詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

感染者2割 振興5か国?

2020-06-09 09:07:57 | 自民党憲法改正草案を読む
感染者2割 振興5か国?
       自民党憲法改正草案を読む/番外361(情報の読み方)

 2020年06月09日の読売新聞(西部版・14版)の一面。コロナ後の世界経済成長のことが書いてある。

世界成長 戦後最悪/世銀20年予測 新興国 初マイナス

 それを受けて、

感染者2割 振興5か国

 という見出し。これ、どういうこと?
 記事に、こうある。

世界の累計感染者数が日本時間の8日、700万人を超えた。このうち、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの振興5か国(BRICS)の感染者数は8日夜現在、155万人となり、世界全体の約2割を占めている。

 「事実」どおりである。しかし、「事実」は他にもある。記事の文末に、こうある。

国別では、米国が194万人と最も多い。

 そして、この米国の「194万人」は振興5か国の「155万人」よりも多い。米国は28%近くを占める。さらに、いわゆる「先進国」を足していくとどうなるか。端数を切り捨てるが、10万人を超える国だけでも、イギリス28万人、スペイン24万、イタリア23万人、ドイツ18万人、フランス15万人あり、その総数は302万人。割合で言うと43%、4割を超える。端数を切り捨てているから実際はもっと多い。カナダ、ベルギー、オランダ、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国、日本を加えるともっと多くなる。
 なぜ、「振興5か国」を見出しに取ったのか。
 世界経済成長が「振興5か国」頼みだからか。「振興5か国」では感染がまだまだ拡大しているからだろうか。
 理由はわからないが、私は、この見出しの取り方、記事の書き方には、何か狙いがあるのだと思う。
 簡単に言えば、「先進国(日本を含む)」の感染症対策の失敗(拡大を防げなかったこと)を、「新興国」に押しつけているのだ。世界経済が失速するのも「先進国(日本を含む)」のせいではなく、「振興5か国」のせいなのだ、と言いたいのだ。
 「振興5か国」のなかの中国は、世銀予測では唯一プラス成長である。「1・5%」、インドは「マイナス3・2%」。「振興・途上国」全体では「マイナス2・5%」。これは「先進国(全体)」の「マイナス7・0%」に比べるとはるかに小さい。
 どう読み直してみても、「感染者2割 振興5か国」の意味がわからない。
 目先を「振興5か国」にそらすだけのために書いているとしか思えない。

 何から、目をそらさせようとしているのか。

 日本は、何が好影響をあたえているのかわからないが「感染者数」は少ない。感染者は少ないが、世銀予測では、経済成長率は「マイナス6・1%」。感染者の多いアメリカ「マイナス6・1%」、ユーロ圏「9・1%」と大きな差がない。とくにアメリカと比べると、同じである。
 これは、逆に読めば、日本の経済政策はすでに失敗していると世銀が「読んでいる」ことを証明していないか。日本は感染者数が少ないにもかかわらず、経済成長が不可能なのだ。
 ほんとうに分析しなくてはならないのは、この世銀の「日本の予測」についてなのに、そこから目をそらさせようとしている。
 記事には、

4月に発令された緊急事態宣言や、東京五輪・パラリンピック延期の影響で、大幅な景気後退になると想定した。

 と書いてあるが、ユーロ圏やアメリカの「ロックダウン」の方が日本より規模が大きい。それなのに日本の方が「緊急事態宣言」の影響が大きいのはどういうわけだろう。アメリカやユーロ圏は、そもそもオリンピックなどあてにしていない。日本だけがオリンピックがないことで経済成長できないとしたら、どこに問題があるのか。

 ここに問題がある。
 読売新聞の記事を「好意的」に読めば、読売新聞は安倍の経済対策の失敗を「暗示」的に指摘していることになる。「悪意的(?)」に読めば、安倍の失敗を隠すために「新興国」を利用していることになる。










#検察庁法改正に反対 #安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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