江東区図書館生活

本棚の本をずいぶん少なくすることができました。

先を読む頭脳 (新潮文庫) [文庫] 羽生 善治 (著), 松原 仁 (著), 伊藤 毅志 (著)

2011-10-19 06:17:19 | ★★★☆☆おもしろかった
先を読む頭脳 (新潮文庫) [文庫]
羽生 善治 (著), 松原 仁 (著), 伊藤 毅志 (著)



場所:江東区図書館

羽生VS人工知能研究者&認知科学研究者。
読み物としてなかなか面白かった。

師匠が弟子に稽古をつけるのは入門のときの一局だけ。
二局目は、見込みが無いからこれを指して田舎に帰れという破門のとき。

羽生さんの考えでは、将棋というゲームは、一手指すごとがプラスに働くことは非常に少ない。
指さないですむならば指さないほうが良かったというマイナスの手のほうが、実際には圧倒的に多い。
だから逆転が頻繁に起こる。
自分がマイナスの手を指して、相手がプラスの手を指したらあっという間に差が詰まる。
ベストな状態からどうさしてもマイナスになるという局面があり、指す手に困る。
ルール上は動かすことが出来る駒はたくさんあるけれど、動かすとマイナスになるので動かさないほうがいいという駒がだんだん多くなる。
だから、いい形を作り上げることを目指すのは重要だけど、有効に動かすことが出来る駒を数多く残しておくこともまた重要。
これ、なんとなくわかる。
最近息子と将棋をやっていると、どれも動かしたくないなぁとふと思う瞬間がある。
思い込みかもしれないけれども。

自分は選択の幅を残しながら、相手の手は限定されるように指す。
ゲームが進むに連れて最終的に相手には戦略的に有効なてがないという場面を作る。
これが理想的な指し方。
積極的な手を指さないで、相手に手を渡していく。
自分の力だけでは技をかけることが非常に難しいゲーム。
相手の力を使って技をかけないと投げることができない。

一旦不利になったらどんなに自分が頑張っても、相手に一番いい手を指し続けられれば勝てない。
相手が次善手を指してくれても追いつけないという形勢は、基本的に追いつけない差。
野球で言うと4対0ぐらい。

チェスは戦いが長手数になるとその分持ち時間が増える。
将棋も百手超えたら十分プラスとかあるとまた違う形になる。

オセロや碁は必ず収束にむかうので時間の使い方で戦略が立てやすい。
将棋は必ずしも収束に向かわないので、今時間を使って考えるべきか、将来に考える時間を残すかの見極めが難しい。

先手が有利に見えるが、そうでもない。
後手には千日手に持ち込むことができる。
チェスは先手がかなり有利、あるレベル以上では、先手が勝ちに来ないと後手は勝てない。
チェスの先手が勝ちにくれば、後手にはカウンターパンチを入れるチャンスができる。
チェスの先手が引き分けで良しとなれば後手は勝てない。

将棋の国際化、柔道のようにルールや駒も変わる?
ヨーロッパでは金将のかわりにG。

チェスは基本的に引き分けになることが前提。
勝ちに行くなら何か無理なことをするか、新しいアイデアを加えて強気に行くかしないとだめ。
カスパロフは勝ちにいって負けることもあるが、トータルで勝っているからチャンピオンだった。


コメントを投稿