策と相反する要素がある防災対策とのバランスをどう考えていくか?についてのお考えもうかがいたいと思います。

 防犯対策には多額の費用をかけて行う方法もありますが、本セミナーでは、管理組合やマンション住民が、低額な金額で(時には0円で)防犯対策に絶大な効果をもたらす方法もご伝授いただきます。

 また、「大阪府防犯モデルマンション登録制度」についてもご紹介していただきます。この制度は防犯対策だけに留まらず、新築マンションでは売れ行きを左右する要素の1つになっているそうです。既存マンションの二極化が進む中、管理組合がこの制度を知り検討することは必要なことで、今回のセミナーでは外せない話題になりそうです。(注:大阪府以外の都道府県も同様の登録制度あり)


 なお当日は、犯罪手口のシミュレーションとして撮影された「ドア錠の開錠」や「面格子の取り外し」ビデオも上映していただきます。これらは、犯罪者に手口を紹介することになるので門外不出のビデオですが、今回特別に上映していただくことになりました。堅牢に見える錠や面格子が短時間で突破される様子は、必見です。

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フリーセミナー「判例から考える騒音問題/滞納水道料金の承継問題/複合用途型マンション問題」

2010-11-26 16:33:16 | フリーセミナー

 NPO 集改センターの第86回フリーセミナー報告が届きました。

 開催日     :       2010年(平成22年)11月16日(火)15:00~17:00
 開催場所    :       大阪建築会館 3階(会議室)
 参加者     :       23名
 テーマ :      「判例から考える騒音問題/滞納水道料金の承継問題/複合用途型マンション問題」
 講師              :       九鬼 正光 正会員 弁護士

 (セミナー内容報告)

 最初のテーマである騒音問題では、先生が担当された3つの事例をあげられ、裁判で争点となる受忍限度論に中味を絞って詳しく解説していただきました。困難な問題とされる騒音トラブルの受忍限度は、裁判所が①建物の遮音性能、②受音の音圧レベル(dB)が受忍限度を超える数値(=50~60dB)、③音の発生源の内容(=マナーとLL軽量衝撃音・LH重量衝撃音など)と受音側との関係、などによって判断する、と解りやすく解説していただきました。また、留意点として、騒音問題は原則として個人対個人の問題であるけれど管理組合対個人の問題となりがちであり、当事者は誰と誰なのかをまず確定することが大切、とお話されました。


 次のテーマは、滞納水道料金を特定承継人に請求できるか?という実務でもありがちな問題について、大阪高等裁判所平成20年4月16日の判例を基に解説していただきました。理論的道筋を示しながら、ていねいに解説いただきました、これまでのもやもやした疑問が一気に解決したと感じられた受講者も多かったのではないでしょうか。これらの理論的道筋については、民法における債権の効力や、区分所有法30条(規約事項)などを含めて理論的に説明していただきました。そのポイントは、水道使用料債権が区分所有法第7条の「管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権」に該当するか?しないか?ということで、 いずれにしても水道料金徴収が規約に定まっていることが前提条件だということでした。

 先生は、大阪高等裁判所が採用した理論的構造を以下のように解説されました。
 1)水道料金は、専有部分で消費したもので共用部分の管理とは直接関係がなく、区分所有者全体に影響を及ぼすものといえない事柄であるから、特段の事情のない限り、規約で定めうる債権の範囲に含まれないと解すべき。


2) 水道使用料金が一括払いでしか処理できないマンションでは、水道料金に係る立替払いとそれから生じた債権の請求は、各専有部分に設置された設備を維持、使用するためのライフラインの確保のための必要不可欠の行為であり、当該措置は建物の管理又は使用に関する事項として区分所有者全体に影響を及ぼすということができる。

3)(2)の理由から)1)における特段の事情はある、というべきで、規約事項とすることに妨げはなく、管理組合が有する区分所有者に対する債権であると解する。


4) ただし、水道局が各戸に直接請求できるインフラが整っている地域のマンションに特段の事情があると認められるかどうかは極めて疑問。

 最後の複合用途型マンションについては時間の関係で十分なお話を聞くことができませんでした。ただし、先生がお考えになっている複合用途型問題点は日本マンション学会の学会誌(30号)にほぼ網羅されていると紹介いただきました。(ご興味のある方はご確認ください)なお、先生には次の機会に本問題についても詳しくお話いただきたいと思います。

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フリーセミナー「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」

2010-10-30 15:30:53 | フリーセミナー

10月19日に行われたNPO 集改センターのフリーセミナー「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」の報告が届きましたので、お伝えいたします。

第85回フリーセミナー報告
開催日     :       2010年(平成22年)10月19日(火)15:00~17:00
開催場所  :       大阪建築会館 3階(会議室)
テーマ      :       「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」
講師        :       長田 康夫   (財) マンション管理センター大阪支部長

(セミナー内容報告)
今回のセミナーは、大阪市後援事業として(財) マンション管理センターにご協力いただき、同センターの長田康夫大阪支部長に講師をお願いいたしました。テーマは「最近の相談事例とマンション管理の基礎知識」で、毎日寄せられた数多くの相談から、興味深い23例をご解説いただきました。

同センターを訪れる相談者は、役員に就任されて間もない役員さんや管理組合のことをよく知らない方が多く、相談の多くには基礎的な知識や認識不足、誤解が見受けられるようです。今回取り上げられた相談例には、「管理員は違法駐車の取締りができるか?」、「規約に大規模工事の実施は特別決議と記されているが普通決議でできるか?」、「新任理事として理事会で改善提案をしたら、古参の理事から『発言するな!』と怒鳴られた」など、生々しい質問が多く見受けられました。

これらの質問に対する回答は、法律などだけに留まらず、管理組合に必要な広い視野から対応されており、とても参考になりました。

そして、回答に共通する基本思想が見えたことも印象的でした。
例えば、講師の長田さんは、「ぎりぎりの過半数可決では実施に問題がある。少なくとも7~8割の賛成はあるべきで、そのためには、総会の前に広報、アンケート、説明会の開催などの手段を使って、充分な合意形成を図るプロセスこそが重要だと思う。そうした上で、総会が“シャンシャン総会”で終わることが望ましい」と話されました。

マンションは同じ屋根の下に暮らすという環境にあることから、トラブルが発生してから対処するよりも、発生しないような取り組み、環境整備が重要となる、という観点から「過去の理事長や理事会を非難しても管理組合が混乱するだけ、過去は過去のこととして純粋にリセットし、未来のための検討や活動をすることが大切」と話されました。

そして、標準管理規約の話題では、平成16年に改正・挿入された「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」の重要性を力説されていました。また、規約の位置づけについて、別段の定めができる項目、できない項目を具体的に比較して話されました。

両者の比較では、区分所有法と異なる定めができない事項は10項目程度しかないのに対し、別段の定めができる事項は36項目もあります。これを踏まえ長田さんは、規約は管理組合の最高意思決定機関である総会の場で全区分所有者が公平に決める自主規範であり、自主・公平をできる限り尊重することが区分所有法の根底にある考え方だ、と解説されました。

長田さんのお話を聴いていると、管理組合は①建物の維持管理だけでなく、②生活管理、③運営管理、なども自主・公平という考え方を基本に運営されていく必要があり、そこから初めてマンション全体の安心・安全な居住環境が実現されていく、と思いました。また、自主規範と成文ルール一辺倒ではなく、共通の利益の上に立った適正化に向かって一緒になって活動する柔軟な意識が大切になりそうだ、と実感しました。

最後に、本年5月の「マンション適正化法」改正に伴う施行規則の改正などもお話しいただき、今回のフリーセミナーは終了いたしました。

 

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フリーセミナー「判例から考える 騒音問題/滞納水道料金の滞納承継問題」

2010-10-24 23:54:49 | フリーセミナー

NPO 集改センター恒例の第85回のフリーセミナーのご案内をいたします。

開催日 : 2010年(平成22年)11月16日午後3:00~5:00

開催場所: 大阪建築会館3階(会議室)
テーマ : 「判例から考える 騒音問題/滞納水道料金の滞納承継問題
/複合用途型マンション問題」

講 師 : 九鬼正光 正会員 弁護士


九鬼先生は、庶民派の弁護士として管理組合の問題に数多く係わってこられました。今回は、そんな九鬼先生に3つのテーマ(=①騒音問題 ②滞納水道料金の滞納承継問題 ③複合用途型マンション問題)に
ついてお話しいただきます。

①騒音問題

標準管理規約の第67条には、「……共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は理事会の決議を経て……必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる」と規定されています。騒音問題は大きな問題ですが、管理組合として取り上げにくい問題でもあります。騒音問題は上下階の住民間トラブルの場合が多くマンション全体の共同生活の秩序を乱す行為と認定しにくい問題だからです。
また、他の違反行為(例:違法駐車、ペット飼育、バルコニー用法、私物放置など)と違って明確に違反認定できない難しさもあります。そうした中で、どんな判例が出ているのか? 管理組合としてどう対応すべきか、といったお話をしていただきます。

②滞納水道料金の滞納承継問題

滞納問題は管理組合の大きな問題の1つですが、滞納の内訳はさまざまです。
例えば、管理費や修繕積立金、専用使用料、そして水道使用料などがあります。
滞納は管理組合にとって「債権」となりますが、実はその内訳によって債権としての性格が異なっています。その特徴を知って債務者に請求することが管理組合には必要です。「水道料金は専有部で消費したもので次の区分所有者(特定承継人)には請求できない」という判例に対し、では水道料金の徴収を規約や集会決議で定めている場合は請求できる、できない? 先生の見解が楽しみです。

③複合用途型マンション問題

駅前開発など、官民挙げて建設された複合用途型マンションには多くの問題があります。地権者(市町村の場合)やその他さまざまなで複雑な利権が交錯しており、さまざまな問題を内包しています。九鬼先生は以前の超高層マンション問題がテーマだった時、「天下茶屋と芦屋が1つの建物に居るのだから……」とお話しされました。そんな先生が、この問題に対して、どんな話をされるのか?
今から興味津々です。 皆さまのご参加をお待ちしております。

*~セミナー事業部~*

開催日 : 2010年(平成22年)11月16日午後3:00~5:00

開催場所: 大阪建築会館3階(会議室)
テーマ : 「判例から考える 騒音問題/滞納水道料金の滞納承継問題
/複合用途型マンション問題」

講 師 : 九鬼正光 正会員 弁護士

参 加 費 : 会 員1000円、 非会員2000円

申込み :11月12日(金)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。

申込先 : 電 話(06)6943-8383 
 FAX(06)6943-8382
メール osaka★shukai.or.jp(@に変換してください)

 

 

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フリーセミナー「マンション管理センターに寄せられる相談事例」

2010-10-07 10:33:36 | フリーセミナー

NPO集改センター恒例のフリーセミナーのご案内です。

 今回のフリーセミナーは、管理組合などの支援のために国土交通省から「マンション管理適正化推進センター」に指定されている「財団法人マンション管理センター」大阪支部長の長田康夫さんにお願いしております。

(財)マンション管理センターには、管理組合の役員などから数多くの相談が寄せられています。中には「理事長を解任したいが、どうすれば良いか?」などといった生々しい相談もあるようです。

 今回のフリーセミナーは、そんな長田先生が受けられた相談の中から幾つかをピックアップして、回答とともに具体的な事例として披露していただきます。これら事例は、他のマンションの課題解決のヒントになる可能性もあります。本セミナーをケーススタディとしてご活用いただけたらと思います。

 また、本テーマの話題だけでなく、昨今のマンション管理組合について自由なディスカッションができたらと思っております。
ふるってご参加ください。

 

           記

開催日 : 2010年(平成22年)10月19日

開催場所: 大阪建築会館3階(会議室)
テーマ : 「マンション管理センターに寄せられる相談事例
  ~マンション管理組合の基礎について~ 」

講    師  : 長田 康夫 (財)マンション管理センター 大阪支部長
後    援 : 大阪市
参 加 費 : 会 員1000円、 非会員2000円

申込み :10月15日(金)迄に電話・FAX・メールでお申込みください。

<お願い>フリーセミナーは予約制です。
申込み締め切り後の急な参加も歓迎いたしますが、必ず事務局まで電話で連絡願います。
事務局不在のときはFAXかメールをお願いします。

 

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フリーセミナー「コンサルタントによる工事監理の実践」

2010-10-04 11:10:27 | フリーセミナー

NPO集改センターで開かれた第84回のフリーセミナーの報告をいたします。

開催日 : 2010年(平成22年)9月21日(火)15:00~17:00
開催場所 : 大阪建築会館 3階(会議室)
参加者 : 21名
テーマ  : 「コンサルタントによる工事監理の実践」
講師  : 谷守 正康(たにもり まさやす) 
集改センター 神戸事業所長
品質推進事業部長 一級建築士
(セミナー内容報告)
今回のセミナー内容は、大規模工事設計コンサルのセミナーによくある総論的な話ではなく、ディテールにこだわった極めて中味の充実したセミナーでした。
公共工事にもたくさん関わって来られた講師ならではの極めて緻密な実務実践をも取り入れ、工事監理の何たるかをお話ししていただきました。公共工事の工事監理の進め方がマンションの修繕工事の工事監理に極めて参考になるという意味は、税金を使う公共工事においては、結果の妥当性よりも手続き的適正性のための客観性が必要となる。それと同様に、マンションにおいても様々な区分所有者の集合体としての管理組合において、一部の人の利益に傾いてはならないと同時に同じく手続き的な客観性を重要視すべき点では大いに参考にすべきであると感じました。

 また、新築工事と改修工事の工事監理の大きな違いは、改修工事では、前者と異なり、既存の建物として想定できない不備、難しさがあり、設計監理者には建物の特徴を見抜く力、新築と異なる総合能力が必要となり、とりわけ居住しながらの修繕工事ということで正にコンサルには新築工事とは異なったコミュニケーション能力が求められます。

姉歯事件以降、国交省は一連の様々な改善策を打ち出してきましたが、工事監理に関しては未だ充分とはいえず、修繕工事を万全に遂行するための工事監理に必要なものとは、意匠専門のコンサルは構造・設備の専門家と協働すべきである、と力説されていたことが印象的でした。つまり構造・設備に関してもかなりの専門性がなければ、安心・安全な工事監理ができるとはいえないのではないかということでした。

谷守氏は意匠関係を主とした一級建築士であるため、構造・設備面では充分な絶対的自信はないことをあえて告白され、実務の世界において他のコンサルはあまりこのことを口にしないのであって、かえって構造・設備においても十分な実力をお持ちであると同時に工事監理に関して真摯な態度が感じられ、すべからくコンサルはこのような方であって欲しいと願いました。

また、工事監理の進め方においても、講師のこれまでの豊富な経験から工事監理作業の進め方についても具体的な例を元に、監理打ち合わせ記録、監理記録一覧表、のみならず施工図・承諾書等検査記録一覧表のサンプルをも提示しながら、最後は、管理組合宛の大規模修繕工事だより(広報誌)の作成にいたるまで、きわめて実務実践に基づいた解説をされ、単に参考になるという域を超えた、工事監理のバックヤードを見せていただいたような丁寧なお話しをしていただきました。

以上のような実務実践の他、設計・施工分離の意義から住生活基本法や建築基本法など、これからの住宅ストックの在り方に至るまで広い視野に立ったこれからの工事監理の重要性をもお話しいただき、すばらしいセミナーであったと感じました。最後に監理に関する社会的認識の温度差もあり、充実した監理ができるほどの費用をかけた管理組合はそれ程多くないことも危惧されておりました。すべてのお話を伺った後のこのような講師の実感吐露については、なる程という思いをもたれた受講者も少なくなかったのではないでしょうか。

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大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良を中心に広島、山口、北九州、福岡でも大規模修繕工事、マンション管理運営をサポートする専門家集団
NPO法人 集改センター
マンションなんでも相談は こちら

 


 

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