シノワレコード

女性Vo60sサイケガレージ的Indiepopバンド"シノワ/shinowa"のGtヒラタによる色々レビュー&世間の話題

2005年シノワ再発アワードへの道 ~フィナーレ・アーニー伝説・・・・・

2005年12月31日 | 米サイケ・ガレージ
 さて、アーニーについてわかってきたことがだいぶあったので、箇条書きにて報告します。

・アーニーは、カリフォルニアサンタバーバラのローカルスターらしく、当地ではかなり有名な、サンタバーバラロックの生き証人のような人らしい。

・アーニーは、ジャイアントクラブ以前に「Ernie Joseph&Emperors」という名義で、1965年にリプライズから「Meet Me At The Corner/Got A Lot I Want To Say」というシングルを出している。またこのバンドのドラムはDOVERSというバンドを結成している。

・「Ernie Joseph&Emperors」では、なんと、サイコティックリアクションで有名なcount fiveと対バンをしている!

・ アーニーは、「Ernie Joseph&Emperors」のあと「Ernie's Funny's 」を結成し、1967年に「Thru' The Fields/Shimmey Like Kate(Yardbird 8004)」というシングルを出している。ビッグブラザー名義の『South East Tour』のアルバムに入っているハードロックぽくない曲は、実はこの曲である。なおこの曲はジャイアントクラブの1stにも収録されている。

・アーニーは、旧バンドの曲をバンド名を変えてもそのバンドの音源として使い回していることがあるようなので、それが錯綜してみんな混乱しているようだ。その混乱をさらにややこしくさせたのが、今回のアカルマの再発の編集の仕方である。

・ビッグブラザーの、coryもアーニーの兄弟らしい。ジャイアントクラブでは3兄弟でバンドをしているようだが、coryを加えると4人兄弟ということになる?

・アーニーは、ストロベリーアラームクロックにも参加したことがある(未確認情報だが、こう訳せる英文がある)?

・ジャイアントクラブのアルバムにはSACのメンバーや、Greg Munfordも一緒に手伝った?特にSACのギターのエド・キングがギターを弾いているとか?

・ ジャイアントクラブが解散したあと、アーニーはロスアンゼルスに移住し、そこでBigbrotherとして活動したとのこと。

・アーニーは、ビーチボーイズ、ジミーヘンドリクス、英国マージーグループ、Rascals、バニラファッジ、Three Dog Nightのファンだったらしい。

・ブログ第四章で紹介した謎の大群衆は、「Love Valley Music Festival」という実際にあったライブだったらしい。ビッグブラザーはそこに出演したが悪評だったらしい。そこにはオールマンブラザースが出演していたようだ。客は50,000以上いたらしい。

・アーニーは、フェスティバルの不評でへこんだのか、その後地元に帰ったようだ。

・アーニーは、SRS (Songwriters Recording Studio)というスタジオを設立したらしい。


 まあ、自分でも整理しきれていないので、また新事実がわかれば、このブログで随時お伝えします。
 知りたい人はあまりいないと思いますが、ここまで来たらもう意地だ。


アーニーフォーエバー!!!!

・・・・・・・・・・・・と思ったら、アーニーはまだバリバリの現役でした。

現在はbrian faith bandとして、なんと結婚式の余興のバンド活動などをしているみたいだ。

なななな・・・なんとアーニーが結婚式で歌ってくれるのだ((;゜Д゜)ガクガクブルブル

ボーカルには歌手/女優メイリアマティスという方が加わっているとのこと。

なお、懲りずにビッグブラザー名義でニューアルバムも出しているぞ!
今度、こんなに日本であなたのことを好きなバカ野郎がいますと、メールを送ってみようかと思っている。

アーニーへのメールはここだよー!

みなさま、よいお年を!来年もどうぞよろしく!

2005年シノワ再発アワードへの道 ~最終章・大賞発表!

2005年12月30日 | 米サイケ・ガレージ
 アーニーを捜索する旅も最終章をむかえた。

 ここでまだまだ調査としては不十分感は否めないが、捜索結果を緊急レポートしよう。

 アカルマからリリースの『An All American Emperor』、『confusion』、『South East Tour』のうち、当時正式にリリースされたのは『confusion』だけであり、他のアルバムは未発表やリリースされなかった音源をコンパイルしたものだ。

 このすべての音源は「ALL AMERICAN RECORDS」というレーベルからのもので、いわゆるカリフォルニアのインディーレーベルにあたるようだ。ここのオーナーはBILL HOLMESという人物で、なんとストロベリーアラームクロック(以下SACと略す)のマネージャーであり、ストロベリーアラームクロックの1st~3ndアルバムのプロデューサーである。

 SACの前身は「THEE SIXPENCE」というバンドであることはよく知られているが(こちらもアカルマから再発されてます)、このバンドのシングルは「ALL AMERICAN」からリリースされていた。
 SACの大ヒット曲「インセンス&ペパーミンツ」は、当初はTHEE SIXPENCE名義でALL AMERICANよりインディーリリースされた。それがラジオでローカル大ヒットしたので、メジャーのUNI RECORDSに目をつけられ(このレーベルもまたカリフォルニアにある)、バンド名をSTRAWBERRY ALARM CLOCKとし、音源はそのままにリリースされることとなったようだ。
 
 ジャイアントクラブの2nd『Cool It Helios』でSACの曲をバックにナレーションをしている人物、Johnny Fairchildは、地元ラジオ局のディスクジョッキーで、SACとジャイアントクラブを相当オンエアでひいきにしていた人物だと推測される。彼らが売れたのもこのJohnny Fairchildの功績が大きいようだ。
 SACの1stアルバムのジャケット裏には、彼の写真入りの推薦文がのせられている。

 そして、ジャイアントクラブ時代を含むアーニーの全音源は、このBILL HOLMESのプロデュースである。 
 プロデューサーも一緒なら、エンジニアも同じだ。
 エンジニアはPAUL BUFFという人物で、ザッパ人脈の人のようだ。リンクから是非に彼のHPをご覧ください。


 今回のアーニー追跡の旅の第四章で登場した「Greg Munford」という人物は、SACの「インセンス~」でメインボーカルをとっている人物なのだ。彼はSACのメンバーではないのだが、彼がSACのレコーディングに遊びに行った時、詳しい経緯は忘れたが、なぜか突如メインボーカルを歌うことにになってしまったという話を聞いたことがある。彼は『An All American Emperor』の音源に参加しているらしいという。
 彼は「CRYSTAL CIRCUS」というバンドを結成しているが、このバンドのアルバムはテストプレスのみで、サイケの超メガレア盤として伝説化していたようだ。なお「Indescribably Delicious」というバンドにも彼は加わっているが、これもALL AMERICANからのテストプレスのみらしい。彼は呪われてるのか?

 また、ALL AMERICANのBILL HOLMESプロデュースのバンドには「BIRMINGHAM SUNDAY」というのもあるが、これは数百枚くらいのリリースだったそうだ。
 これらALL AMERICANの「お蔵入り」を含むSAC兄弟音源をアカルマが再発してくれて、ALL AMERICAN音源のすごさがわかるようになった。上記バンドはすべて再発されてて、非常に素晴らしいアルバムばかりである。こういう音源の一つとして、今回のアーニーの一連の音源もリリースされたというわけだ。
 まさに伝説の名レーベルである。

 うちにSACのファンジンがあったので、読み返してみたら、SACのベースさんのインタビューのなかに、オールアメリカンのレーベルメイトで一番仲がよかったのは「GIANT CRAB」で、一緒にツアーで回っていたという記事を発見。この両者は同じオールアメリカンを母体にして、そしてメジャーレーベルUNIからアルバムリリースした仲間だったということですね。
 ストロベリーアラームクロックファンは、もう何が何でもジャイアントクラブを聞かないといけなくなりました。

 ジャイアントクラブの作曲陣であるが、こちらも調べてみると結構すごい。
 ブログ第一章でもお伝えしたが、chocolate watch bandのmisty laneを書いた、Martin Siegel、そして、クラシック畑だがポップ界にも曲を提供していたClaus Ogerman
そして、AMERICAN BREEDの「BEND ME SHAPE ME」の作者チームである「Larry Weiss-Scott English」などが曲を提供していることがわかった。
 これらは日本でいういわゆるソフトロック系の作曲陣だ。

 こんなアルバムがハズレなわけない。
 
 さて、そこで・・・・・・・

 このジャイアントクラブの1st『A Giant Crab Comes Forth』と2nd『Cool It Helios』ともに、めでたくこの2005年に再発されたというわけだ!
 スペインのマイナーレーベルからの再発なのであまり売ってないのだが、ディスクユニオンなら入手可能。

 完全な出来レースだったが、ここに2005年シノワ再発アワードの大賞を発表することにする。

 大賞は・・・・・・・・・・・「GIANTCRAB」!!!!!!!!
 オメデトチャ━━━━( ´∀`)━━━━ン!!!!

 1st『A Giant Crab Comes Forth』の8曲目に収録されている「I ENJOY BEING THE BOY」はドリーミーなポップサイケの本気で最高峰だ。永遠のフェイバリットソングとなった。

 今回の旅の始まりであった『ALL AMERICAN EMPEROR』の音源と、GIANTCRABの2nd『Cool It Helios』の音源ダブリについて、ギターソロを強調したミックスに変更されていたりまだ不明な点か多い。また改めて検討したい。

 なお、ジャイアントクラブのメンバーは
 Ernie Orosco(Vo&G)、Raymond Orosco、Ruben Orosco、Dennis Fricia、Kenny Friciaとなっている。
 名前からするにアーニーの兄弟が二人いるので、アーニー兄弟を中心としたバンドっぽい。
 このうちRubenはビッグブラザーのベースのルーベンジェッツのことだ。

(フィナーレに続く)

2005年シノワ再発アワードへの道 ~第六章・ついに巨大ガニを捕獲!

2005年12月29日 | 米サイケ・ガレージ
 そろそろ、アーニーの謎解きに迫る旅も佳境に迫ってまいりました。

 アカルマからの『An All American Emperor』、『confusion』、『South East Tour』の三枚。
 推測するに、ビッグブラザーがまずありきで、そのビッグブラザー前史コンピレーションとしての『An All American Emperor』となるのだろう。

 そして、『An All American Emperor』のコンピを編む際、「ジャケットになりそうな、彼に関する何か適当な写真はないか」ということで、アーニー本人が提出したのか、第三者が持っていたのかわからないが、こういうハードな肖像しかなかったということなのだろう。本人提出なら、お気に入りのワンショットだったということだろう。
 それにしても『An All American Emperor』での音とジャケの乖離具合は最高だが、これがセールスに悪い意味で響いたことは間違いないものと思われる。

 で、このような結論に至ってからのこの5~6年間、アーニーの『An All American Emperor』はかなりの頻度で聴いていたので、聴くたびに「もっとアーニーのことを知りたい!」とその思いは増すばかりだった。しかし、なかなか手がかりがなかった。
 この心の高ぶりは収束しないまま、2005年を迎えていた。

 2005年のある日、ふとアマゾンでサイケガイド本『ACID&FAZZ&FLOWERS』がかなり増補されたリニューアル版で出ていたことを知った。早速通販してみた(現在amazon.co.jpで¥5500くらい)。

 それまでの『ACID&FAZZ&FLOWERS』、そのサイケ抽出版ともいえる『THE FLASHBACK』では、アーニーのことはあまり詳しくなかったのだが、このリニューアル版には、飛躍的にアーニーの情報が詳しく載せられていた。間違いなくアカルマ再発のおかげだろう。
 そして、そこには愕の事実が付け加えられていたのだ。
 アーニーは「Giant Crab」というバンドをしていたらしい・・・・・・

 お・・・・・・・?


 ジャイアントクラブというのは、ストロベリーアラームクロックもそこからリリースしている「UNI RECORD」からLPを出しているアーチストだ。このレーベルはポップサイケなレコードラベルが特徴的で(上記ストロベリーアラームクロックのリンク先のページの下の方に写真がのってます)、ラベル通りのソフトなポップサイケ、ソウル、またはポップなロックをリリースしている名門レーベルだ。7インチを漁っていると、たまにこのレーベルのものがあり、見るとレーベル買いしてしまう。

「そういや、ジャイアントクラブのLP、確か家にあったような気がするな・・・・・・・・おおおおおおおお!あった!」

 おそらく10年くらい前に買ったまますっかり忘れていたレコードの一つだった。
 自分が持ってるのは、ジャイアントクラブのセカンドアルバム『Cool It... Helios』だ。

 曲目を見ると、なんと・・・・『An All American Emperor』とかなり曲がダブっている!!!
 聴いてみると、うわーっ・・・・これはやばい。ダブリの曲は『An All American Emperor』の音源と一緒やんけ!!

『An All American Emperor』
1 You Let Me Live
2 Mary Jane
3 I Guess I Never knew You
4 It's Getting Harder★
5 Popcorn Double Feature★
6 Who Can Teach A Song Bird How To Sing★
7 I Can't Help Being Yours
8 Cleo★
9 Welcome To The World★
10 What Became Of Yesterday's Hero★
11 I Can See Love
12 You Walked Into My Life

Giant Crab『Cool It Helios』
1 The Invasion Of Helios
2 Cool It
3 Hello Yesterday
4 Trust Somebody
5 Don't Make Me Leave You
6 What Became Of Yesterday's Hero★
7 Welcome To The World★
8 Help Yourself
9 It's Getting Harder★
10 Who Can Teach A Songbird How To Sing★
11 Everythig Comes Sooner Or Later
12 Cleo★
13 Don't Jump To Conclusions
14 Popcorn Double Feature★
15 Walking In Different Circles
16 I Don't Want To Live This Way

 この★印がいわゆるダブリである。実は★印のついていない『An All American Emperor』の曲は未発表曲扱いなのだ。
なるほど。徐々に詳細もあきらかになってきたようだ。

 ちなみに、『Cool It Heros』の一曲目、なんと「ストロベリーアラームクロック」の「Black Butter, Present」をバックに男性のナレーション流れてくる。

 このナレーションの男は Johnny fairchildというらしい。

 なお、上記掲載の写真は、ジャイアントクラブの1st『A Giant Crab Comes Forth』のジャケット裏である。
 ジャイアントクラブの1stのジャケットは表裏あわせて、間違いなくロック史上最高の「カニジャケ」である。

(最終章へ続く)

2005年シノワ再発アワードへの道 ~第五章・アーニーのおたけび

2005年12月28日 | 米サイケ・ガレージ
自称スーパーライブアルバム『SOUTH EAST TOUR』ジャケ裏写真より。
前回分の写真の切れている部分に載せられているものだ。

表情がとても(・∀・)イイ!
TMレボリューションよりもいい出来だ。

あたかも先述のスーパー群衆の前で行ったライブ写真のように感じさせられる。
しかし、前回分の右下にうつってるライブ写真とは、とりあえずギターはちがう。

まあ、すべてはほんまなんかもしれんし、そっとしておこうよ。

(続く)


2005年シノワ再発アワードへの道 ~第四章・謎の大観衆

2005年12月27日 | 米サイケ・ガレージ
 さあ、アーニー・ジョセフのアカルマからリリースされているもう一方のアルバムは『SOUTH EAST TOUR』である。
 ジャケット裏をみると、そこには、ウッドストックか?GLAYのコンサートか?・・・・何万人(?)もの大観衆の写真が載せられているのだ!
 そして、「そこで演奏している」というようにジャケットからは推測できる、アーニー・ジョセフの写真も載せられている。
 
 何かのスーパーロックフェスティバルに、アーニー・ジョセフが出演したライブ盤だと思った。このタイトルとこのジャケットからは誰もが当然そう思うだろう。

 だが・・・・・・内容は全然ライブちゃうやん。完全スタジオ録音。
 ややこしいアルバムやなー。

 そういえば、中学のころ「死ね死ね団」のアルバムに『LIVE AT BIG EGG』というのがあるのを知り「インディーで東京ドームでライブやってるなんて、すごいバンドに違いない」と、通販で購入して聴くまで騙されていたことがあった。あれ以来の出来事だ。

 ちなみに音の感じは『confusion』とほぼ変わりない。
 しかし明らかに異質な曲が二曲ある。だが、これはこの物語の核心に迫るところなので、後に詳述することとしよう。

 さて、このアルバムのスペシャルサンクスとして、実はある重要な人間の名が裏ジャケに記されている。
 「Greg Munford」
 この人物名だけでピンときたあなたは、かなりのsac通です・・・・・
 
 ちなみに、このアルバムでのアーチスト名は「Big Brother Ernie Joseph」となっている(前作では「Big Brother feat. Ernie Joseph」)。「内山田洋とクールファイブ」が、「クールファイブ内山田洋」に変わったようなもんなのだが、アーニーにとっては何か深い意味があったのかもしれない。

(続く)


2005年シノワ再発アワードへの道 ~第三章・鬼

2005年12月26日 | 米サイケ・ガレージ
 では、前回ブログのアルバム『CONFUSION』裏ジャケの、鬼の形相のアーニー・ジョセフを紹介しよう。

 まず、中央に大きくうつっているのがアーニー・ジョセフ(Leader of Group・Lead Vocals・Lead Rhythm-Bass Guitars and Harmonies)である。
 そして、左上は、RUBEN THE JET(Bass-Rhythm Guitars・Drums・Vibes・Saxophones and Harmonies)といい、ベーシストだ。
 左下はCORY COLT(Lead Rhythm-BassAcoustical Guitars・Organ and Harmonies)。基本はサイドギターであると思われる。
 右下はSTEVE D(Drums also Mouth Percussion and Vocal)。ドラマーである。
 ちなみに、メンバー名の後ろの括弧内に注目。マルチミュージシャン集団というべきか?器用貧乏の集団というべきか?
 ドラマーはマウスパーカッションをしてるようだが、どの部分が「それ」だったのかは一聴の限りではわからなかった。

 右上には「Hurdie Gurdie」という人物が写っている。この人物だけちょっと他メンバーとはその外見を異にしている(弱そう)。マネージャーかローディーか、もしくは友人だと思われる。とある情報によるとアーニージョセフを中心としたコミューンがあったそうだ。

 エンジニアはPall Buff 、プロデュースはBill Holmesだ。
 アレンジは、アーニーとルーベン、コリーの三人が行っているようだ。
 曲のクレジットにはこの3人にプロデューサーのビル・ホームズを加えた4人のものが多い。

 さて、アーニー・ジョセフの次のアルバムは『SOUTH EAST TOUR』である。

 (続く)

2005年シノワ再発アワードへの道 ~第二章・ビッグブラザー

2005年12月25日 | 米サイケ・ガレージ
 では、この心ときめくERNIE JOSEPHとはいったい何者なんだろうか?

 アカルマからはアーニー・ジョセフ関連の音源として「Big Brother feat. Ernie Joseph」という名義で、アルバム『CONFUSION』と『SOUTH EAST TOUR』の二枚がリリースされている。

 このアーニージョセフが率いる「Big Brother」であるが、ジャニスジョプリンの「BIG BROTHER&HOLDING COMPANY」とは全く関係ない。
 サイケガイドブックの定番『ACID&FAZZ&FLOWERS』には、「The outfit which recorded this strange,heavy album had no connection with Big Brother and Holding Company」と念入りである(笑)。

 では、『CONFUSION』を聴いてみる。

 まずはジャケット。サイケなアートワークでかっちょいいが、記されているサイケレタリングをよく見ると、上から順にビートルズ、ジェームス・ブラウン、フィフスディメンション、ボブ・ディラン、ストーンズ、ブラッド スウェット&ティアーズ、ママキャス、スリードッグナイト、ポール・ジョン・ジョージ・リンゴ、フー、ジミヘン、スティービー・ワンダー、ブラインド・フェイス、CCR、クリーム、オリバー、CS&N、ジャニス、ステッペン・ウルフ、ドアーズ、ツェッペリン・・・・・と書いてある。
 そして、まん中には人間が描かれている。これがアーニージョセフという設定なのだろう。この人間の横にまたサイケレタリングで「Loves You」と書いてある。
 
 おそらく、アーニージョセフが好きなアーチストをジャケットにつらつらと記したとものと思われる。
 一流バンドならこんなことはしないだろうに。ちょっと微妙なセンスといえるかもしれない。

 そして、裏ジャケを見てみる。鬼の形相のアーニー・ジョセフがいる。
 アーサーブラウンのファイアーみたいだ。
 他のメンバーもみな激しい。

 さて、曲を聴いてみる。
 まず1曲目。ユルいディープパープルみたいだ。ドラムがドタバタしてる。あまりキレ味のないHRという感じだ。

 そして2曲目。ニュアンスはハードだが、これは結構ポップでメランコリックな感じ。まずまずの佳曲である。
 実はこの2曲目「Wake Me Up In The Morning」はかなりネットで調べても評判が高いのだ。たしかにこれはいい曲。『ALL AMERICAN EMPEROR』的なセンスに近い。上記サイケガイドブックにも「ハードでないこの曲が一番いい」みたいに書いてある(ワラ) 

 あとは全編通じて素朴なハードロックって感じだ。

 前回CDの『All An American Emperor』のジャケットは、まさにこういうバンドのイメージである。
 とりあえずは、アーニー・ジョセフのbigbrother時代の写真をあのジャケには使ったのだろうことが安易に推測できた。

 クレジットを見ると、プロデューサーは「BILL HOLMES」とある。
 あ・・・・・・
 
 (続く)

2005年シノワ再発アワードへの道 ~第一章・謎の男

2005年12月24日 | 米サイケ・ガレージ
シノワレコードも年末を迎え、今年一年の総決算スペシャルメニューをお送りします
初の連載モノであります。気合い入ってます。こうご期待下さい。

 ERNIE JOSEPH 『AN ALL AMERICAN EMPEROR』
 これ以上の衝撃の音源は今後むずかしいかもしれない。そんな一枚だ。
 来客者に「何かおすすめのCDはないか」といわれると、自分は必ずこれをかけることにしている。

 今から6~7年前のことになるだろうか。大阪楠葉のダイエーのモールにあった「ワルツ堂」のバーゲン品で¥500くらいで売られていたブツである。
 このワルツ堂でバイヤーとして働いておられた方は妻の友人のご主人で、今まで出会った人のなかでは最高峰に尊敬すべきリスナーである。だからここの品揃えは、まったくダイエーの中にあるとは考えることのできない恐ろしいものだった。
 しかし残念ながらワルツ堂は今は閉店してしまった。自分の先日までのメインギターであるグレッチも京橋のダイエーモール内のワルツ堂で買ったものだったし・・・・・大阪は本当に大事なものを失ってしまった。

 このCDはイタリアのサイケ再発レーベルとして名高いす。
「AKARMA」レーベルのラインナップである。とりあえず、アカルマのブツが¥500というだけで普通は買いである(*現在、アカルマのHPはリンク切れです。ちょっと心配・・・)。
 さらにジャケットには崇高な鳥のようなフリンジシャツをまとい、黒のSGカスタムを持ち、するどい目元に天然ソバージュのようなロングヘヤーの男が一人。おそらくこのCDは、上手くいけばブルーチアー系のハードサイケ、悪くても70年代初頭のマイナーなハードがかったロックくらいだろうと、迷うことなく購入した。

 この時、併せて多くのCDを購入したことと、バーゲン品という格付けも重なり、このCDを聴くのはかなり後回しになっていた。
 そして、ふと気がついたころにはテンションも下がっており、すでに期待することもなくCDプレイヤーに挿入したわけというわけだ。

 しかし、これが恐ろしく期待を裏切ることとなる・・・・・。

 なんと、ジャケットのムサ暑苦しい男からは全く想像不可能な、ドリーミーで素敵なポップチューンがぁぁぁぁぁーー!!!!!!

 特筆すべきは「I Can't Help Being Yours」という曲だ。
 ソフトロック、サバービア系のお洒落サウンド、それもドンズバなステレオタイプなものではなく、かなりガレージ要素が含まれた音。つまりつまりつまり「スーパー天然ガレージAORサウンド」である!!!!!!ええええええっ!!!!!
 ただ、ボーカルはお洒落さんウケはしないかもしれない、ちょっとしたネバネバ感はある。みなさん、これに比類するサウンドは本当にないですぜ。

 音質はどう考えても60年代中期(もしくは後期?)ころのガレージっぽい音で、キーボードの音もそんな感じだ。にもかかわらず、マービン・ゲイの「WHATS GOING ON」的な、現在でいう「フリーソウル」的アプローチが確かに施されている。
「What’s Going On」をフリーソウルの父と位置づけるとしたら、このアーニ-・ジョセフは一体何と言えばいいのだろうか。ちょっと線で繋がらない。
 
 このサウンドは非常に白人的な解釈であるといえるだろうが、いわゆる黒人音楽のAOR的解釈がすでにこのアーニー・ジョセフによって行われているということになる。これにはド肝を抜かれざるを得ない。大阪の元雀電動自転車の方も「これってAORやなー」と驚愕。無理矢理聴いていただいたことを、本人は覚えていらっしゃらないかもしれないが。
 ちなみに、これはアンリリースド作品。当時は理解されなかったのだろうか。

 すべての渋谷系にアーニー・ジョセフをお見舞いしたい。くらえッツ!


 さて、ジャケットのアーニー・ジョセフと思われる人物は、厳ついHRギタリストとしか理解できない。100人いれば95人はそう思うだろう。確かにこのCDには「リードギター ERNIE JOSEPH」とのクレジットがある。
 しかし、これまた驚愕の事実がCDを聴き終えた後に判明する。ななななな・・・なんと、リードギターらしきギターのトラックは「無い」。
 厳密には「ある」のだが、かなりさりげない。ちろっとグリッサンドした程度のものである。

 このアルバムの中にはChocolate Watch Bandの名曲「MISTY LANE」を書いた、M.SIEGELの作品「CLEO」が収録されており、大変にメローな名曲である。ただし、このM.SIEGEL氏については詳細が自分はよくわからない。どなたか是非にたれ込みください。
 スタンデルス、チョコレートウォッチバンドなどのEd Cobb(江戸昆布)関連に繋がっていくこともあり得るのだ。

 一刻も早くこのアーニ-・ジョセフを『ソフトロックA to Z』やら、『VANDA』やら、サバービアやら、そういうメディアで取り上げる必要・・・いや、必然性がある。まさに隠れ渋谷系名盤NO1にふさわしい。
 以前、AKALMAのHPでは、在庫処分という意味だろうか。安売りに扱いに。つまり、「かなり売れていない」ことが容易に想像されるのだ。このままではこの素晴らしいアルバムが闇に葬られてしまう。これは危機、クライシスですよ。
 もし、来年このアーニージョセフが大ブレイクしたとしたら、情報発信源はこのシノワレコードです。

 なお、自室ではLPサイズでも購入させていただいた、ERNIE JOSEPH様が神々しく君臨しておいであります。

 (続く)

 *なお文中のリンク先の英文レビューページを、ヤフー翻訳ソフトで翻訳させていただき、重引いたします。

 アーニージョセフと彼の最初のグループ『天皇』は、1965年にこれらの歌を記録しました。残念なことに、これまで、彼らは決して解放されませんでした。Akarma Recordsは彼らのウェブサイトでグループの音の彼らの説明においてガレージへの言及をします、私は私が心から一致してはならないのではないかと思います。私は、この音楽の中で離れてガレージのように聞こえさえした何も聞きませんでした。私が聞いたものは、ゲイリーパケットのような何かを鳴らした歌手でした。これは、純粋なポップ軽口でした。ジョセフが完璧なロッカーのように見えて、カバーはまぎらわしくありえます。それは、真実からより遠くはありえませんでした。後ほど、彼が彼のグループとともにこれらの歌を記録したとき、彼の職歴に、彼は1965年のでなく、彼の音楽のより堅い刃を持ったかもしれませんでした。それは、その時に人気があったそういう音楽とは少しも異なるように聞こえません。

『オールアメリカン天皇』は、1965へのアーニージョゼフスエレジーでした。その、あまりひどく、市民を買っている音楽にはそれからこのアルバムを聞く機会がありませんでした、彼らは1箱のすばらしいチョコレートのようにそれを消費しました。その常に地元のレコード店に決してたどり着かなかった何かを聞くために面白い。あなたは座って、聞いて、それが決してリリースされなかった理由を理解しようとします、しかし、誰でも異なる経営陣とともに異なる状況の下で働きました、そして、それの全てはグループがたどり着くかどうかで、主な役割を演ずることができます。これが利益であったけれども、聞いてください、私は失望しました。私が前に言及したように、私は私がカバーを見ることによってこのLPの上で聞くつもりだったものを翻訳しようとしました。私は、イメージから何らかのメッセージを得るために、その人間性を推測します。カバーは本当に単純です、それでも、それは中で見つからない何かを計画します。カバー芸術はメッセージを運ぶはずです、1がここにあるならば、私は正しくそれを解釈しませんでした。OK、私は私が異なる何かを聞いていなければならなかった理由を正当化しようとするのを止めます。肝心な点は、1965年が出た音楽の一部よりだいぶよく、これが平均的ポップスよりよかったということです。

君を捜していたんだ。

2005年12月23日 | 楽器・機材・DTM
 本日、シノワの大阪メンバー(ベース)である厚澤氏の店、大阪地下鉄江坂駅より歩いて3分のとこにあるReal Guitarsより、注文していたピック50枚が届いた。リアルギターズは妥協なく本当にいいギターやエフェクター(エフェクターはハンドメイドものばかりだ!)ばかり置いてて、毎回帰省のおりに試奏するのが本当に楽しみだ(さりげなくたこ焼きのマラカスなども置いてあったりする)。
 シノワサウンドの中核をなしているcolorsoundもばっちり置いてあります。
 
 さて、ギターのピックは高校時代はグレコのマーブル柄ティアドロップを使っていた。
 19才から定番のフェンダーの白のティアドロップハードを使うようになったが、シノワ初期のころにはジムダンロップ(亀のやつ)の、ピンクのティアドロップハードを使うようになった。
 しかし、これもまた使いづらくなり、フェンダーのティアドロップの白ハードに戻した。
 だが、またしっくり来なくなってしまった。
 いつもピックに突然違和感を感じてしまい、突然そればっかり気になって集中できなくなってしまっていたのだ。
 器財にストレスを感じてはやはり上達しないと感じていたが、とくにピックの問題は深刻だった。

 そして、たまたまシノワの練習帰り、アメ村の三木楽器に寄った際、店員さんから雑誌の販促ピックをもらった。『BADGE』という雑誌のおむすび型ピックだったが、それがとてもしっくり来たのだ。それ以来、そのピックだけを使った。
 シノワの1stアルバムもそのピックだけですべてを録音した。その後のライブでもそれだけを使った。すり減ると困るので、練習ではフェンダーのおむすびを使っていた。この販促ピックはいわゆる勝負ピックというわけだった。
 このころはおむすび型に心を奪われていたころだ。
 しかし、使えるピックが一枚しかないということは大変に不安なことだ。
 
 三年前、たまたまギターの教則本を買った。教則本のたぐいはほとんど読んだことはなくすべて我流でやってきていたので、かなりためになった。
 ピックさばきについては、柔らかいピックをしならせ、その反動で弾く練習をするといいピッキングができるようになると書いてあった。それを半年くらいやってみたら、たしかにピッキングが安定してずれなくなった。すげー。実のところはピックではなく弾き方の問題だったというわけだ。みなさんもこの方法を試してみてください。おすすめです。

 しかし、ピックがしっくり来るか来ないかはそれとは別であり、一心同体のピックはやっぱりあの販促のやつしかない。困った。

 ということで、昨年思い切って『バッヂ』の編集部にメールで問い合わせてみた。
 すでに雑誌は休刊していたが、当時のスタッフに問い合わせてくださり、それはPICKBOYという会社に頼んだとのこと。
 かなり光明が差した。

 だが、、、ネットで調べたら、どうもピックボーイは工場の火事により業務を縮小したらしい!!!!!とのこと。。。。。。。ガーンと来た。
 あきらめずに調べていたら、熊本の楽器屋で、なんとこのピックボーイのオーダメイドピックを扱ってるところがあった。金型は残っていたんだ!!問い合わせたらやってくれるそうだ。やった!よかった!と思った。

 その数日後、たまたまハードオフに行ってのレジのとこで売ってるピックが安かったので買ってみた。
 それがかなりその販促ピックに近かったのだ。しかし、残念ながら粗悪な作りであることは否めない。

 やっぱり高い金出してオーダーメイドしようか・・・・と思っていたら、偶然妻のピックケースの中に、昔、妻が使っていた青いパール柄のティアドロップのピックを見つけた。なんとなく使ってみたら不思議な一体感をいきなり感じてしまった。

 ピックのメーカー名は消えていたが、よくみると筆記体で「TAKAMINE」とあるようだった。妻に聴いてみると確かに「タカミネ」だという。「それ、弾きやすいやろ」とのこと。
 その時だけは妻の背後に後光が見えた。
 タカミネといえば、アコギで有名なとこだ。そういえば嘉門達夫がタカミネのモニターだったと記憶している。

 早速、山口市内の楽器屋にいってみると・・・・おお。置いてありましたよ。
 さっそく購入した。やっぱめちゃめちゃ弾きやすい。これはミディアムなのだが、やわらかすぎず、かたすぎずという絶妙な感じである。フェンダーティアドロップのソフトを1、ミディアムを3、ハードを5とした場合、これは4くらいだ。この絶妙な堅さは全く他社にはない引き心地である。
 タカミネのディアドロップには他に滑り止めがついてるのとか、白とか黒の一色のがあるが、それはまた違う感じ。
 このパール柄だけが絶妙に良い。

 しかし、山口の楽器屋にあったのは偶然だったようで、このタカミネ・ティアドロップパール柄ミディアムは、あまりみかけないピックである。
 是非にピックに悩んでおられる方には強くおすすめします。探してみてください。

もうこれで一生ピックには悩みません。わーい。