シノワレコード

女性Vo60sサイケガレージ的Indiepopバンド"シノワ/shinowa"のGtヒラタによる色々レビュー&世間の話題

マイブラに行ってきました。

2013年02月15日 | indiepop90's
実はこっそり2/6のマイブラ大阪公演に行ってきた。
マイブラは高校時代の宝島の洋楽ページなんかで当時初来日公演があったのは知ってたが、高校時代から60s至上主義だった自分がマイブラを本当に聴くようになったのは20才くらいのころ。
ちょうど94~96年くらいはいわゆるシューゲイザーがすっかり定着して、そういうバンドも多かった。
自分らも60年代のポップスやサイケ、これも当時流行ってたソフトロック的なものにそういうガーッとしたアプローチを加えていたので、もちろんマイブラの影響はモロに受けてる感じだ。

当時は「ライドっぽく」というと、ヒリヒリしたギャーッという歪みを加えること、「マイブラっぽく」というと、ライドよりはパンチの効いたゴォーッという歪みにアームを足すことだった笑。
でも、ささやき系の女性ボーカルでそういうことをやったりするとあからさまにマイブラのパクリということで嘲笑の的でもあったので、みんなそのへんは巧妙に隠してたような気がする。

さて、そのシューゲイザーが花盛りし頃、クリエイションが倒産しかけたというラブレスの製作神話なんかもあって、マイブラの新譜はみんなの共通の話題だった。
マイブラの各メンバーのサイドワークなんかも追ったりしていたが、アイランドレコードと契約したとか、次作はドラムンベースになるとかいろいろ言われていた。
でもなんとなくみんなもう「出ないだろう」という空気が漂っていたので、いつのまにか新作のことはだれも考えなくなり、それよりも未発表曲とかリマスターとかそっちの方に関心が向くようになった。

ようやく2012年にマイブラのリマスターや未発表曲が本当に出て、それだけでも信じられなかったが、2013年の新譜はいまだに本当なのか信じられない笑
賛否両論あるアルバムで、20年でこれかよという人もいるが、今回のリリース時に評論家筋が概ねマスタリングの問題に終始していたのは、バンドの曲が良いとか進化してるとかそういう次元で語ることにそう意味がないということだったのだろう。


で、肝心のライブだけど、本当に入場前に耳栓が配られた。結果自分は全然耳栓がなくても大丈夫だった。やっぱ日頃轟音に接してるからか?
というか、2/6の大阪のライブではそんなに耳栓をしている人は周りには少なかったように思うので、音が小さい日だったのかもしれない笑

まあ、20才そこらでマイブラに洗礼を受けた自分としては、今回の来日公演はビートルズやスモールフェイシズのライブに行くようなもので、まさか動くマイブラを見れるとは思わなかった。
そういう思いの人も多かったのか、一曲目の冒頭 I Only Said のイントロが流れた時はおおーっと一気に会場のテンションが上がったのがわかったし、あれは人生有数の感激だったと思う。

そもそもマイブラはライブで音源の再現は考えてないだろうし、多分マイブラの曲を知ってるか予習をしてないと全曲同じに聴こえただろうので、付き合いでライブに行った人は大変だっただろうな。
でもそのへんはバンドやスタッフはわかってるのか、不快と気持ちよさのギリギリのラインの歪みを見事に作っていて、最後の You Made Me Realise はウーハーでパルスっぽい低音を出してそれが体感されるようになってた。
ただ轟音を楽しむことがマイブラのライブということなんだろう。

今回のライブは、マイブラをテクスト的に聴くことができる20代くらいの世代には賛否両論だろうと思うけど、決定的に30後半から40代の宗教的に聴いてた人間との差を感じさせられた。
つまり、自分らは例えばビートルズやベルベッツは完全に後追い世代だが、リアルに同時期にそれを体験していた人とはやっぱり聴こえ方が違うんだろうなということが、今回の経験でようやく理解できた気がした。
世代と音楽文化ってのはこういうもんなんだろうと納得しながらも、遠目ではエレハモのマイク・マシューズに見えたり、ライブ中に数度も曲の出だしで曲を止めやり直しをしたケヴィン・シールズは「人間」だったんだなと、今までいい夢を見れてこれて良かったなあと感じた。

マイブラの音楽は、新譜からも感じさせられるようにもうこれで良いわけ、言うことは特にないわけで、音楽の内容というよりは、音源とライブの関係をどう考えるか、またどういう歪みをライブではつくるべきかというような方法論的な示唆を受ける方が多かった。
なんか、結局、新譜が評論家筋にはマスタリングの問題として捉えられたことと同様の部分に落ち着いてしまった。つまり、「音楽性」から「人間ケヴィン・シールズ」の方法論に関心が転回するのは、まあマイブラを愛した大人の行く先なのだろうなあ。
自分が大人なのかどうかは抜きにして。

ちなみにライブでは知人に数人遭遇しました。


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