旭山動物園の奇跡 (単行本)
SPA!編集部 (編集)
場所:江東区図書館
昭和42年7月1日開園。
円山動物園、おびひろ動物園に続いて道内3番目。
半年間雪に覆われる。
平成13年から11月~3月当期開園(11~14時)。
冬は-30度以下、夏は35度以上、寒暖差最大70度。
市営なので職員は公務員、市役所に採用されてから配属される人も。
最初はド素人集団、飼育の専門家などおらず。
動物の担当は自ら応募、複数者で担当、基本的に担当の動物の全責任を負う。
自由であるが故の責任、プロ意識。
50年代、客は純減、大型遊具でテコ入れするも客足が回復するのは一時的。
動物の珍しさがうすれる、他のレジャーも増加、動物園冬の時代。
議会にも金食い虫扱いされる。
リカバリー策を小菅さん中心に飼育係で模索。
月1回の勉強会⇒月2回⇒毎週⇒毎日。
三つの戦略。
・市民を味方に
・マスコミを味方に
・飼育係が打って出る
⇒ワンポイントガイド
通常は飼育係は飼育を、説明は学芸員か園長。
S61年開始、雨だろうがなんだろうが必ず続けることを飼育係同士で約束、一度休むと何かと理由をつけて休んでしまうことを危惧。
ただし、即効性はない、客足は伸びない。
満足度は回復しているとの自信、屁理屈?
看板は全て手書き、毎日更新。
H4年40万を割る、35.9万人。
動物園の存在意義とは?根源的な疑問を語り合う。
予算はつかない、菅野園長は次世代のメンバに動物園の将来像をまとめよと。
奇跡を起した14枚のスケッチ。
ほんとはもっとたくさん描いた?
予算度外視、あるべき姿を純粋に見える化。
動物のすばらしさを伝えその価値を共有し野生動物の保護を訴えかける。
それができるのが唯一動物園、動物園の存在理由。
それをベースに、動物がいかに快適に幸せに暮らせるか、その生き生きとした姿をいかにお客さんに見てもらうかを具体化、スケッチ。
H5年9月エキノコックス発症、隠さずに公表。
マスコミの誤解、風評被害で客は激減、途中閉園。
菅野園長が退職、小菅園長へ。
H6年30万を割り28.4万人。
あべさん絵本作家へ、小菅園長は送り出す時に3つの約束。
・有名になって講演会に呼ばれたら最低10回は旭山動物園と叫ぶ
・プロフィールには元旭山動物園飼育係と入れる
・小菅園長が頼む仕事は断らない
H7年28.2万人。
H8年26万人。
旭川市長交代、バブル崩壊でレジャー施設の誘致は困難、旭山動物園の再整備へ。
市長に呼ばれた小菅園長、スケッチを携え必死の説明。
H9年創立30周年、予算1億円、16年ぶりの予算獲得。
努力は報われないかもしれない。しかし、努力しなければ、絶対に何も生まれない。
こども牧場、ととりの村。
ととりの村、行動展示の原点、巨大な鳥かご、そこに人が入る。
いつでも飛んで逃げられるという安心感、人が近づいても逃げない鳥。
繁殖も盛んに。
年間パスポート導入、2回通えば元が取れる、リピーター増。
H9年前年比4.5万人増、30万人台回復、快進撃の始まり。
H10年、もうじゅう館、予算6億円、新設施設。
猫科の猛獣は昼寝ていてつまらない、寝ているライオンやヒョウをいかにおもしろく見せるか。
高い位置にいるのが安心するヒョウを下から見る。
お客さんをねこじゃらしにするライオン。
環境エンリッチメント、動物が本来もっている行動や生態を飼育環境下でも正しく整えられるよう、自然な飼育環境を再整備する取り組み。
H10年35.2万人。
H11年サル山新設、従来のすり鉢構造ではなく、木の上にいるサルを見上げる自然な形態。
H11年42.1万人。
マインドの変化、市も急増する客数に手ごたえ、さらに投資。
H12年ぺんぎん館。
従来はお客の見やすさで横長のプール、ペンギンが泳ぎやすい形とは?ペンギンは水の中を飛ぶ鳥、プールの中に水中トンネル、そこから飛び回るペンギンを見る。
施工に難あり、責任問題、動物園がとることで解決、通常の公共工事では考えられないこと。
H12年、50万人突破。
H13年、オランウータン空中運動場、17メートル高にはられたロープをわたるオランウータンを下から見上げる。
ロープの下には安全策なし、オランウータンは決して落ちないという確信。
H14年、ほっきょくぐま館、水族館にはできないことをやる。
くまからみてお客は自ら頭を出すアザラシ、それをめがけてプールに飛び込むほっきょくぐま。
H15年、新設施設なし、投資無しでも客はくるか?82.3万人、過去最高の伸び。
旭川市人口36万人、周辺をあわせて50万人、通常立地する年の周辺人口が年間入場してくれればできすぎ。
H16年、アザラシ館、マリンウェイ、円柱の水槽。
珍しい動物ではなく、あえて地元ではあたり前にみられるアザラシを見せることに意義。
H16年、オランウータンの室内展示施設も。
H16年7月8月上野動物園を抜く、9月100万人突破。
100Kmルール、動物園には100Km圏内からしかこない、全国からやってくる旭山動物園。
H16年140万人。
客だけでなく、動物園関係者、レジャー施設関係者の視察の連日。
マネされてもいい、ハードだけまねしても、ソフトまでは無理との自信。
飼育員、やったモン勝ちの文化、上司の許可を取らずにやる、責任は取る、園長に迷惑をかけられないというプレッシャー、放任主義。