へなちょこかいご

アルツハイマー型認知症・80代の母との暮らしで思う事。
母は2021年秋に亡くなりました。父の事も少し。

ベタベタハプニング

2016年10月18日 | 日記
母と買い物に行き、途中の用事がある所で一旦降りました。

すると母が、自分のショルダーバッグの内側の布をひっくり返して、

「これ、ベタベタ」

見ると、バッグの外も中もベタベタ。

車の中を見ると、シートもクッションもベタベタ。

その上に置かれた母の財布もベタベタ。

ジッパーつきの内ポケットに入れていた保険証、お薬手帳もベタベタ。

これは…あれだ。

車に乗る前に、自販機で母は飲料を買ったのです。

母の好きな“ネクター”を。

それをバッグに入れたのか?!

缶飲料を入れる程スペースはないのですが。

缶なのでフタがないため、中身がこぼれた…としか思えない。

それに気づいて慌てて出してシートに置いたら倒れてまたこぼれた…としか思えない。

そしてその一連のハプニング中、母は無言。

大きな動作の気配もなく。

運転中なので、騒いでよそ見をさせてはいけないと思ったのかもしれません。



とりあえずバッグをレジ袋に入れ、中身もまとめて置き、スーパーへ。


向かいながら反省しました。

フタつきの飲料にするんだった。



そのベタベタハプニングは、別にいいのです。

イライラも、腹が立つ事もありませんでした。

しかし。

スーパーの駐車場から店内、また車に戻るまでが、ちょっとしんどい。

手ぶらになった母は、

「あら、私バッグは?」

を繰り返す。

「車に置いて来たの?」「家に置いて来たの?」

を繰り返す。



説明が面倒。

汚れたから置いて来た、うん、そう、などと答えつつ

パパッと選んで買って、戻る。


「私、バッグ持って来なかったんだな」

うん。

「何やってんだか。バカになってしまって」




あらら。自虐。

車に乗ると、レジ袋を見つけ、汚れたバッグを出して、ティッシュで拭いていました。



以前つけたシミもあり、古いバッグですが、まだ使えたはず。

でも今回のシミは広範囲に変色していてかなりベタベタ。

ネットで調べると、クリーニング代も高い。


よし、新しいのを買おう。

母がデイの日に、あちこち回って探しました。

4店目で、良さ気な物が。

前のと色も素材も同じタイプだし、それを購入。

2周り程小さいのですが、その方が余計な物が入らなくていい。

財布など中身も入れて、母の部屋に置いておきました。

翌日。

定期通院に出掛ける際、何事もなく新しいバッグを持つ母。

ベタベタハプニングは忘れたとしても。

前のより小さい。

外ポケットの数も少ない。

何より新しい。

そんなバッグの違いもピンと来なかったようです。


途中、きいてみました。

そのバッグ見てどう思う? と。

すると母、しげしげと見た後、

「…何とも思わない」




じゃ、この件はおしまい。