Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

絵葉書の味わい

2011-04-19 10:13:29 | その他
鹿児島の友人から珍しく絵葉書が舞いこんできた。
この友人は自分よりも少し年長でネット適応はやや遅れ気味だ。
そのため自分がなにかのついでに入手された古今東西の気が利いた古典作に思いを込めた絵葉書を送ってくる。

最近は音信がやや途絶え気味だったが、この人が送ってきた絵葉書はネットメールと違ってすぐに削除したりする気にならない。
絵柄にいいものが多いからだろうといつも思っている。

インターネットメールが常識という時代にアナクロといってはいけない。届くまでの冗長なる間合いを味わえる時代ではないが、絵柄を見立てる、そして50円切手を貼る、近況の瑣事や懸念について端的に綴るインク文字の書面、こうした段取りがもっている時間はやはり個人のインティミテーというものの温かな波動が伝わってくる。

今回は東日本震災後の様子を案じる書面を象徴するようなダリの「三角形の時間」という1933年の油彩画を選んでいる。昭和の年号で云えば昭和8年。
欧州ではファッシズム、日本では天皇制ファッシズムが大手をふるって戦争と終末への予感が高まっている時期の傑作だ。
無人の荒野の岩肌に飾ってある変形した時計、黄色に棚引く雲塊はまるで原子戦争後の地球を予兆したようなダリの作風である。

天災の本場、西南九州も新燃岳噴火、桜島噴火と杞憂の種はなくならないが、ダリの画が「現実味を帯びてきませんように。。」と友人からの文面は結んでいる。


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