Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

あらえびすの本

2017-03-19 15:04:11 | ラジオ亭便り

麗らかな春日和に誘われて大和駅周辺で月に一度開催している古民具骨董市へ出かける。同行のSさんとは定番の昼食場所として決めてあるとんかつ店の開店時間に合流しようということで別行動になる。

此処へ来るといつも嗜好が決まっている土モノ陶器に視線は向かってしまい、この日も萩焼の荒々しくざっくりした土味が湯呑み茶碗の底にあたる高台際付近に面目を発揮している良品に出会うことができた。箱書きもないものだが、陶房で作った量産品のレベルを軽く超えた個人の手業を感じる軽やかな作風だ。萩だったら坂田泥華クラスの一流人が作ったものではないだろうか?と勝手に想像する。

しかし3000円との答えを聞いて吝嗇の虫が鳴き出し購入は否決になる。3000円といえば自営カフェのコーヒー単価6人分の売上と一緒だ。6人を捌くことの重さをこの4ヶ月ほど痛切に感じた月日はなかった。良品が1000円という掘り出し品であったとしても自店の低迷状況から生活の縮小均衡は必須課題と茶碗の景色を眺めながらブレーキをかけるもう一人の自分がいる。

場所を変えて気分転換にここでは見たことも漁ったこともない雑誌や古書の山を覗いてみることにした。どこかの旧家屋を解体した時か、または引越しの不用品から現れたような戦前を含めた捕らえどころのない煤けた書籍がどれでも100円均一とのことだ。中曽根康弘の精神的支柱の一人だったという右翼イデオローグ安岡正篤の本など100円出して果たして買う人がいるのだろうか?と目次をめくりながらとりとめのない想像を巡らせる。

そんな一瞬に現代classic音楽批評の祖ともいうべき、あらえびす著「名曲決定盤 よき曲  よき演奏、よき録音」の昭和14年 中央公論社刊行本が目につく。外箱も壊れ始めているがまぎれもない当時のままの初出単行本だ。このあらえびすさんは多面体の天才を発揮した方で昭和の大ベストセラー「銭形平次捕物帳」の作者でもあった。後年は愛鳥家を纏めた「日本野鳥の会」の創始者でもあったと聞いている。またレコード再生機器としての蓄音機や電蓄についても和洋創成期の機器についての支払った実地見聞投資額が凄かったという逸話も耳にしたことがある。100円本の即買いが嬉しい。

その近くにはドイツの社会学者マックスウエーバーの夫人だったマリアンネウエーバーのみすず書房版「マックスウエーバー1・2」もあってついで買い。あらえびすさん本の読書目的は大正末期から昭和初期のアコースティックから電蓄移行時代 の具体的使用に基づいた機器への秀抜な批評眼を学ぶこと。加えて録音未明期の巨匠演奏家に就いて若い頃に感じた印象の再確認ガイダンス本としても味わいたいと願っている。

営業日案内  3月20・21連休

22日〜25日 12時〜19時平常営業  26日臨時休業 27・28日12時〜19時平常営業

29日 休業日 30・31日 12時〜19時平常営業 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あらえびすの本 (ラジオ亭)
2017-03-25 09:31:17
芥 さん

コメント有難うございます。そうなんです。あの有名な娯楽小説の大家、野村胡堂です。
早稲田と高田馬場の間に、その昔「あらえびす」というクラシック名曲喫茶が有りまして
入ったことがあります。
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不勉強ですみません。 (芥・・)
2017-03-24 20:12:02
あらえびすは野村胡堂の
音楽評論家としてのペンネームだったのですね、
無知は恐ろしい。
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