へなちょこかいご

アルツハイマー型認知症・80代の母との暮らしで思う事。
母は2021年秋に亡くなりました。父の事も少し。

タンスを運ぶ母

2016年10月03日 | 日記
3段に分かれている古い和ダンスを整理したら、

上2段が空になったので、粗大ごみに出すことになりました。

外に出しておかなければならないので、

1段ずつ1人で踏ん張って運んでいると、母が来ました。


「これ、もったいないなあ」と母。

処分すると決めたのに、いざとなると…片付けあるあるですね。


もう持って行ってもらうように手続きしたんだから、

もう来るから、

もう使わないでしょう、

と言いましたが、

「買った時の事考えるとね~」

最初に言ってよ…また戻すのも大変だよ…


母は黙ったので、納得したのだと、私は家の中へ。

すると、

ガタガタズズズズ…

はっとして見に行くと、

母が1人でタンスの1段分を家の中に運んでいました。

庭の、玄関の段差も越え、カーブもクリアし、自分の部屋に入れました。


じゃあここに置くのね?

「取りあえずここに置くから」

何入れるの?

「後から考えるから」



狭くなった部屋。



ここには寒くなったらストーブを置くんだよ。

「ストーブいらない」


意地を張り出しました。



「もうすぐ死ぬ人の言う事なんかきかなきゃいいじゃない!!」

じゃあ処分していいのね。

「いいよ?!」

後悔するんなら置いていいんだよ。

「もうすぐ死ぬ人の言う事なんかきかなきゃいいじゃない!!」



ダメだ。

結局、その1段はそのまま母の部屋に。

次の日、母がデイに行っている間に、元に戻しました。

1段残したタンスの上に。

処分しても元に戻しても、母は忘れるのですが。

私の気持ちですね。

強行に処分しても後味悪そう…という。



それにしても。

春に手をケガして、夏までリハビリに通った母が、

私が運ぶのもやっとの物を1人で運んだ…。

それに驚きました。



そしてそれも忘れ、

「私、あまり重い物は持てなくなった」

と手をさするのです。


持ちましたよーーー。