Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

バレンタイン大雪の中の夢想

2014-02-15 16:02:30 | その他

毎週、水曜日の定期アルバイト以外は部屋にこもって春先にオープン予定の世田谷・上町駅前ブックカフェ「アトリエ・モノラール」の空間意匠を思案している。

モノラールを自称するわけだから、真剣にモノラルと取り組む必要に迫られている。BGMの音楽を流す再生装置はステレオは付録みたいな処遇になる。あくまでもモノラルが中心だ。一つはドイツがナチス全盛時代だった頃の20センチフルレンジスピーカーを搭載した、当時のザクセンブルグ社が作った「オリンピア600」というその時代では高級分類に属していたラジオを使うことにする。最近、点検と掃除を済ませたばかりでよく復活を果たしている。これにはCDプレーヤーからの入力端子も作ってあるから、毎日3時間づつモノラル時代の再発CDを流すことでエイジングを重ねている。オリンピアは70年くらい前のビンテージラジオだ。先週麻布へ山田教授の新開発小型スピーカーを聞きに行ったとき、その脇に裸の20センチスピーカーがモノラルでセットされていた。それがまさしくオリンピアというラジオに搭載されたフィールド型スピーカーと同じものだった。山田教授と同じ学校の工学部のM先生が古いドイツラジオのマニアでザクセンブルグのユニットが大好きらしい。そんな奇縁がオーディオ革新思想者山田教授の部屋でもたらされたことも不思議だ。都心に住むM先生にも「アトリエ・モノラール」の部屋でこのラジオユニットの再生美音に接していただき、できたらビンテージドイツラジオ文化論のようなゼミナールを開いてほしいと夢想しているところである。

 

このラジオユニットを3週間に亘って聴いてきたが、好きなジャズソースでは音のボディや濁りが足りない印象がする。こちらの役としては凛とした古典音楽の小編成や声楽系のモノラルソースをかけるようにして、もう一つ在庫がある少し大きな1930年代のアメリカRCA社電畜箱にアメリカのジャンセン社製20センチスピーカーでも搭載して好きなジャズボーカルでも再生できたらと思っている。こちらは軽薄な思いつきで小型箱入りスピーカーをそのまま入れてモノラルアンプで鳴らしたことがあるのだが、箱同士が干渉しあって音がぼこぼこするという失敗をしたことがある。

復活したオリンピアラジオでこれはステレオ録音だが、かってのジャズサックス奏者清水靖晃がソロでサックスを吹くバッハの無伴奏チェロ組曲を今日も流す。組曲6番はイタリア・パドヴァにあるパパファーバという古い邸宅の収録場所だ。清水靖晃が心中の哀感を身をよじりながら絞りだす短かなアルマンドが流れ始めたころ、座間の旧同潤会風アパートの窓辺付近は粒子が細かい粉雪が一緒になって舞い始めている。


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