詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

斎藤茂吉『万葉秀歌』(17)

2022-12-17 20:30:02 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(17)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
          
矢釣山木立も見えず降り乱る雪に驟く朝たぬしも             柿本人麿

 雪を描写する「矢釣山木立も見えず降り乱る」が、とてもいい。山はかすかに見えるが木立は見えない。雪が降り乱れる。もっと激しくなると、山も見えない。雪だけが見える。そのなかで馬に乗って走る。私は馬に乗ったことがないが、楽しいだろうなあ、と思う。「うくつくあしたたぬしも」は、肉体が熱くなるような響きを持った音である。馬の体と、乗っている人間の体が一体になって熱くなる感じ。

もののふの八十うぢ河の網代木にいさよふ波のゆくへ知らずも       柿本人麿

 音がとてもまっすぐ。現代短歌にはない響きだなあ、と思う。「矢釣山木立も見えず降り乱る」と違って、何も描写していないような前半部分がおもしろい。「八十うぢ河」は固有名詞なのかもしれないが、「矢釣山」のような存在感(?)が感じられない。焦点が「網代木」へとすっと移っていく。それもおもしろいと思う。「の」の繰り返しが効果的なのかな?

 

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(16)

2022-11-29 22:16:39 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(16)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
          
否といへど強ふる志斐のが強ひがたりこの頃聞かずてわれ恋ひにけり    持統天皇

否といへど語れ語れと詔らせこそ志斐いは奏せ強語りと詔る         志斐嫗

 この軽いやりとりは楽しい。音の繰り返しが効果的だ。いかにも、「軽く」やりとしているという感じがする。万葉の音はのびやかだが、こういうやりとりのなかにも、そののびやかさが生きている。「意味」があるというよりも、「音」がある。「音」を楽しむ余裕がある。

玉藻かる敏馬を過ぎて夏草の野島の崎に船ちかづきぬ            柿本人麿

 「枕詞」というのは、最初は「意味」があったのだと思う。柿本人麿がこの歌を詠んだときも「意味」はあっただろうか。今の私には「音」しか、わからない。つまり、そのとき「音」は、「無意味」である。これが、いいなあ、と思う。
 「枕詞」だから、持統天皇と志斐嫗の掛け合いの「音」とは違うのだが、「無意味」であることよって、軽く、伸びやかになっている。と、「枕詞」の「意味」を知らない私は感じる。船がすいすい進んでいる様子が目に浮かび、妙に楽しい。「枕詞」の無意味さが船の進み具合を加速する。

 

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(15)

2022-11-18 21:52:22 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(15)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

零る雪はあはにな降りそ吉隠の猪養の岡の塞なさまくに          穂積皇子

 読み方も、歌の意味もいろいろあるらしい。そういうことを無視して、私の感想を書けば、「零る雪はあはにな降りそ」までは、なめらかに発音できる。ところが「吉隠の猪養の岡の塞なさまくに」が非常に難しい。「よなばりの・ゐがひのをかの・せきなさまくに」は知らない国のことばのように響く。「の」の繰り返しがリズムをつくるのだが、私の耳には定着しない。万葉のひとは、きっと私の発音する「音」とは違う音で発音していたのだろうと思う。
 私は、富山の生まれなので「ゆき」のアクセント(高い部分)は「ゆ」にある。そうすると「き」は、多くの人が発音する「き」の音よりはるかに弱い。「い」の量が半分以下かもしれない。その「き」が「せき」の「き」に重なる感じで、「せき」も「せ」にアクセントを置いて読んでしまうことも関係するかもしれない。
 そして、その違いを感じながら(感じるからか)、昔のひとは強い声を持っていたなあと思うのである。とくに「せきなさまくに」の「な」「ま」「に」の音に拮抗する強さで読んだんだろうなあと感じ、それを実際に聞いてみたい気持ちになる。

楽浪の志我津の子らが罷道の川瀬の道をみればさぶしも          柿本人麿

鴨山の磐根し纏ける吾をかも知らにと妹が待ちつつあらむ         柿本人麿

 こういう悲しい歌も、なぜか、消えていく音ではなく、前に出てくる音だなあと感じる。引いていく音というか「弱音」がない。なんというか、こういう音を聞くと、返事をしないといけない気持ちになる。「聞こえなかった」と言えない「声」なのである。一生懸命の声と言えばいいのか。

 

 

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(14)

2022-11-11 22:19:08 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(14)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと云はなくに     大来皇女

 「云はなくに」は、現代語ではなんというのだろうか。茂吉は、ひとは「言わぬ」という具合に書いているが、最後の「に」がとても静かに余韻がある。「君が生きているとひとは言わないけれど」というよりも「君は生きていないとひとは言うけれど」という感じがする。「否定」のことばが、直前の動詞に結びつくのではなく、直前の動詞を飛び越してつながる。そして、その形を要求しているのが「死」のタブーなのだろう。死ということばをつかいたくない。生きているということばをつかいたい。その意識の交錯が、こういう表現を生んでいるのだと思う。「意味」は同じだが、言い方が違う。そうして、その「言い方」こそが詩なのだ。

あかねさす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の隠らく惜しも       柿本人麿

 なぜ「あかねさす日は照らせれど」と言ったのか。茂吉は「言葉のいきおい」と書いている。これは、とてもおもしろい批評だと思う。実際に短歌を書いていなと「いきおい」という動きは思いつかないかもしれない。そして、そのことばを思いついたら、ほかのことは考えられなくなるかもしれない。こういう変な感情というか、意識の動きが「文学(のことば)」のおもしろさだと思う。茂吉は、歌調が「渾沌として深い」とも書いているが、「渾沌」は矛盾に通じる。「あかねさす日は照らせれど」は、私のことばでは「矛盾」だが、それがことばの世界を強くしている。ことばを日常の世界から独立させている。ことばの世界を「詩」にしている。
 ふたつの歌に「……ど」ということばがつかわれているが、「……ど」と言ったとき、何かがこころのなかで入れ代わるのだと思う。いわゆる「逆接」。それが、弁証法で言う「止揚」を促していると感じる。

 

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(13)

2022-11-05 23:14:42 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(13)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらば亦かへり見む           有馬皇子

家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る          有馬皇子

 音がとても静かで、ゆるぎがない。万葉の歌は、読んだとき「口腔」を刺戟してくる音が多いのだが、この二首にはそういう感じがない。非常に引き締まった感じがある。
 茂吉は「写実の妙諦」と端的に批評している。

青旗の木幡の上を通ふとは目には見れども直に逢はむかも         倭姫皇后

 「直に」ということばが強くていいなあ。有馬皇子の二首にあったのも、この「直」という感覚だ。余分なものがない。
 倭姫皇后の「直に」は「一対一で」という印象を引き起こす。余分なものはない。妙な言い方だが、あやふやな「感情」というものがない。こう言っていいのかどうかわからないが、セックスするということと「直に」結びついた感じ。これが、いいなあ、と思う。古今集になると、セックスするにも、なにやら面倒くさい「前技(歌のやりとり)」なんかが必要。万葉も歌のやりとりをしているが、複雑な感情というよりも、早くセックスしたいという欲望のストレートさがあって、感情に汚れていない。
 「直に」とは、そういうことだと思う。つまり、「感情に汚れていない」、言い直すと、他人に(第三者に)、感情を見せようとはしていない。相手に欲望さえつたわればいい、という実に正直な感じ。本能、という感じ。

 


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斎藤茂吉『万葉秀歌』(12)

2022-11-03 17:07:04 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(12)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

石見のや高角山の木の間よりわが振る袖を妹見つらむか          柿本人麿

 茂吉は「角の里から山までは距離があるから、実際は妻が見なかったかも知れないが、心の自然なあらわれとして歌っている」と書いている。この「心の自然なあらわれ」というのが、いいなあ。何か、ほれぼれとする批評。
 山から里はよく見える。しかし里から山はよく見えない。というか、木がいっぱいで、木の間なんて見えない。たとえ見晴らしのいいところから袖を振ったって、あそから手を振るとでも先にいっておかないかぎり、見えない。でも、人麿は袖を振っている。自分から里が見えるのだから、里から自分が見える、と錯覚する。この錯覚が、そうなんだなあ「心の自然なあらわれ」というものなんだなあ。
 私は、ちょっとしつこく書いてしまったが、この山と里の関係は、街中の暮らしではなかなかわからない。山の中をいつも歩いている、という自然があってこそのものだなあ、と思う。
 私は山の中で幼い時代を過ごしたので、この感覚の「自然」な動きが、とても気に入っている。山の上からは、なんでも見えるね。友だちの家、畑で働いてる両親、牛小屋でモーッと鳴いた牛、柿の木に立てかけた自転車……。
 現実よりも、「心の自然なあらわれ」という点では、次の歌もそうだなあ。

青駒の足掻を速み雲居にぞ妹があたりを過ぎに来にける          柿本人麿

 「空」を見て、あの「空の下に妻の家がある」という感覚。これは山から里を見下ろすのではなく、見えない「山の向こうの里」を思い浮かべるときの感覚。空を見て、あの空の下に……と思う気持ち。前の歌と重ねあわせると、妻も空を見て、あの空の下辺りにと思っているかも、という具合に、感じてしまう。

 

 


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斎藤茂吉『万葉秀歌』(11)

2022-11-01 22:12:29 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(1 1 )(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

吾はもや安見児得たり皆人の得がてにすとふ安見児得たり         藤原鎌足

 万葉ならではの、真っ直ぐな喜び。「安見児得たり」を繰り返している。「やったあ」ではなく「やった、やった」というはしゃぎ方。こういう表現は、とても難しい。まねしようとすると、それが「技巧」になってしまう。

わが里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくは後           天武天皇

 なんでもないあいさつのような歌だが、私はとても好きだ。たぶん、私が雪国生まれだからかもしれない。桜が咲いたとか、柿が実ったとかではなく、「雪が降った」は、なぜか、人に知らせたくなる。「降る」が「古り」のなかにもあるのがおもしろいし、「大雪」「大原」「里」の繰り返しと、同じ音が交錯するのもいいなあ。ほかに「に」も。いろいろな形の雪が、つぎつぎに振ってくる感じがする。不思議な華やぎ(雪が降って、うれしい)がある。

あしひきの山の雫に妹待つとわれ立ちぬれぬ山の雫に           大津皇子

 「山の雫に」が繰り返されている。なんだか、服を通り越して肌まで濡れる感じがする。茂吉は「こういう簡単な表現はいざ実行しようとするとそう容易にはいかない」と書いている。つまり、まねをすると「技巧」になってしまい、こころが動かない。自然に言ってしまった、ことばになってしまった、という深みがなるなる。

 

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(10)

2022-10-31 18:56:23 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(10)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

み吉野の山のあらしの寒けくにはたや今夜も我がひとり寝む        作者不詳

 いろいろなことを言っていない。欲張っていない。それが美しい。そのなかにあって「我がひとり寝む」の「我が」が印象的。「我が」はなくても意味は同じだが、「我が」があることで「ひとり」が強調される。

うらさぶる情さまねしひさかたの天の時雨の流らふ見れば          長田王

 「み吉野の」に雰囲気が似ている。とても素朴。いまの「短歌」はいろいろなことを一首にこめすぎているかもしれない。

秋山の樹の下がくり逝く水の吾こそ益さめ御思よりは            鏡王女

 結句に「御思よりは」と出てくるが、これは主語ではない。主語は「吾が思ひ」。でも「思ひ」を隠して「吾」とだけ言っている。隠されていた「思ひ」が結句で重なり合う感じが、ひそかでいいなあ。隠れていたものが、すーっとあわれてきて、寄り添う感じ。「樹の下がくり」とは、そういうことか、と納得する。

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(9)

2022-10-30 17:03:55 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(9)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

引馬野ににほふ榛原いり乱り衣にほはせ旅のしるしに            長奥麿

 「榛原」は「萩原」(萩が咲き誇っている原)と茂吉は書いている。一方で「榛の木原」という説も紹介している。
 私はこの歌を読んだとき、私の故郷の小学生が作った自由律の俳句を思い出した。正確ではないが「山から帰った父 服が木の匂いする」というものである。同級生の父の、谷内茂という教師が俳句教育に熱心で、小学生に教えていた。何かの機会に、その句集のようなものを読んだのだが、忘れられない。山には山の、つまり木には木のにおいがある。それは服にしみつく。万葉の作者は、自分でにおいをしみこませているのだが、小学生の父はそういうことをしているわけではない。子どもが山のにおいに気がついた。そこには、なんともいえない、父親への愛情のようなものがある。父のことをいつも見ている視線がある。目だけではなく、全身で父をつかみとっている。それに感心した。
 万葉の歌は「にほふ」「にほはせ」と繰り返している。万葉には、こういう繰り返しが多いが、それが自然でとてもいいなあ、と感じる。「は行」の音の、不思議な透明感がにおいを明るくしている。

あられうつ安良礼松原住吉の弟日娘と見れど飽きかぬかも          長皇子

 「あられ」「安良礼」の繰り返しが、とてもおもしろい。「あられうつ」は造語と茂吉は書いている。日本語は、繰り返しが好きなのだと思う。音を繰り返すと「響き」が肉体に残る。「弟日娘(をとひをとめ)」も音が響きあう。

大和には鳴きてか来らむ呼子鳥象の中山呼びぞ越ゆなる          高市黒人

 「鳴きてか来らむ」と「中山」に、「鳴く/鳴かない」の交錯を感じるのは私だろうか。「鳴かない」という錯覚を起こす音があるからこそ「鳴く(鳴きてか来らむ)」の鳴くという動詞が非常に印象に残る。「呼子鳥」と「呼びぞ越ゆ」にも、不思議な呼応がある。万葉の人は、「耳(音)」でことばを動かしていたんだなあ、としきりに思う。

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(8)

2022-10-29 14:42:55 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(8)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

吾背子はいづく行くらむ奥つ藻の名張の山を今日か越ゆらむ       当麻麿の妻

 この歌にも「らむ・らむ」。とても軽快。「奥つ藻のは名張へかかる枕詞」と茂吉は書いている。枕詞には、つぎのことばを呼び出す力がある。(私は「奥つ藻の」と聞いても、名張を思い浮かべないが。)つまり、ここでは、ことばが自然な形で加速していると考えていい。それが「らむ・らむ」をいっそう軽快にしているだろう。今の私が感じる以上に。

ひむがしの野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ    柿本人麻呂

 「ひむがしの野にかぎろひの」は「ひむがしの野に・かぎろひの」と「句割れ」であると茂吉は指摘している。そうなのだろうけれど、「ひむがしの・野にかぎろひの」と読むと、「ひむがしの」で視線が東へ向く感じがする。その視線の先に「野」のひろがりがあり、「かぎろひ」があり、さらに「月」がある。
 視線が動いていく感じがひろびろとしていていいなあ、と思う。

日並の皇子の尊の馬並めて御猟立たしし時は来向ふ           柿本人麻呂

 万葉の人が現代人と同じ発音をしていたわけではないと思うが、万葉の「ま行」「な行」は、私にはとても美しく聞こえる。聞こえるというか、むしろ、声に出したくなる音といえばいいかもしれない。前半「み」の音が繰り返される。「み」のなかには「い」の音が含まれる。それが後半に増えてくる。この「い」の音も、きっと現代と違うだろうなあ。あいまいな「い」ではなく、唇を横に強く引いて、鋭い「い」。英語で言えば「it」の「い」ではなく、「eat 」の「い」。それが「時は来向ふ」の「き」、特に「来向ふ」の「き」を際立たせるように感じる。

 


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斎藤茂吉『万葉秀歌』(7)

2022-10-28 15:49:36 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(7)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

ささなみの志賀の辛崎幸くあれど大宮人の船待ちかねつ         柿本人麻呂

 三句目、字余りなのに、字余りの感じがしない。「しがのからさき、さきくあれど」と「さき」が繰り返され、早口ことばかしり取りのようにのように「さき」の音がのみこまれていく。音の加速は、「ささなみ」の「さ」の重なりからはじまり、「さき・さき」で頂点に達するが、その加速する音を「ど」という濁音でおさえる感じもいいなあ。

山川もよりて奉ふる神ながらたぎつ河内に船出するかも         柿本人麻呂

 「か」の音が美しい。途中「が行」鼻濁音が、その音に陰影を与える。

英虞の浦に船乗りすらむをとめ等が珠裳の裾に潮満つらむか       柿本人麻呂

 「らむ・らむ」。よく読むと「らむ・ら・らむ」。いまなら「らん・ららん」という感じかなあ。音が弾む。「をとめ」の明るさが目に浮かぶ。最後の「か」は推測や疑問の「か」なんだろうけれど、「潮満つらむ」で終わると「む」の音が重い。「か」という音で解放されるところが、「ラン・ララン」の響きを引き立てている。
 私は、あえて「らん・ららん」と読んだけれど……万葉の「ま行」「な行」の音は、深く強く響いてくる。ゆったりしていて、豊かで、同時に、非常になめらかだ。私たちとは違う発音をしていたのかなあ。

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(6)

2022-10-27 13:55:40 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(6)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

河上の五百箇磐群に草むさず常にもがもな常処女にて           吹黄刀自

 「常にもがもな」という音は「早口ことば」のようなおもしろさがある。全体に「な行」「ま行」が揺れる。
 茂吉は結句の「にて」を繰り返して味わうべきと書いている。倒置法が「にて」のあとの「省略」に、いっそう余韻を与えているということか。

春過ぎて夏来るらし白妙の衣ほしたり天の香具山             持統天皇

 いくつかの「読み方」があるらしいが、この読み方がいちばん明るい感じがする。「来るらし」「ほしたり」と二回切れるが、「天の香具山」でさらに念押しの、三回目の「切れ」がある。それが不思議とリズミカル。
 「来るらし」でいったん切れるからこそ「白」が目立つ。さらに「ほしたり」で切れからこそ「天の香具山」が引き立つ。
 この「切れ」の効果は、ピーポー、ピーポー注意してください、こっち見てね、次に大事なことばが来ますよ、というようなものかもしれない。
 「野守は見ずや/君が袖振る」「常にもがもな/常処女にて」の倒置法も、次に来ることばが大事ですよ、注意して聞いてください、という効果がある。万葉のひとは、リズムの変化でこれを実現する。とても耳がよかったのだろうと思う。きっと声もすばらしかったに違いない、と私は想像する。

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(5)

2022-10-26 14:57:35 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(5)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る            額田王

 「見ずや」と反語の問いがあって、そのあとで「君が袖振る」と終わる。この感じがとても自然に感じるのは「野」の音が三回繰り返されて、(「行き」も二回繰り返されて)、スピードにのって、先に問いを言ってしまったという印象があるからだろうか。ことばが先走りする。ここに「激情」がある。「激情」なのだけれど、その象徴的行為の「君が袖振る」でおさえると、それが「激情」の爆発のなかから飛び出した「結晶」のように見えて、わーっ、かっこいい、と叫んでしまう。「君が袖振る」姿が目に飛び込んでくる。まるで、「私の恋人を、見て見て」と額田王が自慢しているようにも見える。「見ずや」と書いてるが、心配などしていないことがわかる。
 茂吉は、このことばの運動を「立体的波動的」と書いている。

紫草のにほへる妹を憎くあらば人嬬ゆゑにあれ恋ひめやも         天武天皇

 この相聞歌は、かっこいいなあ。「紫野」「紫草」の呼応にはじまり、「見ずや」の反問に「恋ひめやも」と、これも反問的に答えている。じっくりというか、どっしりと構えて、恋に答えている。
 「人嬬ゆゑに」もいいなあ。人妻だからこそ。他人の意見など気にしていない。自分の気持ちを言うだけ。純粋だ。村上春樹の『1Q84』には、「十歳年上の人妻とのセックスは、どこにも行きようがないぶん気楽であり、その内容は充実していた」という文章があるが、その「人妻」とのセックスとは、なんという違いだろう。「気楽」はことばとは裏腹に、人の目を意識している。自分の責任を放棄している。
 この違いは、単に「時代の違い」ではないように思う。茂吉は、天武天皇の歌を「心の集中と純粋」と書いた上で「万葉集中の傑作の一つ」と言っている。


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斎藤茂吉『万葉秀歌』(4)

2022-10-25 10:50:13 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

斎藤茂吉『万葉秀歌』(4)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

 

 

香具山と耳梨山の会ひしとき立ちて見に来し印南国原          天智天皇

 「立ちて見に来し」と呼びかけられたのは「阿菩大神」だと茂吉は書いている。しかし、そのことばは歌のなかにはない。だから、私は、私に対して「立ちて見に来し」と呼びかけられたような気持ちになり、ちょっとこころが浮き立つ。それは「香具山と耳梨山」がけんかしたとき(戦争したとき)という「神話」でしかありえない世界に立ち会うおもしろさに通じるし、「立ちて見に来し」という動詞の「立ちて」が、山が「立って」(立ち上がって)戦争をしたと錯覚させるのも、とてもおもしろい。

渡津海の豊旗雲に入日さし今夜の月夜清明けくこそ           天智天皇

 声に出して読むと、とても読みやすい。茂吉は「入日さし」のあとに「小休止」があると書いている。なるほどなあ。茂吉は声に出して読んでいたんだなあ、と思う。実際に声に出さずとも、読むときに発声器官が動く。それをきちんと言語化できる。
 私は同時に「今夜」と「月夜」の重なりがおもしろいと思う。意味的には「入日さし」(夕方、まだ明るい)「今夜」(暗い)「月夜」(月に焦点が当たっている、明るい)と明暗の変化がある。夜が暗いからこそ、月が明るい。この変化がおもしろい。その転換点というか「夜」の文字の重なりで強調される。(原文も「夜」を重ねているかどうか、私は知らない。)
 それに、なんといっても。
 まだ日が沈まないうちに、夕日の明るさがあるうちに、満月(?)の明るさを想像するというのは、ものすごいことだなあ、と思う。夕景色をながめながら、それを超えて「宇宙」が広がる。いや、「時間」が広がる。「超(メタ)時間」と言ってもいいかなあ。とても「現代人」には持つことのできない「絶対的」な時間感覚だなあ、とも思う。
 「かっこいい」と思う。
 「歌」がかっこいいのか、歌をつらぬく「時間感覚」がかっこいいのか。これは、聞いている人に意味を考えさせないくらいの「大声」で読んでみたい歌だなあ。聞いているひとは「今の声は大きかったなあ」とだけ感じてしまう。歌の意味は忘れる。そういう感じがいいだろうなあ。

 

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斎藤茂吉『万葉秀歌』(3)

2022-10-23 09:16:15 | 斎藤茂吉・万葉秀歌

 

 

 

斎藤茂吉『万葉秀歌』(3)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)

吾背子は仮盧作らす草なくば小松が下の草を苅らさね           中皇命

 「草」は「かや」。「か」の音の繰り返し。「か」に似ているが少し違う「が」の響きが「吾背子は」と「小松が下の」にあらわれる。そして、後者の「が」のすぐ上には鼻音の「ま」があって、この部分の流動的な響きがとても印象に残る。きのう読んだ「厳橿がもと」の響きに似ている。もしかすると「響き」よりも、それを発するときの口腔内の舌の動き、息の動きが快感なのかもしれない。キスの舌の動きではないけれど、何か、「粘膜」というか、肉体の快感、官能を刺戟してくるものがある。

吾が欲りし野島は見せつ底ふかき阿胡根の浦の珠ぞ拾はぬ         中皇命

 「底ふかき」でトーンが変わる。「野島」は海に浮かんでいる。海上から海底へ、「底ふかき」ということばで一気に視点を転換させる。このスピードがとてもおもしろい。また、茂吉が書いているように(私の読み違いか)、「吾が欲りし」の、本当に欲していること、こころの底に隠している欲望が「底」ということばで暗示されているようでおもしろい。
 茂吉の「末世人が舌不足と難ずる如き渋みと厚みがあって、軽薄ならざるところに古調の尊さが存じている」という評に、私は傍線を残している。


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