Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

箸休めの小皿

2012-02-17 09:03:16 | 
このあいだ二宮町へ菜の花見物に出かけたとき県道83号線沿いのスーパーの広場でフリーマーケットが開かれていた。見逃すわけには行かないと思いつつ寄り道気分で会場を覗いてみた。ほとんどが古着や贈答品流れの類でこれはという掘り出しものはどこにも見当らない。

余談になるが新宿時代の零細自営業では仕事が深夜に及ぶことしばしばでそんな時は事務所の一角で仮眠する晩も多かった。イベントPAの仕事は人が休む日に仕事をするからしょうがないが楽しみの隙間もあった。仕事が控えていない日曜の朝、たまたま開催日にぶつかる明治公園のフリマも楽しみの一つだった。会場へは慶応大学病院裏手にあった老朽マンションの倉庫から歩いて10分、早朝の外苑西通りは車や人の往来も少なく季節が初夏を迎えるようなときの街路の若葉の揺らぎを眺めるのは幸福だった。

明治公園のフリマでは自分流の掘り出しものをちょくちょく発見した。どこかアジアを流浪してきたらしいフランス人の出店者から買った品物もトリッキーな会話による駆引きが印象に残っている。東南アジアのものと思われるとても下手な鉄絵の小鉢とフランス盤のEPレコードなどの組み合わせで1500円。そのときのEPレコードがフランスバークレイ盤のダリダが歌ったヒット曲集でダリダの濃い目なラテン顔したポートレートに吸い寄せられたものだ。このEPレコードは7年ほど我が居間に鎮座してから、畏友のトーシローさん宅へ去年の秋に1000円で嫁いで行った。この年令になったら生々流転は良いことだと思いだしている。

フリマを見物したら只では帰れない性格のせいか?駄ものだらけの二宮町フリマを凝視していたらちょうどよい一品が見つかった。
九州は福岡県南端にある山里、小石原の焼き物の銘が入っている。それも端物らしい直径10センチほどの小鉢といってよい皿だ。ベージュ色の器体に3個の目跡があって湾曲した内側の縁には、笠間などでもよく使う薄茶と緑の釉薬が不規則な雲の流れみたいにベージュ色にかかって上手く溶け込んでいる。釉薬をかけない土見せ高台付近の上部には斑唐津に見られるような厚ぼったい青みがかった海鼠がけが描け流されされている。高台の削りこみは律儀で力を抜いていない早業が漲っていて、無名民芸者の誇りが伝わってくる。
小石原へは二度訪問したことがある。博多・天神の西鉄バスセンターからバスを乗り継いで二時間余。現地だったらこの小鉢は一枚300円と踏んだ。これは安いでしょう?と瀬踏みしたら出店者の主婦の答えは50円という適正値段で帰ってきた。この小鉢を洗って翌朝の朝食は朝粥の箸休め用に使ってみた。塩こんぶが小石原、梅干しが薩摩の鮫島佐太郎窯の黒角皿、紫蘇が隼人の旗井田窯と期せずして九州勢のトリオが実現した。それにしても小石原の豆鉢が他の二つに力負けしていないことを痛感した。食後の煎茶用急須には久々に朱紅色した辰砂の小石原焼きが登場だ。

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