なあむ

やどかり和尚の考えたこと

サンサンラジオ183 最後の文化祭

2018年11月04日 05時00分00秒 | サンサンラジオ
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三ちゃんの、サンデーサンサンラジオ!

今週もはじまりましたサンデーサンサンラジオ、第183回。
お相手は、いつもの三ちゃんこと三部和尚です。

11月4日、日曜日。

今日からミャンマー難民キャンプに行ってきます。
と言っても行くのはミャンマーではなくタイです。
難民というのは、何らかの理由で国を追われ、あるいは逃げて国境を越えた人のことを言います。
故郷を追われ国内にとどまっている人は避難民と呼んで区別します。
難民は、逃げた先の国と国連が保護することになっています。
今回行くのは、ミャンマーの東側国境を越えたタイ側に点在する難民キャンプです。

ミャンマーは多民族国家で、細かく分けると135の民族がいます。
それぞれに居住地域があり言語があり文化があります。
長い歴史の中で、今の中国やタイ、インド、イギリスなどの侵略や統治によってさまざまに国の形が変わり、争いを続けてきました。
イギリス統治の時代には、カレン族などの山岳民族にキリスト教への改宗をさせて軍と警察の実権を与え、インド人には金融、華僑には商売を任せ、ビルマ民族を最下層に位置付けました。
その反発からイギリスからの独立運動が起こり、日本軍の影響、共産主義の台頭など、内紛や内戦を繰り返し軍事政権が成立していくことになります。
民族間の対立と過去の恩讐から、独立を目指す少数民族と政府軍との内戦が長く続き、迫害を受けたカレン族などが国境を越えてタイ側に逃れました、それが今回行くミャンマー難民であり、そのキャンプです。
今問題になっているロヒンギャについては、もっと複雑な歴史と状況がありますのでここでは触れないでおきます。
ミャンマーからタイ側へ難民が逃れ始めたのはもう40年以上も前のことで、国連が難民キャンプを作って保護を始めたのは34年前の1984年から。
現在9つのキャンプに10万人の難民が暮らしています。

シャンティ国際ボランティア会では、2000年からこの地域の支援を開始し、現在各キャンプに全部で21の図書館をつくって運営を続けています。
生まれてから一度もキャンプの外に出たことのない子どもや人々にとって図書館は「ここだけが世界と繋がれる場所」となっています。
そして、10年前から「難民子ども文化祭」を開催してきました。
今回文化祭が行われるのはヌポキャンプで、約1万人が暮らし、カレン、ビルマ、アカ、チン、シャンなどの民族が混在しています。
同じキャンプの中に暮らしながら、なかなか交わることのない民族どうし。
その子どもたちが、それぞれの民族の伝統音楽や踊りを披露しあうのです。
互いの文化を知り、違いを認め合うことで更に自らの文化に目覚め誇りを持つはずです。
自らのアイデンティティとしての文化をしっかり持っていれば、今後どこへ行こうと、どんな環境で暮らそうと、自信をもって生きていけるに違いありません。
特に今回は最後の文化祭となります。

2015年に行われた総選挙によってアウンサンスーチーさんが率いるNLDが勝利し、内戦の停戦が実現したため、ミャンマーと国連とタイの話し合いで難民帰還が決まりました。
かといって、すぐさま全難民の帰還が実施されるわけではないのですが、国連の支援が縮小され当会の事業費も削減となり、今回が最後の文化祭となったのです。
ということで、「最後の文化祭に来てくれませんか」という現地スタッフの声に誘われ行くことにしました。
11月6日は、キャンプ内の子どもたち約140名が一堂に会し、今後の行く末に不安をいだきながらも思う存分それぞれの文化を披露してくれるはずです。
楽しみに行ってきます。

今週はここまで。また来週お立ち寄りください。